魚住君シリーズでデビューして以来、精力的に作品を発表している、
多産な部類に入る作家さんです。
ボーイズラブ小説以外の小説も書いておられて、
その分は、表を薄く色づけしてあります。

ええと、正直に告白します。

私、彼女の著作は半分くらいしか読んでいません。
……と思ってたら未読は8冊でした。
自覚してたよりは読んでたのね。

しかし、私的には当たりはずれの激しい作家さんです
かなりの冊数が、埋もれちゃって行方不明。
(読んでない気がしたのはこの辺が原因だろう)
下手したら何冊かは売り飛ばしてるかも知れません……。

でもどれもたいがいは標準レベルを超えているのでご安心あれ。
要は好みの問題ですから。
なにしろ作風がシリーズごと、
単発ものでも一冊ごとに、見事に違います。
しっとりものからイケイケお笑い風まで、
それはそれは多彩ですよ~。

既刊一覧

作品タイトル 巻数 出版社
・魚住君シリーズ 夏の塩 全5巻 クリスタル文庫
プラスチックとふたつのキス
メッセージ
過敏症
リムレスの空
I’m home ファンブック
・普通の男 1巻(以下続刊)
・吾妻&伊万里
 シリーズ
ソリッド・ラヴ 3巻(以下続刊) SHYノベルス
レイニー・シーズン
オール・スマイル
ワークデイズ 1巻
作家・羽根くん
 シリーズ
ハードボイルドに触れるな 2巻(以下続刊)
ロマンス作家は騙される
放蕩長屋の猫 全1巻
猫はいつでも甘やかされる 全1巻
ラブ&トラスト ラブ&トラスト 3巻(以下続刊)
エロティックパフューム
100 Love Letters
・寡黙な華 全1巻
・ひとりごとの恋 全1巻
・弁護士は恋を自白する 全1巻
・神さまに言っとけ 全1巻
・誓いは小さく囁くように 全1巻
・権力の花 全1巻
・執事の特権 全1巻
・犬ほど素敵な商売はない 全1巻
・Blue Rose 全2巻 アイノベルズ
・Sleeping Rose
・名前のない色 全1巻
・永遠の昨日 全1巻 クロスノベルス
・largo~ラルゴ~ 全1巻
・聖夜 全1巻
・明日が世界の終わりでも 全1巻
・ハンサムは嫌い。 全1巻 ゲンキノベルズ
・無作法な紳士 全1巻
・眠る探偵 1巻(以下続刊) ジュネノベルズ
・人形の爪・眠る探偵1 談社ホワイトハート
・鏡よ、鏡・眠る探偵2
・きみがいなけりゃ息もできない 全1巻 BBノベルズ
・少年はスワンを目指す 全1巻
・ゆっくり走ろう 全1巻
(1冊完結シリーズ)
徳間キャラ文庫
・歯科医の憂鬱
・神話の子供たち 神を喰らう狼 4巻(以下続刊) 講談社ホワイトハート
隻腕のサスラ
片翼で飛ぶ鳥
おまえが世界を変えたいならば
砂漠の王
・ヴァムピール・アリトス 丘の上の愚者 全3巻 ビーンズ文庫
聖者は街にやって来ない
秒針を止める放浪者


続刊と書いてあっても、もしかしたら完結してるかも……。
微妙なのが多いのです。ご存じの方、指摘して下さい(他力本願)

以下、ネタバレ妄想注意!


基本的にはストイックな文章を書く人です。
淡々としているというのでしょうか。
魚住君シリーズとか、神話の子供たちシリーズBlue Roseシリーズなんかは、
その傾向が顕著なんじゃないかと思います。
小説としてみれば、文学よりの文章というのでしょうか。
素っ気ないくらいなんですが、そこがまた良いのです。

制服の下に隠された肌のエロティシズムといいましょうか?



しかしやっぱり彼女の最高傑作は魚住君シリーズだと思います。
まだこれを越える彼女の著作はありません。
断言します。

個人的にはあれが一番の傑作です。

ええ。あのシリーズを書いたというだけで、
彼女が作家として世に出てきた価値はあったでしょう。
決して他の作品が悪いというわけじゃありません。

軽いノリの吾妻&伊万里シリーズや、ラブ&トラストシリーズも、
かなり面白いです。大好きですし、
まったり雰囲気がのほほんと素敵な放蕩長屋の猫、猫はいつでも甘やかされるも、
かなり良い感じなのですが。

私の中では魚住君シリーズだけは別格です。


彼女の小説は、私はだいたいにおいてシチュエーションを好きになります。
トラウマを抱えた青年と、それに付き合う超鈍感男とか、
ヘタレ作家にかいがいしく世話を焼くいい男とか、
男娼の話とか、
華族の監禁モノとか、
兄弟で恋人もかくやというほどラブラブだけどそれぞれに恋人がいるとか、
ほんとに、ばしっと設定してそれを活かしてくる作家さんです。

好き嫌いは別れますけど。
私も、これは良いけどこれは苦手、とかあります。
キレイに別れます。
最近は、設定に走りすぎて話が上滑っているような気もしますが……。


で、です。
その魚住君シリーズに並ぶかも?
と私が密かに期待して新刊を待ちわびているのが、
すみません、非ボーイズラブに分類される、
神話の子供たちシリーズなんです。
現在3冊発刊されてますが……
神を喰らう狼/隻腕のサスラ/片翼で飛ぶ鳥)

面白いんですよ!
未来という設定で、自分の身体がやられた時のスペアとしてクローンがいます。
清潔に保たれたシティと、それ以外の土地Dエリア
(デスペラート・エリア 生存が絶望的な土地)に別れた世界があります。
Dエリアにいてシティに牙を剥く者達。
生き残りを掛けて、また、存在意義を掛けて闘う人々。

めちゃめちゃツボです。
もともと文章の巧い人ですから、この先のストーリーにも期待が持てます。
ボーイズラブではないですがオススメなんですよ~。

とにかく、榎田さんは、その文体と設定が噛み合った時に、
すごく面白い小説を書きます。
ボーイズラブ小説でも、魚住君を越える作品を書いてくれる日を待ってます。


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