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トロント100民族のヒーリング

カリスマ漢方医から魔女ヒーラー・・・エスニックトロントでみつけた心とからだの健康法、世界のヒーリング、スピリチュアルワールド、不思議グッズについてのジャーナル

スピリチュアル

20 May

55. 壁の中に埋めた靴 秘密のお守り

友人の妹パトリシアのアパートを訪ねたら、玄関のドア枠の上にこんなふうに靴が置いてありました。ドアを開けたとたん落ちてくるしかけのいたずらではありません。

shoes_above_door


これは、魔よけです。こうしておけば、悪いエネルギーや厄病がドアを通ろうとすると、靴がそれを吸いとってしまうというのです。家を建てるときや改築時に、ドアや窓の上あたりの壁の中、または暖炉の煙突に、履き古した靴を埋めるのが本来のやり方で、それは「隠し靴(concealed shoes)」と呼ばれ、イギリスでは何百年も前から行われていました。ドイツやフランスでも隠し靴をするところがあるそうですが、カナダのトロント一帯でも19世紀から20世紀半ばにかけて建てられた家の壁からときどき靴が出てきます。

「隠し靴」に使う靴は、ボロボロになるまで履き古したものほど効き目があり、特に子供の靴ほどパワーがあるとされています。トロントでも、築70年から100年ぐらいの家の壁を壊して工事をすると、ドアや窓の上の壁から靴が出てくることがあります。

わたしが以前住んでいた築78年の家の壁からも、汚れたスニーカーの片ほうが出てきたことがありました。トロントでは、古いけれどしっかりした家を買って自分たちの手で好きなスタイルに改装するというのは珍しいことではないので、業者でなくてその家の住人が隠し靴を発見することが多いのです。

わたしは最初、ボロボロで灰色っぽいかたまりが梁のところにあるのが目にはいり、ネズミの死骸かと思ってハシゴから落ちそうになりました。それが小さい靴だと分かったときには、こんどは、すごく不気味!と思いました。当時は隠し靴の話など知らなかったのです。壁の中の梁には、トマトジュースのにごったようなものが入ったボトル、鉛筆、木製の小さな模型飛行機などものっかっていた記憶がありますが、そのボロ靴も他の怪しいアイティムとともに捨ててしまいました。ほんとうは壁から隠し靴が出てきたら、また新しい壁のなかに戻しておいてあげるのがよいそうです。かなり古いものなら、民俗博物館などが喜んで引き取ってくれるかもしれません。

shoes


隠し靴をどこで誰が始めたのかはっきりわかっていませんが、英国ではずいぶん昔からやっていたようです。14世紀はじめに英国のバッキンガムシャー州に住んでいたジョン・ショーンという牧師が人々の病気を次々と治し、悪魔をブーツの中に閉じ込めたという話があり、それが起源かもしれないと言う学者もいます。でも、ショーン牧師の不思議な力の噂が広まり、そこから「靴は悪いものを封じ込める力がある」となっていったのか、もともと靴を厄除けや悪いエネルギー封じ込めに使う魔術や信仰があったのでショーン牧師がブーツを使ったのかは、不明だそうです。

最近のトロントでも、隠し靴のひみつを知っている人は、家の改装時に古い靴をひとつ埋めてみたりします。魔よけのためだけでなく、ちよっとタイムカプセルを埋めるような感覚でもあります。21世紀トロントの隠し靴は、昔のように形崩れするまで履き尽くした靴ではなくて、まだ古着屋で売れそうなコンバースやケネス・コール、ドクターマーチン、アニメキャラクターのついたカラフルな子ども靴など。ボロボロの子ども靴を探すのは、今のトロントではかえって難しそうです。パトリシアの場合はアパート住まいなので壁を破って埋めるわけにもいかず、気に入った靴を飾っておくのも変わったデコレーションでいいなと思ったから、ドア枠の上に置くことにしたそうです。

うちも当面は壁を剥がすこともなさそうなので、ドア枠の上に小さな子ども靴を載せてみました。なんだかかわいいオブジェを飾ったような気分で、ついそっちに目がいってしまいます。ぜんぜん隠し靴になってないですが・・・とりあえずグッドラックだけ、どーぞお入りください、ということで。

24 Apr

54. 地震の神さまのイースター

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やっと春の兆しを感じはじめたイースター(復活祭)の週末。いっせいに木々の緑が芽吹く日はもう明日かあさってか・・・といったところ。イエスキリストの死と復活を祭るクリスチャンでなくたって、生命や自然の“再生”を感じわくわくする季節です。

トロントにいると、カルチャーや教派ごとに、けっこう違った形でイースターが祝われるのをじっさいに見たり聞いたりすることができますが、今年はやはり、地震の神様をまつるイースターに想いが行きます。

数年前のこと、ケンジントンマーケットの近くに住むペルー人のヘスス アンヘロさんという知り合いがいました。(このおじいさんの名、英語読みだとジーザスエンジェル。「ヘーイ、ジーザス」とか「ちょっとはやくしてよジーザス」とかいう会話になるとなんか罰当たりな感じがしましたが・・・しょうがないですね)

このおじいさん宅の台所に、十字架に磔にされた黒い肌のキリスト像が赤い花で飾られ、お神輿のように街中にかつぎだされている写真が貼ってありました。それはペルーのクスコでイースターの週に行われる大イベントということで、どう見てもイエスキリストなのですが、その像は「地震の神様(タイタチャ・テンブロレス Taytacha Temblores)」と呼ばれていました。

インカで古くから信仰のあった地震の神さまが、磔にされたイエス・キリストの姿でクスコの守護神となっているのだそうです。1650年の大地震のときにイエスが十字架にかけられた油絵を教会から運びだしたとたん、激しい揺れがおさまったと伝えられており、その時に、「イエスさまは地震の神様に違いない」ということに。仮の姿というよりは“習合”、イエスさまでもあり地震の神様でもある、というほうが正しいのでしょうか。

