UPSETTING ! - レゲエな日々 -

Blog-音楽雑記他。〜聴くまま、思いつくままです。 Hit Me with Music !

『THE BRAVE AND THE BOLD』

2c7e2080.jpgしわがれ声の吟遊詩人、ボニー・プリンス・ビリーと先鋭集団トータスのコラボアルバム。
このところの冬特有の移ろいやすい天候で思い出したのが、このアルバムに収録の『Daniel』。

Tortoise + Bonnie 'Prince' Billy
『THE BRAVE AND THE BOLD』

エルトン・ジョンのカバーだが、このアレンジは衝撃的。音なんて半分潰れてしまっている。人がこの曲にくつろぎを求めることを阻止するような耳障りなハンマー音。私の頭の中では、古くなった『油田の掘削機が砂漠の炎天下に響く』光景が浮かぶ。

それにボスの『涙のサンダーロード』。曲名を見ずに聴いたときは、何の曲か分からなかった。しかし、何回も聴いたことあるような・・・何だっけ?・・・えーと。!!「エっ、サンダーロード?」というようなクイズ状態だったのである。ボスの元歌のピアノとハモニカの美しいイントロをひん曲がった安っぽいキーボードとディストーションの効いたギターに置き換える大胆さである。最初は違和感を覚えたものだが、今では「これもいいなぁ」と思っている。

レーベルスタッフは、このコラボ実現を4年間アプローチしてきたという。しかも、収録曲はすべて有名曲のカバー。エルトン・ジョン、ブルース・スプリングスティーン、ミルトン・ナシメント、リチャード・トンプソン、ディーヴォなど様々で一見、何の脈絡も見えそうにない。
結果として、ねじれの効いたボーカルアルバムが出現した。カバーといっても大半は原型をとどめないほどに分解され、トータス、ボニー風に再構築されている。あのトータスが歌伴奏?と驚いたものだが、互いのよさを引き出して、いい空間を奏でている。

『Daniel』 by Tortoise featuring Bonnie 'Prince' Billy

『Thunder Road』 by Tortoise featuring Bonnie 'Prince' Billy

『悪い星の下に生まれて』

Born Underこう言いたくなるくらい、世の中すさんでるよなぁ。

Albert King
『BORN UNDER A BAD SIGN』

67年、アルバート自身による売り込みにより果たした、念願のStaxでの第一弾アルバム。

どうだっ!
このブッといギターの音に、スモーキーなボーカル。そこのけ、そこのけ、キングが通る、の堂々の名盤誕生である。
とにかく全曲圧巻のディープドライヴィング。「腹に手を突っ込んで小腸大腸をガタガタ言わしたろか」のチョーキングの連発に腸捻転を起こしかねないグルーヴである。ひん曲がったギターのフレーズに内臓がついて行ってしまうような感覚。ミディアムからスローでのブルーズでは圧倒的なドスの効かせ具合である。

アルバートのブルースはブルースとロックのよき架け橋だ。何よりもまず、分かりやすい。ここで演られている『Born Under A Bad Sign』や、『The Hunter』などの曲によってクリームやフリー、そしてジミヘンまでもが鋭く触発された。確かに真似したくなるカッコ良さである。

周知のことだろうが、アルバートは右利き用のギターを弦を張り替えずに、ひっくり返して左で弾いてしまうという超人である。ワタクシが幼いころ、皆で集まって野球をした時、しぶしぶ右手用のグローブで我慢したのとはポジティブさ具合がまるで違うのである。

それにトレードマークのフライングV。そりゃ、カッコいいわなぁ。

<今となっては、夢の競演!>

『COOL RULER』

c03cc6db.jpgグレゴリー・アイザックスの歌声を聴くと、なんだか気持ちが落ち着くんだよね。
さすが、レゲエ界の【クール・ルーラー】と呼ばれるだけのことはある。

