図書館のねずみ

南アルプスの伏流水を使った香り高い珈琲を啜りながら、じっくりお気に入りの本が選べる本好きのためのささやかなサロン、ブックギャラリー&カフェ風信。現在は店舗移転の為、日々奮闘しております。書店では扱っていないような古書、絶版文庫を集めています。

2014年02月

馬との交流(2)  小さな馬を飼う?

「ワラにまみれてョー、育てた栗毛、今日は買われてョー、町へ行く。オーラ、オーラ、オーラ達者でなー、風邪ひくな…はなす手綱が震えるぜー
 俺が泣くときゃョー、お前も泣いて、ともに走ったョー丘の道。オーラ、オーラ、オーラ達者でなー、可愛いたてがみ撫でて、撫でて、撫でてやろー」
三橋美智也の「達者でな」を聴くたびに、家族同様の馬への愛情が伝わり、グッとくる。
馬を飼ったこともない人にもこうだから、家に馬がいた記憶を持つ農家の人たちにはたまらない泣ける歌だ。
この歌の作詞が横井弘。
春日八郎の名曲「やまのつりはし」もこの人の作詞、山村の暮しを書かせたら名人だ。
(やまのつりはしは「吊り橋ファン」にはたまらなく面白い)

馬が農作業に使われなくなった今、自宅で、カフェの看板馬として、馬を飼うことは可能だろうか?
サラブレッドは無理としても、木曽馬・野間馬・宮古馬などの小さな在来馬、ポニーではどうか。
エサ代が月に5000円、2〜3カ月に1度蹄を削るのに4000円から1万円、年に2〜3回のワクチン注射に1万5000円。
競走馬の管理代月に5〜60万円と比べれば想像以上に安い。
大型犬並みだが…3.6m四方の小屋と放牧場(10坪くらいでもO.K)と、日ごろの蹄の手入れ、そして獣医師が近くにいることが必要。
これらは馬術競技場を持つ馬の町・小淵沢がある近くにある白州では可能だが、馬の寿命2〜30年の世話ができるか。
小屋と放牧場の掃除、ブラッシング、散歩、健康チェック…「小さなウマ飼いになる」(成文堂新光社・2010年刊)は、そんな新しいウマ飼いのための実用の書。

小さな馬飼いになる


スウェーデンの馬事情はどうか?
スェーデンの田舎町では、ごく普通にペットとしてポニーを飼っている。
都市近郊でも厩舎付き住宅は珍しくない。
さすがウマ大国・スウェーデン。
民芸品のきれいに彩色された木の馬の数々、スウェーデン土産のNO.1だ。

スウェーデンの馬


今のところは、馬どころ盛岡の「チャグチャグ馬っ子」の玩具や、有名な民芸品「三春駒」「八幡馬」でガマンしよう。

三春駒八幡馬赤




           三春駒  


                       八幡馬
スウェーデン・ダーラルナの木の馬と並べても、遜色のない立派なものだ。
少し大きめの存在感のあるものが良い。
南部駒の産地・花巻にはいくつも馬の民芸品があったようだが、ほとんど消えてしまったのは残念だ。
八ヶ岳山麓に馬の郷土玩具がないのも寂しい。

馬と人との交流

先週は最初の大雪の後、高速道路の開通を待ってやっと帰ってきたが、二度目の週末の大雪はさらに圧倒的で、今週の山梨行きは中止となった。
甲府で観測史上初の114僂梁臉磴噺世Δら、白州ではそれ以上だろう。
現在まで暖かい日はほとんどなかったから、道路わきには雪の壁がそのまま残っているに違いない。
車を停めるところの雪かきから始めなくてはならない。
週末の二度の大雪に見舞われた酒蔵開きも、ほとんど人が来られず、今日・明日の土・日に再び行われるという通知が来た。
あまりの積雪でブドウ農家は深刻な被害を受けた。
かなり太いブドウの主幹が根から折れているのをテレビの映像を見て、息が詰まる思いになった。
これを書いたら10日ぶりに白州に行くつもりだ。
今度の大雪は山梨県を直撃したが、大雪警報は最後まで出なかった。
関東の各県はかなり前から注意報と警報を発令していたが、山梨県が入っていなかったのはなぜか?
腑に落ちない。

