
初夏の陽射しのトロント、草花も木々もぐんぐんと育ち始めたので、日当たりのよい窓辺に置いてあったハーブや植物をテラスに出しました。緑いっぱいのテラスに座っていると気分が癒されます。今年は、ローズマリーをもっと増やしたくてさらに二鉢購入。一鉢6ドル。強くて育てやすいハーブのうえ多目的に使えるのですから安いものです。



友人の妹パトリシアのアパートを訪ねたら、玄関のドア枠の上にこんなふうに靴が置いてありました。ドアを開けたとたん落ちてくるしかけのいたずらではありません。

これは、魔よけです。こうしておけば、悪いエネルギーや厄病がドアを通ろうとすると、靴がそれを吸いとってしまうというのです。家を建てるときや改築時に、ドアや窓の上あたりの壁の中、または暖炉の煙突に、履き古した靴を埋めるのが本来のやり方で、それは「隠し靴(concealed shoes)」と呼ばれ、イギリスでは何百年も前から行われていました。ドイツやフランスでも隠し靴をするところがあるそうですが、カナダのトロント一帯でも19世紀から20世紀半ばにかけて建てられた家の壁からときどき靴が出てきます。
「隠し靴」に使う靴は、ボロボロになるまで履き古したものほど効き目があり、特に子供の靴ほどパワーがあるとされています。トロントでも、築70年から100年ぐらいの家の壁を壊して工事をすると、ドアや窓の上の壁から靴が出てくることがあります。
わたしが以前住んでいた築78年の家の壁からも、汚れたスニーカーの片ほうが出てきたことがありました。トロントでは、古いけれどしっかりした家を買って自分たちの手で好きなスタイルに改装するというのは珍しいことではないので、業者でなくてその家の住人が隠し靴を発見することが多いのです。
わたしは最初、ボロボロで灰色っぽいかたまりが梁のところにあるのが目にはいり、ネズミの死骸かと思ってハシゴから落ちそうになりました。それが小さい靴だと分かったときには、こんどは、すごく不気味!と思いました。当時は隠し靴の話など知らなかったのです。壁の中の梁には、トマトジュースのにごったようなものが入ったボトル、鉛筆、木製の小さな模型飛行機などものっかっていた記憶がありますが、そのボロ靴も他の怪しいアイティムとともに捨ててしまいました。ほんとうは壁から隠し靴が出てきたら、また新しい壁のなかに戻しておいてあげるのがよいそうです。かなり古いものなら、民俗博物館などが喜んで引き取ってくれるかもしれません。

隠し靴をどこで誰が始めたのかはっきりわかっていませんが、英国ではずいぶん昔からやっていたようです。14世紀はじめに英国のバッキンガムシャー州に住んでいたジョン・ショーンという牧師が人々の病気を次々と治し、悪魔をブーツの中に閉じ込めたという話があり、それが起源かもしれないと言う学者もいます。でも、ショーン牧師の不思議な力の噂が広まり、そこから「靴は悪いものを封じ込める力がある」となっていったのか、もともと靴を厄除けや悪いエネルギー封じ込めに使う魔術や信仰があったのでショーン牧師がブーツを使ったのかは、不明だそうです。
最近のトロントでも、隠し靴のひみつを知っている人は、家の改装時に古い靴をひとつ埋めてみたりします。魔よけのためだけでなく、ちよっとタイムカプセルを埋めるような感覚でもあります。21世紀トロントの隠し靴は、昔のように形崩れするまで履き尽くした靴ではなくて、まだ古着屋で売れそうなコンバースやケネス・コール、ドクターマーチン、アニメキャラクターのついたカラフルな子ども靴など。ボロボロの子ども靴を探すのは、今のトロントではかえって難しそうです。パトリシアの場合はアパート住まいなので壁を破って埋めるわけにもいかず、気に入った靴を飾っておくのも変わったデコレーションでいいなと思ったから、ドア枠の上に置くことにしたそうです。
うちも当面は壁を剥がすこともなさそうなので、ドア枠の上に小さな子ども靴を載せてみました。なんだかかわいいオブジェを飾ったような気分で、ついそっちに目がいってしまいます。ぜんぜん隠し靴になってないですが・・・とりあえずグッドラックだけ、どーぞお入りください、ということで。

やっと春の兆しを感じはじめたイースター(復活祭)の週末。いっせいに木々の緑が芽吹く日はもう明日かあさってか・・・といったところ。イエスキリストの死と復活を祭るクリスチャンでなくたって、生命や自然の“再生”を感じわくわくする季節です。
トロントにいると、カルチャーや教派ごとに、けっこう違った形でイースターが祝われるのをじっさいに見たり聞いたりすることができますが、今年はやはり、地震の神様をまつるイースターに想いが行きます。
数年前のこと、ケンジントンマーケットの近くに住むペルー人のヘスス アンヘロさんという知り合いがいました。(このおじいさんの名、英語読みだとジーザスエンジェル。「ヘーイ、ジーザス」とか「ちょっとはやくしてよジーザス」とかいう会話になるとなんか罰当たりな感じがしましたが・・・しょうがないですね)