このタイタチャ・テンブロレス像はクスコ大聖堂にまつられていますが、毎年、復活の日曜日にさきがけた月曜日に教会から運び出され、街の広場へ向かって行進します。大聖堂は昔はインカの神様に捧げた神殿だったところに建てられており、赤い花で像を飾るのも、アンデス地方の古代の習慣で司祭や指導者のミイラを飾ったのと同じようにしているそうです。像はもともとは、白い肌のイエスキリストでしたが、お祈りにきた人が灯すろうそくで、何百年もの間に黒く煤けたのだとか。

日本とおなじように環太平洋火山帯のうえにのっかったペルー。地震の怖さを身をもって知り、平和が続いても地震のことはぜったいに忘れることはありません。破壊と再生を繰り返してきたアンデスやインカの伝統を受け継ぐひとびとの守り神、それがタイタチャ・テンブロレスです。



kent_bosaizukin「緊急地震警戒速報の音
がこわいけどママが作った防災頭巾をかぶっていればちょっと安心」という東京にいるまだ3歳の甥のことを想い、日本の被災地の復活とみんなの元気復活を祈りつつ、「地震の神様」のポストカードをとりだしてみるイースターの朝でした。

1 Mar

52. インディゴフードでサードアイチャクラ(印堂)を活性化

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最近なぜか私のまわりで藍色の食品(インディゴフード)のセラピー効果がよく話題にのぼります。先週のレイキ講座のときにも受講生の方と、インディゴフードに属するハーブはラベンダーやローズマリーがあるけれど他には何があるかな・・・という話に。

先日、近所にある小さなマーケットに寄ったら、ブルーベリー、ブラックベリー、プラム、ぶどう、干しぶどう、プルーン、ブラックオリーブの瓶詰め、ビーツなどがひとつのコーナーにまとめられており、「インディゴフードは体にいい!」という手書きのポスターが貼ってありました。こじんまりとした店内だからやりやすいのでしょうが、野菜やフルーツなどの食品をカラーセラピーに基づいて分類し並べるのもトロントらしいなと思いました。


ここでいう「藍色の食べもの」とは、自然の色で、濃い赤紫色や黒に見えるぐらいの濃紺の食べ物のこと。

インディゴフードは、額の真ん中から眉の間あたりにある“サードアイチャクラ”と呼ばれるエネルギーセンターを強化し癒す食品とされます。(サードアイチャクラは、東洋医学の経絡の考え方では体前面の真ん中を縦に通る任脈上にある“印堂”のツボと一致します)

サードアイチャクラは藍色と関連付けられていますが、眠れないなどの睡眠障害、集中力不足、深いゆっくりとした呼吸ができないとき、甲状腺ホルモンが分泌しすぎる亢進症、不安定なホルモンバランス、発熱、口内の病気、眼精疲労、首・肩のあたりのバランス調整、気分のアップダウンが激しいときなどにサードアイチャクラの調整やエネルギーセラピーが行われます。

エネルギセラピーは、氣を調整したり、チャクラクリーニング、チャクラバランス、オーラなどのエネルギーフィールドに働きかける療法のことですが、北米ではエナジーメディシンとも呼びます。


さて、インディゴフードは他にどんなものがあるのか、アーユルヴェーダやカラーセラピーの本で調べてみると、黒豆、こんぶ、ダークチェリー、紫キャベツ、ラディッキョ(紫チコリ)、ビルベリー、バニラビーンズ、ハーブでは、ローズマリー、チャイブ、ラヴェンダーなど。


インディゴフードの多くは、栄養面から見てもとても体によさそうです。たとえばアントシアニンなどのポリフェノールがたくさん含まれるブルーベリーなどは目の健康維持によいとされるし、黒豆はビタミンA、B1、B8,カルシウム、鉄分、リンなど生活習慣病予防に貢献する栄養素がたっぷり。


スピリチュアルヒーリングでは、サードアイチャクラを調整すると、ネガティブな思考や抑制されていた感情が解放され、第六感や洞察力が発達するとされています。インディゴフードを摂る以外にも、星空を見つめたり、藍色切子のようなきれいな藍色を見たり思い浮かべて瞑想したりするのが、サードアイチャクラへのよい刺激に。

精油ではパチュリ(patchouli)やフランキンセンス(frankincense)などがインディゴオイルに分類されるそうです。


13 Jan

50. 嫉妬のエネルギーを祓うオリーブオイルのおまじない(イタリア)

olive oil

トロントのクィーン・ストリート・ウェストにある香辛料とオリーブオイルの専門店、スパイス
トレーダー(The Spice Trader)で、おいしいオリーブオイルを買ってきました。このお店は、ヨーロッパ各地、中東、南米などから上質のオリーブオイルを輸入しており、買う前に味見をさせてくれます。細かく切ったフレンチバゲットにつけて食べるか、小さな紙容器に入れて舐めてみる(飲んでいる人もいました!)のですが、それぞれの個性あるフレーバーと香りが広がり、上質のオリーブオイルは火を通さずにパンにつけたり野菜やサラダにそのまま使わなければもったいない、というわけがよく分かります。
 

でも今日は食べる話ではなくて、おまじないの話。

 

オリーブオイルは、イタリアやギリシアなどで嫉妬や怒りなどの悪いエネルギーを祓うおまじないに使うアイティムのひとつです。

 

「悪いエネルギー」に当たったせいで頭痛がしたり体調が悪くなるという考え方は、世界中いたるところにあります。日本や中国でいう「邪気に当たった」や、ヨーロッパ、中東、インド、南米などでよく知られる「イービルアイ(邪眼)を浴びた」は、わりと似たコンセプト。

 

イービルアイについては、相手にそんなに悪意を抱いておらず、ちょっとうらやましいなと思った人が無意識のうちに邪眼を発してしまうこともあるんだそうです。

・・・困りますよね(゚_゚i)

 

邪眼を除けるお守りというのは、トルコやギリシアによくある青い目の形のビーズアクセサリーや吊るしモノ、イスラム圏の「ファティマの手」などがありますが、やられたかもと思ったら、オリーブオイルと水を使ったお祓いです。

