図書館のねずみ

南アルプスの伏流水を使った香り高い珈琲を啜りながら、じっくりお気に入りの本が選べる本好きのためのささやかなサロン、ブックギャラリー&カフェ風信。現在は店舗移転の為、日々奮闘しております。書店では扱っていないような古書、絶版文庫を集めています。

2013年11月

アカマツが枯れて、マツタケが消えていく(供

まだ紅葉の始まらない10月初旬、白州からの帰り道、緑の森にポツンポツンと赤くなっている樹がある。
一足早く紅葉している樹があるのかと確かめると、それらは全部枯れたアカマツであった。
一山に5・6本はあるだろうか。
マツ林ごと枯死した山もある。
笹子トンネルを越えるとその被害は見当たらない。
植林されていない山は、この辺りでは尾根伝いにアカマツ林になるのが普通。
里山の雑木林も手入れが成され、下草もきれいに刈られると、やがてきれいなアカマツの林になる。
春にはワラビも出て、秋にはマツタケも期待できる。
かつて白州周辺は、マツタケが採れる名所であったことは、以前少し書いたことがある。
明治大正のころだ。
落ち葉がたまり、風通しも悪い、富栄養化した林には下草も多く繁って、マツタケは消えてしまう。
尾根近くの花崗岩が崩れた砂地や落ち葉がたまらない崖地だけが、マツタケが生き残れる場所だ。
こんなところはアカマツしか生き残れない。

9月に雨が多かったことから、今年はマツタケが豊作だったらしい。
近くの道の駅のような売店で、マツタケを卸しに来たキノコ採り名人に会ったのは10月下旬だった。
大きめの菓子箱に、マツタケが20本くらい入っていている。
2〜3本を小分けにして売るようだ。
値段は100グラム1万円。
中くらいのが2本パックで、1万8千円也。
こんな田舎で買う人がいるのだろうか…余計な心配をしてしまう。
チョウザメのキャビア20g1万円、白トリュフの最高級品が100g50万円に較べれば、安いか?
何しろ崩れ落ちそうな急斜面を登り、尾根道の名にも生えない砂地を掘って?(マツタケの蕾はまだ砂の中に埋まっているらしい)探した貴重品だ。
マツタケ生産量日本一にのし上がった長野県では遭難者も多く、今年は最悪10人の死者が出たという。
マツタケの生える斜面ではつかまる物がない。
アカマツしか生えていないし、下草も少なく、滑ったら下まで落ちるだけだ。

「江戸時代のマツタケ狩り」摂津名所図絵より

江戸時代のマツタケ狩り(摂津名所図絵より)

白州の横手でも名木「駒のマツ」(県指定の天然記念物アカマツ・樹齢300年)が、枯れてしまった。

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その巨大な根は道の駅に展示されている。
我が家の上の尾根道に映えるアカマツの巨木も半減してしまった。
甲州街道、白州味噌旧家に白壁に沿ってアカマツが長く枝を伸ばしているのが、せめてもの救いだ。

旧家のアカマツ旧家のアカマツ2



アカマツの枯れの原因はマツノザイセンチュウと判明している。
これがカミキリ虫を媒介にして広がっている。
大気汚染も酸性雨も、樹高の高い尾根道の陽樹アカマツには影響しているかもしれない。
枯れたマツはそのままにしては、その被害が広がるばかりだ。
あれほど緑が濃く元気だった「舞鶴の松」が枯死したのも、山伝いのアカマツ山が枯れ始めたのが原因だろう。

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林野庁はボランティアも動員して、里山の後輩に本気で取り組んでもらいたい。
手入れのされない雑木林やヒノキの植林が、どれほど豊かな自然を損なっていることか。
荒れた山は、誰が守るのだろうか。
里山の雑木林の手入れは、ボランティア活動で何とか救うこともできるが、日本の森の40%を超える植林地は林野庁が考えてほしい。
津波による街の復興、住宅建築や家財に対する県材使用の補助金・ポイント制度など、国産材を有効に使う方法を、思い切り大胆に実行してほしい。

冬はキノコ鍋…アカマツが枯れていく(1)

季節は冬に突入した。
11月12・13・14日、白州の室温は7℃以下になる。
外気は1℃から0℃近くになった模様。
元気だったイチジクの若葉は霜にすっかりやられてしまった。
色づき始めた小さめの実も、このままドライフルーツ化してしまうだろう。
先月の今頃は丁度、夏日だったのが、一か月後は真冬日だ。
青森では市内でも25cmを越える雪が降ったようだ。
11月にこの積雪は珍しい。
甲斐駒ケ岳も頂上が白くなっている。
根雪になるかどうか。