このおじいさん宅の台所に、十字架に磔にされた黒い肌のキリスト像が赤い花で飾られ、お神輿のように街中にかつぎだされている写真が貼ってありました。それはペルーのクスコでイースターの週に行われる大イベントということで、どう見てもイエスキリストなのですが、その像は「地震の神様(タイタチャ・テンブロレス Taytacha Temblores)」と呼ばれていました。
インカで古くから信仰のあった地震の神さまが、磔にされたイエス・キリストの姿でクスコの守護神となっているのだそうです。1650年の大地震のときにイエスが十字架にかけられた油絵を教会から運びだしたとたん、激しい揺れがおさまったと伝えられており、その時に、「イエスさまは地震の神様に違いない」ということに。仮の姿というよりは“習合”、イエスさまでもあり地震の神様でもある、というほうが正しいのでしょうか。
このタイタチャ・テンブロレス像はクスコ大聖堂にまつられていますが、毎年、復活の日曜日にさきがけた月曜日に教会から運び出され、街の広場へ向かって行進します。大聖堂は昔はインカの神様に捧げた神殿だったところに建てられており、赤い花で像を飾るのも、アンデス地方の古代の習慣で司祭や指導者のミイラを飾ったのと同じようにしているそうです。像はもともとは、白い肌のイエスキリストでしたが、お祈りにきた人が灯すろうそくで、何百年もの間に黒く煤けたのだとか。
日本とおなじように環太平洋火山帯のうえにのっかったペルー。地震の怖さを身をもって知り、平和が続いても地震のことはぜったいに忘れることはありません。破壊と再生を繰り返してきたアンデスやインカの伝統を受け継ぐひとびとの守り神、それがタイタチャ・テンブロレスです。
「緊急地震警戒速報の音がこわいけどママが作った防災頭巾をかぶっていればちょっと安心」という東京にいるまだ3歳の甥のことを想い、日本の被災地の復活とみんなの元気復活を祈りつつ、「地震の神様」のポストカードをとりだしてみるイースターの朝でした。
日本のためにお祈りしてください、というメールがきました
(写真 被災地の惨状・・・と報じるトロントスター紙の一面)
「東北関東大震災の被災地でまだ孤立状態の人たちに一刻も早く食糧や水が届き、そして皆一刻もはやく救出されますように」「被災した人々が凍えないように、捜索、救出、道路復旧作業が速く進むように天気が味方してくれますように」「福島第一原発の1号機、2号機、3号機、4号機の冷却が成功し作業をする人の健康が守られますように」
・・・遠くから何もできなくてお祈りするなら、できるだけ具体的な内容を唱えてみようと、日本のために本気で祈るカナダ人たちがこんなお祈りのフレーズをメールしてきました。禅仏教徒、カトリック信者、レイキプラクティショナー、スピリチュアルヒーラー、特に何の宗教も実践していない人たちも含めたグループからです。
そうでした、願いごとをするときや実現したいことを想うときは肯定文(〜しませんように、ではなくて 〜します、するぞー!です)で、内容はできるだけ具体的にするほどよいのだそうです。そして、3回繰り返す。3回、というのは、マジックナンバーなんですね。
普段はお祈りなど縁のないひとも、お祈りがあなたにとって何かをよく知ってやっている人も、どうせ「・・・をお祈りします」と言ったり書くなら、こんな時こそ“本気”でそう思ってやってみましょう。
東北関東大震災、カナダでのこんな報道
3月11日の東北関東大震災発生以来、カナダでも新聞の一面が連日、日本の様子を伝えています。
惨状を見て、被災地のために寄付や募金をしたり応援してくれる人もたくさんいますが、その一方、カナダやアメリカのメディアのセンセーショナルな報道のせいか、太平洋を隔てたここでパニックに陥っているカナダ人もいるようです。
「福島原発の放射性物質がジェット気流に乗って世界中に拡散され、一ヶ月以内に北米の西海岸ににも届く可能性が」という新聞記事がでると、その翌日は太平洋側のBC州で食糧を買い占め屋内退避の準備をしはじめた人がいるというニュース。
CTVのニュース番組では、日本滞在中のカナダ人フリーランスジャーナリストが現地レポート。「福島原発からの放射性物質の拡散やメルトダウンの恐怖で、大多数が大阪方面へ退避しはじめています。そのため会社や工場も休みとなったところがあります。たとえばSONYは、わずか70人しか出社していません。東京にはまだ逃げられない人がたくさん残って生活しています。お金がない、行き先がない、恐怖のあまり身動きがとれないからです」
ずいぶん説明不足の報道!このレポーター、自分が現在いる神奈川と福島第一原発のだいたいの距離も答えられません。フリーでもなんでも、ジャーナリストなのですから、もうすこしがんばってほしいところです。(注:このジャーナリストと本ページの写真は関係ありません)
たぶんブードゥー呪術で一番有名なのは、「人形に針を刺す」魔術だろう。これが意外と、本家本元のハイチでは主流ではない。ブードゥー人形はアメリカのニューオーリンズで今のかたちになったという。フォークマジックと呼ばれる、地方に伝わる魔術が、ハイチから渡ってきたブードゥー教に加えられた。ニューオーリンズは、ヨーロッパやアフリカ、アメリカ先住民などのいろいろな文化や信仰が溶け合っているのだ。

