図書館のねずみ

南アルプスの伏流水を使った香り高い珈琲を啜りながら、じっくりお気に入りの本が選べる本好きのためのささやかなサロン、ブックギャラリー&カフェ風信。現在は店舗移転の為、日々奮闘しております。書店では扱っていないような古書、絶版文庫を集めています。

2013年09月

うなぎ屋は消えゆくのみか?

関内に黒板塀の料亭がまだ残っていたころ。、山本周五郎が贔屓にしていたうなぎ屋は「八十八」(やそはち)であった。
派大岡川沿いには「わかな」もあるが、周五郎は少し辛口タレの「八十八」のうなぎを愛した。
当然、山口瞳も横浜に来ると柳原良平と連れ立って、この店に日参した。
横浜の料亭文化の灯が消えて、この店もいつしか姿を消していたが、この夏、3代目女将が吉田町に店を復活させた。
伊勢佐木町の入口近くに「八十八」の看板を見るのは、何となく嬉しい。

ところが[うなぎ屋]を取り巻く環境は、特にこの数年恐ろしく酷い。
ウナギの稚魚「シラスウナギ」は極端に不漁で、輸入量も合わせて12トン(自前は4トンだけ)にとどまった。
1963年には国産だけで230トンあったのは夢のような話だ。
値段もうなぎ上り、とうとうキロ300万円という考えられない値段がついた。
めだかのような稚魚1匹が500円という換算になる。
養殖にして蒲焼きにしたウナギがどう考えても980円で売れる訳がない。
うなぎ専門店で数千円のうな重は、極めて正当な値段だ。
ヒツマブシで2段にうなぎを重ねたり、天然ものなどを使ったりすれば1万円の値段も不思議ではない。
それが当然だ。
それだけ希少なものを食べているのだ。

ワンコインで牛丼屋チェーンでうな丼を食べられ、スーパーで中国産、台湾産ウナギの蒲焼きが1000円切って売られるのはおかしな話だ。
絶滅危惧種のヨーロッパウナギやニホンウナギが大量に消費される事態は避けなければならない。
ウナギの完全養殖ができるまでは「ウナギはうなぎ屋」でしか食べない運動(ドジョウはどじょう屋、クジラはくじら屋と同じように)」と天然ウナギ漁は、シラスウナギの増えるまでの最低数年は禁漁を考えないといけない時期に来ているのではないだろうか。
日本各地の河川や湖に近い古い街には、必ず老舗うなぎ屋がある。

うなぎ専門店
この歴史の浅い横浜にさえ、数十を越えるうなぎ屋があるだろう。
名前を浮かべるだけでも、「ワカナ、ヤソハチ、エドイチ、ミヤガワ、ウナマツ、スミダガワ、カワショウ、キヨイズミ、カズチヨ、エドトク・・・」みな、無くなってほしくない。
幻の土用の丑の日にならないよう、日本全国3000店のうなぎ屋は結束して、川魚漁の存続も守りながら、「ウナギはうなぎ屋で食べよう運動」を進めてほしい。
ニホンウナギが消えれば、うなぎ屋も無くなるのは自明の理。
第二のくじら屋になってほしくない。
得体のしれないスーパーやファミレスのウナギには手を出さぬようにしよう・・・と書いたところで、無性に「八十八」か成田や浦和の老舗うなぎ屋に行きたくなった。

成田うなぎ屋
今年の土用の丑の日は2回あったが、毎月あってもいいなと思ったりするが…どうか?
それでは、食べ過ぎになるか。

一宮モーニング

例年、彼岸の入りと同時に咲きだす彼岸花は、今年は4、5日早く咲きだした。
白花は少し遅れ、ツボミ状態。
彼岸の入りには白も赤も咲きそろうだろう。
台風前にかなり刈り取られた黄金色の稲田だが、この季節の農村風景の豊かさ、美しさは格別のものがある。
稲穂の重く垂れた黄金色と畦道に咲くヒガンバナの朱色は、日本の秋らしさを代表するベストマッチ。
澄んで乾燥した青空にアキアカネの群れも見える。