Gregory Isaccs
『COOL RULER』

なにか部屋の模様替えや掃除が終わって、「さてと…。」という時や、休みの日に朝起きて、外がすがすがしい天気だったりして「さあ。」と思う時、ひとまず「グレゴリーでも聴こうかな。」なんて頭の片隅で思ったりする。
ラスタ関連の書によると【クール・ルーラー】=『冷静で落ち着いているが、権威を持って他人に命令できる人。』という意味らしい。何か次の行動を起こしたいという、はやる気持ちを、もうひとつの気持ちが【クール・ルーラー】となって制しているから聴きたくなるのかな、とも思ったりする。
「まあまあ。あせるな、あせりなさんな。」って。

このアルバムでは、グレゴリーの歌はもちろんなんだけど、よく取り沙汰されるのはスラロビ/レヴォリューショナリーズの鉄壁のリズム・セクションである。これはタイトかつ小粋にビシバシとキマって実に気持ちがいい。
でも、それよりも私が好きで気になっているのが、ビンギーかチナだろうか?のギターの鮮やかさである。これは琴線をかき鳴らす妙技だと言うくらい素晴らしい。『Native Woman』や『Word Of The Farmer』などを聴くとよくわかるんだけど、あのメロディーを追いかけながらも後ろ足を残して跳ね上げるように引っ張るフレーズ。曲に絶妙なアクセントを加えていると思う。

小股の切れ上がったようなタイトなバッキングと、グレゴリーの艶っぽくも切れ味のいいヴォーカル。やっぱり名盤ですなぁ。

Vocals : Gregory Isaacs
Backing Vocals : The Heptones
Backing Band : The Revolutionaries
Drums : Sly Dunbar
Bass : Robbie Shakespeare & Ernest Wilson
Guitar : Bingy Bunny & Chinna & Ranchie
Keyboards : Ansel Collins
Horns : Bobby Ellis & Tommy McCook & Herman Marquis



男であること、ボックスであること。

e8ca5d7f.jpg「男はなぜに、こうもボックス・セットが好きなのか?」
という音楽コラムを読んだことがある。しかもこれは特に中年の男性陣に多いんだとか。当然、不肖・ワタクシもその中にに含まれる。しかもド真ん中あたり。

Stevie Wonder
『AT THE CLOSE OF A CENTURY』(4CD BOX SETS)

レゲエにボックスセットが少ないのは、不幸中の幸い(?)だと言わなければならない。
記事を読んでいくと、「とにかく、男は体系的に知りたがる。」そうな。それで結果として「体系的に知った。」と言っているわけではない。まずは「知りたがる」のだ。
この気持ち、なんとなくわかる。百科事典を買いたがる心境に近いといえるかもしれない。「よし。これがあれば安心」と。しかし、百科事典が本棚に入ったまま殆ど活躍しないのと同様、レコ棚の肥やしになってしまったボックスセットも数あるのも確かだ。
う〜ん、似てるなぁ。

私の知り合いに『電子辞書大好き人間』とも言うべき人がいる。これも感覚が似ている。コンテンツの増えた電子辞書が発売されるたびに買い替えてしまうのだ。いや、買い替えずにはいられないようである。先年、広辞苑が改訂された時などは、その人にとっては大変なことで、まるで収録されている旧版の広辞苑は「役立たず者」の勢いであった。それで機能が増えた電子辞書を買うたびに、
「ねぇ、ねぇ。今度のはほら。鳥の鳴き声が100以上も入ってるんだよぉ!♪ピィーピィー。」
と披露せずにはいられないのである。
「ん。…で?」
などと切り返してはいけない。そういう時はニコニコして、「ほぉ、そりゃすごいネっ!」と言っておけばいいのである。自分が充実の内容だなぁと感嘆する思いでクリックして買ったCDボックスセットの内容を、ワケの分からぬカミさんに要らん説明をして、「無駄使いの弁明」をしているのを思い起こしてみればいい。
「ほらほら、デモテイクだけで3つも入って、全シングルも網羅。AB面網羅だよ。」
って。

ひょんなことから、スティービー・ワンダーの中古ボックス・セットを買ってしまった。状態がいいのに、CD一枚にも満たない値段だったのも勢いづいた要因だ。
S・ワンダーは今までベスト2枚組盤と主要なアルバム4、5枚は聴いたことがあったが、どういうわけかあまり縁のない大物アーティストだった。第一、あの世間一般では絶賛されている【モータウン・サウンド】ってヤツがあまり好きではないのだ。それでもお気に入りの歌も多いので、
「(順を追って)体系的に一気に知りたかった。」
のである。やはり。
こういう気持ちの正当化作業は、ボックスを見た後のほんの10秒で完結するといっていい。

