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街を歩いていると美人な女に話しかけられた。

別にタイプというわけではなかったが、俺は暇だったんだ。
そしてこんな良くも悪くも特徴のない俺に話しかける目的なんてアンケートに決まってる。

今回もそうだった。

女が渡してきた簡単なアンケートに答えるとボディーソープの試供品を渡された。
このプロモーションだったそうだ。

「美肌になってモテモテになろう!」というキャッチコピー。なんか陳腐だな。

陳腐と思っても「モテモテ」なんて書かれていたからちょっと気になって、夜使ってみた。 

よく効果が分からないが翌朝早いのですぐに寝ることにした。


翌朝起きると俺は試供品を渡してきた女に変身していた。 
今の俺は確かに美肌だ。そしてモテモテなのは間違いないだろう。ただし男性に。

どうしてこうなったのか理解できない。ボディーソープの効果なんだろうか。 
しかし体の構造も完全に女性になっている。


とりあえずあの女を探さなければ。

混乱しながらも俺は部屋に脱ぎ散らかしていた自分の服を拾い上げて着ようとした。 
シャツに頭を通そうとした瞬間、服に染みついている匂いがきつくて着ることを止めた。

どうやら嗅覚も女性になっているらしい。
女性からすると俺の体臭ってこんなにくさいものなのか...。 

俺はその中でも清潔な服装を選んできた。
明らかにサイズが違うし、男性モノなので、美人な女が着るにはとても野暮ったく映る。

俺は財布をつかんで外に飛び出した。

つづく 

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病室を出てみると廊下には人が溢れていた。
まだ面会時間中らしい。

宙に浮かびながら院内をぐるっとしてみようと思って、動き出した瞬間、ビンと引っ張られるような感覚がした。

何度か試してわかったが、どうやらある一定の距離からは離れられないようだ。

しかも自分の体に戻ろうと思って体を重ねても戻れない。そのうえ、体がどんどん透けて見える。

これ、消えると死ぬんじゃないか。

俺が慌てていると、看護師が部屋に来た。
年令は40才くらいだろうか。

とにかく考えてる暇はない。
憑依してすぐ抜け出せばいいだけだ。

俺はその看護師と体を重ね合わせた。

続く

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俺は思いきって鏡を覗き込んだ。

そこに写っていたのは、普段自分とはご縁がないような金髪の若い女性だった。

ご縁がない、と思ったのは、特徴的だったからだ。

化粧が濃くて、そして耳や鼻等にピアスがついてるからだ。

こういう女性のことをバンギャというのだろうか。そんな感じのする音楽が好きそうな感じの女性だった。

俺は30才のおっさんなのに、今の自分は17才くらいの女の子になってしまっている。

俺は混乱して鏡に向かって、頬をつねったり、あっかんべーしたり、得意のマントヒヒの物真似を思いきってやってみたが、合わせて鏡の中の女の子が同じ動きをする。

この子、絶対キャラ的にマントヒヒの物真似なんかしなさそうだな、女の子の格好とマントヒヒの顔真似のギャップに思わず吹き出してしまった。

冷静に体を見ると胸に起伏が少しあって、たぶん男性のオシルシもないんだろうな、と思ったが、知らない年下の女の子の体を触るのは憚られたので止めておいた。

外でけたたましくなっていたサイレンが鳴りやんで
我に返った。

やばい、俺の体がどこかに行ってしまう!

慌ててトイレの外に出た。

目の前では正に自分の体が救急車に担ぎ込まれようとしているところだった。

とにかく妹のふりでもして救急車に乗り込まないと、そう思って走り出したものの、慣れないサンダルのせいで思いきり転んでしまった。


いつの間に意識を失ってしまったんだろう。


起きると自分の体に戻っていた。というか一連の出来事は夢だったのか。ボンヤリそう思ったものの、自分は救急車で搬送される途中だったので、どうもそうは思えない。

検査入院ということでその日は病院に泊まることになった。

脇のテーブルの上には飲みかけの「憑依ドリンク」が置いてある。

まさかこのせいか。

もう一度試して見る価値はあるかもしれない。
というかまた別の人の体になりたいという欲求が自分の中に芽生えたようで止められなかった。


幸い、ここは病院だし、寝ていたら救急車で運ばれる、みたいなこともまずない。

少し緊張しながら、憑依ドリンクをゴクリと二口ほど飲んだ。

ふっと体が楽になり、俺はまたしても目の前に自分の体があるという変な状況になった。

からだから抜け出したようだ。


俺は周りを確認して外に出てみることにした。

続く

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