思ってたよりも派生作品がたくさん出てるようで、しばらくはこのシリーズで楽しめそう。90/100。
ネタバレを含まずに感想を書こうとしたら、すごく抽象的で分かりづらくなってしまった気がする。


  前作「マブラヴ」で残された謎に迫る「オルタネイティヴ」だが、感想は「名作」。いや、ゲームにこれほど感情移入したのは本当に久々だった。

 作品のクオリティは上昇しており、熱い主題歌・挿入歌、戦術機CGの増加による戦闘シーンの迫力の増加、 今までと違い耳に残るBGMなど、完成度は非常に高い。

 ロマン心、もとい中二心をくすぐるワードも多い。フォーメーション「アローヘッド」とか、「鶴翼参陣」「甲21 号作戦」「桜花作戦」とか。こういうワードを聞くとが上がる人にはお勧め。あと戦術機の中では白いカラーリングの建御雷が一番かっこいいと思う。

 ストーリーは選択肢による分岐はほぼ無くなり、一本道となった。また前作のUNLIMITED編よりもシリアスになり、ほぼ全編重い展開と言っていい。大まかな流れは 前作のBADENDの記憶と身体能力を保持しながら過去に戻った主人公が結末を変えるため奔走する…といった内容だ。こういった記憶を持ってやり直す話はSSなどでよくみられ、単純な俺TUEEE系になることが多いが、本作はそうした傾向に真っ向から逆らっている。序盤こそ能力や記憶を発揮して優位に立ちまわれるものの、次第にそのアドバンテージは失われ、前回経験しなかった大きな困難に直面することになる。今作がシリアスにならざるを得なかったのもこのストーリー設定が背景にあり、悲惨な結末を避けるため、主人公に心の余裕が無いことが原因だろう。

 ストーリー自体も非常に練り上げられたもので、わかりやすい伏線も、言われなかったら気付かないような伏線も全て綺麗に回収されるので、前作の伏線の放置を心配している人は安心してほしい。むしろ前作は謎を提示するだけで、今作で謎を全て解決すると考えてもいいだろう。ただBETAの正体については設定はいくつか明かされたが、明確な回答は与えられなかった。この点に関して自分はそういうものだと割り切れたが、消化不良感を抱く人もいるかもしれない。また、新事実の開示がまとめてなされる場合が多く、全部を一度に理解することが難しいという問題点もあるが、説明パートはそんなに嫌いじゃないので気にせず勧められた。

 設定は「超王道」だった前作と違い、時間のループに並行世界、量子論、確率論等を加えた非常に難解なものとなっている。特に主人公の存在のあり方についてはバックログを見返しながらでも把握することは難しく、自分自身もわかっているとは全く言い難い。ただある程度こうなっているということは理解できるので、それはプレイ中に理解できなくて障害になるということはあまり無い。

 主要キャラが死亡しなかった前作と違って今作はガンガン人が死ぬ。前作では結局描写されることは無かったBETAとの戦いは、BETAの見た目の醜悪さも加わって非常に凄惨で、生存のための戦いという言葉が前作よりもはるかに現実味を持っている。ただ、一部を除いて死亡フラグを立てた人が順当に死ぬという意味では、まだ「超王道」要素が残ってると言えなくもない。そして死を予想できてもプレイヤーの心に強い印象を残せることが、ストーリーの出来の良さを示している。