秋の一日、中央本線の始発で名古屋・尾張一宮まで喫茶店のモーニングを視察?してきた。
名古屋の喫茶文化や小倉アンを塗ったトーストなどは知っていたが、その中心は郊外の一宮であった。
喫茶店数は600を越えるようだ。
ここを囲むように名古屋市と岐阜市という大都市があるが、この両市の年間喫茶代は全国1位と2位。
名古屋では知らない人がないという喫茶店コメダは、市内に200店舗も展開しているらしい。
名古屋圏のモーニングを手軽に体験したければ、コメダの首都圏支店を訪れるとよいだろう。
小生が知っているのは国道16号の相模原店。

一宮の喫茶文化の歴史はそれほど古いものではない。
繊維業が盛んだった昭和30年代からのようだ。
この地に多くあった機屋(はたや)の旦那方は機音のうるささから逃れ、商談や打ち合わせに、応接間代わりに喫茶店を使うようになった。
空前のチャマン景気が、数多くの喫茶店を生んだ。
一日に何回も訪れる常連さんには、ユデタマゴやピーナッツ、そしてトーストくらいのサービスはしたくなるだろう。
これが、喫茶店モーニングの始まり。
やがて、繊維不況で旦那衆は工場を占めても、コーヒーへの習慣は残ったままだ。

或る旦那は引退して、好きなコーヒーを楽しめる喫茶店を開いた。
それでも毎朝、他の店のコーヒーを味見に行く。
閉店後も、他の店でくつろいでコーヒーを飲むことを忘れない。
店の休みの日には車を飛ばして、郊外の喫茶店をはしごして廻るのが楽しみという。
いま、午前中(11時頃まで)のモーニングやランチは、奥様方の社交場と化している。
モーニングは進化して、ランチと変わらぬほどの店も現れてきた。
お好みでの和食には、オムスビ2種+赤だし+茶碗蒸し+つけもの(サラダ)にコーヒー付き400円。
洋食には、サンドイッチかトースト+オムレツ+サラダ+コーンスープにコーヒー付き350円・・・と、これでは奥様方が車を飛ばしてくるわけだ。

一宮モーニング協議会が作った「一宮モーニングマップ」は106店のモーニングを写真を入れて紹介していてよい。
マップ表紙マップ










しかし、繊維不況はこの街にも岐阜の街並みにも深い痛手を残しているのは明らかだ。
商店街にあまり人がいない。
特に若い人たちの姿が少ない。
一宮駅前の布地や裏地を小売りする店には人影を見ない。
人通り


小江戸・栃木を訪ねる

小江戸と呼ばれる江戸の風情を残した街並みが、東京周辺にいくつかある。
佐原、川越、栃木・・・などが、すぐ思い浮かぶが、先週は栃木に行ってきたので、この街を紹介したい。

栃木は、佐原の掘割りの風情と川越の蔵の街並みを併せ持った魅力ある街だ。
すべて歩いて回れる街の規模も好ましい。
あいにくの雨で、遊覧船はなかったが、街中を流れる巴波川(うずまがわ)と、明治16年まで栃木県庁のあった県庁堀の水の流れが、豊富な水量で街中に潤いを与えている。
堀
江戸への水運(米・農産物・麻)と、日光への例幣使街道の宿場町で栄えた立派な蔵の街並みがかなり残されている。
麻問屋だった店(見世)蔵を利用した街の観光館の巨大な赤松の梁は、かつてのこの街の豊かさを象徴している。


黒い土蔵三棟が並んだ江戸の土蔵は美術館として蘇ったようだ。
美術館
(谷内六郎展9月29日まで)


これも麻問屋だった横山家は、銀行業務も兼ねた明治の二棟の石蔵を左右に持っている。
石蔵1石蔵2

この鹿沼石を使った石蔵がモダンで美しい。
(一部赤レンガを使っている)


