図書館のねずみ

南アルプスの伏流水を使った香り高い珈琲を啜りながら、じっくりお気に入りの本が選べる本好きのためのささやかなサロン、ブックギャラリー&カフェ風信。現在は店舗移転の為、日々奮闘しております。書店では扱っていないような古書、絶版文庫を集めています。

2009年10月

1000年の山古志

10月23日は中越大震災の日、当日はからずも橋本信一監督のドキュメント映画「1000年の山古志」(中越大震災と闘った小さな村の物語)を見た。
(シネマ・ジャック&ベティで11月6日まで上映中)

1000年の山古志


50年前なら日本列島のどこにでもあった、里山の棚田の広がる風景。
それがいつの間にか、どこにもない風景になってしまった。
昭和30年代後半からの高度成長期(いやな言葉に成り下がったものだ)から、まず、都市近郊の田園は壊され、山村は過疎化が進み、日本の農政の貧しさから田んぼの耕作放棄も進んでいった。
イギリス人があこがれた東洋日本の良く手入れの行き届いた田んぼの広がる風景が、たちまち滅んでいく。
産業革命で同じ道をたどった英国が、田園の美しさに気づいて復活させていった時代に、日本では目の前に美しい農村の風景を壊していった。

その日本の原風景と言われる棚田の風景を残している山古志村が、中越地震で全村崩壊の危機に立つ、5年前のこの日。
ただ稲作だけの山村だったら、耕作放棄地の広がる荒れた風景(いまやどこにでもある風景)になってしまっていたであろうが、山古志には他の山村にない牛飼い(闘牛の伝統)、錦鯉の養殖と言う強みがあった。
これによって人びとは村の風景を守ってくることが出来ていた。
この棚田と家々が、牛が、錦鯉が、ほとんど地震でつぶされてしまったのだ。
家族同様の牛が落ちてきた屋根でつぶされても、救い出すことが出来ない。
農家の人たちの悲しい声が胸を打つ。
全村民の避難によって、死んでいった鯉たちも悲しい。
この地震後の4年間の復興の記録が、この映画。

圧倒的被害を受けた人々がどうして村を立て直していくのか、村の祭は復活できたのか、伝統ある山古志の闘牛はどうなったのか。
このドキュメントがそれを伝えてくれる。
1000年の歴史を秘めた日本の山村がどう立ち直っていくのか。
地盤のもろい山古志の裸の崩壊地が元の緑に戻るのは相当の年月が必要だが、人々がこの地に残ることが出来れば、また、美しい田園風景を取り戻せるはずだ。
10年後、20年後の山古志村(今は長岡市だが)に注目していきたい。

イギリス人の田園好き、カントリーライフの楽しみを描いた「イングランド田園賛歌」が今週のお薦め本。

イングランド田園賛歌

Bunraku in Yokohama

19日は年に一度の県立青少年センターでの文楽公演の日。
今のところ横浜で文楽を見られるのは秋のこの日だけ。
(数年に一度位は県民ホールで行われることもあるがこれは例外)
去年の公演のことは前にも触れたことがあるが、新しい本も入手したのでもう一度ご紹介したい。

ユネスコの無形文化遺産にもなっていることだし、(大夫)豊竹嶋大夫、(三味線)鶴島清治、(人形)吉田簑助という現在見ることの出来る最高のメンバーで(うち二人は人間国宝)、比較的低料金で本格的な公演が見られる絶好のチャンスだ。

学生は千円で見られるので、特にオススメ。
多分当日売りも少しあると思う。

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今回の昼夜二回公演の演目も、「本朝廿四孝」、「絵本太巧記」という代表作が選ばれている。
他に、切られることになった柳の大木の精の悲しみを描く幻想的な
「三十三間堂棟由来」
紀州道成寺の安珍・清姫の激しい恋を描く
「日高川入相花王」
も見られる、見所満載の一日だけの公演。

初めての人も、太棹三味線と義太夫の語りが始まると一気に舞台に引き込まれてしまうことウケアイ。

三百年つづいた芸の力。
舞台美術も洗練されていて見事。
浜松門左衛門の脚本や人形の首(かしら)、人形遣い名人の芸もがあって、陶酔の二時間半。当日、風信は定休日なので午前中は「1000年の山古志」(ドキュメント映画の秀作)、午後は文楽どっぷりの日に。(二公演五時間!)





おすすめの本は、この文楽の魅力に戦前からとりつかれた写真家二人の作品。
土門拳と三村幸一。

土門は昭和16年から18年まで、黄金時代の文楽を六千枚のフィルムに残したが、本としては実現できなかった。

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昭和47年に写真集「文楽」刊行(駸々堂出版)
戦前に人形たちのカラー写真も撮っていて貴重!