2枚組の通常の薄いケースのベスト盤と違って、ボックスセットを開いて「さて聴くか…。」とおごそかに取り出して聴く時の気分は格別である。最初に聴く時は、意味もなく周りを片付けたりして、気持ちの準備を整えたりもする。ボックス冥利に尽きると言うかは知らないが、まぁ、少しだけリッチな気分に浸れるわけだ。そして寝床に持ち込んで聴く。まるで子供がオモチャを買ってもらったように。
さすがにいい歌が多く、特に70年代の歌の美しさは特段いい。

優しい声に気持ちを鎮められながら、写真とともに英文ライナーを読み、半分分かったような分からないような気分になりながらウトウトと眠っていく。…至福の時である。

レゲエはいいけど、2トーンはねぇ…。

ced71c84.jpg一昨日に引き続いて、レゲエのコンピレーションもの。
勝手な好みからなんだけど、新録のレゲエは聴きたいものはホントに少ないから、どうしてもヴィンテージ・レゲエに走ってしまう。

Various Artists
『SKA MADNESS 2』
〜ANOTHER 20 REGGAE CLASSICS WHICH INSPIRED A GENERATION〜

それは懐古趣味だと言われるかもしれないが、まだまだ聴いたこともない歌や曲が目白押しに出てくるのだから、ヴィンテージ・レゲエを聴くのは、感覚的には「温故」というより「知新」に近い面もある。それに何よりも、・・・好きだからねぇ。小さな島国たった一国の音楽でありながら、まさに「底なし」であることを実感すること、しばしば。

さて、『SKA MADNESS 2』と題されたシリーズ第二弾だ。
Desmond Dekkerの『Israelites』や、Toots & The Maytals の『Pressure Drop』、The Paragonsの『The Tide Is High』などなど、言ってみれば【超定番曲】の連続。『SKA MADNESS』というアルバム・タイトルながら、入ってるのはロックステディ〜スキンヘッド〜アーリー・レゲエである。定番オンパレードであっても、こういうコンピに惹かれてしまうのは、やはりその「イイものを残したいという心意気」を買っちゃうからなんだろうな。値段も今、タ○レコあたりだと、シリーズ一作目とも一枚1000円とお値打ちである。

あと「ホッ。」とするのは、これは私にとって非常に重要な点なんだけど、サブタイトルが上記で、ジャケットが写真のようでありながらも、いわゆる影響を受けた側の【2トーン】の音源が「含まれていない」ことである。2トーンは2トーンで結構なことだが、ありがちにこういうところ(特に廉価盤)に入ってくると、その異質ともいうべき分離の良さと「耐えられぬ軽さ」に一気に興ざめしてしまう。私にとっては最後にたった一曲だけ2トーンが入っているだけでも、アルバム全体の価値をブチ壊されてしまう。全く音に重みやタメのような深みがなく、要は浮き足立って聞こえてしまうのだ。
あぁ、こうやって書いてると、私、やっぱり2トーンはキライなんだな。

良かった。入ってなくて。





『SCRATCHING THE SURFACE』

d22565be.jpg気持ちがムシャクシャしてくると、ハード・ロックやメタルを聴きたくなるというのはよく聞く話だが、私の場合、レゲエにジャズ、そしてブルース・ロックだ。

The Groundhogs
『SCRATCHING THE SURFACE』

それもどうせ聴くなら、思いっきり「押しの強い」気迫のブルース・ロックがいい。強引なまでの。

トニー・マクフィー率いるグランドホッグスの67年リリースのデビュー作。ジョン・リー・フッカーのツアー・バックバンドとしての経歴も持つようで、その実力は折り紙付きといえる。実際、本国英国では多大な評価と人気を誇っているとのことだが、日本での知名度、人気はイマイチ。同系同時期のクリームとは大違い。こういうお国柄ごとの違いっていうのは面白いね。逆に日本で人気沸騰、本国さっぱりっていうのも多いし。
ギター一本でアグレッシブにグイグイとバンドを引っ張る正真正銘のレジェンド、トニー・マクフィー。クラプトン脱退後のブルース・ブレイカーズにと白羽の矢が立ったり、ピーター・グリーンにフリートウッド・マックにも誘われたというギターの名手である。でもその風貌は…、YouTubeとかで映像を見ても、至って「フツー」なんだよね。失礼ながら「えっ、この人が…?」って感じぐらい。