イタリア本国ではもちろん、アメリカやカナダにいるイタリア系にもよく知られるおまじないです。イタリア語では、邪眼をマロッキョ(
Malocchio)と呼びます。

 

 

オリーブオイルを使った邪眼を解くおまじない

 

<用意するもの>


小さめのボールか皿にいれた水

オリーブオイル

縫い針2

はさみ

 

 

1.まず、邪眼(妬みなどの悪いエネルギー)の影響をうけているかを判断します。

 

ボールか皿に水を入れ、そこへオリーブオイルを3滴垂らします。スプーンを使っても、指でもOK。(ちょっとぐらい余分に落ちてしまってもあまり気にせず、とにかく3回垂らしてください)

 

水に落としたオイルがとても細かく散り散りになったり、流れるように広がってしまったら、邪眼に当たったと判断。

 

オイルが丸くまとまっているなら邪眼ではありません。

 

 

2.邪眼の悪いエネルギーを取り除くおまじない

 

①縫い針2本を持って、一方の針の穴に別の針をしっかりと刺します。

 

刺しながら呪文を唱えます。

Occhi e contro occhi (オッキ エ コントロ オッキ)

e perticelli agli occhi.(エ ペルティチェッリ アリ オッキ)

 

Crepa la invidia (クレパ ラ インヴィダ)

e schiattono gli occhi.(エ スキアットーノ リ オッキ)

 

 日本語にすると「眼に対抗して目を、その目の孔へ。妬みは裂けて、その眼は吹き飛ぶ」といったような意味 

 

②針をそのまま浮いたオイルの上に落とします。

③塩を3つまみ水に落とします。

④ハサミを水に3回突き刺します。

⑤そのハサミを、ボールまたは皿の真上にかざしチョキチョキと3回空を切ります。

 

これで悪いエネルギーはクリアされました!

 

イタリアの伝統では、このおまじないを人に伝授する場合、クリスマスイブの夜中の12時に行うそうです。

 

地方によって呪文が違ったり、儀式も違ったバージョンがあるようなので、イタリアの民間療法やおまじないについて書いてある本を見てみると、キリスト様の名が入った呪文もありました。カトリック教会がぺガニズムや異教を禁じたので、教会に告げ口されないような祈りの言葉に変えたところもあるのでしょう。

 

トロント在住のイタリア人から、「うちのママがマロッキョを解くおまじないをしてくれたら、トラブル続きだった僕の車がすっかり調子よくなった」とか、「頭痛がして病院で検査しても原因が分からず頭痛薬を飲みっぱなしだったところにノンナ(おばあちゃん)におまじないをやってもらったら10分で治ってしまった」なんていう話を聞いたことがあります。でも本人たちは呪文は全く知らず。お母さんやおばあちゃんに聞いてみないと分からないとか。

 

ここに載せた方法を教えてくれたのは、イタリアのカラブリア出身の女性。

 

もちろん邪眼を信じていないイタリア人もいますが、カナダやアメリカには何百万人ものイタリア系が暮らしているので、いろいろなところでこっそりとオリーブオイルの儀式が行われていそうです。嫉妬や“うらやましい”がもとになった苛立ちや怒りは、人間なかなか避けて通れない感情ですから・・・。

 

 注)頭痛がひどいときや普段と違った症状があるときは、おまじないで解決する前にお医者さんに行きましょう。医者とおまじないを併用しても悪い相互作用は生じません・・・。


*印…
英語では

Eyes against eyes and the little opening to the eyes.

Envy splits and eyes burst.

Frances M. MalpezziWilliam M. Clements著、Italian-American Folkloreより)


By 三藤あゆみ カナダ、トロント

26 Sep

48. 幸運を呼ぶ、ラビット ラビット ホワイトラビット

white_rabbitラビット、ラビット、ホワイトラビット。

毎月ついたちには、歩きながら「Rabbit, Rabbit, White Rabbit」と唱えましょう。そうするとその月は幸運に恵まれる。

これは、カナダその他イギリス文化圏の国々で知られるおまじないです。地方や国よって異なるバージョンがあり、スキップしながら唱えるとか、紙に書くところもあれば、ただ「ラビット」を三回繰り返すだけというのもあります。

初めて聞いたのは以前イギリスに住んでいたときでしたが、先月、うち近くの公園の砂場に「Rabbit, Rabbit, White Rabbit」と書いてあるのを見かけ、ひさしぶりに思い出しました。

ウサギや野ウサギは、幸運を呼ぶ動物とされています。「ウサギの足」と呼ばれる毛皮やフェイクファーでできたキーホルダーのようなお守りもよく見かけます。

こんなキーホルダー、見たことありませんか?写真は、カラフルなものばかりですが、白や茶色のものもあります。

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子供のころ、これは動物のシッポみたいなデザインのただのキーホルダーか飾りだと思っていたのですが、あるときこれが英語で「ラビットフット」と呼ばれているのに気づき、ちょっと気持ち悪いな・・・と思ったものでした。でも実は名ばかりでなく、もともとは本物のウサギの足をお守りとしてぶら下げたり身に着けたりしていたのだそうです。

ウサギが幸運を呼ぶいわれについて調べてみると、紀元前のヨーロッパ、ケルト族の信仰にまで遡ります。ケルト系の一部の氏族はウサギには神聖な霊が宿るとして崇拝し、やがてウサギの足をお守りとして身につけるようになりました。

アメリカに渡ってきたウサギの足のお守りは、いつの間にかいろいろな儀式を伴うようになります。満月の夜に撃って捕らえたウサギの足を使わなければならないとか、雨の金曜日に撃ち殺したものでなければ効果がないとか、はては13日の金曜日にし止めたウサギでなければならない・・・などのバリエーションまで。左の後ろ足のみパワーを宿す、とする地方もあります。

月の最初の日にラビットを3回唱えるおまじないのほうはそれほど昔からの伝統ではないようで、19世紀初め頃に起源するという説。後にイギリスのケント州でかなり浸透したそうです。

さて、今月ももうすぐ終わり。
来月1日には、「らびっと、らびっと、ほわいとらびっと」をお忘れなく!