ハイチでも昔から儀式に人形を使うことがあったが、使用目的が違った。あの世とこの世、つまり霊界と私たちの生きている世界を結ぶメッセンジャーとして人形が用いられた。お墓の周りにある木に、簡素に作った人形といらなくなった靴を一緒に、釘で打ちつけたという。神様や霊の依代のようなものだろうか。
呪いをかけたり、ヒーリングに使うこのブードゥー人形は、今やハイチにも逆輸入され、司祭の指示をあおいで工芸職人によって作られることもある。
私はハイチには行ったことがないが、ハイチのお隣で地続きのドミニカ共和国のマーケットでブードゥー人形を見かけた。それはフォークアート風の“お土産用”だった。不思議グッズコレクターなので、お土産用だし一つぐらい、と購入したもののやっぱり人形というのは何か不気味で、後になって買わなければよかったと思ったこともあった。でも、捨てるとあと味悪いし、人にあげて気味悪がられても(その人形と私を)困るし・・・けっきょく大事にしまってある。
ではここで、本で見たニューオーリンズ系のブードゥー人形の一例を。
作り方: 長さの違う棒を二本、十字型に組んで紐で留め、手と胴の骨組みを作る。見立て、そこにスパニッシュモスという植物を巻きつける。それを麻ひもでぐるぐる巻きにしてから、頭をつけて人形にする。自分がかけたい魔術の内容に合ったシンボル色(下記の針の色参照)の布でローブのような服を着せる。頭は簡単に作ったものでも、羽をつけたりして飾ってもどちらでもOKだそうだ。
人形ができたら、針を刺していく。
針は待ち針の頭の色によって意味が決まっている。
黄色:成功、
白:ポジティブなエネルギー、ニューオーリンズでは、良いカルマ
赤:力(パワー)
紫:スピリチュアル
緑:お金、ニューオーリンズでは沈静
青:愛
黒:悪いエネルギー、死から守る。または、痛み、ヒーリング。
薄い青:家族
ピンク:ニューオーリンズでは、死を象徴
儀式を始めるときは、カトリックや東方正教などと同じようなお祈りでスタート。「Father, Son, Holy Spirit」と唱えながら、額→胸の下方→左肩→右肩、の順で十字を切り、右手を胸に当て「Amen」で終わる。
人形に針を刺すときは、まずどの色でもよいので針を一つ手にする。それがたとえば黄色なら、自分の人生において成功がどのような形で現れてほしいかを具体的に頭に描く、集中してできるだけ具体的にそれについて瞑想する。それができたら、その針を人形の胸またはお腹に刺す。各色、同じように瞑想してからお腹か胸に刺していく。特に気持ちに関わることなら胸のほうに刺す。
人形は部屋のどこかに隠しておくか、祭壇がある人はそこへまつる。
ブードゥー司祭や魔術師は普通、人形をポジティブなヒーリングや恋愛関係の願望をかなえるために使い、復讐などネガティブな呪いをかけることはそう簡単には引き受けないそうだ。
北米では本格的に呪術に使うものだけでなくて、ずいぶんポップ化された贈り物仕様のブードゥードールもたくさん出回っている。ブードゥー人形キットなるものをギフトショップや通販で見かけるけれど、ユーモアグッズで「前妻ブードゥー人形」(←ぎゃ〜)とか「スポーツチームの敵選手」、「職場のボス」なんていうのも多い。
ところで、このところ、カナダのティーンエージャーの間で流行しているブードゥー人形というのがあって、これは小さくてかわいらしい。タイから輸入されたもので、たぶん日本にも上陸しているだろう。カナダではギフトショップやアニメ&コミックストアなどで扱っている。80種類以上あって、10ドル〜20ドル前後。ちゃんとテーマやターゲット別、針もさせるようになっているほか、魔術を跳ね返す人形まで揃っている。

これはおもちゃのように見えるが、本気で使用してネガティブな呪術にはまる子が出てきたらしく、最近は「このドールは、呪う効果がありません」という注意書きが入った。
ブードゥー人形は本当に様々な作り方と使用法があるようだ。呪術は司祭にやってもらわなければ効き目がないという説もあるが、自分でもOK、“想念”が一番大事な要素だからと言う人もいる。どこの社会でも念というものはパワフルなのである。

トロントの地下鉄などを運営する交通局TTCで整備士をしているマークは、ハイチ出身だ。親戚や兄弟は今もハイチにいるが、今回の大地震では幸い命にかかわるような怪我はなく家も全壊せずにすんだ。「でも、瓦礫の下で毎日人が死んでいく状態から、せめて震災前の貧しくて治安が悪いという“普通の状態”に戻れるのはいつだろう」とため息をつく。80年代も90年代も、そして2000年代に入っても、戦争や武力闘争やクーデターが続くハイチ、貧困は極まりない。
「独裁者を追い出そうとした時も、武力闘争があっても貧しすぎて兵器が買えないんだ。そういうとき何を使って戦うと思う?」
まだ記憶に新しいルワンダ内戦で、人々がナタや鎌を使って対立民族を虐殺したのを思い出し、農具か動物や蛇からとった毒とか…?と思ったら、答えは「ブードゥー教の呪術」だった。
「ブードゥーマジックで政敵を呪い殺したり、自分たちの身の安全を守ろうとするんだ。みんな本気だよ」と、ちょっと小声になるマーク。