爽快なまでに胸のすく、アツいブルース・ロックだ。
後にハードロックやプログレ的な要素を濃くしていく彼らだが、このファーストでは、ハープが冴えるシカゴスタイルのバリバリのブルースを演っている。その突き進むブルース魂は圧巻というほかない。

『Rocking Chair』のドラムとベースのドカドカした疾走感、カッコいいねぇ。絡みつくブルースハープが程良くスモーキー度を上げていて、雰囲気的にはベーコン・ファットに近い。あのジョージ・スミスと演ったヤツね。それにやたら挑発するかのようなキレのいいギターと申し分ない。『Walking Blues』もアツくてイイ。こういうシンプルなリフの曲ってホワイトが演ると結構とってつけたようになっちゃうんだけど、堂に入ったもんである。聴いてるうちに前のめりになっていってしまう。

一方、スローナンバーも極めてアーシーで重厚。『Early In The Mourning』では荒々しいコーラスに交じって一緒に「♪ア〜リィ イン ザ モ〜ニング♪」って聴いてて一緒に歌っちゃうこと受けあい。『Come Back Baby』とかミドルのナンバーもシブい!
スタジオ一発録りで、一切オーバーダブなしだそうで、一層、一触即発の臨場感を醸し出している。マクフィーのシンプルなアレンジも新鮮で、曲のノリを引き立たす。

映画などで見るブルースフェスの観客のように、手を大きくクラップしながら、ヘッドバンキングしてしまうようなブルース・ロックが詰まっている。ブルースへのアツい思いが全面に打ち出された英国ブルース・ロック史に残る名盤だろう。
もっと注目されてもいいのに…。



『JAMAICAN ROCKSTEADY PARTY』

d45030b7.jpgレコ屋の棚のレゲエのコーナー。
棚のスミの方に置いてある「コンピレーション」は見逃せない。どうせダンスホールの駄盤ばかりだろうな、と思っていても、間にこんなものが挟まっていたりするから。

Various Artists
『JAMAICAN ROCKSTEADY PARTY』

たしか900円くらいだったから、廉価盤の価格帯である。
まずジャケットがよろしい。このレトロな感じ。ロックステディ集なんだけど、イラストで踊ってるのはスカ(?)、なんて細かいことはいいじゃないか。
曲目は下の通りなんだけど、シブいでしょ!?
有名どころはワザと外して、ちょっとマイナー気味な趣味のいいロックステディでまとめている印象だ。

ワタクシ的になんとも嬉しいのが、まずThe Sealmatesの『Socking Good Time』だなぁ。同名を冠したTROJANのレア・トラック集で前から知ってはいたが、あらためてイイ曲だ。一生懸命に高音で張り切るコーラスと、今ひとつチカラの抜けたリードが絶妙の味を出している。そういう意味ではEwan & Denverの『I Want You So Bad』や、Vic Taylorの『Heartaches』の大味さにもグッとくる。ロックステディの魅力のひとつは繊細な胸キュンさと、この大味さが同居してるところなんだよな。聴いてるとなんだか気持ちが大きくなって和んでくる。

締めの大トリがVal Bennettの小粋なホーン・インストナンバー『Soul Survivor』っていうのもいいなぁ。良かった映画のエンドロールを余韻を味わいながら眺めているかのような演出だ。

