皆様こんにちは、Bridge Note (Thailand) Co.,Ltd. の片瀬です。昨年末にインドネシアの移転価格税制が改正となり、現在インドネシアにおいて移転価格文書の作成を5件ほど行っています。特にインドネシアは文書作成の猶予期間を定めずにいきなりの文書保存義務でしたので、インドネシア現地はとても混乱しました(情報も錯綜していましたので・・・)。私はその他の国での文書化対応の経験がありましたので、「どのような企業が対象となるか」、「作成する必要があるか」など多くの企業様に海外の移転価格税制の実態をお話させていただいておりました。漸くインドネシア現地も混乱はなくなってきたように思います。

 

最近では、(インドネシアでの改正を受けてかは分かりませんが、)タイにおいても移転価格税制のお話をいただくことが多くなっています。そのため、この度630日(金)にタイにおいて“移転価格セミナー”を開催いたします。ご興味がある方がいらっしゃいましたら是非ご連絡ください。

【移転価格セミナー案内】
<日時・場所>
 2017630日(金) 1400-1600(受付:13:30~)
 PERSONNEL CONSULTANT MANPOWER (THAILAND) CO., LTD. セミナールーム(INTERCHANGE  21 BLDG,.
<内容>

第一部

BEPSプロジェクトと三層構造のドキュメンテーション

OECDBEPSプロジェクト

■三層構造によるドキュメンテーション

■独立企業間価格とは

第二部

タイの移転価格税制

■タイの移転価格税制の現状

■今後の移転価格税制の改正及び注意すべき事項

■具体的なドキュメンテーションの内容
<料金>

参加無料(定員:20名)
<主催>

Bridge Note (Thailand) Co., Ltd.(講師:片瀬 陽平)
<お問合せ>

info@bridgenote.asia

tel:+66-2-0767006

 

タイにおいては2018年にも移転価格税制の改正があるとされています。当該改正によりインドネシアのように待ったなしの文書保存となる場合もありますので、そのような場合においても慌てないように事前の準備をしっかりと行っていただければと思います。

 

さて、今日はそんな移転価格税制に定める第三者価格“独立企業間価格”と一般的な“時価”との違いについてお話いたします。

 

資本関係のないA社とB社が製品の売買取引を行いました。当該製品の価格は“時価”で行われているでしょうか?という問いからこの問題をひも解いてみます。市場価格があるようなモノ(金・銀・小麦など)に関しては時価の算定は簡単ですが、それ以外の企業間取引(商品や製品)の時価については明確な定義がなされていません。

日本の法人税法の中で時価の概念に近い表現が書かれた規定は“寄附金”の規定ですが、「・・・金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額」とだけ書かれており、その価額が具体的にいくらなのかは分かりません。金融商品取引法の中には、時価=公正な評価額と記載されていますが、何をもって公正であるかとは書かれていませんので、こちらも時価が具体的にいくらなのかは分かりません。

また、国際会計基準における公正価値は、「取引の知識がある自発的な当事者の間で、独立第三者間取引条件で、資産が交換され、若しくは負債が決済される金額」と記載されています。公正な評価額とだけ記載されるよりも大分踏み込んで記載されており、国際会計基準における時価は“(資本関係のない)第三者との取引価格”であることが分かります。

移転価格税制における“独立企業間価格”は、「資本関係のない第三者間の取引条件で行われた取引価格」であるので、移転価格税制に定める第三者価格とは“(国際会計基準の)時価”の考え方に実は非常に近いものなのです。

 

独立企業間価格と時価は理論的には非常に近しいものだと分かりましたが・・・、実態はどうなのでしょうか。実際の親会社と子会社の取引において、理論的には独立企業間価格という時価(に近い価額)で評価することが求められていたとしても、実務上はこれがうまくいかない(算出できない)ことも多いです。理由は大きく2つ。

 

【時価で評価が難しい理由】

①比較対象取引がない

②ビジネスが先行している

 

そのため移転価格文書上の価格は(強いて言えば“独立企業間価格”の意味は)、「時価」ではなく「独立企業間の適正な利益配分」とされることが多いのです。難しいので少し補足すると、「A社が製造してB社に販売している製品αは、汎用製品ではなく比較対象となる取引・企業がない」、又は、「A社は既にビジネスを行っているため、移転価格文書は後付けで価格に正当性を持たせるためのものでしかない」などの問題があり、ピンポイントの価格が時価と言えないことも多いのです。比較可能な時価が豊富にあり、会社設立当初から時価を意識して値付けしていれば良いのですが、そんなことは基本的にはありえません。

 

そのためにレポートの結論は、「時価で取引されている」ではなく、「利益移転の事実はない、適正な利益配分の範囲内」というような作りとなります。そもそも取引単位営業利益法などでの評価は時価評価とは言えないですし、損益の切出しにて何かと理由をつけて利益率の低い取引(赤字の取引)を含めないことなんかもあります(独立起業レンジの中に自社の利益率をもっていきたいので)。

大切なことは自社のビジネスを尊重しながら、タイの移転価格税制(又は国際基準)に則った移転価格文書を作成することにあります。

 

つらつらと書きましたが、何が言いたかったのかというと、移転価格のドキュメントは「当社はこの価格(時価)で取引しています」という適正価格の証明ではなく、「当社には利益移転の事実はありません」という適正な所得配分の証明であるために理論的な思考によるレポーティングが可能なのです。画一的な価格ではなく、解釈の範囲があるものですので、税務当局においても当該レポートよりも高度な(高度と考えられる)理論武装をして移転価格調査に入ってきます。

海外においては移転価格文書をしっかりと作っているということが調査の抑止力にもなりますので、まずは文書を作成し、毎年の更新においてコンサルと相談しながらより堅牢な理論構築を行ってもらえればと思います。

 ※ちなみに上記の「
資本関係のないA社とB社が製品の売買取引を行いました。当該製品の価格は“時価”で行われているでしょうか?」の私なりの答えは、「(多くの場合)比較対象がないため時価と言い切ることは難しい。比較対象があればもちろん時価。」です。

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