しわがれ声の吟遊詩人、ボニー・プリンス・ビリーと先鋭集団トータスのコラボアルバム。このところの冬特有の移ろいやすい天候で思い出したのが、このアルバムに収録の『Daniel』。
Tortoise + Bonnie 'Prince' Billy
『THE BRAVE AND THE BOLD』
エルトン・ジョンのカバーだが、このアレンジは衝撃的。音なんて半分潰れてしまっている。人がこの曲にくつろぎを求めることを阻止するような耳障りなハンマー音。私の頭の中では、古くなった『油田の掘削機が砂漠の炎天下に響く』光景が浮かぶ。
それにボスの『涙のサンダーロード』。曲名を見ずに聴いたときは、何の曲か分からなかった。しかし、何回も聴いたことあるような・・・何だっけ?・・・えーと。!!「エっ、サンダーロード?」というようなクイズ状態だったのである。ボスの元歌のピアノとハモニカの美しいイントロをひん曲がった安っぽいキーボードとディストーションの効いたギターに置き換える大胆さである。最初は違和感を覚えたものだが、今では「これもいいなぁ」と思っている。
レーベルスタッフは、このコラボ実現を4年間アプローチしてきたという。しかも、収録曲はすべて有名曲のカバー。エルトン・ジョン、ブルース・スプリングスティーン、ミルトン・ナシメント、リチャード・トンプソン、ディーヴォなど様々で一見、何の脈絡も見えそうにない。
結果として、ねじれの効いたボーカルアルバムが出現した。カバーといっても大半は原型をとどめないほどに分解され、トータス、ボニー風に再構築されている。あのトータスが歌伴奏?と驚いたものだが、互いのよさを引き出して、いい空間を奏でている。
『Daniel』 by Tortoise featuring Bonnie 'Prince' Billy
『Thunder Road』 by Tortoise featuring Bonnie 'Prince' Billy