さて、今年の絵とは午(うま)だから、馬について書こうと思っていたが、長くなり収まりそうもない。
八ヶ岳山麓の農家と馬との交流だけで、次回へ回すことにする。

昔、富士山麓、御殿場周辺の古い農家を訪ねたことがある。
大きな藁屋根のくぐり戸を開けると、いきなり牛の顔が並んでいてびっくりした。
トイレも犬小屋も外にある。
これを馬にしたのが八ヶ岳山麓の農家の暮しだ。
昔からここは馬には縁が深い土地柄だ。
聖徳太子の愛馬だったという「甲斐の黒駒」の伝説は白州周辺と伝えられ、「甲斐駒ケ岳」の名前もこれに由来するようだ。

そんな昔ではなくとも、高根の浄光寺の「午祭り」には牛馬を駆っている人たちの参詣で賑わったし、日の春では昭和初期には春秋二回の草競馬が開催されて、競馬ファンに愛されていた。

馬図

そんな馬とのかかわりを示しているのが馬頭観音像の数だ。
根岸競馬場にも立派な馬頭観音像があるように、馬の供養のために(決して馬券が当たる願掛けではない)多く建てられた。
北杜市には路傍にも、馬市場や種付け所にも多く建てられた。


ところで、明日は今年初のGI「フェラリーステークス」がある。
競馬もこのところ雪に悩まされ、連続2週、東京開催が出来なかった。
このダートの重賞レースは雪後の泥んこレースになることもよくある。
このレースで優勝した「サクセス・ブロッケン」が山梨に登場したので、お目に架けたい。

サクセス・ブロッケン

引退したこのダートの名馬の仔が二年後には登場することだろう。
泥んこレースに強い馬になることは、間違いない。

巴水の雪景色

先週の土曜日の大雪はかなりのものだった。
地元ラジオの予報は、積雪50センチに修正されたが、その通りになった。
甲府でも40僂魃曚┐燭ら、1日の積雪量としてはここ30年では一番だろう。
車も完全に真っ白い小山と化し、掘り出すのも2時間を要した。
雪を踏み固めながら歩かないと、前へ進めない。
丁度、酒蔵の新種蔵開きが始まる土・日だったのが、歩いてはちょっと難しい。
除雪車町と言ったところ。
2・3日は覚悟していたが、珍しく役所の対応は早かった。
除雪隊は日曜午後には来てくれた。
感謝!


横浜ではそろそろ開花始めた梅も、ここ白州では蕾は固い。
雪も当分そのまま消えることはないだろう。
庭のロウバイだけが黄色い蕾を大きくして、開き始めた花も少しある。
この枝を部屋に飾ると、小正月の紅白の餅花のようだ。
黄金色の玉が立春過ぎにふさわしい値打ちがある。
咲くとロウ細工の黄色い梅花=黄梅と言った感じだが、まだ開かない大きな黄色い玉の方が、雪の中で美しい。

ロウバイ

普段何気ない田園風景、雑木林や水の流れる河原が、雪があると一変する。


先月千葉県立美術館で開かれていた川瀬巴水展でも、雪のある風景や月明かりの夜景の木版画の美しさは格別だった。
その代表作が、一番売れ行きが多かったという東京二十景(大正14年〜昭和5年)のうちの「芝増上寺」の雪景色と「馬込の月」の夜景だというのもわかる気がする。

