図書館のねずみ

南アルプスの伏流水を使った香り高い珈琲を啜りながら、じっくりお気に入りの本が選べる本好きのためのささやかなサロン、ブックギャラリー&カフェ風信。現在は店舗移転の為、日々奮闘しております。書店では扱っていないような古書、絶版文庫を集めています。

2010年12月

野毛山動物園の人気者たち

今年一番の寒波がやってきた。
横浜も最低気温0℃近くになるというが、表通りのヤマボウシの並木は満開に近く花を付けて凍えている。
もう、葉を落として冬木の姿になっているはずの木が少し紅葉したとはいえ、未だ緑を残した葉と白い花をたくさん付けているのが不思議な眺めだ。
今年の長い夏の気候が植物の体内温度を狂わしてしまったらしい。
落ちていた花はご覧の通り。

ヤマボウシ

この樹、こんなに2度目の花を付けて体力を消耗してしまうだろうに・・・少し心配だ。

この2・3日、珍しく野毛山動物園のニュースが続けてNHKで放映された。
テレビでは年末〜正月はどういうわけか動物たちの楽しい話題が取り上げられるようだが、野毛山動物園が全国放送で続けて出るのはビックリ。

一つは国内最高齢のフタコブラクダ「つがる」の話題。
35歳の「つがる」は人間でいえば100歳近くになるという。
もう、足腰が弱くなってまともに歩けなくなっているというが、子どもたちに人気がある。
「つがる」の好物のリンゴや黒糖も市民から届けられるという。

もう一つのニュースはこれも野毛山の人気者、レッサーパンダ「キンタ」(10歳)と近年お見合いのため東武動物公園からやって来た「海」(8歳)のカップルの話題。
このカップル、秋頃からアツアツぶりを来園者に見せているという。
木の上で毎日熱いキスを交わしている様子は神奈川新聞にも乗って、人気沸騰中らしい。

レッサーパンダ


このほか、野毛山動物園のツキノワグマ「サンペイ」と「コマチ」(共に10歳)にはこの季節、市民がクマの好物のどんぐりを集めてさし入れしてくれるという嬉しいニュースも出ていて、野毛山動物園はこのところ人気上昇中。
動物のエサ基金ボックスも、野毛地区では力を入れて応援しています。

動物つながりでもうひとつ。
野毛のJRA場外馬券売り場で、たまに人気のミニチュアポニーが顔を見せることがある。
大型犬くらいのポニーで、可愛いこと請け合い。
JRAの来年のカレンダーに登場していますのでご覧ください。

ポニー

このミニチュアポニー、小さいお子さんでしたら、乗ることもできます。


当店は来週27日より、正月5日までお休みをとります。

「明治の山旅」のこと

武田久吉の「明治の山旅」という本を発刊当時買いそびれて、仲々入手できないでいたが、平凡社ライブラリーの1冊として復刊すると、すぐ原本もごく自然に手元に入ってきた。
初刊は昭和46年、武田氏の死の前年、文字通り遺著とも言える本で、日本の近代登山の黎明期を知る事ができる。

明治の山脈
               (山の雑誌「アルプ」を出していた創文社刊)

武田久吉の「明治の山旅」という本を発刊当時買いそびれて、仲々入手できないでいたが、平凡社ライブラリーの1冊として復刊すると、すぐ原本もごく自然に手元に入ってきた。
初刊は昭和46年、武田氏の死の前年、文字通り遺著とも言える本で、日本の近代登山の黎明期を知る事ができる。

武田久吉は幕末のイギリス公使アーネスト・サトウを父とする植物学者(主に高山植物の分布・分類学)。
生誕の年から父の援助で英国に留学する明治43年(27歳)に日本を離れる年までの、自伝的エッセイから植物探索を主にして山岳紀行へと回想している。

武田は小島烏水と共に日本山岳会の創立者の一人。
前々回に取り上げた「小島烏水・山の風流使者伝」を書いた近藤信行氏(元・中央公論社編集者)によると、アルプに連載していたこの伝記を読んでいた武田氏から「科学者としての厳しい追及を受けたり、暖かい声援を送られたりしたようだ。
文学者とは異質の厳しいこの長老読者の目が毎号の連載に注がれるのは、かなりの緊張感だろう。
この連載をそそのかせたとされる作家・富士正晴さんの声援とは対照的。
どちらもありがたいことだ。

「明治の山旅には、武田の主な舞台の日光や尾瀬の山旅のほか南アルプスの回想も多い。
特に、小生馴染みの甲斐駒(当店の書庫兼山小屋から見える一番近い山)へは明治36年初登頂以来たびたび訪れている。

甲斐駒

中央本線日野春駅から釜無川を渡り、白州台ヶ原の旅館・竹屋に到着。
甲斐駒や北岳、鳳凰山へと、高山植物の採集・観察の旅に出る。
植物分類・分布の専門家らしく、ホウオウシャジンを一新種として発表、その後、イワシャジンの高山性亜種と考えていると追記しているのも武田氏らしい。

八十過ぎまで山に行っていた武田氏は、民俗学にも興味を持った時期があり、「民族と植物」の名著も持っているが、この本も最近講談社学術文庫に入ったのはメデタイ。
岩波文庫「一外交官の見た明治維新」の名著をもつ乳アーネスト・サトウについても、近年新研究や出版があるのは嬉しい。