 トロントではこのところますますマルチカルチャー化が進んでいるので、移住者の子供の世代では、ラビットラビット・・・を知らない人も。オンタリオ州では田舎のほうがわりと昔ながらの英系文化やケルト系の伝統が残っています。


By 三藤あゆみ カナダ、トロント

2 Sep

47. 水と月のヒーリング ヒューロン湖オジブワ族

南の島の海のようなクリスタルブルーの水をたたえる美しい場所が、トロントから車で約4時間のところにあります。五大湖のひとつヒューロン湖に突き出たブルース半島(Bruce Peninsula)です。

 本当にこんな色で、プールみたいに見えますが、自然の湖水。
bruce peninsula_water

今年はトロントも例年より暑い日が長く続くからか、休日のたびに青い水と空がむしょうに恋しくなり、でも週末だけで行くには海は遠いので何度も湖のビーチへ出かけました。そして今回はこの夏二度目のブルース半島へ。キャンパーバンに寝袋やコーヒー沸かし器、調理器具などをつんで一泊の旅。目に染みるような透明なブルー、明るい夏の日差し、そして肌に心地よいさらっとした空気を味わってきました。

ブルース半島やヒューロン湖の島々には、北米先住民オジブワ族の里があります。オジブワ族は、はるか昔からスーペリアル湖沿岸を中心に暮らしていましたが、長い歴史を経て南下したりマニトバ方面に移動したグループもあり、カナダやアメリカにコミュニティが点在します。オジブワは、アメリカではチパワ族と呼ばれます。

オジブワの人々にとって水はスピリチュアルな存在。ブルース半島のオジブワ族のヒーリング、儀式、信仰、伝説においても、水はとても大切な役割を果たしています。ブルース半島にあるホープベイは、オジブワ語では「ヒーリングの地(Nochemoweniing)」と呼ばれています。どこまでも続く青い青い水と空に、緑の森、この土地にぴったりの名。

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ブルース ナショナル パークの崖の上から(ジョージアンベイ側)



水と月のヒーリング

オジブワは、大地や月を「グランドマザー(Nokomis)」と呼びます。グループ・氏族によって多少語り継がれる内容は異なるものの、水はグランドマザー アースの血であるとか、地球の水はすべてグランドマザー ムーンのスピリットがコントロールしているのだといわれます。

このあたりのオジブワの伝統に「グランドマザームーンのヒーリング」というのがあります。これは女性のためのヒーリング儀式。女性は満月が来るたびに新たなエネルギーとパワーを与えられるので、満月の日には水のあるところで自分の願いや目標を具体的に強く想うと、その本人と想念にエネルギーがチャージされるそうです。瞑想して月を崇め、自分の迷いや悩みを質問すると、答えを得る手助けしてくれるスピリチュアルガイドがやってくるともいわれます。

女性が水を持ち寄ってひとつの器に注ぎ、輪になってドラムやタバコの儀式をするコミュニティもあるそうです。器の水にはグランドマザームーンのエネルギーがチャージされ、儀式が終わると聖なるムーンウォーターができあがります。ムーンウォーターは、次の満月までの間、ヒーリングに使われます。

ドラムの儀式は、ムーンヒーリングの時でなくても男女を問わず子供も大人も行うポピュラーなヒーリングのひとつ。オジブワのドラムは2拍子で、タンタン、タンタン、というまるで心音のようなリズム。リラックスしてビートに同調しようとすると、ドラムの音が胸やお腹に響いて、さまざまな感情が湧き上がってきます。その感情を解放して癒しを行うというわけです。泣いても笑っても無言でも歌っても自由だそうです。感情や過去の出来事を解放し、できるだけ空っぽにしてから、新しいエネルギーで満たされるというわけです。

満月のたびに充電してまたがんばる。毎月自然に再生のチャンスが巡ってくるんですね。

美しい水辺の満月の夜は、本当に特別なエネルギーが満ちているように感じます。

次の満月には瞑想かムーンヒーリングでエネルギー充電をしてみましょうか。試してみたい人、2010年トロントのフルムーンは
9月23日、 10月22日 、 11月21日 、  12月21 日 
そして日本は
9月23 日、10月23日 、11月22日 、12月21日、です。

 

<オジブワ語って・・・>
歌手Jana Mashonee がオジブワ語で歌っています。心に響く美しい歌声。冬の歌ですが皆の知っている曲なので・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=iu2HI7v0n3Y&feature=related


<オジブワの人々>
説明はネット検索でもたくさん出てくるので、ここでは詳しいデータは書きませんが、スーペリアル湖のフォートホープコミュニティ住民たちの写真へリンク。

子供たち
http://www.ontariowildflower.com/fort_hope_flashslideshow_fort_hope_july1807.swf

いろいろ
http://www.ontariowildflower.com/flashslideshow_fort_hope_march1609.swf

昔から自分たちのことをアニシナベックと呼び、オジブワ、オダワ、ポタワミ族などはみなアニシナベ人に属します。カナダの直系オジブワ人口は約7万6千人。オンタリオ州のミシサウガ族や平原州のソートー族などもオジブワ系なので彼らを含めるともっと多いはず。

先住民は、地元で採れる植物やハーブや木の実などを使った豊かなヒーリング知識と伝統を持っています。西洋化、キリスト教化で一時は消滅しそうになった伝統ですが、近年また保存する動きが活発となり、ヒーリングセンターなども少しずつ増えてきています。オジブワのハーブティーやワイルドライス、メープルシュガーなどの自然食品、また、メディシンホイール、スゥエットロッジなどスピリチュアルヒーリングも、とても興味ぶかいものがあります。

by ayumi mito (toronto, canada)