千葉市立美術館図録
川瀬巴水展カタログ












最晩年のスティーブ・ジョブス(アップル創始者の一人)が巴水の木版画に魅せられて一括購入したのも、夕景・夜景や雪景に表れた日本情緒の美だったように思われる。

遺作となった「平泉金色堂」(昭和32年)でも、巴水はスケッチにはなかった托鉢の雲水を加え、前面に雪を降らせ雪景色とした。
もう、巴水はどんな天気の良い昼間の風景を見ても、雪景色にも、夕景にも、月夜の風景にすることができる。
彫り師の技、刷り師の技が、もう完璧にそれを支えている。

「明石町の雨後」絵はがき


小生の好きな巴水の作品は街の何気ない風景、東京二十景では「明石町の雨後」、「新大橋」の夜景。
清方の弟子だった巴水、東京への愛惜が感じられる作品だ。
「お茶の水」の雪景色も「月島の雪」も大雪の東京を見た人にとっては忘れられない作品となるだろう。

なお、千葉市立美術館の入っている区役所の建物は、昭和初期の旧銀行をそのまま組み入れてホールとして活用している。
写真でお目にかけたい。

千葉市中央区役所

雑木林の復活はあるか

ここ白州の50年前、甲斐駒と八ヶ岳の山麓にはよく手入れされた雑木林が広がっていた。
釜無川から八ヶ岳寄りには、コナラやクヌギの雑木林にエノキが多く交り、オオムラサキの国内有数の繁殖地となっている。
やがて別荘地開発が進み、ゴルフ場の工事が始まると、放置される雑木林が目立つようになる。
小川に下る急斜面に群生していたヤマブキソウも消えてしまった。
あかるい草原も少なくなり、ユウスゲやキキョウの花もめっきり少なくなった。
それでも、早春にはシュンランの花が目立ち、林床にはイチヤクソウやササバギンランの可愛い花はまだ見ることができる。


最後までよく手入れされていたアカマツ林はススキやササの下草が刈られ、枯れ枝は焼かれてワラビが勢いよく生えてきた。
ここは、春はスミレの種類が多い。
秋は、リンドウやセンブリの小さな花を見ることが出来た。
ところが、この2、3年ススキは刈られず、ツル草がはびこり始めたと思っていたら、ある日突然、アカマツ林は伐採された。

皆伐

すると、明るくなった切り株の周りには、消えていた山野草が復活するかと思われたが、そうはいかなかった。
全面にヒノキの苗が植えられた。

苗林

明るい草原は4、5年が限度だろう。
この辺りでは、荒れた山林が皆伐されるとほとんどヒノキの植林になってしまう。
道路沿いのわずかな土地にもヒノキが植えられる。

こんなところにも植林

川や地下水があるところは、スギが植えられる。
日本の森の40%以上が杉やヒノキの植林といわれるが、もうこれ以上モヤシのようなヒノキ林を見たくない。
(森林学者・四手井綱英さんは、人工林は25%位が適正といっているほど。)


災害に弱い植林は集中豪雨で明らかになっている。
不在地主はとりあえずヒノキの苗を植えて、動植物の住めない暗い場所を作るだけで、林業家とはとても言えないだろう。
健全なヒノキ林は木曽の赤沢で見ることができるが、少し手入れをして間引きしたヒノキの樹形は貧相ではない。

ヒノキ



灯油など燃料が恐ろしく高騰している現在、もう少し多様な生物の住処ともなっている雑木林の重要性を再認識しても良いのではないだろうか。
集中豪雨にも強いのが、雑木林だ。
人気の出てきた薪ストーブの薪や、ペレットストーブの燃料として、シイタケのホダ木や炭焼きの復活にも、水源の森としても、また雑木林は大きな価値を持っているのだから。
手入れをするつもりのない不在地主たちは、皆伐したまま何も植えないことだ。
この地は、やがてアカマツを上部にした雑木林になって行く。
もう、切り株の横には、アカマツが発芽している。

発芽

林緑の南斜面に、この立春、寒波にも負けず早くもホトケノザの花が咲いていた。

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