腎臓病の食事療法の目的は、腎臓病の進行を遅らせることと、体調を良好に保つことにあります。透析開始前の俗に言う保存期に当たる方なら、食事療法次第で腎不全への進行を遅らせることができ、透析を初める時期を遅くしていけます。更に言えば、透析開始後も、できる限り健康体で透析をするために、食事療法は大きな意味をもちます。 腎臓病でも食事療法が適切であれば、体内に老廃物や毒素は蓄積されていきません。 老廃物が蓄積されなくなば尿毒症を予防し、腎臓病の悪化を極力抑える事が可能になるのです。そうとう上手くいった場合、腎臓病が進行しなくなったと言ってもいい程遅らせることが出来る場合もあります。 食事療法の難しさはけっして制限の内容ではありません。食事療法に関しては、患者が自ら自発的に努められる最善克つ最短の治療手段なのです。 水に溶けやすい性質をもつカリウムで野菜・芋類を食材に使う場合、小さくカットし茹でこぼし又は水さらしを施してから調理をおこないましょう。 茹でる事によって取り除けるカリウムの分量は、使用する食品の種類(コレクターは全て揃えたくなってしまうものです)や調理の際の処理時間や形状・水量によりちがいが出ます。 数値で示す場合、ほうれん草等の葉物野菜が45%、いんげんなどの青豆類は30%当たりは削減できます。小さめのサイズに切る、茹でた後はしっかり水を切る、ちゃんと搾るようにすれば、それだけ効果は期待できます。 クレアチニンについては筋肉中にある物質を介して生じる老廃物であって、腎臓に届いて分離が行われた末に尿といっしょに体外へ出されます。クレアチニンの量は、筋肉や運動量と密接に関わってきます。 そのため、一般に女性より男性のほうが高値に出ます。筋肉が衰えてくると、当然クレアチニンの数値も下がります。また、女性でしたら妊娠の際に、尿から排泄されるクレアチニン量が増加するので、平常時にくらべてクレアチニンの値が下がっていきます。 腎臓病でお困りの方に適した、低たんぱくの特殊食品があります。 食事管理を続けていく上でこうした食品は不可欠でしょう。腎臓の機能が落ちていく程、現状以上に細かに食事を制限しないといけないのです。 また、糖尿病の患者さんは血糖管理のため、エネルギー制限も伴います。個人の見解で判断するのではなく、専門の知識を有する栄養士や医師の指導の元メニューを決めるようにしましょう。お肉・お魚・たまご・豆腐については一度に多量のたんぱく質を摂取してしまうでしょうし、食べ過ぎないように工夫する必要があります。甘い食べ物に関しても案外数多くのたんぱく質が含まれているのです。 おやつには豆類や乳製品が内蔵されているため、エネルギーがほしいからと言って一気に食べると、必要以上にたんぱく質を摂取してしまうでしょう。例を挙げますと、ドーナツ1つ当たりには卵1個分と同程度のたんぱく質が含まれている訳です。 食事をして摂り入れたたんぱく質は、体内で代謝され、不要なものは老廃物となり血液中にたまります。血液は腎臓中で分解されて、要らない老廃物は尿となって体外に排出されます。たんぱく質を余分に摂れば、それだけ不要な老廃物が増えるので、腎臓に与える負荷が増してしまうでしょう。 腎機能を損なわないためにも、たんぱく質の摂取量を抑える必要があります。 とは言っても、たんぱく質は健康な肉体を維持する上で不可欠な栄養素であるため、不足しないように補給する必要があります。 浮腫が際立っていたり尿量が明らかに少ない場合、塩分だけでなく水分の制限も重要となります。制限を有する際は、飲料水のみに留めず、食品に含まれる水分量も含めます。 浮腫の程度が軽かったり存在しないのであれば塩分の制限のみで済みます。この場合の水分制限は病気の状態や尿量により医師が判断します。 脱水状態を起こせば腎臓機能は悪くなる一方なので自分勝手な制限はしてはいけないのです。 腎臓病に罹ると糸球体にダメージが出るので血液の濾過作用が上手に行われず、本来体外へ除去されるべきナトリウムや水分が体内に残ってしまうでしょう。加えて尿となり放出されるはずの老廃物まで、体内に居座り続けるようになります。 こうした結果血液の内部に窒素が増加し、尿毒症を起こす火種となったり、ナトリウムの増加で高血圧を併発する可能性が上がります。そのため食事療法では、適正な塩分・水分・蛋白質・エネルギー量を常にキープする事が入り用なのです。 体の3大栄養素として糖質・たんぱく質・脂質が挙げられます。 糖質と脂質は体内で燃焼されてしまえば水と二酸化炭素に変わるので、腎臓や肺に留まりづらいのですが、たんぱく質については性質上分解されると7?8割は窒素を含んだ老廃物となり排泄する際、多少なりに腎臓に負荷が生じます。それ故、たんぱく質の摂りすぎは宜しくありません。 体の機能を保つ上で最低限のたんぱく質の量は体重1kg当たり0.6g/日求められ、一日分で言えば30?40gに相当します。