トロントやモントリオール一帯にも、ブードゥー教の司祭や魔術師がいて、じつはそんなに珍しいことでもないのだ。
カナダにも、魔術を使って、恋愛、金銭、健康上の諸問題などをひそかに解決してもらいたいクライアントがいるから、ブードゥー司祭も存在する。クライアントの多くはカリブの島々出身。カリビアン系のカナダ移住者は、50万人を越える。
でも、恋愛に関係する魔術(スペルキャスティング)を依頼してきたり、結婚・離婚に関わる相談に来るクライアントとなると、もっと幅広いと聞いた。
ブードゥー教の魔術というと、人形に針をさしたり、踊ったり、骸骨や歯を使って呪いをかけるというようなイメージばかり持つ人が多いのではないかと思う。でも、ブードゥー教のメッカであるハイチや、トリニダード、ジャマイカ、キューバ、ブラジル、アフリカのベナンそれからアメリカのニューオーリンズの一部では、ブードゥー司祭がスピリチュアルカウンセラー、医者や弁護士、コミュニティカウンセラーのような役割も果たす。ただ人を呪ったり、恋の魔術をかけたりするだけではないのだ。
西アフリカのフォン族の宗教がルーツといわれる。アメリカへ奴隷として連れてこられた人々の信仰にカトリックの教えがすこし混ざって、ハイチを拠点にカリブの島でできた。ロアと呼ばれる神様/聖霊、その他たくさんの精霊や邪霊がさまざまな現象を起こし、人を苦しめたり幸福にするとされる。カトリックの要素が混ざっているので、聖ペテロも登場するし、お祈りでは十字を切ったり三位一体を唱えることもある。
時々行くジャークチキンのおいしいカリビアンレストランにいつも置いてあるフリーペーパーで、あるブードゥー呪術師の広告とプロフィールを見た。「ミシシッピ出身。トロントに来る前はアメリカの病院で働いていた経験もある。ブードゥーのキャリアは30年以上、全力を尽くして魔術やヒーリングを行うので、お客さんは1週間に2人ぐらいまで」と書いてある。
そして、よくある質問コーナーの、魔術はどのぐらい効き目がありますか?という質問には、95パーセントぐらいとの回答が。
市販の薬の効き目なんかよりもすごい確率なんて本当にあり!?
簡単な呪術(スペルキャスティング)なら100ドル、超パワフルなのは500ドルで承わるそうだ。

ときどきお世話になっている歯科クリニックから、年2回カラー刷りのニュースレターが送られてくる。ほとんど記事広告のようなものだけれど、写真がきれいで歯の健康関係のコラムなどけっこうおもしろい。
つい先日届いた冬号のページをめくると、こんな見出しが。
「中国茶ホワイトティーを飲もう!きれいな歯、健康な歯の味方。抗菌、アンチエイジングにも・・・」
ホワイトティー(白茶)は、緑茶ブームに続いて今注目のお茶だ。トロントやニューヨーク、ボストンなどでは、ティー専門店だけでなくカフェで出されるお茶のセレクションに普通に加わるようになってきたし、リプトンやセレスティアルシリーズなどのティーバッグも見かける。
中国福建省の名産、高級茶。さっぱりと軽い喉越しで、スイートな風味がある。わずかに発酵させてから乾燥させて作るそうで、揉み込む工程もない。だからほかの中国茶に比べ淡白なぶん、梨やオレンジピールなどドライフルーツや皮、花びらをブレンドしたものがとてもおいしい。
なぜ歯医者さんのニュースレターに取り上げられたかというと、ホワイトティーには、緑茶のようにフッ化物イオン(フッ素)が含まれており、それが虫歯菌や歯垢菌から歯を守るかららしい。毎日飲んでも、紅茶や緑茶より歯が黄ばみにくいとも書いてある。これは、肌の美白よりも輝く白い歯にこだわるアメリカンやカナディアンに、熱く支持されるはずだ。
代表的なホワイトティーは、白毫銀針(Silver Needle) 、
白牡丹(White Peony) という品種。近代に入ってから福建省の茶畑で作られるようになったもの。若葉または芽を選んで摘み、揉みこむ工程なしに、わずかに発酵させてから乾かす。若葉の産毛が白く見えるところから白茶と呼ばれるようになったそうだ。白毫銀針は一芯一葉で摘む。色にむらがない、ヒスイ色の葉が高品質のしるし。
中国で昔飲まれた"白茶"は、突然変異か自然雑交によって生まれた珍しいもので、貴族にしか手が届かないお茶だったという。摘んだばかりの葉を金でできた籠に入れて皇帝に献上したともいわれる。やはり薬用に使われていた。
ホワイトティーには、白い器がよく合う。ティーポットのほうは、白よりも透明のものを使うのが定番で、摘んだままの形の茶葉が揺れるのを眺めて楽しむ。あるいは、大きめの耐熱グラスに直接茶葉を入れて、お湯を注ぎ、色や香りがよく出るのを待ちながら時間をかけて飲むという方法も。これは中国福建省流だと聞いた。
Tea Forte (ティーフォルテ)のホワイトティーバッグ
トロントのチャイナタウンやモールの高級中国茶専門店で質のよい白茶が手に入るが、ティーエンポリウム(Tea Emporium)やティーフォルテ(Tea Forte)などの洋風ティー専門店にもよさそうなのがある。
正統派ルーズリーフタイプのホワイトティーは、やはりティーエンポリウムだが、ティーバッグならティーフォルテがいい。