廉価でもこういう良質なコンピ、大歓迎だね。

1. Ken Lazarus feat. Dragonaires - SOUL SKA PTS. 1 & 2
2. Glen Adams - RUN COME DANCE
3. The Sealmates - SOCKING GOOD TIME
4. Royals - WE ARE IN THE MOOD
5. Creations - GET ON UP
6. Pat Perrin - I’M OVER YOU
7. Glen Brown - SKA DIAP
8. Alton Ellis feat. Flames - SOME TALK (ENGLISH TALK)
9. Techniques - OH BABE (SICK AND TIRED)
10. Lester Sterling feat. Dragonaires - PAPA LICK
11. Sensations - RIGHT ON TIME
12. Clancy Eccles - REVENGE, THE
13. Errol Dunkley - FEEL GOOD
14. Lloyd & the Groovers - DO IT TO ME BABY
15. Maytals - LOVE IS A SPECIAL FEELING
16. Ewan & Denver - I WANT YOU SO BAD
17. Lloyd ‘Charmers’ Terrell - LOST WITHOUT YOU
18. Neremiah Reid - GIVE ME THAT LOVE
19. Vic Taylor - HEARTACHES
20. Val Bennett - SOUL SURVIVOR



「NO DIRECTION HOME」

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しかし、・・・すごい。
これが二十歳そこそこの「ひとりの青年」がなせる業だろうか、と感嘆する。

Bob Dylan
『NO DIRECTION HOME』

この頃から、個人的な方向へと向かうディランだが、周りは相変わらず彼に社会的なプロテストソングを求め続ける。「やりたいことを、やるだけだ」と、エレキを持ってステージに出て保守的なフォークファンから大ブーイングを浴び続けるディラン。ストレスと話は沸騰点に上り詰める。

映像はクライマックスの66年5月、英国ツアー。
会場は満員だが、相変わらずの大ブーイング。会場から「ユダ!」と罵声を浴びる。ディランは「お前の言うことなんかデタラメだ。この嘘つきめ!」と怒りをあらわにし、
「Play it FUCKING LOUD!」
と、バンドに指示、『A Rolling Stone』が始まる。傍若無人に、何か虚空を見つめて歌うディランの鬼気迫る顔。この沸騰点の瞬間のためにこの映画はある。

一人の青年が背負うにしては大きすぎる期待と負荷の中で、自分の信じる道を突き進んだ強さに感嘆せざるを得ない。

映画エンディングの「Like A Rolling Stone」


ミネソタから、「ビッグになりたい」と出てきたニューヨークで精一杯に我を張るディラン。その歌は時代に、社会に痛烈に突き刺さるメッセージソングとして熱烈な支持を得て、ディランの快進撃は続く。しかし、トピカルソングを歌うフォークの新星として、何かにつけて時代のオピニオンリーダーのごとくまつりあげられる窮屈さにディラン自身、相当なストレスを感じ始める。

雪とレゲエには弱い

アクエリアス・ロック「雪に慣れていない。」
というのが実感だ。
これはワタクシもであるし、この地方まるごと。

Augustus Pablo
『Snowball And Pudding』

名古屋市内では、木曜日に15センチの積雪となった。メートル単位で雪が降る豪雪地帯の人々から見れば、「たった15センチ」だろう。でも道でコケるわ、電車は遅れるわ、バスは来ないどころか運休になるわ、の混乱。

寒空にバスを待ちながら、iPodをクルクル回して【Snow】のつく曲を検索して片っ端から聴いてみた。ロックには相当な曲があるもんだな。それに当たり前ながらバラード調が多い。「レゲエはあるかいな?」と待ってたら、このパブロの曲と、アップセッターズの『Snow White』くらいしか見つからず。ジャマイカに雪なんて、そりゃそうだわなと妙に納得したりする。う〜、芯から冷えてくる。もう一時間近くバスは来ない…。

しかし、この2曲どちらもイイんだな。これが。今まで聞き流していた曲が急に特別なものになるから不思議だ。どことなく異国情緒漂うような感じなのが面白くもあり、ジャマイカでは逆に雪でもエキゾチック?なんて寒空に思う。
ふーっ、寒っ。



レゲエを作り上げたサックス・プレイヤー

c09251e3.jpg見たまんまで申し訳ないが…。
ハワイアンのCDではない。はたまた、東南アジアの民族音楽でもないし、インドのポップスでもない。
この人こそ、レゲエ/ジャマイカン・ミュージックの王道のひとり、ローランド・アルフォンソ(当たり前か)。そのベスト盤である。

