八ヶ岳山麓のカラマツ林は、もうすっかり黄葉している。
風が吹けばその黄金色の糸のような葉が舞うことだろう。
それに対峙するように、白州町の山・甲斐駒ヶ岳も前山の雑木林は黄色から橙色に輝いている。

甲斐駒

甲州街道沿いの台ケ原宿を中心とする白州町は、紛れもなく甲斐駒文化圏だが、釜無川を越えたわが花水地区は地形的には八ヶ岳山麓の最も下、外れに当たる微妙な場所だ。
甲斐駒方面の南アルプスのサルたちは、山際に作られた金網と20号線、尾白川と釜無川と言う障害があり、花水地区までは入れない。
わが山小屋に来るサルやイノシシ、シカは八ヶ岳山麓を住処とする動物たちだ。
この間又やってきたサルたちは、カキやイチジクを食い荒らし、嵐のように去った。
我が家の屋根に上がる若猿にはカラタチの丸い実を投げ追い払ったが、そのコントロールの無さにあきれ返ったかもしれない。
もう少し前だったら、アケビの実がたくさん食べられたのに。
サルたちは、甘くないカキは一口だけで放り出す。
道に落ちたクルミの実も、鋭い葉で割って食べるのだろうか。
クルミの木の下に集っていたが、小生が近づくとやがて去った。

我が家の秋は、カツラの黄葉から始まる。
それに沙羅(夏椿)とナンキンハゼが混じる。
その後、真っ赤に紅葉したウワズミザクラが落ちてくる。
やがて我が家の守り神・カシワの大樹が黄みを帯びた葉を揺らし始める強風が吹けば、カツラもナンキンハゼもサクラも一気に全ての葉を落として、冬の裸木となってしまう。
玄関先はカツラの落ち葉の香ばしいような甘い香りに満たされる。

カシワ庭



この頃には雑木林のコナラやクヌギの黄葉も深まり、マンサクやトチの木の大きな葉も色づいて、青空に良く映える。

トチノキ


しかし、紅葉の華は、カエデ科カエデ属の紅葉だ。
26種あるカエデ属を持つ日本は世界有数のカエデ産地、カエデ王国と言える。
「モミジ前線」もある日本のモミジは、歴史的に見ても、サクラと並ぶ日本美の象徴となっている。

日本庭園でも常緑の松と、新芽と花時の春と紅葉の秋を愛でるモミジ(カエデ属)は、庭の中心となる。
一昔前、若狭の一乗谷で発見された朝倉家邸の庭園跡を見たことがある。
この豪放な岩組のある廃園の見どころは、空き地となった池畔に立つ巨石とモミジ(イロハモミジ?)の大樹であることは明らかだった。
庭石と一本のモミジ巨樹(一本楓)がこの庭の格調を語っている。
朝倉家の城下町がどう復元されたか…もう一度行ってみたい。

我が家のカエデ属は、ヤマモミジの園芸種(名月?)、イタヤカエデ、ウリカエデ、トウカエデ、コハウチハカエデ、ハナノキの5種だけだが、若いトウカエデがもうこんなに太い幹になり、落ち葉も多い。

カエデ属
トウカエデ







紅葉の色付きの変化や美しさは、葉の形はモミジ葉とは言えないが、ハナノキが一番だろう。





ハナノキは長野県南部から愛知県、岐阜県、滋賀県の一部の湿地に生えるカエデ属だが、その名のように春の花も赤く美しい。

ハナノキ

メープルシロップの採れるサトウカエデ(カナダ産)や葉のきれいなメグスリノキ(これも縁のなさそうな葉の形だが、カエデ属)も植えたいが、もう場所がない。
何しろ、カエデ属の木は他の木陰に入ると、すぐ枝を枯らしてしまう。
狭い庭ではイカントモシガタイのが難点だ。