21 Apr

46. 「呪い解きます」 

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「ブラックマジックの呪い解きます」という看板をトロントの街角で見かけることがあります。ジェラード・ストリート沿いのインディアンバザールにも数軒。ブラックマジック(黒魔術)というのは、一般にほかの人に危害を加えたり自分の欲望を実現するための呪術で、悪霊とか邪悪なエネルギーを使うとされています。ここでは、ブードゥー系で危害を加える呪いも黒魔術に含まれます。

もともとハイチ伝統のブードゥーにはブラックマジックとかホワイトマジックとかいう語彙はなく、正しい修行をつんだ知名度の高い司祭は愛と平和のための呪術を第一にするそうですが、自分のコミュニティの人々があまりにも苦しめられるような状況下では、彼らを守るために敵を呪い殺すか弱らせる魔術を使うことがあるといいます。

アフリカや南米、カリブ諸国では「ブードゥーの呪いのせいで本当に死んでしまった!」という話を聞きます。文化人類学者や科学者が、ハイチやキューバ、ベナンなどのブードゥー文化圏へ出向いて研究を行っていますが、現地ではそのような呪いをかけられた人が、実際に死んでしまうことは珍しくないそうです。(この話は、Wade Davis 著『蛇と虹 -ゾンビの謎に挑む』 原題 The Serpent and the Rainbow によく書かれています)

“科学的” リサーチでは今のところ、その因果関係は「呪いによる死や衰弱を100パーセント信じている人が、自分に呪いがかけられていることを知ると、そのことから血圧が上がったり、心臓に負担がかかったり、あるいはストレスで免疫系がたいへん弱ってしまい、死に至るのだろう」とされています。でも、本人が呪いをかけられていると知らないケースもあり、はっきりとしたことは分かっていません。

ブードゥーやサンテリア(キューバやドミニカ共和国等ラテン系のブードゥー)を信仰する人は、世界に約5千万人いるそうです。本人が祭壇を作ったり儀式に参加しなくても、ブードゥーカルチャーの中で生活している人をいれるともっと多い。カナダのトロントやモントリオールなど移民で構成される都市に、ブードゥー司祭がいたり、呪いを解く商売が繁盛するのもわかる気がします。

私の知人にも、呪いを解いてもらいに司祭のところに行った例がありました。

トロント大学で教授をしている友人のアリシア(仮名)は、ドミニカ共和国出身のスペイン系。お父さんが元医師で「科学的根拠がないものは全て迷信」という人だったので、彼女自身の家族はサンテリアを信仰せず教会にさえ通わなかったそうですが、親戚の叔母さんにとっては、自分の生活や世の中の現象の多くは、サンテリアにおける「精霊や悪霊、聖人の力が原因」。叔母さんの家にはゴージャスな祭壇があり、家庭に何かトラブルがあるとやっぱり司祭に相談に行きます。

この叔母さんの強いすすめや患者さんたちのリクエストもあって、アリシアのお父さんはドミニカでの現役中、手術の最中や処置中に危険な状態におちいった患者さんが、ブードゥー司祭によるお祓いをその場で受けることを許可していたそうです(西洋医学の処置はそのまま続けながらですが)。

そうそう・・・
うちのダンナ、ガブリエルは、以前トリニダード島出身の女性と結婚していました。元妻は子供のころ家族とともにカナダに移住してきたのですが、来て間もない頃、モントリオールに住んでいた叔父さん宅で、その叔父さんが部屋のドアを閉めて全く別人のような声で何か唱えたり歌っているところを、鍵穴からそっとのぞき見したことがあるとか。

部屋はカーテンが閉めてあり、キャンドルが灯されていました。息子が仕事をクビになり、叔父さん夫婦は借りていた家から追い出されることになったという災難が1ヶ月以内に続けて起きたので、ブードゥー司祭に相談に行ったところだったという話です。(離婚裁判中ブードゥーの件を思いだして、ちょっとやばいな〜髪の毛とか取られないようにしとこ、と思ったことが・・・とは、ガブリエル談)



<動画>モントリオールに住むハイチ系の女性司祭ラベレ・デセーさんに注目(後半に出てくる、ブードゥー正装の白いドレスの人)。特別な儀式やお祈りのときは、汚れなきものを象徴する真っ白なドレスを着ることが多いそうです。母娘ともにブードゥー司祭。彼女たちはトロントも訪れる。ビデオの後半に、精霊と交信するダンスやヴェヴェを描くところ、祭壇などが映っています。ブードゥーの恐ろしいイメージはハリウッド映画の世界、「本当は愛のある信仰」と語る。ハイチからの移民が集中するモントリオールに行くと、トロントよりもっと表立って多くのブードゥーカルチャーに触れる事ができます。

ブードゥー司祭は、彼らにとって人生のカウンセラーでありヒーラーなので、いろいろな相談にのってくれるわけです。男の司祭はオウンガンまたはプリーストと呼ばれ、女性の場合はマンボとか、ママ、プリーステスと呼ばれます。

相談に行くと、司祭は、その人の悩みや病気などに関係する、またはその人に憑いている精霊や神を判断します。これら精霊は総称してロアと呼ばれます。さまざまなロアがいるそうですが、司祭がロアとコンタクトしてメッセージを受けとるには、ロアが司祭にのりうつるようにします。

veveそれぞれのロアを象徴するヴェヴェという絵図があり、お祈りやお祓いのときにそれを使います。ヴェヴェは、祭壇を作るときや儀式を行うときに描かれる大切なシンボルで、精霊や神とのコミュニケーションの接点です。

ヴェヴェは、地面や床にコーンミールや小麦粉の粉、またはそれに細かいおが屑をまぜたもので描くことが多いようです。儀式に使うドラムや壁掛けに描かれたヴェヴェもあれば、ビーズ細工やメタルを使った美しいアートのようなものも。ヴェヴェをデザインするのも、司祭の仕事です。