 今作はUNLIMITED編がぬるく思えるほどの鬱展開だ。特にEpisode7からの鬱展開には最近やったどのゲームよりも心が折れそうになった。もう主人公があまりに悲惨で報われなさ過ぎて、テキストを進めるのが怖かった。作品のテーマ的にも「シュタインズゲート」に似通ったものがあり(というかシュタゲがこの作品を参考にしたんだろう)、「世界」にいじめられるという構図は全く同じだ。しかし、個人的にはシュタゲ以上に感情移入の度合いが高く本当につらかった。一方で辛い時期を超えれば、それを凌ぐ熱く、心に響くエピソードがてんこ盛りだ。それぞれの「守るべきもの」と「信念」を背負って戦場へ行くそれぞれの人物に魅力があり、その生きざまや死に際に何度も感動させられた。また何度も挫折し、時には逃げ出しまでした主人公が確固たる「立脚点」を見つけ、最後まで戦い抜いたその姿にも、尊敬の念を禁じ得ない。前作と違い、今作は大団円と言っていい結末を迎える。最終章に入った時には、日々の平和のありがたさ、日常のかけがえの無さといった様々なものが胸に去来する。ネタバレをしたくないので抽象的な表現にならざるを得ないが、とにかく自分でプレイしてみてほしいストーリーなのは間違いない。

 今回もR-18版を買った訳だが、今回のR-18はエロというよりグロのR-18だろう。まず今作ではストーリーの都合上ヒロインは選択できずギャルゲーとしての役割は薄い。また、自分の記憶している限りHシーンは2回しかなく、しかも全くそういう気にさせないシチュエーションだ。加えて一方は非常に特殊な状況でのプレイ(触手系の中でもマイナーなジャンル)で、人を選ぶことは間違いない。というよりあの話の流れで、劣情を抱く人は本当にいるのだろうか。もしいたら、私はその人の性欲に尊敬の念を示す。「エロゲー」としての実用性は全く皆無だ。むしろ萎える。ただHシーンの存在価値が無いということでは全く無く、どちらも物語上大切で、プレイヤーを感情移入させる役割を持っていると思う。特に唯一のスタンダードなHシーンでは主人公が報われたことに対する嬉しさと安堵、何とも言えない感慨を覚えた。

 一方でグロ描写は大幅に増加し、特にあるシーンのCGは凄まじい恐怖を与えてくる。主人公はそのシーンがトラウマになり何度もフラッシュバックするのだが、プレイしている自分自身もトラウマで、画面にまた出てこないかとビクビクしていた。感動するシーンも燃えるシーンも多数あったこのゲームだが、最も衝撃を与えたのはこのシーンだと言っていい。このシーンは絵自体もそこそこグロいが、不意打ちの如く突然挿入されるため、精神的なダメージは大きく、グロ耐性が無いと本当に厳しい。しかも主人公がフラッシュバックするたびにCGが回想され、何度も登場する。このシーンによって主人公への感情移入の度合いが増す効果はあると思うが、心臓が弱い人、怖いのが無理な人は今回は全年齢版をお勧めする。いや、これは本当に忠告しておきたい。

 「記憶を消してやり直したいゲーム」というものは存在するが、これも間違いなくその中の1本だ(グロシーン以外)。ゲームで涙を流したのは本当に久しぶりだったし、「感動系」と呼ばれるR-18作品に触れるきっかけとなったという意味でも、「マブラヴ オルタネイティヴ」は大きな意義をもっていた。

 最近プレイしたゲームの中で、これは最も興奮と感動を与えてくれた
「とてもちいさな、とてもおおきな、とてもたいせつな、あいとゆうきのおとぎばなし」であったと思う。

これ以降はネタバレを多分に含む感想のため格納。

 P.S
 おそらくアージュの他の作品で登場したキャラクターが今作ではかなり多く登場していた。魅力的なキャラも多かったので、他作品もプレイしているとより楽しめるのではいだろうか。「君が望む永遠」やりたくなってきた。マナマナ√だけはやりたくないけど。
 
 win7対応版にはチャプター選択機能が付いている。1週クリア後にEXの項目を見ると、大切なものを見ることができる。

ここからはネタバレ全開の感想を箇条書きにしただけ。



 








 今回も誰がヒロインかと言われたら間違いなく純夏であり、冥夜は主人公の中で「尊い者」という立場を得たが、恋愛の対象としては選んでもらえなかった。というよりストーリーの都合上純夏を選ばなければ世界がループし続けるだけなのでしょうがないと言えばしょうがないのだが、ダブルヒロイン制だったのはEXTRA編だけで、他はサブヒロイン扱いなのかもしれない。

