図書館のねずみ

南アルプスの伏流水を使った香り高い珈琲を啜りながら、じっくりお気に入りの本が選べる本好きのためのささやかなサロン、ブックギャラリー&カフェ風信。現在は店舗移転の為、日々奮闘しております。書店では扱っていないような古書、絶版文庫を集めています。

2009年12月

1年の総決算、「有馬記念」

今年もとうとう有馬記念の日となった。
本日で当店もお休みに入ります。
年始、お正月は5日から営業いたします。

この最後のG1レース(54回目)には、2・3日前からゴール前の良い席を求めて並ぶ人がいる。
また、年末の歳末宝くじ代わりにこのレースだけを買う人もいて、お祭騒ぎだ。

有馬温泉の女将はテレビでこのレースを予想していた。
今年は最年長8歳の古馬エアシェイディを一着づけにする大胆なもの。
エアシェイディともう1頭の地方競馬出身の8歳古馬コスモバルクと組み合わせれば1800倍の超万馬券・オジサン馬馬券となる。
1歳若い13シャドウゲイトとあわせればナント3000倍馬券の誕生となる。
しかし、今度の有馬記念、大混戦とはいえ、去年3着にもぐり込んで万馬券を生んだエアシェイディが8歳になって、いかに好調だとは言え・・・いや、0,001%くらいはありうるか。

例年このレースでお年玉や帰省の旅費を確保したい人、正月の懐を温かくしたい人たちで溢れるが、今年の有馬記念は難しく、当てる人はかなり少数と思われる。
これで負けると、当日最後の阪神ファイナルレースへ。
これでも負けると、12月29日の公営競馬・大井の「東京大賞典」へ。
これに外れると帰省はオジャン。

正月も元旦から始まるという川崎競馬になだれ込んで・・・。
2・3日は箱根駅伝を応援しながら、ヒマを見つけて川崎大師に初詣観戦となる。

普通ここまでしないと思いますが・・・。
こうなると、もう5日の正月金杯レースが待っている。
これから有馬までの1年はアッという間。

今週のお薦め本は
馬好きで、サラブレッドの骨格まで知りたいという勉強家には
1.「サラブレッド」野村晋一(新潮選書 昭和30年刊 絶版)

サラブレッド



グリーングラス、カブラヤオ、ナイスネイチャ・・・引退した馬たちのその後を知りたい人、牧場でかつての名馬を見たいという人へ
2.「How do they live now?」(あの馬は今?ガイド)(アスペクト 1997年刊)

How do tyey live now




正月から京橋のフィルムセンターでは日本映画の名作を英語字幕付きで公開するが、(鑑賞券各500円)、同時にフランス映画を中心にしたフランスのオリジナルポスター展も開催します。

フランス映画ポスター展

これは必見。
「のんき大将」「オルフェ」「田舎司祭の日記」「女は女である」「太陽がいっぱい」などの大判のポスター芸術が堪能できます。
(入場券200円)
1月7日(木)〜2月14日(日) 第1期
2月17日(水)〜3月28日(日) 第2期

日本の原風景・雪の中の暮らし

昨夜から大寒波到来、西高東低の厳しい真冬の天気図は動かず、日本海側は東北地方から九州まで大雪という。
特に、北陸や内陸岐阜・上信越などは80センチの積雪、12月としては珍しいことだ。ここ横浜でも、冷たい空気に覆われて暖房も効きにくい底冷えの日々。
首都圏では12月に氷点下となることはほとんどなくなり、雪も氷も、氷柱も霜柱も珍しくなったが、店の暖房が聞きにくい日は時々ある。
(エアコンが古いせいか?)
足元付近はいつまでも暖まらない。
零下10℃の軽井沢とは比べるべくもないが。
雪のない冷たい空気の方が、体にはよりこたえる気もする。

