2010年12月

2010年12月30日

渋谷大勝軒或はつけ麺の真相

TAISYO
つけ麺。何度か食べたものの、一度たりとも美味いと思った事がない。
ボクの場合、食べ物なんて不味くてもいいんです。
なんというか味の整合性みたいなものが感じられれば安心するというか、しっくりくるというか。
たとえば、沖縄料理が大好きなんですが、沖縄料理に度を超した美味しさなんて求めてないんです。正確な調理よりテーゲーなところに安心感と心地よさを感じてそんな感じを「美味しい」と言ったりしてます。

つけ麺て、ボクにとっては出所不明の迷子料理なのです。
熱い汁に冷たい麺をつけて、汁と麺の味を台無しにしたり、
異常に濃い味付けの汁になぜか妙な酸味があったり、
汁には具が多すぎて、麺をつける余地がなかったり、
いろいろ工夫して出汁をとってる風なのに、魚粉で全ての風味を台無しにしていたり。
要は、何がしたいのか、何を食べさせたいのかサッパリ分からんと。

つけ麺の元祖と言われる池袋の大勝軒にわざわざ足を運ぶほど、ラーメンを愛しているわけではないので、ボクにとっては「つけ麺=ダメ料理」で帰結して何の問題もなかったんですが、渋谷にその大勝軒の名を継ぐ店ができてて、しかも小腹が空いた妙な時間帯にお店の前を通ったので、ちょっと寄って見たんです。

目から鱗が落ちたとはこんなことでしょうね。
つけ麺のフレームワークみたいなものを感じ取れる体験ができたことはトテモ良かったです。

まず驚いた事は、汁を作る行程の一番始め、空のドンブリに、砂糖と、お酢を放り込んだ事です。この時代に何とも恐ろしい光景!
それに出汁やらを入れて完成させるこの店のつけ汁は、お世辞にも美味しいとは言いがたい妙ちきりんな味。今流行のつけ麺店の汁と比べると驚くほど薄味です。
麺の方もなんかもっちゃりしてて、皿の底の方にはちょっとゆで汁が残っている様な中途半端な仕上がり。
でも食べて見るとあら不思議。なんか味が成立してる。
ただしその味はドコまで行ってもマサにジャンクフード!!

そうそう。これこれ。こういうコト!
昔ラーメンなんて大衆食には贅沢な材料を使ってたハズがないんです。
それでも味を成り立たせるために、料理人はいろんなコトを試してベストなバランスを探していたはずです。安い材料でもバランスを整える事で味を成立させる。これはかなり高等なテクニックです。
砂糖とお酢で味の輪郭をつくるつけ汁は、ラーメンのスープにはなり得ないけれど、ゆでてさました麺をつけて食べるには最適で、酸味のおかげか汁が冷めてしまってもさほど気にならないし、むしろアツアツである必要がない感じ。また、麺をタクサン食べるのにはかなり良いアイディア。ん〜なるほど。
チープな材料でお腹を膨らますためのアイディアに満ちている!

ただしこれはあくまでもジャンクフードの傑作。
美味しくないけど止められない類いの料理です。
しかも50年前の発明。

ココから派生して今全盛のつけ麺たちがドコをどう間違ったのか、ホントによくわかりました。元祖ってやっぱスゴいよね。
酸味だけは義理堅く受け継いでるヤツラとかもう噴飯モノです。

で、このお店にまた行くかと訊かれれば、答えはNOです。
ジャンクの割に価格が高過ぎ。これで一杯500円以下なら何度でも通うかもね。