2020年07月05日

GPIFと日本銀行による株価維持あるいは上昇政策

 新型コロナウイルスの感染拡大を契機とした世界的な株安の影響を受け、公的年金の積立金が2019年度に8兆2831億円の運用損を出した。2019年度の運用状況(GPIFのサイト)
 このGPIFのサイトでは、「保有全銘柄(2019年度末)[EXCEL:1,282KB]」というファイルで、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式等の保有状況を公開している。

 このファイルの国内株式というシートを開くと、次のようなデータが延々と記載されている。

GPIFstock

 このエクセルファイルには銘柄名、数量、時価総額が掲載されているが、会計上一番重要な帳簿価格、つまり取得価額が掲載されていない。どれだけの損益が出ているかが分からない表形式なのだ。年金という国民にとって非常に重要な資産を運用しているにもかかわらず、損益を細かく公開しないのはなぜなんだろう。
 2019年3月末の時価総額で35,308,164,327,007円もの金額を国内株式で運用しているのである。約35兆3千億円もの年金資産を国内株式で運用する理由は何か。(参考:2019年3月31日の日経平均株価は終値で18,917.01円)

 もう一つの大口機関投資家となっている日本銀行の株式保有高を見てみよう。3月末現在で日銀は、29,718,938,645千円、つまり29兆7千億円程度の株を保有している。営業毎旬報告(令和2年3月31日現在)(ちなみに6月末時点では、32,758,494,533千円、つまり32兆8千億円近くになっている。)

 GPIFと日本銀行を併せると約70兆円もの株式保有額となる。ちなみに、3月末時点の内国株式時価総額は548,229,285百万円、つまり約548兆2千億円である。(東証一部は530,612,107百万円となっている。)(日本取引所グループ、市場別時価総額)

 これらのことから何がわかるか。2019年3月末現在の東京証券取引所での株価時価総額は548兆円であり、GPIFが保有する国内株式時価総額が35.3兆円、日銀は29.7兆円でGPIFと日銀の合計は65兆円となる。GPIFと日銀で時価総額の約12%を保有していることになる。さらに日本銀行は年間12兆円のペースで株を購入する予定である。株式市場はかなり歪められているということになる。日経平均株価も異常に高められている可能性が高い。
 このように歪んだ市場での取引にはリスクが大きいと感じる個人投資家もいるだろうし、逆に歪められた市場で儲けようとする外国人投資家もいる。アメリカ人投資家であるジム・ロジャーズは日銀が日本の株を購入してくれるので、日本株(ETF)を再び購入したと言っていた。

 一体、何のためにGPIFや日本銀行は国内株式を買い続けるのか(GPIFはポートフォリオで25%を国内株式で運用するとしているので、買い増し続けることはないだろう。)。外国人投資家が一番儲けているような状況である。
 安倍政権の支持率を維持するため、日経平均株価を支える政策なのだろうが、外国人投資家が巨額の利益を得ているとすれば、むしろ外国人投資家のための政策と言うべきものかもしれない。
 まともな政権を作るためには多くのまともな有権者が必要だが、グローバリズムの弊害により、世界の多くの国でポピュリズムが蔓延するような状況で、まともな政権やまともな多くの有権者を求めるのは無理なのかもしれない。


Posted by blog_de_blog at 14:28│Comments(0) 政治 | 社会

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