大き目にカットした葉を使い、お茶が出やすいようティーバッグのデザインも工夫され、シルクを使ったピラミッド型になっている。紐の先端が、かわいらしい緑色のティーリーフの形になっているのも目を楽しませてくれる。
NOTE
ティーフォルテのお茶は、ハロッズやフォーシーズンズ、ラッフルズホテルなどで扱っているが、トロント周辺だと、本屋Indigo-Chapters内のギフトコーナーでも手に入る。
日本にも輸入されているようですね。→ http://www.teaforte.jp/
イースト・チャイナタウン

トロントには、新しくてトレンディな中国系ショッピングモールや商店街がたくさんあるが、ダウンタウン東側にあるイーストチャイナタウンは、今だにひと昔前の香港か広州の市場街のような面影を残す。混沌としていて騒がしく、安い掘り出し物あり、怪しげな正体不明の商品あり。「ブロッコリー安いよー90セント!」というようなことを、だみ声で叫ぶ八百屋、道にやたら唾や痰を吐くおじさん、ほとんど英語が話せない店員ばかりの違法コピーDVD屋…。
漢方薬局もいくつかあるが、どこも店のショーウィンドウに並ぶ製品が埃をかぶっており、広東語しか話さないお年寄りばかり出入りするのが目立つので、以前は通りがかっても特に中をのぞこうとも思わなかった。
でも、あるとき取材で知り合った上海出身の漢方医からイーストチャイナタウンにある埃っぽい外見の薬局を紹介されて漢方薬を処方してもらったところ、そこの漢方医はとてもきちんとして親切な先生だったうえ、ちゃんと薬も効いたのですっかり見直した。英語と漢字を紙に書いてのコミュニケーションには限界があるが、そんなときは、住まいになっている奥のほうからカナダ育ちの息子が登場して通訳がはいる。
それがきっかけで、イーストチャイナタウンにあるほかの漢方薬局もチェック。先日行ってみたのは、3年ほど前にオープンしたコンビニエント・ヘルスマートという名の店。なんだか軽い名前だが、じつは店の奥には資格のある漢方医や鍼灸師、すいなマッサージ(中国語では推掌按摩。英語だとTuina massage ) の専門家などが控えていた。施術室も清潔ですっきりしている。
カッピング(吸い玉)療法を試してみたら・・・
その店には、吸い玉セット--家庭用メディカルカッピングセットが売っていた。「約10分で体の深部にまでおよぶ強力なマッサージ効果」とある。
カッピング療法は、ガラスやプラスティック製のカップを、背中、お腹、足など、コリや痛みのあるところ、または特定のツボや経絡に沿った肌の上に置き、カップ内の気圧を下げ、強めに皮膚に吸着させるというもの。バンキーとも呼ばれる。
コリをほぐし、頭痛、高血圧症、不眠や便秘などを治すという本場中国流のカッピングは、けっこうすごい吸引力で約10〜15分ぐらいカップをつけたままにしておく。
近年、日本でもまた注目されているようで、治療院だけでなくエステなどでも施術するところがある。日本だとあまり強く吸い上げず、エステなどでは軽く3分ぐらいのトリートメントも。
その日は、肩甲骨と背骨の間と首の後ろがコリコリだった。肩こり解消になる気功や合気道の練習を休んでいたのと、長くコンピュータに向かう日が続いていたのだ。それで、「約10分で体の深部にまでおよぶ強力なマッサージ効果」があるというカッピングをぜひ試したい気になってきた。でも、いきなりセットを購入して自分でやるより、まずは店でやってもらって効果があったらそのうち買ってみる、ということに。施術料は、10〜15分で10ドル。
店には鍼灸・すいな按摩専門の、やはり本場中国から移住してきたリンダと呼ばれている先生がいた。肩をさわってもらったら、やっぱりマッサージだけじゃなくてカッピング療法がいいかもね、という。
リンダ先生は自分のTシャツの襟をひっぱって肩の前側、鎖骨の外側のあたりについているカッピングの痕を私に見せてくれた。「ほら、カップが吸い上げたところはこんなふうに赤くなるけど3、4日で痕はとれますよ。悪いところはかなり濃い紫色になることもあるけど、筋がゆるんで楽になるから。あ、この赤い丸のアザは、日本の旗みたいねー。日の丸」。
ひ・・・日の丸って。ぜんぜんセールスになってないよ。こんなに真っ赤な痕が残るのか、と一瞬ひるむ。
でも、3、4日で消えるというし、カッピングは中国だけでなく世界各地で伝統医療や民間療法として使われてきたのだから、やっぱり試してみることにした。
ここでは手動ポンプでカップの中の圧力を下げるタイプの新しいカッピングツールを使う。伝統的なやり方、コットンにアルコールを含ませたものをカップの中に入れて燃やし真空状態を作って皮膚に吸着させることはしなかった。場合によってはツボに鍼を刺したうえにカッピングをするそうだ。
リンダ先生は、わたしの首と肩を軽く揉んだあと、ガラスのカップを背中と肩計6箇所に置き、手動ポンプでカップの中の空気を手早く抜いていく。かなりすごい吸引力だ。掃除機を腕に当てたより、もっともっと強いバキューム感。
