良いか、悪いかではなく、
こういうこともあるということで。
金融関係の会社員時代のお話です。
毎月、口座から引き落としされていたお客さま。
あるとき、引き落としができませんでした。
お知らせの電話をしたところ、
暗い声ですが、
ご送金のお約束をいただきました。
ところが、ご送金はされず、
以降、電話には全然出られません。
留守電に入れても、反応は全くなし。
お仕事やご家庭の状況から見ても、
電話には気づいているハズなのですが。
結局、ご送金はなく、
翌月の引き落としもできませんでした。
そして、連絡が取れぬまま、
翌々月も…。
数ヶ月後、会社に届く破産通知…
さて、質問です。
あなたはこの方、どんな方だと思いますか?
いい加減?ルーズ?
「まったくもう、居留守ばかりでひどーい」
中にはそういう同僚もいました。
ですが、実際には、
とてもまじめな、ごく普通の方ばかりなのです。
いえ、会社でも、プライベートでも、
まじめで誠実な人として通っている方です。
約束を守ることを、とても大切だととらえ、
「破る」なんてことは、やってはいけないこと、
そう強く思っていらっしゃるようなのです。
そういう方が、種々の事情(病気その他)で、
約束の日に、支払いができないと、
強い罪悪感を感じます。
引き落としができなかっただけでも、
いけないことなのに、電話で約束した日にも、
支払えないとなると…
約束はしない方がいい、
つまり、
電話そのものに出ない方がいい。
というお気持ちになるみたいです。
そして、まじめゆえ、
「支払いをせねば」という強い思いから、
他で借り入れをし、お支払いをされる方もありました。
その繰り返しから、多重債務へと。
会社側としては、
状況が変わった方に対して、楽にお支払いができるよう
ご相談に乗りたいので、
「電話に出てくれたら、
相談してくれたら」
と思うのですが。
こわいイメージがあるのかもしれませんね。
「まじめだったら、電話に出てもいいじゃない」
そういう考え方もあるでしょうが、
その人にとっては「できない約束をする」方が、
こわかったのでしょうね。
特にストレス下では、
いくつもの考え方を検討することは、
難しくなりますから。
この経験から、
人の行動を、自分の考え方だけで、
判断することは危険だと学びました。
人の行動に対して、
「もうひど〜い」と批判的な気分になったら、
もう一度、逆を考えることにしています。
今度は、肯定的に、できるだけ肯定的に。
そして。
今のところ、
肯定的に考える方が、
その方の本当の気持ちであることが多いようです。
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