2010年02月28日

ベーシックインカムの前にやるべき普通のこと

堀江氏フランスの日々の人との間でベーシックインカムについてのやりとりがなされている。
一見喧嘩しているようにも見えるが、生産性を大して高めない労働の価値を見直すべきだという見解は両者とも一致している。ベーシックインカムの実現可能性と実現に向けてのプロセスに相違があるわけだ。


ベーシックインカムが制度として実現可能かと言うと、ただの決めの問題なわけで、可能である。財源も単純化すると二つしかない。所得税の増税か国債の増発だ。
日本の場合、所得税には増税の余地があるし、ユーロ圏の様に財政規律が制度上厳しく制限されているわけでもない(いざとなればゼロ金利赤字国債である政府発行貨幣も可能)ので、強権が発動されればむしろヨーロッパよりも導入は容易にも思える。しかし、日本の財政と、日本人の税に関する考え方の未熟さを考えると、新しい再配分制度に至る思考転換とチェンジマネージメントのステップを飛ばすことはできない。


国債増発や政府発行貨幣による財源の解決について、楽観派は国債が国内で消化されていることを根拠に、破綻はあり得ない、どんどんやれと宣う。(Wikipediaの貨幣発行益の項目書いた奴、アホだろ)永久に自転車操業ができるならば理論的に国家財政は破綻しないが、それは国債ないしは貨幣の引き受け手である銀行、ひいては個人預金があってのことである。貯蓄率の低下が始まっている上に、利息で税収が食いつぶされている現状に目を向ければ愚論であることは明白だし、こんなことを言うケインズ派のバカ学者の言うことには一言も耳を貸してはいけない。
次世代からの「前借り」は、現状がゼロであるならばベーシックインカム導入を前提に検討に値するが、日本にとっては論外である。


増税の場合はどうか。その前に日本人が日々不満をたれている生涯負担について、その感覚が妥当なのかをヨーロッパを例にとって考えてみる。
僕が住んでいるフランスとドイツの税制と社会保障は似通っているので、大雑把に列記するとこうなる。

・消費税は20%弱、食品等の軽減税率で5%強。国家財政の約半分は消費税でまかなわれている。
・消費税は生産者から最終消費者に渡るまで、付加価値が付く毎に課税され、最終消費者以外は徴収した税と支払った税をインボイスで相殺できる。日本も建前はそうだが、タックスインボイスが確立していないため、取りっぱぐれと不公平がある。
・独身の場合、収入の半分は所得税と社会保障費で持って行かれる。日本に比べてかなり重い。
・社会保障は名寄せされた番号で管理されている。税は個人に毎年発行されるステータスカードが課税の根拠になる。
・法人税は日本よりも低い。また、起業家に対する税モラトリアムがある。
・医療と教育は基本的に無料。育児手当も手厚い。
・失業保険と生活保護を組み合わせることにより、長期にわたる失業状態でも生きていける。
・国家財政と医療・年金財政は問題はあるものの、日本より健全。

日本に比べ、個人の負担が大きく、個人に収入をもたらす企業の負担は軽いことがわかる。
ドイツの政権与党(しかも最近選挙が行われた)が打ち出した所得税減税政策に対して、ドイツ国民の大多数はなんと反対している。この減税は決して金持ち優遇というわけでもなく、一般の給与労働者への恩恵が高いにもかかわらずである。個人の税負担減よりも、財政赤字が拡大して社会が回らなくなってしまうことを危惧しているのである。この想像力と、自分たちの力で国を動かし、制御しているという成熟した社会感覚は、一朝一夕には真似できないにせよ、日本人は見習うべきである。
制度も民度も、ここまでできていているヨーロッパが、ベーシックインカムを導入できないという現実を軽く見るべきではない。


公平性の高い消費税の増税と制度のスリム化、徴税コストの全般の削減を行うこと、これはベーシックインカムを導入する前に来る「普通」になるための施策である。これを行った上で再配分の指向をウェイト型からフラット型へ梶を切るのがベーシックインカムであり、所得税の増税を財源に給付額が決定されるというプロセスである。
従って税負担増をハナから頭に入れていない堀江氏の論拠は貧弱といわざるを得ない。

僕は両氏ともに好きなので、無駄な嬲り合いはやめて欲しい。

booboowambo at 10:37コメント(1)トラックバック(0) 

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コメント一覧

1. Posted by 鉄平   2010年07月26日 14:32
4 そろそろ更新お願いしやす

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