そんなに痛いわけでもないので、マッサージ台にだら〜っと寝たままリンダ先生にお任せしたが、とつぜん、となりの施術室から「アイヤ〜、いたい、いたい、too much! too much! 」という、おじさんの声。やっぱり吸い上げすぎると痛いのだ。
私も左肩甲骨と背骨の間に置いたカップが痛かった。一番凝っている箇所だったからだと思うが、10分間もこんなに吸い上げられたままではたまらない。「いたたた・・・それちょっと緩められますか?」というと、すぐに調整してくれた。
10分たって、カップを取り外したときの背中の緩みかたといったら、それはもう本当に心地よい。背中全体と肩に熱々の蒸しタオルを3分ほど置いて、終了。
家に着いたころには首と肩がずいぶんやわらかくなり、背中で手と手を組めるようになっていた。しかし、鏡で背中をみたら、やはりすごい痕がついていた。ハロウインのテントウ虫コスチュームなみ。
それに首の後ろにもカップがひとつあったのには気づかなかった。両肩と肩甲骨の横の4つのカップがかなり強く吸着していたので、首のほうはあまり感じなかったのだ。その首のところが一番すごい紫のあざに。あー、合気道の稽古のときはポニーテールにするのに・・・。
濃くて黒みがかった紫の痕は、その部分がかなりうっ血しているか、そのツボに対応する内臓の機能が低下しているからということだった。あざやかな紅色のほうが健康で、薄いピンクならなお良い。カップを当てた部分や関係する内蔵が病んでいると、カップが曇ったり、はずした後小さな水泡ができることもあるそうだ。
もちろん強力に長時間吸い上げれば、アザも濃くなる。ただ、同じ強度で同じ箇所を1週間おきぐらいに繰り返しカッピングすると、血行や機能低下が改善され、だんだんと薄くきれいなピンク色の痕になっていく。
家で手軽に使える手動ポンプ付きのカッピングセットは、ネット通販などでも購入できる。ただ、傷のある箇所にはしないほうが良いし、急性疾患にかかった人、血友病などで血液が固まりにくい人、強度の貧血、皮膚がたいへん弱い、重い心臓疾患などがある人は、カッピングは避けるべき。
カッピングはなぜ効くのだろう?
血行をよくする 、深部のコリをほぐす、血管などの組織を強化、皮膚の弾力性を保つ、内臓・器官を活発にする、自律神経を調整する。また、頭痛、高血圧症、不眠や便秘などにも効くそうだ。
なぜカッピングが治療効果を発揮するかということについては、現代科学の立場からもいろいろ研究している人がいる。ツボ刺激と同じメカニズムという研究者もいれば、痛点を刺激すると鎮痛作用を起こすように脳が命令しモルヒネのような神経伝達物質が放出される、あるいはマッサージ効果があり、リンパ液の流れもよくなるためデトックスされるという説明も。
日本でも平安時代ぐらいから行われていた記録があるそうですが、中国式のも含め、これらはドライ・カッピングとよばれる。昔は竹筒などを使用した。
ウェット・カッピングと呼ばれるものもあって、これは皮膚にかみそり等で軽く切れ目を入れた上からカッピングを施す。瀉血治療のいっかんだ。エジプトでは古代から、インドやアラブでもよく知られる療法。ヨーロッパでも19世紀までは、医者に行くと普通にウェット・カッピングが行われていたらしい(でも、昔は出血しすぎや不衛生なやり方で感染症にかかったりと害のある治療も多かった)。
トロントにも、サウジアラビア出身の漢方医で、ドライカッピングとウェットカッピング両方を施術する人がいる。その人の話ではアラブ諸国では、マッサージ効果もよく認められ、今でも床屋でカッピング療法をやっているところがあるということだった。
皮膚に切れ目を入れるカッピングも、本当に効くのか体験してみたいのですが・・・血を抜かれるし、万が一切り口が化膿しても困るので、連休か、あまり仕事の忙しくない時に試してみようと思います。

毎年7〜8月にかけて裏のテラスに蛾がたくさん飛んでくる。4センチぐらいで紙飛行機みたいな形をした茶色の蛾だ。近所の家の多くは裏庭にかなり大きな木があるので、夏は葉が茂って一帯が林のようになり、リスやアライグマとともに蛾の格好の住処となっているのだろう。私は蛾と蝶がとても苦手なので、これが悩みの種。
昨年、裏口から出入りするときに家に入ってしまったと思われる蛾が、トイレに潜んでいたことがあった。トイレ使用中に、保護色となっていた茶系のシャワーカーテンからとつぜん飛び立ったのでもう慌てたのなんの…。トイレから飛び出し、おもいきりドアを閉めた。蛾が家の中に逃げてどこにいるかわからなくなったら仕事も手につかないので、とりあえずトイレに閉じ込めておく事がとっさにできる最善の対処だったのだ。その日は運悪く他に誰も家にいなかったので、けっきょく近所に住む友人のNちゃんに電話して蛾をとってもらった。
そんな事件があったので、今年の夏は、ハーブか何かデッキに植えたら自然の蛾除けになるようなものがないか知人に聞きまくった。そうしたら先日、「ラベンダーの香りは蛾除けに効果的なはず」と、義理の妹が大きなプランターいっぱいに植えたラベンダーを持ってきてくれた。
でも、ちょっと待った。
たしか、蝶がラベンダーに集まっているのを見たことがある。蝶は集まるのに、蛾はほんとうに嫌がるのかな?
