病院の未収金と応召義務の問題、難しいですね・・初めから踏み倒すつもりの確信犯の場合に、どう接するのがベストなのでしょうか。人道上の観点から応召義務を言うのであれば、費用についての公的な補償制度がないのも不思議と言えば不思議です。昨年6月に行われた「第7回医療機関の未収金問題に関する検討会議事録」からです。



○木村委員 「応召義務の解釈」のところですが、医療関係者の方では、悪質な未払い患者に対する応召義務を検討すべきでないかという意見があった、というふうになっているのですが、それに対して厚労省からは、「医療費の不払いがあっても直ちにこれを理由として診察を拒むことができないとの見解が示された」ということで終わっているんですが、今後どうする。これで終わりで、もう応召義務に対しては、不払いがあっても直ちに理由として拒むことはできないということで見解が示されましたということで終わっちゃっているんですが、我々としては、なかなかこれは、ああ、そうですかといかないというか、未払金を事前に防ぐという意味から、また、最近問題になっています院内の暴力の問題とか、いろいろなことがあるんですけれども、こういう患者さんに限っていろいろなトラブルを起こしてくるわけでありまして、ですから、一応、もちろん絶対見ないとかいうわけではないんですけれども、「直ちに診療を拒むことができない」ということだけで終わっちゃっていいのかどうか。もう少し更に、今回は本筋から外れるということでありますれば、更にどこかで検討するとか、今後の検討が必要ではないかということを少し入れるとかしていただかないと、このままですと、医療費の不払いがあっても、これを理由に診察を拒むことができないというだけで終わってはちょっとまずいのではないかというふうに。全日病の考え方ですけれども。
○岩村座長 この点については、厚労省サイド、お考えがありましたらお願いしたいと思います。
○栗山医事課長 応召義務ですけれども、何度か御説明しているとおり、これは社会通念に基づいて判断するということですから、社会常識として、支払いがない場合は診療に応じなくていいというのが世間の常識として定着しているということであれば、そういうことなんでしょうけれども、そこは不払いの状況を個々具体に見ないと、なかなか判断できないと思いますし、先ほど言われたように、院内で暴力云々という話がありますが、それは診療を拒む正当な理由ということで、暴力行為をするとか、そういうのは当然あると思いますけれども、それは、未払いであるということとは一応別な理由で診療を拒むということになるんだと思います。
○木村委員 厚労省としては、当然ここのところで不払いがあったことが診療を拒む理由にできるという見解を示すことは当然できないとは思うんですよ。ただ、ここで私が言っているのは、見直しを検討すべきではないかという意見があったということで、それに対して、こういうことはできないという見解を示されたということで終わらないで、今後何かの形で検討するという場をつくるとか、検討するということを何か残していただきたい。
是非そういうところで更に検討したいと考えています。
 ですから、医療費の未払いを理由に応召義務から外れると診療を拒むことができる場合があるということは、当然ここに書くことはできないし、それは許されないと思いますけれども、検討すべきだということを言っているわけですから、それに対して、拒むことはできないという見解を示されただけでなくて、更に検討を更に進めていただきたい、更に進めるということをどこかに残していただきたいという希望です。
○岩村座長 栗山課長、お願いいたします。
○栗山医事課長 これは、要するに、検討によってそれをどう解釈するかという問題ではなく、社会通念上、そういうことが是認されるかどうかということなので、検討会によって、もしそういうことであれば、法律上、こういう条項はなくそうとか、そういうレベルになってくると思うんですね。そういうことまで求めるのかということなんですけれども、それは今は、検討することもできないというのが我々の立場であるということです。
○岩村座長 私自身の考えとしては、応召義務の問題というのは医療制度の根幹にも関わる問題でありますので、木村委員もおっしゃったように、そう軽々に議論ができることでもなく、今回のこの検討会の中で、応召義務についての議論もあり、今回の報告書の中での取りまとめという形で、こういうやりとりを記録に残すと。あと、それから、木村委員からの御発言にもありましたように、医療関係者の方からは、検討の場を設けてほしいという要望があったということと、厚労省側としては、それは困難であるということのやりとりというのが議事録に残るということで、この点については御了解をいただければと思うんですが。畔柳委員どうぞ。
○畔柳委員 実は、前回の議論のまとめであるとしていただいた文章を直してみようと思って考えてみたんですが、どうもうまく直せないんですね。ところが、今回は前より悪くなっているという印象を受けます。前回は要するに、関係者からそういうことを検討すべきだという意見があったということになっているわけですね。それに対して河上先生の議論があり、その後、それはなくなったということで、結果的に要望があり、厚生労働省からは、従来どおりの解釈が示されたという形になっているんですね。私はこの文章で構わないんだと思うんです。