Rolando Alphonso
『BEST OF ROLANDO ALPHONSO』

スーパーソニックスの演奏を聴いてると、そのクールさに「あぁ、やっぱり、トミー・マクックのがいいなぁ。」なんてその時は思ったりもするんだけど、ちょっと経ってソウルブラザーズ他のローランド・アルフォンソの「リズムに♪バッピン、バッピン♪」と弾むようでいて、かつメロウなソロを聴くと、「やっぱ、アルフォンソだ!」なんて、すぐに寝返ってしまうのである。げんきんなもので。
やはりこの二人は好みの問題はあるのかも知れないが、甲乙つけがたいレゲエを作り上げてきたメイン・サックス・プレイヤーだ。結論としては、両方ともイイのだ。

上手いね、リズムへのメロディーの乗せ方が。『Ska Bostello』なんか聴いてると、よくもまぁあんな性急なスカのリズムに、あれだけの流麗で気品溢れるメロディーをのせられるなぁと感心することしかり。『Stranger On The Shore』にしてもそう。流れるようなバックのオルガンとホーンの組み合わせがキマリ過ぎ。

『Higher Sight』も「いい曲にいい演奏」が揃っている。タイトルがどういう意味か正確にはわからないが、この空高く周遊して街中を空から俯瞰しているようなロング・トーンを活かしたソロ。空行く鳥の群れの先頭にたって気ままに周遊しているような感じがたまんないね。まさに気分は『Higher Sight』。

惜しむらくは、時代は少し遡るんだけど、ローランド・アルフォンソ名義(になっていることも多い)、『From Russia With Love(ロシアより愛をこめて)』が入ってれば最高なんだけどな。楽器のアンサンブルの絶妙なズレが深い哀愁を呼ぶ最高の名演だと思っている。



(『ロシアより愛をこめて』 これは入ってないんだけど・・・。最高!)

やっぱりマックは、ブルース期。

906dab58.jpg私にとっての【フリートウッド・マック】といえば、なんといっても60年代後半のピーター・グリーンがいた頃のブルース期のマックである。

Fleetwood Mac
『GREATEST HITS』

洗練されたスマートな音づくりと、スティーヴィー・ニックスの妖艶さが売りになっていく、(有名な方の)マックもいいのだが、あれは「別のバンド」だと思っている。
…5年ほど前だろうか。ブルース期のフリートウッド・マックに相当入れ込んでいた時期がある。今でも変わらず好きなんだけど、その頃はマックと名が付きゃあ、それこそ何でも買い集めていた。
ブルース期のマックは66〜69年頃の2、3年だから、レゲエ/ジャマイカン・ミュージックに例えると、時期・期間ともロックステディのそれに極めて近い。他のジャンルの音楽の興隆と合わせて考えると60年代後半っていうのは、音楽的には本当に群雄割拠で実りの多い時期だったんだなぁ。

たった2、3年の時期だからとタカをくくってブルース・マックを集め出して、大変な深い穴に潜り込んでしまった。短い期間ながら、スタジオ録音、セッション・ジャム録音、ライブ録音がやたらと多いのだ。セットものだけでも、【BLUE HORIZON】レーベルのコンプリート・ボックスをはじめとして、ライブ・アンソロジーなど、持ってるだけで4つ以上もあるという状態である。

さて、この『GREATEST HITS』。ピーター・グリーン時代はベスト編集盤も幾種類か出ている。第一、グレイテスト・ヒッツと銘打つほど「ヒット」があるのかは疑問ではあるが、まぁいいではないか。14曲と割とコンパクトに一枚にまとめられている。ジャケットのステージ写真もライブ感覚でいいのだが、ちょっと暗めなのが惜しい。
真の(?)ヒット曲、『Need Your Love(So Bad)』、『Black Magic Woman』、『Albatross』あたりはお約束でキチンと入っているので、あとは何が入っているかは編者と聴き手の好みだろう。本盤ではエディ・ボイドとのシカゴ・ブルース・セッションをサブメインに据えているのが特徴である。これは「ひたすら渋い」。弾かない、叩かない、歌わない「間」の美しさを感じさせるセッションだ。