三村は偶然、捨てられそうになっていた阿波の人形の首を見てから、文楽を撮りつづけている唯一無二の写真家。

昭和41年刊の「文楽」(集英社)

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49年刊の「文楽の魅力」(淡交社)

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この二つはこの人のカラー写真による。

文楽の出版物にはこの人のカラー写真(舞台・人形)無くしては考えられないほど。
他に「文楽の首の研究」の大冊や「文楽人形図譜」(宮尾しげを著)等の高価な専門書もあるが、一般的には文楽や人形を取り上げた「人形師天狗屋久吉」の戦前に書かれた三つの中編小説。
いづれも文庫本になっているので入手しやすい。

織田作之助「聴雨・螢」所載(ちくま文庫)
「人形師天狗屋久吉・刺す」(集英社文庫品切れ)


横浜オクトーバーフェスト2009

「横浜開国博」が目標の25%以下の有料入場者数という散々の結果で9月末で終わると、(しかも結果発表の議会時には、最高責任者の市長も副市長もいないというお粗末さ)今年も、音楽や食の祭典がまとめてやってくる。

金曜日から始まった「横浜オクトーバーフェスト」と土・日に開催される「横浜ジャズプロムナード」、今月中の「横浜アジアンウェーブ」などだ。

ジャズプロムナード


アジアンウエーブ



大人の楽しめるものがない開国博に2000円も出さない庶民のフトコロも、ジャズやビールには数千円出してもかまわないと言うことだ。
先月開かれた「ジャパンビアフェスティバル」では120以上の日本の地ビールが試飲できて、前売り3800円、当日4300円(先着800人に記念試飲グラスつき)。
高いか、安いか?
「ラ・マシーン」だけではお金は出せない。
しかも、開催前日に無料で日本大通を歩いて見せているし・・・。
隣の歩道橋からも「ラ・マシーン」は丸見えだし。

ところで赤レンガ倉庫とその前の大テントで18日まで開かれている「オクトーバーフェスト」、秋の行事としてすっかり定着して、お客を集めている。
本場のミュンヘンとは規模が違うとしても、同様の雰囲気が楽しめてビール好きにはたまらぬ魅力。
天井の高さ、音楽、人びとの集う騒音、ジョッキで飲む生ビール、ビールにはプリッテルとドイツのソーセージとくれば、ほら、よだれが・・・。

オクトーバーフェスト


ドイツでは、町のホテルや駅など人の集まる中心には必ずビアホールがあって、ビールを楽しんでいる。
ブレーメンでは、有名な世界遺産の市役所にもビアホールがあるそうだが、一度行ってみたいもの。
また、ビール醸造所にはビアホールが併設されているのが普通のことで、出来立てのビールが楽しめるのも魅力。
ドイツでは、500人、1000人規模でないとビアホールとは呼ばないそうだが、ちいさな穴倉のような半地下のビアレストランも楽しい。
各地の地ビールも楽しめるし。

日本のビール造りも、ビアホールも発祥は横浜なのだから、一つや二つの歴史のある大きなビアホールくらいあってもよさそうなものだが、ない。
不思議だ。
明治後期に東京・新橋から広がったビアホールは、昭和初期には大流行していくようだ。
現在の横浜はブルワリー併設のビアホールが2つあるだけ。
少し寂しい話で、今回はこれまで。
ビールインヨコハマの歴史は、また次の機会に。

月餅を食べながら名月を賞でる

10月1日はコーヒーの日だった。
コーヒー豆を安く買えてやっと気がついた。
インドのコーヒーを購入。
少しフルーティーで飲みやすい豆だが、、メニューに載せるのは無理か。

今月3日は「中秋の名月」。
雨が仲々止まず、今夜は無理かと思われたが、雲間から見事な月を見ることが出来た。
同日の秋の野毛大道芸は雨にたたられ時間を大幅に遅らせて始まったが、スタッフもこの天気に大変なことだ。
今日は、大丈夫だろうと思うが・・・。
この大道芸、近年、やたらと音楽ばかり大音響で、お笑いと派手な扮装ばかり目立つ芸が多く面白くない。
初期に見られた緊張感の張り詰めた芸は消えてしまった。
残念。

ところで、中華街では」中秋節でにぎわっていることでしょう。
今年は建国60周年の国慶節もあって、一段と華やかな様子だ。
中国の中秋節は正月と並ぶほど大事なお祭になっている。
日本ではススキや秋草に供えるのはサトイモなどの混載や秋の果物、そして団子などだが、中国では月餅だ。
それもハスの実を使った餡に塩漬けしたアヒルの卵の黄身が入っていて、半分に切ると満月のようで美しい。
中秋節だけの特別な月餅を中華街で味わえるのはうれしい。
ふつう、この少し大きめに作った月餅をご先祖にお供えして、家族に切り分けていただくようだ。

この龍の踊りも飛び出した中華街の歴史をまとめてみることが出来る展示が、今、開港資料館で開かれているので、興味のある方はどうぞ。

横浜中華街150年展ポスター


ヨコハマ開港と同時に始まった中華街の歴史も150年。
日本人と欧米人を繋ぐ役目を担ったのはこの人たちだった。
日本にやってきた欧米人が、日常を普通に生きていくにはなくてはならない架橋の人たちの様々な仕事、この集積が中華街を生んだ。

ハスの実を使った月餅の他にも色々なお菓子が楽しめる。
木の実やカボチャのタネ、キンカンの砂糖漬けなどいっぱい入ったもの、プリンやタルトのようなもの。
白ゴマや黒ゴマで飾られたお団子も味わえる。
関帝廟をお参りしてから、市場どおりの中国食材を見ながら、飲茶を楽しみたい。
お帰りは月餅をお土産にして。
最近は中国茶を飲めるお店も多いし、寄り道には事欠かない。
「もっと知ろう中国茶inヨコハマ中華街」イベントは、今月いっぱい開かれている。

今月は中華街マンスになりそうな気配。
中華街についての本もいくつもあるが、別の機会に。
とりあえず、この1冊。

中華街オフィシャルガイド
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