 ところが、ここに、今回見ますと、「医療費の不払いがあっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない」という一文が付いているんですね。一見サービスしているように見えますが、これはよけいなことじゃないかと思うんです。むしろ、私は、この文章を残すならば、判断すべきものであるとの一般的見解が示されたということで、両者の言い分がすれ違いになっているということだけ、ここで挙げておけばいいんじゃないかと思うんです。実際は要望には答えておられないし、もともと問題提起が答えようのない質問なんですね。ということをちょっと申し上げたいと思います。
○岩村座長 河上委員どうぞ。
○河上委員 前回少し話題になったところなんですけれども、医療機関といえども慈善団体ではないし、実際に契約の当事者として登場したときに、相手方が全く代金を払わないということを言っているのに、なお給付をしないといけないということを要求するのは、常識的に考えておかしいことではあるわけです。
 ただ、その給付の中身というのは、非常に生存に関わるし、重要な社会的な給付であるということを考えれば、例えば水道とか電気とか電話とか、そういうふうなものと比べると、更にストップをするというときには慎重な配慮が必要だというだけの話なんだろうと思います。
 ですから、この書きぶりは「直ちにこれを理由として診療を拒むことができない」ということなんだけれども、それ以上の要素が加わってくると、場合によっては診療を拒むことができるという含意が含まれた書きぶりだというふうに私は読んだのです。ですから、その意味では、厚労省の見解そのものはそんなにぶれてはいないという感じはいたしました。
 もしその部分をはっきり書くのであれば、直ちにはこれを理由として拒むことはできないが、ケースに即した慎重な判断が必要であるということを改めて書いておくという程度でいいんじゃないかと。厚労省が必ずやれというふうに言っているわけではないということだと思います。
○岩村座長 いろいろ御意見ありがとうございます。余りこの場でごちゃごちゃ言うとややこしくなるんですが、1つは、先ほどの木村委員のお考えに余り適切なお答えにはならないんですが、叙述の順番を逆にしてはどうかというのが一案かと思います。最初に厚労省の見解を述べて、これに対し、医療関係者からは検討すべきではないかという意見があった、というふうにしておくということで、医療関係者の方々の御意見というのはもう少し目立つ形になるかなという気がいたします。
 それから、畔柳先生の御指摘も分かるんです。ただ、やはり厚労省の見解についての書きぶりのポイントは、医療費の不払いがあっても直ちにこれを理由として診療を拒むことができないと。要するに、あくまでも個々具体のケースの判断ではあるんだけれども、医療費の不払いだけで拒むことはできないけれどもという、今、河上先生がちょっとおっしゃったような含意が入っているということもありますので、ここはこのまま、余りできのよくないという畔柳先生の御評価ではありますが、残させていただければと思いますが。
○畔柳委員 私もいろいろいじくってみたんですが、元々質問が無理なので、そんなにいじらない方がいいのかなと思ったということで、他意はありません。座長におまかせします。
○岩村座長 ありがとうございます。ですので、もしよろしければ、叙述の順番を逆にしてみて、厚生労働省の立場というものを書いて、あと、医療関係者側の御意見というのをそれに対するものとして書くという順番にさせていだだければと思いますが、その方が落ち着きはいいかという気がしますけれども。山崎委員どうぞ。
○山崎委員 ここのところは、「直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない」という書き方じゃなくて、直ちに救急救命行為を必要としている状態とか、そういうふうな例示を書いて、それは拒めないというふうに書くことはできなんでしょうか。
○岩村座長 恐縮ですが、栗山課長の方。
○栗山医事課長 救急救命行為が必要な場合は拒めないというのは、それ自体はそのとおりだと思いますけれども、ここではどちらかというと一般的にどうかということを問われているので、そのときの説明としては、こういった表現の方が適切ではないかと思っております。
○岩村座長 なかなか難しくて、山崎委員のおっしゃる趣旨も分かるんですが、他方で、うっかり例を挙げると、反対解釈されて、それ以外はいいんじゃないかというふうに読まれてしまう可能性もあったりとかして、非常に微妙な問題かという気がいたします。所管課の方でかなりそういう意味では慎重なお考えを示されつつ、やや含意のある書き方で御了承いただいているんだろうと理解しておりますので、医療関係者の方々はいろいろお考えはあろうかと思いますが、当検討会の報告書というところでは、この書きぶりということで御了解いただければと思います。




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