しかしまあ、ピーター・グリーンとジェレミー・スペンサーの好対照さは、いつ聴いても面白いね。『Need Your Love(So Bad)』などでピーターがいくらシブくキメても、次にはジェレミーのお得意・お決まりのエルモア・ジェームスばり三連打のスライド祭りに盛り上がってしまうのには、いつも笑わされる。「いいんだよ、ジェレミー。好きにやんなよ。」って、ピーターの気持ちになったりもする。

年を調べてみると、この時、ピーターはやっと二十歳を越えたくらい、ジェレミーに至っては二十歳前なんだよね。心酔したブルース演らせたら一途に、一晩中になっちゃったんだろうね。



ヘプトーンズ 『COOL RASTA』

43e63870.jpg「ヘプトーンズはレゲエの鏡だ。」
そう言い切ってしまいたいほど彼らの曲には、おおよそ私がレゲエに求める全てのものが、いつも詰まっている。

The Heptones
『COOL RASTA』

どんなにゴツゴツした演奏や、ずっしりとしたリズムの曲でも、ヘプトーンズの歌とコーラスが入ると、たちまちにマジックをかけられたようなヴェールとグルーヴをまとう。

これはルーツ期の彼らの傑作。
まずタイトル・ナンバー『Cool Rasta』が秀逸である。重たくひきずり、忍び寄るようなヘヴィーなリズムの上を、切なくも美しいスウィート・コーラスが絡む逸品だ。

一曲目に比べて、幾分ポップな色合いでアルバムは進むが、歌っている内容は至ってシリアスだ。日々の生活の悲惨さを歌う『Suffering So』など、リロイ・シブルズの哀愁に満ちた切ないリードと、美しいコーラスが中空で漂うような印象的なナンバーだ。

プロデュースはHarry Jが担っている。彼らの代表作のひとつである『NIGHT FOOD』でも素晴らしい手腕を見せたプロデュースだが、ここでは彼の特徴であるストリングスの使用によるソフトな仕上がりよりも、ヘプトーンズの生々しい魅力を引き出すような演出に力を注いでいる。リズムやホーン・アレンジとコーラスの掛け合いも見事というほかなく、『Over And Over』などでリズム・ホーン・コーラスが三位一体となった絶妙さをみせる。『Autalene』のホーンの絡み方なんて小粋。

ヘヴィーなルーツ・サウンドと、ハートウォーミンなメロディー&ハーモニーにうっとり感心・感激のルーツ・レゲエ名盤!
「いやぁ、これだからレゲエ。辞められまへんな。」



サントラ 『真夏の夜のジャズ』

32895d47.jpg邦題『真夏の夜のジャズ』として名高い、ジャズ・フェスの記録映画のサントラ盤である。「あ、そう」という人もいれば、「へぇーっ、そんなの出てたの?」と意外に思う人もあるだろう。

Original Soundtrack
『JAZZ ON A SUMMER'S DAY』

というのも、この映画のサントラ、高名なジャズ映画でありながら長い間にわたり日本盤が発売されず、映画から40年以上経った2001年に、やっとCDにて発売になったものだからである。

『真夏の夜のジャズ』を初めて見たのは、大学生の頃だった。当時、家庭用として出回り始めたばかりのVHSテープにダビングしたものだった。「家で好きな音楽映像が見れる」なんて、今じゃ考えられない感慨を抱きながら見た覚えがある。
58年のニューポート・ジャズ・フェスのドキュメンタリー映画であるが、次々に登場してくるアーティストの豪華なラインナップにワクワクしたし、第一、動くジャズ・プレイヤーを見るのは、それが初めてだったような気がする。当時は情報が圧倒的に少なかったのだ。

ジミー・ジュフリー3の『Train And The River』の演奏と、それを切り取るが如く定点に徹したカメラ・ワーク。よくジミー・ジュフリーはスイングしないって言われるけど、この水面が揺れるのに合わせたような内なるスウィングには心掻き立てられる思いだ。そしてアニタ・オディの全盛期の美しさと、バック・ミュージシャンをおどけて試すかのような圧倒的な技量、チコ・ハミルトン5の神秘さと真剣さ。そして『All Of Me』でのダイナ・ワシントンの見事な歌いっぷりに、サッチモのハート・ウォーミングなステージ。何もかもが「素晴らしい」の連続で、この映画がきっかけとなって好きになったミュージシャンも多い。