そこに伊豆沖地震がグラグラ来るとかなり体には良くない。
書棚は突っ張り金具で押さえてあるから大丈夫とはいえ、震度5ともなれば本が飛んでこないとも限らない。


雪に埋もれた山村、例えば長野・小谷村の茅葺きの家、冬支度の済んだ奥飛騨の民家、白川郷の合掌造り家々が雪に包まれ、橙色の明かりが漏れている風景。
軒下に吊るした凍み餅や干し大根、家内の囲炉裏やダルマストーブ、ミズキの枝に飾った花餅の桃色が瞼に浮かぶ日本の冬の山村。
近年雪が少なくなったとはいえ、軒を越すような積雪に暮らす日本の豪雪地帯の生活は世界的に観ても珍しいようだ。
高山の谷など人の住んでいないところでは20m、30mの積雪もあるが、村では2・3mの積雪はあり得ないという。
シベリアの零下30℃の地でも積雪はあまりないらしい。
まさに世界遺産。

この北越の号世知地帯の雪の暮らし、風俗を詳しく残したのが鈴木牧之「北越雪譜」(岩波文庫)
オールアバウト・スノーカントリーだ。
雪の下での怪奇現象なども挿絵と共に描かれ興味深い。
また、雪の本というと、戦前・戦中〜戦後にかけては中谷宇吉郎が独壇場だった。
石川県片山津生まれ、寺田寅彦を師とする物理学者・エッセイスト。
北大で十勝岳の雪の結晶の美しさに魅せられ、「冬の華」はじめ数十冊の本を残している。
近年岩波文庫に入った「雪」は戦前の代表作。
昭和30年代からはというと「雪国動物記」の高橋喜平が思い浮かぶ。
雪の作った自然の造詣を写真集にしたり雪国の民俗についての本など、、10数冊の本がある。
(岩手県が中心)

しんしん雪の降る夜は



その後は市川健夫「雪国文化誌」(NHKブックス)ほか、エッセイスト高田宏「雪日本心日本」(中公文庫)などが上げられる。
木下好枝「わたしの奥飛騨」(山と渓谷社刊)も雪部会日本の山村の生活を見事なモノクローム写真で捉えていて好きな写真集だ。

私の奥飛騨


島田謹介の写真集「雪国」も有名だが、売ってしまって手元にない。

絵本でもクリスマス用のものが各国の雪の風景を描いていて、魅力的なものもいくつもあるが、北欧の雪の風景や農家の暮らしが分かる「トムテ」(偕成社刊)が素晴らしい。

トムテ

この「トムテ」という詩は19世紀のスウェーデンの詩人リードベリが書いたもので、今日もスウェーデンの人々に広く愛されているそうだ。
大晦日にはラジオなどで朗読もされるらしい。
1960年に画家のハラルド・リードベリが美しい絵を添えて、出版された。

「日本の近代化遺産」を守るということ。根岸競馬場メインスタンド

日本各地で近世、近代の土木・産業遺跡・建築の再評価・観光化が進んでいる。
足尾銅山や佐渡金山は早くから公開されてきたが、参院・島根の石見銀山がユネスコの世界遺産にとうろくされ、また、四国愛媛の別子銅山は山の上に突然出現するレンガ造りの廃墟が東洋のマチュピチュと半ば冗談ですが、人気を呼んでいる。
長崎の軍艦島も廃墟ブームに乗って、島全体が要塞のようなコンクリート造りで見学者(昔、住んでいた人たちにとっては故郷として)を集めている。
北九州・八幡製鉄所の初期の施設や群馬・富岡製糸所のレンガ建築など、産業遺産が再評価され、全面的に公開される日も近い。

鉄道遺産も、明治の建築物などかなり残っているので有望。
廃線になった鉄橋、レンガ造りの建物、操車場、トンネルなども整備され始めた。
勝沼ではトンネルをワイン貯蔵と共に再整備、観光客が散歩道として通れるようにした。
軽井沢手前の橋を含む鉄道施設は、そのまま鉄道公園化しているようだ。
(山陰の餘部鉄橋は新橋の横にそのまま残して欲しい)

餘部鉄橋2
















餘部鉄橋1















  (餘部鉄橋2005夏 橋脚補修の工事中。現在は新橋工事をしている。)



