昨年草案について書いた外国人事業法の改正(関連会社間の貸付、コンサル等)について、6月13日に官報掲載・発効となりました。草案からの変更点もありますので、情報を更新します。あくまでも関連会社間へのコンサルティング等を行う場合が対象であり、第3者への提供の場合は対象外ですので注意が必要です。これまで規制のために事業活動に制約があった場合、活用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

タイは国内企業の競争力維持と保護を目的として外国人事業法を制定しています。一定の業種では、企業の外国資本の比率に上限を設けています。販売業やサービス業はこれに該当するため、BOIや外国人事業許可を取得している場合や一定額以上の資本金設定をしている場合などを除いて、タイ資本51%以上とすることが必要求められています。外国人事業法の違反には、3年以下の懲役または10万~100万バーツの罰金のいずれか、もしくは両方の罰則があります。

 

現在の外国人事業法は1999年に制定され、第1種から第3種に区分され、通常日系企業が営むことが多い販売業やサービス業は第3種に規定されています。第3種は全21業種が規定されていますが、第3(21)にサービス業全般が規定されています。

 

この第3種(21)サービス業全般のうち、

(a) 国内貸付

(b) 建物・オフィス貸借

(c) 経営、マーケティング、人員管理、情報技術等にかかる相談業務.

に限り外国人事業許可証を取得せずに関係会社に行うことが出来ることとなりました。

ただし、貸付は草案では国内の限定はありませんでしたが、国内に限られた表記があるため、海外の関連会社への貸付は対象となりません。

また、相談業務に会計が含まれていないため、草案と比較すると実施できる業務範囲が狭くなった印象です。

 

なお、関連会社の定義は以下の通りとなります。

1.A社がB社の50%超の株主である場合

2.A社の25%超の株主がB社の25%超の株主でもある場合(複数の株主が同一の場合も可)

3.A社の25%超の一株主がB社の登録資本金の25%超の株主である場合

4.A社の50%超の代表権を持つ取締役がB社の50%超の権限を持つ取締役である場合(複数の取締役が同一である場合も可)

 

例えば、これまで地域統括会社の設立を計画していたがBOI申請が通らなかったケース、BOIITCで関連会社へのコミッション計上が出来ないケース、関連会社への貸付をするのに外国人事業許可を申請したが通らなかったケース、などでは法改正の内容を活用して新たな事業展開をすることもできるかと考えられます。ただし、100%外国資本の別会社を登記する場合には、会社の登記、維持・管理にかかるコストが発生しますので、収益・費用の計画を立てて検討をする必要があります。

 

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