メインルートの蔵の街大通りには、江戸・明治の蔵に混じって昭和初期の建築が残っているのも楽しい。
昭和初期
全部保存・活用してほしい。
蔵と並んでこの街の豊かさは、各町内が持つ山車(だし)で感じることができる。
栃木の秋祭りは隔年開催ということで今年は見られないが、山車会館でその雰囲気を味わうことができる。


蕎麦もうどんも強い両毛文化圏への入口・栃木には、蕎麦屋もB級グルメ、ジャガイモ入り焼きそばもある。
近くには出流(いずる)蕎麦もあり、足利・佐野も蕎麦の街、日光例幣使街道は蕎麦街道でもある。
八溝蕎麦街道も近い。
新蕎麦の11月は、栃木のベストシーズンではないか。
日光例幣使街道をドライブしてみては?


ビール好きにはオクトーバーフェストが、この蔵の街でも開かれる。
(10月4・5・6日と11・12・13・14日)
大学がないためか、良い喫茶店がないのがコーヒー好きには物足りないが、カフェにしたらよいと思われる建物や、居酒屋にしたら最高と思われる民家もあり、実現しないかなと、空想する楽しみもこの街にはある。

民家


富士には夏草の原が良く似合う

環状2号線、夏の草刈りが出来ず夏草に覆われた広めの中央分離帯がある。
背丈位の草を分けるようにして白いものが出現した。
夏草の向こうは夏空の青に白い入道雲が見える。
典型的な夏の風景。
その白い影は、白い帽子にランニングシャツ姿のオヤジさんだった。
さすがに腹巻ステテコスタイルではなく、白っぽいズボンをはいている。
渋滞の車列を分けるようにその人は悠然と横断していく。
運転手は皆、ニヤニヤとしているのがわかる。
その人はその中を厳しい顔で通り過ぎる。
「ここは元々俺の散歩道だったんだ」と言いたげだ。

この辺りは元々湿地帯だったのだろうか。
穂の出始めたススキに混じって背丈を越えたアシが見える。
少し離れた道路のやぶの中には珍しくガマの穂まで見つけた。

昔は、ランニングシャツに半ズボン姿の少年が虫取り網を手にトンボとりに夢中になっていたシーンが目に浮かぶ。
夏も終わりに近づいたが、草刈りが成されなかった中央分離帯やノリ(法)面を覆う夏草やつる草の勢いはまだ衰えない。
ススキ・マツヨイグサ・ヨモギなどが伸びに伸び、タケニグサも堂々とサヤの実を鳴らしている。

道端では、イタドリが目いっぱいに咲き誇っている。
ここに巨大化し、花をつけたウドやタラの木を加えれば、富士山麓、自衛隊演習地の草原を箱庭にしたような風景になる。
ススキ
マツヨイグサ














昔、山菜時には一般開放されていた演習地にウドを採りに行ったことがある。
半分は富士桜やスミレの見物ということになってしまったが・・・。
その原が夏草に覆われ、クズの赤紫が咲き、ススキの穂が出る夏になると、富士山がくっきり見えるようになる。
雪はなくとも、富士山をバックに夏草のミドリ、青い空、白い雲(積乱雲)の3点セットは見事だ。

保土ヶ谷バイパスや横浜バイパスのノリ面は葛で全面覆われてしまった。
道沿いに植えられたサツキやツツジはヤブカラシで包まれ、花を咲かせている。

ヤブカラシ
この花が好きなアオスジアゲハもやって来るだろう。


フェンスに絡まって花を咲かせているのは、ヘクソカズラ。

ヘクソカズラ
その異臭のため可哀相な名を付けられてしまったが、小さな可愛い花を咲かせている。
熊田千佳慕さんによると、この実をつぶしてシモヤケにつけると治るらしいが、この暖冬続きの現代ではシモヤケなど見ることもできない。

富士と夏草については良い絵本があったが見つからない。
福音館書店の子供用「科学の本」シリーズか、「こどものとも」シリーズであったか。
演習地の草原の様子が良く描かれていた。
見つかったら載せることにします。

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http://home.netyou.jp/33/fushin/
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