さて、お祓いをするといっても方法はいろいろ。典型的なのは、生きている雄鶏をブラシのように使ってクライアントさんの体を撫で回して悪いエネルギーを取去り(掃くとでもいったほうがよいでしょうか)、その後、雄鶏の首をはねて生贄に。

軽い邪気ならセージの束を燃やし、煙を浴びたり問題のある場所で焚いたりする方法も使われます。

ところで、ブードゥーやサンテリア儀式のダンス音楽やドラムは、ビートがきいていて魅力的です。カリビアンミュージックのルーツがここにあるのだなという感じ。CDもたくさん出ています。

いくら最先端の処方箋がもらえても孤独な社会に暮らしているより、こんなコミュニティのほうが、鬱病やストレスに関係した病気などはなりにくいかもしれません。彼らにとって頼りがいのある司祭や、家族や友人と一緒になって、恐怖や悲しみ、ストレスがリリースできるのですから。

by ayumi mito (toronto, canada)


サンテリアのビデオクリップ(スペイン語)。スペイン語が解らない人も画像や音楽でけっこう楽しめます。儀式の道具や祭壇、アクセサリー、人々の様子がよくわかる。セレモニー用の音楽も。

11 Feb

45. ブードゥー人形の使い方

たぶんブードゥー呪術で一番有名なのは、「人形に針を刺す」魔術だろう。これが意外と、本家本元のハイチでは主流ではない。ブードゥー人形はアメリカのニューオーリンズ今のかたちになったという。フォークマジックと呼ばれる、地方に伝わる魔術が、ハイチから渡ってきたブードゥー教に加えられた。ニューオーリンズは、ヨーロッパやアフリカ、アメリカ先住民などのいろいろな文化や信仰が溶け合っているのだ。

voodoodoll

 

ハイチでも昔から儀式に人形を使うことがあったが、使用目的が違った。あの世とこの世、つまり霊界と私たちの生きている世界を結ぶメッセンジャーとして人形が用いられた。お墓の周りにある木に、簡素に作った人形といらなくなった靴を一緒に、釘で打ちつけたという。神様や霊の依代のようなものだろうか。

 

呪いをかけたり、ヒーリングに使うこのブードゥー人形は、今やハイチにも逆輸入され、司祭の指示をあおいで工芸職人によって作られることもある。

 

私はハイチには行ったことがないが、ハイチのお隣で地続きのドミニカ共和国のマーケットでブードゥー人形を見かけた。それはフォークアート風の“お土産用”だった。不思議グッズコレクターなので、お土産用だし一つぐらい、と購入したもののやっぱり人形というのは何か不気味で、後になって買わなければよかったと思ったこともあった。でも、捨てるとあと味悪いし、人にあげて気味悪がられても(その人形と私を)困るし・・・けっきょく大事にしまってある。

 

ではここで、本で見たニューオーリンズ系のブードゥー人形の一例を。

 

作り方: 長さの違う棒を二本、十字型に組んで紐で留め、手と胴の骨組みを作る。見立て、そこにスパニッシュモスという植物を巻きつける。それを麻ひもでぐるぐる巻きにしてから、頭をつけて人形にする。自分がかけたい魔術の内容に合ったシンボル色(下記の針の色参照)の布でローブのような服を着せる。頭は簡単に作ったものでも、羽をつけたりして飾ってもどちらでもOKだそうだ。

 

人形ができたら、針を刺していく。

針は待ち針の頭の色によって意味が決まっている。

 

黄色:成功、

白:ポジティブなエネルギー、ニューオーリンズでは、良いカルマ

赤:力(パワー)

紫:スピリチュアル

緑:お金、ニューオーリンズでは沈静

青:愛

黒:悪いエネルギー、死から守る。または、痛み、ヒーリング。

薄い青:家族

ピンク:ニューオーリンズでは、死を象徴

 

儀式を始めるときは、カトリックや東方正教などと同じようなお祈りでスタート。「Father, Son, Holy Spirit」と唱えながら、額→胸の下方→左肩→右肩、の順で十字を切り、右手を胸に当て「Amen」で終わる。

 

人形に針を刺すときは、まずどの色でもよいので針を一つ手にする。それがたとえば黄色なら、自分の人生において成功がどのような形で現れてほしいかを具体的に頭に描く、集中してできるだけ具体的にそれについて瞑想する。それができたら、その針を人形の胸またはお腹に刺す。各色、同じように瞑想してからお腹か胸に刺していく。特に気持ちに関わることなら胸のほうに刺す。

 

人形は部屋のどこかに隠しておくか、祭壇がある人はそこへまつる。

 

ブードゥー司祭や魔術師は普通、人形をポジティブなヒーリングや恋愛関係の願望をかなえるために使い、復讐などネガティブな呪いをかけることはそう簡単には引き受けないそうだ。

 

北米では本格的に呪術に使うものだけでなくて、ずいぶんポップ化された贈り物仕様のブードゥードールもたくさん出回っている。ブードゥー人形キットなるものをギフトショップや通販で見かけるけれど、ユーモアグッズで「前妻ブードゥー人形」(←ぎゃ〜)とか「スポーツチームの敵選手」、「職場のボス」なんていうのも多い。

 

ところで、このところ、カナダのティーンエージャーの間で流行しているブードゥー人形というのがあって、これは小さくてかわいらしい。タイから輸入されたもので、たぶん日本にも上陸しているだろう。カナダではギフトショップやアニメ&コミックストアなどで扱っている。80種類以上あって、10ドル〜20ドル前後。ちゃんとテーマやターゲット別、針もさせるようになっているほか、魔術を跳ね返す人形まで揃っている。

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これはおもちゃのように見えるが、本気で使用してネガティブな呪術にはまる子が出てきたらしく、最近は「このドールは、呪う効果がありません」という注意書きが入った。

 

ブードゥー人形は本当に様々な作り方と使用法があるようだ。呪術は司祭にやってもらわなければ効き目がないという説もあるが、自分でもOK、“想念”が一番大事な要素だからと言う人もいる。どこの社会でも念というものはパワフルなのである。