 後主人公の「記憶」と「イメージ」についての区別がまだよく付いていない。「記憶」は呼び寄せられた後純夏を選ばなかったことでループし続けていた間に「呼び寄せられた白銀武」本人が手に入れたもので、「イメージ」はEXTRA編、つまり「元の世界」といった他の世界、で他の人物と付き合っている「白銀武」から流れ込んできたものということなのだろうか。 

 武は自分の意思で世界を移動でき、「BETAによる滅びの危機にある」世界に呼び寄せられたのは純夏が原因だった訳だが、意思による世界移動の仕組みがあまりよくわからなかった。7章で結構詳しく説明されていたと思うのだが、精神的ダメージが大きく、あまり理論系の話が頭に入らなかった。

 あとEXTRA編では間違いなくイロモノキャラだった夕呼先生はもうメインキャラ並に出張っていた。主人公が裏方仕事が多くなったこともあって、隊の仲間との交流が減った代わりに先生とのコンタクトが増えたからだろう。なぜ彼女はBETAの殲滅にあそこまでこだわるのかは結局説明されなかった。どこかで説明してほしい。

 まりもちゃんは7章の後顔をまともに見れなくなった。いつフラッシュバックであのCGが挿入されるかわからないので、常にビクビクしながらクリックしていた。「マミる」を忠実に描写したら間違いなく同じ感じだろう。なんというか、あれで逃げ出すのはしょうがないんじゃないか。

 「元の世界」に逃げ帰ってきてからの主人公は湾岸戦争とかベトナム戦争から帰ってきたアメリカ兵みたいに日常に馴染めず苦労するのかなと思っていたら、予想のはるか上を超える鬱展開。純夏に告白して振られたら主人公精神崩壊しそうだなとか思いながらドキドキしてクリックしていたのだが、それよりもひどい仕打ちが待っていようとは。「白銀君」と呼ばれた時の絶望感が一番すごかったかも。

 その後純夏が別の世界でも悲惨な目に会う運命にあることが分かる訳だが、ここら辺もろシュタゲのまゆりポジションだよね。シュタゲではそんなに描かれなかったけど、タイムリープして何度もまゆりの死を見届けている岡部の精神力は並ではない。こっちは一回純夏が事故に巻き込まれただけで心がえぐられたよ…

 「元の世界」でゴールの落下事故に巻き込まれた純夏の容体は武には伏せられてたけど、夕呼先生の言葉から察すると、腕は間違いなく使えなくなってて、足はどうかといった所。もし武が知ったらどう思っただろう。さらに絶望したんだろうか。

 鈴宮中尉の最後のシーンとかもう死亡フラグがあからさま過ぎて視てられなかった。ああいう外部の音が聞こえない密室にひとりで入っちゃだめだって…

 BETAは人間を素材として生産されている?サクッと流されてしまったがこれは結構重要な設定では。
 
 なぜエロ要素を入れようとしたのだろう。余計な御世話だとは思うのだが、最初から全年齢にした方が売上上がったのではないだろうか。Hシーンは今回あった方がいいとは思うけれど、企業の売上的には全年齢に発売できる内容の方が合理的だと思うのだが。エロゲーの方が売れるのかな。その辺りの事情はわからない。

 「向こうの世界」で武の扱いはどうなったのだろう。XM3を開発した人は先生になってる?

 最終章での武はそれまでの記憶をほぼ失って、ぼんやりとした感覚でしか「向こうの世界でのこと」を思い出せないようだが、そこに関しては何とも言えない。向こうで経験し、乗り越えてきた様々な困難や手に入れてきた教訓も忘れてしまっているのは、若干寂しさを覚える。社ははっきりと覚えてるのかな?

 「進撃の巨人」作者が「オルタネイティヴ」をパクったと宣言してたけど、オルタ自体も「ガンパレードマーチ」のパクリだともいわれてるし、元ネタをたどっていくとキリがないよね。確かに進撃との共通点は多かったけど。