いったいどういう根拠で、ラベンダーが蛾除けに使われるのだろう。
すると、まず蛾除けといっても、主にクローゼットやたんすの衣類の蛾除けに効果的、ということだった。つまりモスボールのように使うのだ。でも、それは蛾が「ラベンダーの匂いを嫌う」からではなかった。加工していないラベンダーが、すでにそこにある成虫やタマゴを駆除する成分を放出しているわけでもないらしい。
ラベンダーの強い香りで、オスの蛾がメスのフェロモンを嗅ぎつけられなくなってしまうからというのが一番の理由のようだった。つまり繁殖活動が行われないので、一度除去してしまえばタマゴや幼虫が発生しないという仕組みだ。
ドライフラワーにしたラベンダーを袋につめて、たんすに入れておくと、けっこう効果があるという。ラベンダーのサシェというのは、リラックス効果や香りを楽しむだけではなかったんですね。
外のデッキに置いた場合、ラベンダーがどのぐらい蛾除け効果を発揮するのか、またはしないのかは結局分からなかった。でもテラスが蛾のデートスポットになるのは避けられるかもしれないし、紫の花がが満開でとてもきれいでいい香りがするので、とりあえず花を楽しみながら様子をみることに。
ラベンダーは、地中海地域が原産といわれ、古代から重宝されてきた植物。後にイギリス、アメリカ、オーストラリアなどに広まったというが、カナダでもラベンダーはポピュラーだ。トロント周辺だと、ナイアガラなどオンタリオ州南部、それからオンタリオ湖岸に広がるプリンスエドワードカウンティ(スローフードとワイナリー、水のとてもきれいなビーチなどで知られる癒しスポット)に、有名なラベンダーファームがある。ケベック州に行くと、フランス系だけあって、もっとたくさんラベンダー畑がある。昔はラベンダーやラベンダー製品といえば英国、だったそうだが、いまではフランスが世界一のラベンダー貿易国で、ラベンダーグッズも充実しているのだ。

リラックスと沈静効果、また、殺菌・消毒、防虫などに効果を発揮する。鎮痛、精神安定、殺菌、防虫などには、タスマニアンラベンダー(lavandula angustifolia genus)がよく使われている。イングリッシュラベンダー(angustifolia)は、お茶やお菓子に使ったり、砂糖に混ぜたりして香りづけに。
オンタリオ州のラベンダーファームは小さな家族経営のところが多いが、束にしたドライフラワーをはじめ、いろいろなラベンダー製品がつくられている。クリーム、オイル、石鹸、衣類乾燥機に入れるラベンダーバッグ、暖炉にくべて香りを楽しむ(ネズミ除けにもなるとか)ラベンダーログ、ラベンダー入り洗濯洗剤やハウスクリーナー等々。
料理やお菓子では、クッキーやカップケーキ、スコーンなどにラベンダーとレモンを組み合わせたフレーバーがよくある。花の香りなので食べものには合わないという人もいるが、少しだけ使ったものはきれいだし、レモンとの香りとはよく合うと思う。
トロント市内で食用ラベンダー(culinary lavender) を売っている店はいくつもあるが、たとえば、Spice Trader 、Whole Foods 、Lennie's Health Foods、Boncheff Greenhousesなどの自然食品店やスパイス専門店で手にはいる。紅茶に使われることの多いラベンダーシュガーの瓶詰めも、ときどき見かける。
★ラベンダーシロップの作り方
水2カップ
グラニュー糖2カップ
ドライフラワーのラベンダー花びら 1ティースプーン
底が薄すぎない鍋(簡単に焦げないように)に材料を全部投入。沸騰させてかきまわす。火からおろして、30分ほどおいたら、網で漉す。しっかりと蓋がしまる容器に入れ冷蔵庫で保存する。アイスティーやレモネードに使い香りとリラックス効果を楽しもう。
★ラベンダー オイルのスチーム
疲労、軽度の頭痛、落ち込んだ気分のとき、眠れないときの民間療法。 2〜3カップの水を沸騰させ、ラベンダーオイルを2〜4滴おとし、ゆっくりと蒸気を吸い込む。
HISTORY
ヨーロッパでは昔から重宝されてきた植物。古代ギリシアでは不眠症、背中の痛み、または精神異常のある患者に処方していたし、古代エジプトでは亡骸をラベンダーに浸した布でくるんだそうだ。有名なのは、ローマのラベンダー風呂。共同浴場のお湯にラベンダーを入れていた。
ローマ人がラベンダーを英国にもたらし、中世英国ではさまざまな用途に使われるようになった。僧院では薬草として大切にされ、ロンドンの行商人は、ラベンダーが魔よけになるとか催淫剤だとかいって高い値をつけて売っていたという。また、ネズミよけとしては昔も今も重宝されている。
そして、第一次世界大戦では傷ややけどに消毒・殺菌として活躍。
