現在の臨床研修医制度の問題点について、m3.comのインタービュー記事で山形大学医学部付属病院長の山下英俊先生が貴重なご意見をおっしゃってました。下記に一部を抜粋します。



今の制度で問題なのは、総花的に様々な研修を取り入れたプログラムになっている点。皆に、「2年間、必ず幕の内弁当を毎日食べなさい」と言っているようなものです。毎日、総花的なことをやらされていたら、「自分は何のために今、この科で研修をしているのか」、研修の目的がはっきりしません。研修医たちが今、一番、悩んでいるのはこの点です。

 医学生の時代には、「将来、こんな医師になろう」といろいろな本を読んだり、先輩たちに話を聞いたりしています。しかし、今の研修制度では、医学生時代に描いた目標が直線的に実現の方向に向かわない。「将来、これは役に立つ」という意味づけがはっきりしていれば、つらくても一生懸命研修します。自分でイノベートさせていくものです。

 しかし、今の研修制度は“横並び”でプライマリ・ケアをやらされているわけです。確かに将来の自分の専門とは関係ない分野を学ぶことは必要ですが、医学部時代に、CBT・OSCE(共用試験)で総合的な知識を問う試験をやっています。臨床実習でも各科を回ります。さらに今の国家試験には問題はありますが、あらゆる分野を浅く広く勉強するという担保はなされています。

 それなのになぜもう一度、臨床研修で総花的な研修をやらなければならないのでしょうか。人によって食べ物に好みがあるように「私はこれをやりたい」と言ったら、それに合わせたプログラムを提供すべきでしょう。よく言われることですが、「私は昔、臨床研修で1カ月産婦人科を勉強しました」という医師に、お産を任せることができますか。

 医師になって最初の2年間は非常に大事な、クリティカルな時期。感受性、吸収力、そして向学心に優れる。しかも元気。その時期に、知識や技術だけではなく、医師としての倫理感、人生観もたたき込まなければいけない。こんな大切な時期に、目的もなく「グルグル」、短期間でいろんな科を回る。結局、将来の目標がぼやけてしまい、落ち着いて勉強している実感がなく、だんだん無気力になってしまうのが現実です。

 教える側も目的がはっきりしていないから、何を教えていいのか、分からない。お互いに目的が分からないのに、「研修プログラムがこうなっていますから、一緒に研修しましょう」というのでは、モチベーションは下がるばかりです。





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