中でも一番見入ってしまったのは、ジェリー・マリガン4。アート・ファーマーをフィーチャーしたお馴染みピアノレス4だが、これがカッコいいのなんの。『As Catch Can』でのスリリングな構成美、大きなバリトン・サックスを左右上下に降ってのダイナミックなスイング。でも忘れないクールさ。この映像一発で、その後かなりマリガン、ひいてはウェスト・コースト・ジャズに入れ込むことになってしまった、罪つくりな映像だ。

カメラ・ワーク、フェス周辺の景色、ステージを「自己流」で楽しむ人々…。すべてが新鮮だった。アイスクリームを食べながらジャズのステージを見るという自由奔放さにも驚いたものだ。
かなりの時を経て出されたこのサントラCDのレビューでは、「工夫がない、未発表が少ない」などと批判的なレビューも目にしたが、あの映画の世界の音が忠実にCDという形で再現されているだけで、私は大満足なのである。





『RAUNCHY REGGAE』

3c5eb621.jpg【raunchy:だらしのない、好色な、下品な】と辞書にある。
早く言やぁ、『エロレゲエ』である。Jahへの賛歌、ゲットー生活の苦しみや、権力者に対する抵抗もレゲエならば、『エロレゲエ』も生活に密着した外せない一大テーマである。

Various Artists
『RAUNCHY REGGAE』

この分野ではMax Romeoの『Wet Dream』が一番有名だろう。69年になんとUKトップ10入りしてしまった。本人は「夜毎、寝るときに天井から雨漏りがするので…」と弁解したらしいが、歌詞を聴けば一目、いや一耳瞭然。この廉価盤にも、もちろん『Wet Dream』は外せるわけもなく、ちゃんと入ってる。

昨日から通勤バスでコレを聴いてきたが、各曲とも、なまめかしい声入りでヘッドホンから音が漏れたりしていないかと気が気でなかったくらいである。

音楽そのものはアーリーレゲエや『TIGHEN UP』シリーズに入ってそうなスエードヘッド期の名トラックも多くて十分楽しめる。
しかし、こんなことにも顔を赤らめてしまう純なワタクシ…であることよ。

CHRISTINE PERFECT

47d790bf.jpg再発されたCDの帯には当時のまま、こうある。
「1969年度メロディメーカー誌人気投票第一位!。元チッキン・シャックのオルガン担当、クリスチンのデビュー作。」

Christine Perfect
『CHRISTINE PERFECT』

当然ながら、ここには「あのフリートウッド・マックの」という記述はない。またチッキン、クリスチン、「オルガン担当」というのも今となっては40年という年月を感じさせる。

名盤の誉れに誘われて買ったものの、正直いうと最初に聴いたときはピンと来なかった。しかし、聴き重ねるうちに…、というのは、よくある話。こういうアルバムほど愛着深くなるもの。

チキンシャック時代のヒット『I'D RATHER GO BLIND』も収められており、この曲はやはり胸を打つ。「あなたが私から去っていくのを見るよりは、何も見えなくなった方がいい」。カバーでありながら彼女のために書かれた歌のようにせつなく響く。

オリジナルも5曲収録されており、どれも粒ぞろいで味わい深い。12のショートストーリーはまたたくまに過ぎていく。この、一聴すると淡々とした声も、歌詞を合わせて聴くと、実に微妙な陰影や喜びが感じられていいんだなあ。深い。
半ば休業だった時期にも関わらず、アルバムを残してくれていたマイクヴァーノンさん。感謝することしきり。

プロフィール
nao
3人の子持ち(写真)。
家族に煙たがれつつも暇さえあればレゲエ・スカ・ダブに明け暮れる毎日。趣味は百均調査、電機屋のチラシ比べ、XPの再インストール、回転すし批評、ヤマダ来店ポイント、ないものねだり、意味のない数字覚え、知ったかぶり。
 ☆ ☆ ☆
このブログで紹介させていただくアルバムは「すべてCD化」されたもので、現時点入手しやすいCDばかりです。
 ☆ ☆ ☆
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