さて、横浜ではどうでしょう。
大震災後の横浜復興の功労者・茂木惣兵衛の邸宅は野毛山公園と化し、茂木家の唯一の遺産ともいえる野澤屋デパートは文化財指定を取り外され、いつ取り壊されても構わないという状況。
地下に眠っていたレンガ造りの水道管や倉庫跡・建築土台・港湾施設の石積みも遺跡として残される時代に・・・どうしたことか。
新しい物好きで、過去にこだわらないヨコハマ気質などと言ってはいられない事態。

もうひとつ、根岸競馬場跡のメインスタンドと貴賓室。

根岸競馬場


この、モーガンが設計した遺産を早く整備・公開して欲しい。
(モーガン邸が公開前に焼けてしまったのは、不自然極まりない)
森林公園として馬場は解放しているのだから、このスタンドを廃墟のままに置くのは惜しいことだ。
きれいに整備して、有料で公開、立派な観光施設にして欲しい。
しゃれたカフェでも併設して明治〜昭和前期の遺産を大事に利用して欲しい。
像の鼻埠頭を再生したのだから、次は馬ということで・・・。

日本の近代化遺跡をまとめた本は、一般書としては中公新書で出ている増田彰久(文と写真)の、カラー版「近代遺産を歩く」がある。
ダム・鉄道・刑務所など、日本全国の遺産を取り上げている。

開港75年のヨコハマフィルムを、開港150年に観る

昨日は「横濱を旅する・・・昭和のはじめ」と題した記録映画を観てきたので、(12月5日のみジャック&ベティにて)このことを書きます。
このドキュメンタリーは北浜町に住む山田氏(兄弟)が個人的に撮って、戦災をまぬがれたフィルムを編集したもの。

大正12年関東大震災で壊滅的被害を受けたヨコハマが、やっと復興してきた昭和4年ごろから、戦争の足音が近づくまでの数年間の記録。
昭和初期のモダニズムあふれた伊勢佐木町や馬車道など街の様子、モボ・モガが闊歩するイセブラやカフェ、バー、ミルクホール、映画館、ネオンサインが輝く夜のヨコハマの街が見られるかも・・・と、思ったが大間違い。
昼間の大桟橋の賑わい、北米航路のあった新港埠頭の賑わい、子ども連れでいっぱいの花月園、復興記念横浜大博覧会や仮装行列、ラジオ体操、町内のお祭や防災訓練、まだ未開地であった三ツ沢の芋ほりなどの記録フィルムであった。
一市民の記録フィルムとしては当然、これが普通で、貴重なフィルムであることは間違いないが・・・。
大佛次郎の随筆に時々顔を出すヨコハマのハイカラな街の香を、ホンのちょっとでも期待したのは見当違い。

開港から明治後期や大正期位までは、横浜版画、横浜絵葉書、古写真などで、かなりの部分、街並みの風景・雰囲気も分かるが、昭和初期のヨコハマの街が今ひとつイメージできにくい。
オデオン座の立派な建物、復興した石畳の伊勢佐木町通り、ライトアップした花電車の写真などは見た事はあるが、モダン都市東京の様子とは少し異なった雰囲気があったに違いない。
そこのところが・・・。
ただ、このフィルム、北浜町という港のすぐ近く、こんな街中でも普通の個人住宅が並び、子どもたちが大勢でお神輿をかつぐ町内のお祭シーンがあったり、空き地でラジオ体操をしたりするシーンがあり、昭和30年代の郊外の街のような生垣や板塀の生活が窺えて面白かった。
まだ、大震災の余燼が残っていたのか?
わからないが、子どもたちは、このマサキの生垣でクモをとりホンチ遊び(注)に夢中になっていたのでは、と、ニヤリとしてしまった。
  (注)千葉県房総半島と横浜の海近くのみに存在するハエトリグモのケンカ合戦。マッチ箱の中で戦わせる。

今回はヨコハマの古い絵葉書や写真を多く集めた2冊を取り上げ、ご紹介します。
いずれもまだ、手に入れやすいものです。

「横浜想い出のアルバム」
開港120周年に出した記念誌(昭和54年刊)

横浜想い出のアルバム


「20世紀初頭の横浜」
(横浜開港資料館・平成9年刊)

20世紀初頭の横浜
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