30 Jan

44. ブードゥー教の呪術の効き目

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トロントの地下鉄などを運営する交通局TTCで整備士をしているマークは、ハイチ出身だ。親戚や兄弟は今もハイチにいるが、今回の大地震では幸い命にかかわるような怪我はなく家も全壊せずにすんだ。「でも、瓦礫の下で毎日人が死んでいく状態から、せめて震災前の貧しくて治安が悪いという“普通の状態”に戻れるのはいつだろう」とため息をつく。80年代も90年代も、そして2000年代に入っても、戦争や武力闘争やクーデターが続くハイチ、貧困は極まりない。

「独裁者を追い出そうとした時も、武力闘争があっても貧しすぎて兵器が買えないんだ。そういうとき何を使って戦うと思う?」

まだ記憶に新しいルワンダ内戦で、人々がナタや鎌を使って対立民族を虐殺したのを思い出し、農具か動物や蛇からとった毒とか…?と思ったら、答えは「ブードゥー教の呪術」だった。

「ブードゥーマジックで政敵を呪い殺したり、自分たちの身の安全を守ろうとするんだ。みんな本気だよ」と、ちょっと小声になるマーク。

トロントやモントリオール一帯にも、ブードゥー教の司祭や魔術師がいて、じつはそんなに珍しいことでもないのだ。

カナダにも、魔術を使って、恋愛、金銭、健康上の諸問題などをひそかに解決してもらいたいクライアントがいるから、ブードゥー司祭も存在する。クライアントの多くはカリブの島々出身。カリビアン系のカナダ移住者は、50万人を越える。

でも、恋愛に関係する魔術(スペルキャスティング)を依頼してきたり、結婚・離婚に関わる相談に来るクライアントとなると、もっと幅広いと聞いた。

ブードゥー教の魔術というと、人形に針をさしたり、踊ったり、骸骨や歯を使って呪いをかけるというようなイメージばかり持つ人が多いのではないかと思う。でも、ブードゥー教のメッカであるハイチや、トリニダード、ジャマイカ、キューバ、ブラジル、アフリカのベナンそれからアメリカのニューオーリンズの一部では、ブードゥー司祭がスピリチュアルカウンセラー、医者や弁護士、コミュニティカウンセラーのような役割も果たす。ただ人を呪ったり、恋の魔術をかけたりするだけではないのだ。

西アフリカのフォン族の宗教がルーツといわれる。アメリカへ奴隷として連れてこられた人々の信仰にカトリックの教えがすこし混ざって、ハイチを拠点にカリブの島でできた。ロアと呼ばれる神様/聖霊、その他たくさんの精霊や邪霊がさまざまな現象を起こし、人を苦しめたり幸福にするとされる。カトリックの要素が混ざっているので、聖ペテロも登場するし、お祈りでは十字を切ったり三位一体を唱えることもある。

時々行くジャークチキンのおいしいカリビアンレストランにいつも置いてあるフリーペーパーで、あるブードゥー呪術師の広告とプロフィールを見た。「ミシシッピ出身。トロントに来る前はアメリカの病院で働いていた経験もある。ブードゥーのキャリアは30年以上、全力を尽くして魔術やヒーリングを行うので、お客さんは1週間に2人ぐらいまで」と書いてある。

そして、よくある質問コーナーの、魔術はどのぐらい効き目がありますか?という質問には、95パーセントぐらいとの回答が。

市販の薬の効き目なんかよりもすごい確率なんて本当にあり!?

簡単な呪術(スペルキャスティング)なら100ドル、超パワフルなのは500ドルで承わるそうだ。

14 Nov

41. ハロウィンにハングリーゴーストを癒す

ハロウィンといえば、カナダやアメリカでは仮装とお菓子とパーティーナイト、というのが主流。でも、もともとはスピリチュアルなイベントだった。

ケルト系の伝統では、10月31日が一年の終わり。その日は死者の霊が帰ってくるというので実りの秋の収穫物を供えた。ついでにほかの精霊やお化けなども家に来てしまうので人間たちは身を守るために仮面を被った、というのがハロウィンの仮装の起源といわれる。

キリスト教では、カトリックの人々にとってオール セイント デー(諸聖人の日) の前夜祭のようなもの。ハロウィン翌日のオール セイント デーには、聖人や殉教者を記念し、その翌日11月2日は身内で亡くなった人を想う日。その家のお墓に葬られている人の数だけキャンドルを灯して迎え火をする。

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写真 by Jim Bedard 禅センターウェブサイトより

ハロウィンが大衆化した北米とはいえ、トロントのスピリチュアルワールドでは、行くところに行けばエクレクティック(折衷型) でちょっと変わったハロウィン体験もできる。

今年は、トロント禅センターで行われている「ハロウィンとハングリー ゴースト癒しの儀式」というのに行ってみた。

1970年代から禅センターに通っているという、フランさんの話では、そこは曹洞宗と臨済宗とチベット仏教の要素が交ざりあった禅寺のようなところで、禅仏教の学習センター、瞑想センターでもある。通うのはほとんどカナダ人。センターの住職のような先生も、その上の老師もみなカナダ人やアメリカ人だ。

毎年この禅センターでハロウィンの週末に、ハングリーゴーストに食べものと水を捧げるセレモニーが行われ、そのあと参加者は自分たちの癒しの儀式を行うということだった。子供たちはハロウィンの仮装姿で来て、お菓子がもらえることになっている。


ハングリーゴーストの正体は

フランさんの説明を聞いているうちにあることに気づく。
お腹がすいたハングリーゴーストとは、飢えたゴーストとは、ケルト系のハロウィンのお化けではなくて、仏教でいう“餓鬼(がき)” のことだった。
禅センターなのだからそう驚くこともないか…。

仏教の六道の中で地獄道一歩手前の餓鬼道をさまよって成仏できない餓鬼。だから英語訳はシンプルに、ハングリーなゴーストなのである。ハングリーゴーストは、口が針の穴ぐらいのサイズなのでお腹がすいても食べられない。喉が渇いて水を飲むと、それは火に変わってしまうといわれる(宗派や国によって餓鬼のキャラクターに多少違いはある)。