遅れていた紅葉は一気に進み、落葉松や南京ハゼの落葉で家の入口が埋まっている。
ハナノキの紅葉はかろうじて残って、橙色がきれいだ。

ハナノキ

落葉の中をよく見ると、カツラの根元からシメジのようなキノコが、1列に並んでいる。

ムラサキシメジ

傘を返すと、薄紫が見える。
また、ムラサキシメジの一群だ。
今年最後のキノコだろう。
ムラサキシメジはキノコ狩りの最終のキノコだ。
もう、森は冬に入る。
この場所には、毎年この時期にムラサキシメジに出会うことができるだろう。
寒い日はキノコ鍋に限る。
ほうとうを入れても良し。
ナメコヤシイタケを加え、サトイモやセリとたっぷりの大根おろしを加えよう。
ムラサキシメジをゴムのようなホコリっぽさもあって苦手だという人もあるが、他のキノコとじっくり煮込めばトロトロの食感が好もしい。
大根おろしも重要だ。
この近く、八ヶ岳の南麓には、野生のキノコ汁を食べさせるキノコ採り名人の店がある。
ハナイグチ、ナラタケ、ウリタケ…少なくとも5〜6種のキノコが入っていて、これを食べれば、身体中がホカホカと温かくなるのは日本酒のせいではあるまい。


ここから、長野県側、小海線をたどり小諸〜上田に出れば、ここにはもうマツタケの世界へ入る。
栄養分の乏しい、陽当たりのよい花崗岩の岩山はアカマツの天下となる。
マツタケの季節にはマツタケ山には近づけない。
元々、マツタケは京都〜広島など西日本が本場であるが、赤松林が衰弱した近年では、長野や岩手の高冷地へと産地が移ってきた。
赤松枯れは戦後、何度も猛威を振るったが、近年でもここ山梨はひどい被害を受けているが、その対策はなにもなされていない。
お隣の武川村、国指定の天然記念物「舞鶴の松」は突然枯死してしまった。

枯れた松


樹齢400年以上のアカマツの名木として、全国的にも貴重な姿の美しい松だったが…。
舞鶴の松

名木が無くなった空間は広い。三代目の小さな松が植えられている。

以下次回

秋色を探して、ムラサキにたどり着く

日中の陽射しが一番当たっているアスファルトの道に、アキアカネが次々と停まって羽をいっぱいに拡げている。
暖かい陽を身体中に受け止めて、動かない。
日中に熱をため込んでおかないと、もう夜中の寒さに耐えられない。
人間も同じだ。
ついこの間まで、強い陽射しを避けていたのが、今ではカーテンを開け、部屋中目いっぱいに暖かい陽を入れようとしている。
いつの間にか、と言うか、ようやくと言うべきか?
陽当たりのよいベンチに人も集まる季節になっている。
毎年のことだが、最低温度が10度をきるようになると、カメムシはなんとか家の中に入ろうと、戸口や窓辺に寄ってくる。
トンボも人もカメムシも同じ生物同士と感じる秋も深まってきた。

稲刈りが早めに済んだ田は、水が抜かれているが、二番芽が伸びてネギ畑のように青々となっている。
しかし、10月に夏日が観測された今年でも、この辺では二番穂が出ることはないだろう。
もう、冬はすぐそこだ。

庭の山茶花と茶の花が咲いている。
どちらもツバキの仲間だから、寒さには強い。
ここにツワブキの黄色い花が咲けば、初冬の花がそろう。
今年最後の花たちだ。
秋があまりに短い気分になるから、秋探しをしてみよう。

カツラの黄葉はかなり進み、半分ほどが落葉している。
サクラやカキの紅葉も目立つ。
山桜もいち早く紅葉してきれいだが、山全体としてみると、まだ緑色が勝っている。
近寄るとかなり色づいているように見えても、引いてみると紅葉は遅れている。

木の実や秋色を探しに散歩に出ると、道にひからびたナスのようなものがいくつも落ちている。
カラカラに乾いたアケビの実だ。

アケビ

紫色がかなり残っている。
路傍の草刈りが済んだ雑草の中でキレイな赤紫・青紫が見える。
よく見ると、ナンテンハギが二番花を咲かせている。
枯れ葉やミドリの中で、ハッとするほどムラサキがよく目立つ。
秋には紫色がよく似合う。
玄関先の落ち葉の中にも紫色を発見した。
リング状に映えるムラサキシメジだ。

ムラサキシメジムラサキシメジ裏






少し発見が遅れたため、傘の色が退色して淡褐色になってきたが、傘の裏にはきれいな紫色を見ることができる。
秋の紫色は、サツマイモの皮やムラサキ芋ばかりではない。
ブドウも基本はこの色だし、野生の山ブドウも黒に近い濃紫色になる。
野ブドウは宝石のような青から紫への七変化。
ムラサキシキブやコムラサキの紫色も美しい。

コムラサキ

どうやら秋色とは紫色のようだ。
紅葉見物にも紫色の服が似合うだろう。
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