早見 俊のボン人日記

時代作家の平凡な日々を綴ります。

映画やドラマ、原作がある場合、主人公を演ずる役者が原作の小説や漫画のイメージと違うという
声をよく聞きます。
かつて、007シリーズの原作者イアン・フレミングは映画化の際、ジェームズ・ボンドをリチャード・バートン
かケーリー・グラントに演じて欲しかったそうです。二人とも当時の大スター、フレミングとしては有名俳優を
望んだのでしょう。
実際は御存じ、ショーン・コネリーが演じました。当時コネリーは無名に近く、制作者ハリー・サルツマンと
アルバート・R・ブロッコリが抜擢したのです。既にベストセラーとなっていた007シリーズ、サルツマンとブロッコリはスターがボンドを演じるのではなく、ボンドがスターを作ると考えたのでした。あるいは、ギャラの問題であった
かもしれません。
ともかく、抜擢に応えてコネリーはボンドを好演、ジェームズ・ボンドといえばショーン・コネリーというイメージが定着し、今日でも、演ずる役者はコネリーと比較されてしまいます。
日本で横溝ブームが起きた頃、金田一耕助を石坂浩二が演じました。石坂浩二以前、片岡千恵蔵や高倉健といった二枚目が演じ、原作とは違って、びしっとスーツを着こなし、スポーツカーを運転したりしています。
市川昆監督によって初めて原作通りの金田一耕助が映像化されたのです。
当時、横溝正史と小林信彦が対談し、小林信彦から誰に金田一を演じて欲しいか問われた横溝正史は
渥美清 と答えています。
大横溝は金田一を二枚目には演じて欲しくなかったそうで、渥美清のことは昭和40年、NHKで、自作「人形佐七捕物帳」がドラマ化された際、佐七の子分豆六を演じたのを見て好印象を持ったそうです。(ちなみに佐七は松方弘樹)
大横溝の希望が通ったのかどうかわかりませんが、松竹で映画化された。「八つ墓村」で渥美清が金田一を
演じていますね。ただ、この時は現代に舞台を脚色したため、渥美清は金田一のような着物に袴ではありません。原作通りではないのですね。
人気作品であるほど、原作と映像のイメージにはギャップが生じるのかもしれません。

第六回、歴史時代作家クラブのシリーズ賞を受賞し、授賞式とパーテイ
に出席しました。
自費出版出身の物書き、賞とは無縁であり、今後も縁がないだろうと思って
おりましたので、受賞を知らされた時は驚きから戸惑いを経て喜びとなりました。
で、いざ、授賞式の会場に出向きますと、仰ぎ見るような作家、評論家の方々、
煌びやかな金屏風に小心者の私は足がすくんでしまいました。
ひたすら書き続けてきたご褒美かとありがたく賞を頂き、大勢の皆様の祝福に
感謝しました。
パーテイー後はシリーズ賞となった。「佃島用心棒日誌」シリーズの版元、角川さん
の主催で二次会。
で、宴の後は厳しい現実です。
書き続けられるよう仕事に一意専心。

受賞しましたのは、

居眠り同心影御用シリーズ 二見時代小説文庫
佃島用心棒日誌シリーズ  角川文庫

です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

何年か前、評判の大衆酒場に通っていました。
人気店であるのも納得、安価で迅速、しかも美味いとあっって五時半を過ぎると、
お隣とは膝寄せ合い、六時を回ると、まず入れない繁盛店です。
ある日、勘定を済ますと、ずいぶんと高いなと思いましたが、ともかく支払いを済ませ
店を後に。
懐寒く、小度量の私は道すがら自分が頼んだ品を計算し、明らかに勘定間違い、
隣のカップル客と間違えたのと気づきました。しかし、そこは小度量以上に小心の私、
抗議して気まずくなって、二度と行けなくなったらと思いそのまま帰りました。私一人ですから
誰に迷惑かけることもありませんし。
しかし、狭い了見の私ですから、ぐちぐちと根に持ち、しばらくはその店に行きませんでした。
それでも、行きたくなって一月ほど後に顔を出し、普通に飲み食いしました。
で、レジに行き勘定を求めると、随分と安いのです。
いや、これも頼んだし、これも飲んだしと言うとレジの店員さんはにっこりしてうなずき返しました。
この前の勘定ミスを補ってくれたのだと思い提示されたままに勘定を払いました。
その金額が間違いの金額と同額なのかどうかはどうでもいいことです。
小心者の私はそのお店で名乗ったことも店員さんと親しんだこともありません。
世知辛い世の中、ほのぼのとした気分に浸りました。

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