あんまり怖くないトロントの餓鬼図

日本でいうと、お盆のときに先祖の霊を迎えて供物を捧げるほかに、無縁仏や餓鬼も供養する、施餓鬼会(せがきえ)だ。

日本では幽霊の季節は、夏、特にお盆周辺だけど、ここでは幽霊の季節はハロウィンだから、10月の終わりにもってきた。トロントの禅ブッディストたちもよく考えたものだ。

他人を思いやる心を忘れたり、あまりに自己中心的な人や執着心の強い人も餓鬼道におちるといわれるので、この機会に自分のネガティブな感情や思考・行動パターンをきっぱりと捨て去るためのちょっとしたセレモニーも行う。心が縛られたまま完結していない人間関係や、わだかまりが残った過去のできごとから自由になるのだ。感情のコードカッティングのようなものである。

禅センターは、ハイパークの近くにある古い邸宅に少し手を加えて作った洋風の建物だった。洋風といっても、白い壁と濃い茶色の梁の内装が、座禅堂や仏壇、仏像にしっくりくる。観音像や地蔵の立っている庭もよく手入れされていた。が、よく見ると仏像に混ざって、骸骨やミイラの手、ハロウィンの飾りが・・・。

ドアをあけると、綿でつくった蜘蛛の巣とタランチュラのおもちゃ、白いお化け、ミイラなどが天井からいっぱい下がっていた。思わず「トリック オア トリート!」と叫びたくなるような光景。そんな状態をおもしろいと思っているのは私だけなのか、若いカナダ人仏教徒が静かに落ち着いた微笑みを浮かべながら合掌して私たちを迎え入れてくれた。

奥へ進むと、広い部屋にちゃんと施餓鬼棚(せがきだな)が設けてある。果物や水や線香が置かれ、各自が持ち寄った供物を入れる籠が置いてある。でもやっぱり、その部屋の後ろの方にもハロウィンのパンプキンやお化けや骸骨が並べてあった。そして、その中にまじって、灰色のお化けっぽい手作り人形がいくつも飾られている。

「あれ、なあに?」
「餓鬼。水を飲んでも火になっちゃうから、火を吹いているのよ」
「が、がき?カナダのはキュートだわ…」

トロントの餓鬼−ハングリーゴーストはこんな感じ。
(セレモニー中にフラッシュをたいて写真を撮るのは禁止だったのでイラストで)

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ちなみに日本の餓鬼はこれ。
Gaki-Zoushi

セレモニーは、木魚に合わせて皆が般若心経の英語訳を唱え、ひとりづつ順番に施餓鬼棚へ水を注ぎ、持ってきた食物を供え(ハインツの缶詰とか乾燥パスタが多い)、りんをチーンと鳴らして席へもどる。

それが終わると、自己の癒し儀式だ。


てるてる坊主を火にくべる

まず各自で軽く瞑想し心を落ち着かせてから、白い紙に、完結したい関係、思い、過去のできごとや人の名前、状況、繰り返したくない反省事項など、なんでも書き込む。誰にも見せなくてよい。

その紙をくるくるっと丸めて、ティッシュペーパーで包み、麻ひもできゅっと縛り、てるてる坊主状にする。

そして、裏庭に出て火を焚く。

皆で火を囲み、一人ひとりがてるてる坊主を火に投げ入れ燃やしてしまうのだ。老師が、「自分の心の中のハングリーゴーストを追い出します。燃やすときに何かひとこと言いたいことがあれば何でもどうぞ。心からそう思って言ってくださいね」

マントラらしきものをつぶやいてから、てるてる坊主を焚火に投入する人。
「No more ! = これでおしまいにします!」と、きっぱり宣言する人。
「8月に亡くなった母へ執着と悲しみは、今日でやさしい愛情とともに解放します!」
「タバコ、止めます」
「アディオス」
「グッバイ」
「サヨナラ」…。

たくさんのテルテル坊主が燃やされて、たくさんのネガティブな感情や思考パターンが断ち切られたことだろう。

いやな思い出や現在進行中の状況を闇に葬り、無理やり忘れるのではなく、それを縛っているものを焼いてしまって「自由にしてやる」。自分の心も自由になって、もっとやさしく、いろいろなことに対して感謝の気持ちになれるというわけだ。

ヒーラーが行うスピリチュアルヒーリングセッションにも似ている。チャクラから出ているとされる感情コードカッティングをはじめ、囚われを断ち切るさまざまな方法がある。こうして具体的に書き出して燃やしてしまうというのも、シンプルでイメージしやすく、きっぱりとした良いやり方だなと思う。

ハロウィンと盂蘭盆。仏教が世界に広まっていくときに土着の信仰や習慣と結びついて神仏習合のようなことが起きる…というのはまさにこのこと。ケルトのスピリチュアルな風習が、カトリック信仰や現代のハロウィンと混ざり合って、カナダで仏教ともジョイント。

ちょっと笑える風景もありましたが、暖かなエネルギーに満ちた和洋折衷ハロウィンのスピリチュアルイベントでした。

by ayumi mito (toronto, canada)

多国籍シティのホリスティックヒーリング
カナダ トロント
神秘と科学が共存する都市


カナダのオンタリオ湖畔にひろがるトロント市は、ナイアガラの滝から1時間半ほど北へ行ったところにあります。このブログをはじめた頃は、「世界170カ国から移住してきた約100民族が同居する都市」だったのですが、いまや200を超える民族が暮らす、ますます多国籍なコスモポリタンシティとなりました。

トロント住民の半分が外国生まれというだけあって、この街にはさまざまな言語や食文化に加え、各国に伝わる昔ながらの健康法や病気治療法、スピリチュアルヒーリング、神秘的なおまじない、占いなどがあふれています。⇒ 続きを読む(エスニックタウン紹介もこちら)


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