図書館のねずみ

南アルプスの伏流水を使った香り高い珈琲を啜りながら、じっくりお気に入りの本が選べる本好きのためのささやかなサロン、ブックギャラリー&カフェ風信。現在は店舗移転の為、日々奮闘しております。書店では扱っていないような古書、絶版文庫を集めています。

2014年07月

ちいさな城下町

今年も夏の土用の丑の日が近づいて、食品売り場ではウナギの姿が目立ってきた。
普段からウナギを売っているウナギ屋さんやお総菜屋さんならともかく、いつもは細々と目立たない魚屋やスーパーも、この日はウナギ屋に店替えしたようだ。
平賀源内の広告も、ここまで効くと恨めしくなる。
諏訪湖周辺や三島のウナギ屋さんたちは、夏に偏った需要を冬にもと、冬の土用丑の日を宣伝し始めたが、これはウナギの完全養殖ができるまで少し待ってもらいたい。
何しろウナギの生体は、幼生やタマゴの発見が大ニュースになる程知られていなかったのだから。
それにしても、ウナギ屋さんの危機感の薄さはどうしたことだろうか?
現状では、シラスウナギが採れなくなればウナギ屋はほぼ全滅してしまう。
ヨーロッパウナギを食べつくしてしまい、日本ウナギも食べつくしたらどうするつもりなのか。
少しくらいシラスウナギが増えたからと言って、かつての量からしたら微々たるものだ。
政府はやっと重い腰を上げ、年内にも養殖業者の届け出制を導入するらしいが、これくらいでシラスウナギの乱獲が止まるはずもない。
少なくとも国内のシラスウナギの捕獲を制限、又は2〜3年禁止しなければならないのに。
天然のウナギで知られた江戸東京の代表的ウナギ屋「野田岩」の近著を読んでも、ほとんどそのことに触れていない。
あとがきで、できるだけウナギはウナギ屋で食べて乗らいたいと、本音を少しのぞかせている程度だ。

私たちは、斎藤茂吉のように毎日ウナギを食べているわけではないから、2・3年はアナゴやナマズで大丈夫だ。
関西なら、夏は鱧があるから何とかなる。
ウナギ屋はクジラ屋にならぬよう、アナゴ料理の勉強でもしておいた方が良いと思うが…。
ウナギについては、前にも書いたのでこれくらいにして、お城の話にしたい。



横浜は日本では珍しい開港地として新しく作られた町だから、歴史ある古い城下町については特別の憧れがある。
名古屋・大坂・東京などの大城下町の人たちとはちょっと異なるかもしれない。
旅に出ると近くの小さな城下町を除くのが楽しみだ。
別に天守があってもなくても良い。
むしろ、再建したコンクリート造りの安っぽい城ならば、石垣だけの方が良い。
立派な石垣を見ていると、建物も浮かび上がってくるように思われる。

東北の旅に行くと、車窓からいつも見慣れたりっぱな石垣を持つ城址があった。
白河駅のプラットホームから見える小峰城だ。

プラットホームから
会津への旅の途中、初めて降りてゆっくり眺めることができた。

城の三重櫓は木造で、平成3年「白河城御櫓絵図」により、忠実に再現された。
雄大な石垣の重要な部分が、東日本大震災の震度6強の地震で壊れ、復旧工事が続いている。

修復中


石垣
これは今度の大震災による文化財の最大の被害とされている。
と、ここまで書いて次回もお城と城下町についてもう少し書きたい。

急逝された安西水丸さんが遺された最後の本が「ちいさな城下町」(文藝春秋社刊)なのも、ちょっと悲しい。

ちいさな城下町
旅好きの水丸さんも「お城」のファンだったのだ。
特に「縄張り」(設計)の…。

新しい書店のカタチ

久しぶりに都心に出て、駅中の小さな書店を覗いてみる。
建築・デザインなどの大書店でしか見られない専門書が置いてある。
隣に喫茶室があるが、ブックカフェというわけではない。
かなり本がセレクトされていて、どの書店でも並べているようなベストセラーは見かけない。

もう一つ、今度はツバメノートが置いてある新文具店に入ると、本が並べてあるコーナーがある。
スェーデンの建築について書かれた本があるが、この本は4〜50年前に出たはずだ。
こんな古い本を版元の倉庫からよく見つけてきたなと、手に取ってみると、これは古本としての値段がついていた。
この書棚はセレクトされた新刊書と古書が交って販売されている。
古書はほんの少しだが…

これは同じ人の企画のようだが、思った以上に難しいことだ。
特に新本を扱う本屋さんにとってはできないことだ。
東販・日版といった本の取次会社が許さない。
最近大書店がそれをやり始めたが、力のある書店だけができることだ。
それも、売り場を完全に分けて、同じ棚に並ぶことはない。
これではあまり意味はない。
文具店・ファッション・紳士服店・食品店などに、それぞれにふさわしい書棚を作ることで、ようやく実現できたカタチだろう。

小生もブックカフェを始めた当初から古書と新刊書を同じ棚に混ぜて売っていた。
こちらは逆に古書がほとんど、新刊書はどうしてもこれだけは一緒に置かないといけないと思われた少数の本だけだから、気づく人は少ない。
値段が書いていないので、初めて新本と気づくことになる。

和綴じの本を除いて、百数十年ある古書の世界は、重版本を入れてもたかだ十数年の新本の世界とは、その厚みが違う。
当然、古書を中心にしたほうが面白い。
しかし、希少本が復刊すれば新本も置きたい。
気になる分野の最新の成果を収めた本が出れば、これも並べたいと思いだしたらきりがない。
大書店でも手に入らない品切れ本や、絶版本を中心に、ロングセラーの名著、本の洪水で埋もれてしまった良書をセレクトして並べることになる。

しかしリアル書店は、古書も新本も気軽にすぐ入手できるインターネットの書店に苦戦続きだ。
日本全国で書店ゼロの街が続出しているのが現状だ。
雑誌や文庫・話題本・実用本だけの小書店が、コンビニやネット書店によって淘汰されていくのは当然として、セレクト書店はユニークな書棚で実際に手に取ってみることができる。
これは、大きな魅力だから、ネット書店にも十分対抗できるはずだ。
新しい分野の本を探すとき、新しい作家と出会う機会に、ぜひリアル書店を覗いてもらいたい。

書店や古書店が苦戦しているのに反比例して、本の本、古書についての本などの出版が盛んだ。
若者雑誌BRUTUSもかなり本好きの編集者がいるのだろう、本の特集号を多く出している。
最近の2冊の特集「本屋好き」(2011年6月)、「古本屋好き」(2013年6月)は充実していて面白い。
本屋好き古本屋好き
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