ところで、最近、成長期の男の子(とくに10代前半)が、ラベンダーの精油に長時間触れていると、ホルモンのいたずらで胸がふくらんでくるという報告が科学雑誌に出ていた。まだ研究は続行中らしいが、精油の使い方はくれぐれも注意したい。
追記 この記事を読んでメールをくれた方が、一部の蝶はミントの香りを避け、モンシロ蝶はキンモクセイの香りを嫌う教えてくれました。
ペットボトルのお茶は別として、日本では緑茶離れが進んでいるということだが、トロントでは逆に緑茶人気は年々上昇中。このところ特に、フルーツのフレーバーや、ハーブをブレンドした緑茶ティーバッグがスーパーの棚にずらり。
ジャスミン、ミント、レモン+ハニー、ジンセン+レモン+ハニー、ざくろ、マンゴー+アサイー、ブルーベリー、アールグレー、洋ナシなどなど。Tetley社のティーバッグ緑茶シリーズは、容器がミニ茶筒といった感じでかわいいし、中身も24袋と少なめで初めて試すのにはちょうどよい。
緑茶を飲むカナダ人が増えたのは、やはりヘルシー志向から。カテキンが血中の脂肪やコレステロールを下げる、抗菌・抗ウィルス作用で虫歯、ピロリ菌中毒、インフルエンザなどの予防によい、緑茶をよく飲む人は関節炎になりにくい、骨のミネラル密度がよく保たれる…などの効果がテレビや雑誌でもよくとりあげられるようになったからだろう。きのこ類と緑茶をたくさん摂る女性は乳がんリスクが9割低いというスタディも発表されている。
アメリカの人気テレビ番組オープラ・ウィンフリーのトークショーに出演した学者が、「コーヒーより緑茶のほうが減量効果がある」といったので、一時は緑茶信仰ともいえるブームになった。肉料理にもスープストックの代わりに緑茶を使ったり、茶葉を加えたりするレシピが続々登場。緑茶バス(風呂)なんていうのも女性誌に掲載されていた。また、日本の煎茶や玄米茶に、ビタミンCが豊富だということもずいぶん有名になった。
トロントでは、以前から数多くあるチャイニーズレストランで中国緑茶を飲んだことのある人はたくさんいたはずだが、20年ぐらい前までは緑茶も単に「チャイニーズティー」と呼ばれることが多かったと思う。
緑茶→グリーンティーという単語が一般の人々の間にかなり浸透してきたのは、90年代、ジャパニーズレストランがトロント市内に急増してから。ジャパニーズレストランで出されるお茶や抹茶アイスクリームが人気を呼んで、グリーンティーというお茶のカテゴリーが定着したように思う。そして今では、日本茶より安く消費量も多い中国緑茶が至るところで手に入るようになった。Tetleyのグリーンティーシリーズもそのうちのひとつ。中国緑茶も日本茶とはまた違った味わいがあっておいしい。
日本の煎茶や玄米茶など好きなカナダ人もいるが、フレーバー付きの緑茶がトロントでよく売れるのは、北米育ちの人々にとってはどうもストレートの緑茶は物足りない感じがするとか、苦味や渋みが強すぎるとかいうことかららしい。それに、トロントに多く住む香港や台湾出身の若い世代、中東諸国出身の人々も蜂蜜や砂糖を入れた緑茶を飲む。苦味のある緑茶に甘味を加えたものには、フルーツなどの甘い香りをつけても、まあいけそうだ。
ブルーベリー風味の緑茶はバブルガム風味の緑茶みたいで、わたしはどうしても好きになれないが、ジンセン+レモン+ハニー緑茶、マンゴー緑茶、ミント緑茶はわりとおいしく、ミントは特に一時やみつきになった。ミントだけのハーブティーより、緑茶と一緒になっているものは青臭い感じが少なくマイルド。のど、お腹、頭もすっきりするので、長時間コンピュータに向かって疲れたときや、こってりした食事の後の一杯は最高だ。
カナダのオンタリオ湖畔にひろがるトロント市は、ナイアガラの滝から1時間半ほど北へ行ったところにあります。このブログをはじめた頃は、「世界170カ国から移住してきた約100民族が同居する都市」だったのですが、いまや200を超える民族が暮らす、ますます多国籍なコスモポリタンシティとなりました。
トロント住民の半分が外国生まれというだけあって、この街にはさまざまな言語や食文化に加え、各国に伝わる昔ながらの健康法や病気治療法、スピリチュアルヒーリング、神秘的なおまじない、占いなどがあふれています。⇒ 続きを読む(エスニックタウン紹介もこちら)
三藤あゆみ
★ Ayumi's セラピールム
トロントのレイキ/気功/指圧療法のセラピールーム発、心と体の癒しに関する情報や日々の雑感ブログ
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コラム:知ってた?カナダの有名人
(トロント日本商工会のサイト)