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大学3年生の頃、たまたま帰省した時に海釣りに行った実家近くのT港はとても雰囲気のある港でした。
太平洋とは違ってのんびりとした日本海。
潮の満ち引きも少ない。
同じ海でも全く別物の海です。

その港を中心にサビキでアジや投げでキスなどを狙いました。
アジは豆アジばかりで、キスも4~5匹釣れれば釣れたという感覚。
こういう少しばかりの釣果に対する喜びの感覚はいつの間に退化してしまったのでしょうか(笑)

ある日、T港でのんびり釣りをしていたら、ボート釣りから帰ってくる人がクーラーボックスを見せてくれました。
その頃は、そのクーラーボックスに何が入っていたのか記憶は定かではありませんが、明らかに大きめの魚が入っていたと思います。
記憶をたどるとおそらく大エソ。

その港で貸しボートをしている、Yさんにボート釣りについて聞いてみたところ・・・
「ボートで少し沖に出たら必ず釣れるよ」と自信満々のお答え。
船酔いしやすい体質なので、ボートはちょっと厳しいなあと思いつつ、「必ず釣れるよ」というYさんの言葉がなかなか頭から離れません。
貸しボート代は3,000円と学生にはちょっと厳しい出費になりますが、思い切って後日ボート釣りに挑戦することにしました。
(ただ、親の金と言えば親の金だから痛くなかったのかもしれない)


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確か、初のボート釣りは10月の終わりでした。
しかし、少し海がシケていて、Yさんいわく「湾内近場で釣った方がいいよ」とのアドバイス。

よくボート釣りが解らないので、エサも青イソメやエビ、コマセなど購入して臨みます。
タックルも柔らかいルアーロッドだったと思います。

ただでさえ、まともにボートも漕げないのに、うねりもあって目的地に着こうにも四苦八苦。
そして、筏にボートをくくりつけようとロープワークしていたら物凄い吐き気に襲われます。
とりあえず、海に撒き餌して、もうヘトヘト。
早速、初のボート釣りで厳しい洗礼を受けます。

気を取り直し、まずは、筏係留のかかり釣りでキスなどを狙ってみます。
ベラがよく釣れますがキスも少し混じります。

今なら決してしないのですが、胴付きにエビや青イソメをつけてぶら下げます。
胴付きにはカイワリが来ました。
見たこともない魚にとにかく感動します。

次に、サビキで小ましなアジが続きます。
港では考えられないアジのサイズでこれもまた感動。

そんな感動も打ち消すかのようにお腹の内容物をさらに出し尽くします。
普通だったら根負けして岸に戻るのですが、少し今までと違うボート釣りの感覚に魅了されて岸に戻れません。

ほとんど胆汁しか入っていない撒き餌が効いたのか、
ボート釣りも終わろうとする頃、サビキに物凄い引きが。
さて、この引きは一体何だったのか?


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ちょうどツバスが回遊してきたみたいでサビキにかかったようです。
しかも、その頃は何の知識もなく、めっちゃ太いハリスのサビキを使っていたので、ツバスを無事釣り上げることが出来ました。
しかも、もう1匹釣り上げて心臓がバクバク。
ツバスは30cmくらいでしたが、らくだにとっては完全に大物。
船酔いは決して最後まで消えることはありませんでしたが、ボート釣りの魅力にどっぷりはまって、1回目のボート釣りで、その魅力から完全に抜け出せなくなってしましました。

ボート釣り1回目にして、このハマり具合。
結局、この経験が、私らくだをボート釣りフリークにさせる原因になってしまいしました。

その後も、大学を卒業するまでに、この湾内で数回ボート釣りをしたのを記憶しています。
小物釣り中心ですが、変化に富んだ湾内でジタバタと色々な仕掛けで釣りを楽しみました。
この頃は、釣り糸を垂らしているだけで満足していたと思います。
最大の弱点だった船酔いも徐々に克服。
今では、うねりがない限り船酔いしません(笑)


ここ最近、すっかりこの湾でボートを出すことが少なくなってしまいましたが・・・
ボート釣りの楽しさを養ってくれた、この湾は今でもボート釣りの聖地だと思っています。


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当時、ネットなども無く、ボート釣りの情報がとても乏しかったので、
いつも貸しボート屋さんのYさんに、ボート釣りのことについて聞きました。
漁師でもあるYさんが言うには、「沖に出たからと言って魚が釣れる訳ではない」。
「近場の岬の先端くらいで釣っている方が確実に沢山釣れる」といつもお約束のように言っていました。
「最近はすっかり魚が少なくなった」と嘆いてもいました。


ボート釣りの先生として慕っていたYさんですが・・・
数年前、その港でYさんのことをお聞きしたら、既にお亡くなりになられたようです。
とても残念ですが、当時から20年ほど時間が経過してしまいました。
自分も含めて、そりゃ歳をとるってことです。


近くにボート釣りが出来る港があったこと、
初めてのボート釣りで、今まで経験のしたことのない釣果を出してしまったこと、
親切にボート釣りを教えてくれたYさんがいたこと。


偶然、色々な条件が揃ったおかげで、大人になってもボート釣りを追いかける原動力になったのだと思います。


この後、大学を卒業し社会人になります。
社会人になってからは、それほど自由な時間はなくなりました。
もしボート釣りを経験せず社会人になっていたら、ボート釣りをする機会をなくしていたかもしれません。
思い切って、ボート釣りにチャレンジしたあの時の経験は、何事にも変えられない経験になったのは間違いない事実です。