当店では専門書はあまり置いていませんが、山の本・植物の本にも力を入れています。
ご興味のある方はご来店ください。

冬鳥観察と鶴見線80年

野毛本通りのクロガネモチの実が赤くなると、大岡川にユリカモメが目立つようになる。
都橋付近ではデコイのように4〜5羽のカモメが浮いている。
冬鳥の季節到来。
カモメ類や海ガモ類の観察に、鶴見川河口の貝殻浜に行ってみよう。
整備された川岸を歩くと、この貝殻浜のほんの2〜30メートルだけがかろうじて自然のまま残されている。
護岸の土のあるところには、ホトケノザの朱い花やハキダメギクの白い小花、セイヨウタンポポの花などが見られる。
もともとここは、魚河岸通りの人たちがむき身を取った貝殻を捨てた場所。
白い貝殻が波に洗われている。
ところどころの杭にはユリカモメが1羽ずつ止まっていて動かない。
近くの釣り船の間には海ガモ類のいくつか。
10羽20羽と群れている。
ほとんどがキングロハジロのようだが、少し異なったものも混じっている。
図鑑がないと似たような海ガモ類は同定できない。
お薦めのハンドブックは、日本野鳥の会から出した小冊子「水辺の鳥」。
もう少し詳しいのは、「フィールドガイド・日本の野鳥」

日本の野鳥



時々水中にもぐるが、仲々すぐには出てこない。
あれ?と思っていると、かなり離れたところに現れる。
水中で移動しているようだ。
貝を探しているのか。
水草を食べているのだろうか。
水はかなりきれいだが、水中深く潜っている様子までは分からない。

鶴見線が橋を横切っていく。
この貝殻浜から見た鶴見線の光景は、間違いなく鶴見八景の一つに数えられる。
惜しむべきは、アーチ型の橋が、何の風情もない道路のような橋に変わってしまったこと。
また、”タンコロ”と呼ばれて長く親しまれていたチョコレート色のクモハ12型が、ステンレス製に黄色いラインの入った205系に変わってしまったことも、少し残念。

この鶴見線(南武支線も含めて)開業80周年の記念として、1日乗り降り自由の記念パスが19日まで発売中なので、小さな旅に出かけてみてはどうでしょうか。
(大人1500円)

鶴見線ポスター


海に限りなく近い駅「海芝浦」(鶴見つばさ橋も一望できる)、浅野駅の珍しい三角ホーム、浜川崎駅近くのアウマンの家(旧日本鋼管のドイツ人技師用の宿舎)、昭和モダンの面影を伝える国道駅など、鉄道ファンが泣いて喜ぶ見所イッパイ。
記念のヘッドマーク付きの電車も、ときどき運行しているようです。

ヘッドマーク


この昭和5年開業の鶴見線、昭和6〜16年には、扇島の海水浴場の客で夏は大混雑だったようです。
武蔵白石―浜川崎間にかつてあった、海水浴前という臨時停車場から渡し舟で往き来したという。
都会に一番近くて、水のきれいな海水浴場として大人気だった。
また、鶴見駅と繋がる前の本山駅(1942年廃止)や、国道駅完成時の賑わいについては、語るべきこと多し、別の機会に

ザキの華やかな時代

この冬の寒さは、未だ洋種アサガオを枯らすほどではない。
店の2階に達している青い花は咲き続けている。
街歩きで最近見られるようになった花は他に、皇帝ダリアがある。
屋根に達する高さでピンク色の華を咲かせている。
うつむきがちに寒さの中でもきれいに咲いているのを見上げて、その草花とは思えぬ高さに改めて感心してしまう。

今頃元気に花を付けているのはサザンカやツワブキ、ヤツデなどの馴染みの冬花を除くと余りない。
冬の街ち歩きは、木の実や美しい落ち葉などの楽しみになる。
この辺りではシイ、スズカケ、マテバシイ、コブシの実などが、拾える。
サクラやモミジの紅葉、黄葉も思わず拾いたくなるほど美しいものもあるが、2〜3日で枯葉色に変わってしまう。
野毛から吉田町の並木はカツラの黄葉が美しいが、冬の嵐ですっかり葉を落としてしまった。

その先のイセザキ町では、野澤屋ビルの完全に取り壊された現場を見てしまった。
気分が悪い。
近くの老舗の主人に聞くと、地震が起きると危険だからやむを得ないと言うが、すぐ崩れそうなのは入口の細長いモダンなイセビルや安直な最近のビルであって、関東大震災にも地盤沈下だけで残った野澤屋ビルではないと思うのだが・・・。

横浜開港資料館(旧英領事館)では、この伊勢佐木町の歴史を眼で見ることができる「ときめきのイセザキ140年」展が始まっている。(1月13日まで)

ときめきのイセザキ140年


遊廓や芝居小屋の移転と共に誕生した町イセザキ町の賑わいは、明治の着色絵ハガキで見ることができる。
明治時代の1・2丁目から先、賑町は芝居小屋のノボリが立ち並ぶ大衆娯楽街だ。
当時は1・2丁目だけがイセザキ町だったが、今でもかろうじて健在の花見煎餅や亀楽煎餅の看板も見ることができて楽しい。

花見せんべい

亀楽せんべい


展示では、やはり野澤屋の宣伝物(パンフレットや案内状)や洋画封切館オデヲン座のパンフレットがモダン横浜の雰囲気を伝える。
都市発展記念館の「モダン横濱案内」展と重なる内容で、近くなので両方ご覧ください。

また、イセザキへの入口吉田橋がコンクリート造りに架け替えられた時(明治44年)の、開橋式の人出には驚かされる。

吉田橋

当時としては一大イベントで記念の芝居まで作られたことがわかる。

土曜から始まった「ル・コルビジェが目指したもの。船→建築」展も楽しい展示ですから、近場3つ巡回もお薦め。

船建築

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