優しくて冷たい果実(後編)たけうちりうと手を伸ばせばはるかな海 崎谷はるひ

2005年02月01日

情熱の結晶 遠野春日

実業家(34)×秘書(29)

情熱の結晶
ゲンキノベル 2005年

情熱シリーズの4作目完結編。
このシリーズ1作目の「ひそやかな情熱」が最初に読んだ遠野春日だった。
これがまた・・・。

成功した青年実業家の遙は、ヤクザの親分の屋敷の奥庭のつくばいのところで、白皙の美青年佳人が、あらくれ男せっかんされているところに行き合わせ、浦島太郎よろしく「その男をもらいましょう」と言ってポンと1億の金を出して身請けする。
17歳のときから10年、親の借金のカタに親分の囲われ者になっていた佳人は、新しいご主人に三つ指ついて「ふつつかものですが」とか言ったりする。ちなみに時代は現代です。いちおう。
・・・そ、そんな話ってアリ?と問うのはBLというファンタジーにおいては意味がないが、こんな話を思いついて書いてしまう作家も相当ハラが坐ってる。

この遙っていう攻様が、極端に無口で無愛想、愛情表現が下手な明治生まれみたいな男。だけどけしてオレ様ではないし傲慢でもない。そこが救いですね。
そして佳人はどうしてそこまでというくらい「耐える女」なのだ。
亭主関白と我慢強い気丈な奥様、といういまどき珍しいカップル。

1作目でいちおうラブ関係になってからも、遙が無人島で誘拐されたりとか次々と試練が襲い、そのたびに愛を深めあう二人・・・というシリーズのフィナーレはいったい??と実はけっこう楽しみにしていた私。

出た! 記憶喪失。そう来ましたか。最終兵器ですね。
二人ではじめての温泉旅行に出かけた先で事故にあい、遙は自分の名前や仕事のことは思い出せるのに、この2、3年の記憶がない。つまり佳人のことがわからないのだ。
昨夜まで熱く抱き合っていたのに自分のことを忘れられた苦しみ・・・さっさと「私は恋人です」と言えばいいものを、思い出してくれるまで待つ、という気丈なヒロインの前に、昔の女がズカズカ乗り込んできたり、遙が何かを思い出そうとすると邪魔が入ったりと、どこまでもヒロインを悲劇のどん底に追い詰める。
・・・なんだかんだ言って私がこのシリーズから目が離せない理由がここに来てやっとわかった。
これは「ヒロインいぢめ」の話なのだ。昔の少女フレンド系のマンガによくあったパターン・・・刷り込まれてるなあ私。

最後は記憶を取り戻しハッピーエンドになるのはわかりきっているのだが、だからこそヒロインの悲劇が安心して楽しめるのである。



bokaboka3 at 00:00│Comments(0)TrackBack(0) 遠野春日 

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