図書館のねずみ

南アルプスの伏流水を使った香り高い珈琲を啜りながら、じっくりお気に入りの本が選べる本好きのためのささやかなサロン、ブックギャラリー&カフェ風信。現在は店舗移転の為、日々奮闘しております。書店では扱っていないような古書、絶版文庫を集めています。

2014年10月

白州の一番賑わう日

先週は金・土・日の3日間、白州が一番賑わう「台ケ原宿市」が開催され、甲州街道の宿場町として賑わった往年の姿を取り戻した。
この市は、酒蔵「七賢」の骨董市を中心に、車両を通行止めにした旧街道に、木工・陶芸・アクセサリー・布製品など様々なクラフトや農産物の店が並ぶ楽しいイベントだ。

市の入口RIMG0030

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今年は3日間とも快晴だったこともあり、国道20号線が渋滞を起こすほど人が集まった。
小生が買ったのは、明治・大正の絵ハガキと木の器。
マキとクリの材をくりぬいて作ったボールには当然、森や山の恵みが良く似合う。

マキのボールクリのボール







台ケ原宿は、明治時代に盛んだった山岳信仰、甲斐駒ケ岳の登山口であったから、老舗旅館には甲斐駒登山講の看板の残っている。

登山講看板


旧街道のマンホールも無論、甲斐駒ケ岳が登場する。

マンホール

白州の町の花シャクナゲ、町の鳥カッコウや名水百選の尾白川もよくデザインされている。
町の鳥がカッコウだったというのはこれを見て初めて知った。
(甲斐駒だったら南アルプスの雷鳥かなと思ってよく見ると違う)
カッコウの声はこの20年で数回しか聞いていない。
町の鳥としてふさわしいかどうか…?


市が終わったのを待っていたかのように月曜日から雨が降り続いた。
温まったコンクリートや橋の手すりに集まっていたアキアカネの群れもどこかへ消えた。
陽だまりにボロボロになった羽を広げて日差しの恵みをいっぱいに受けていた、ヒョウモンシロチョウも姿を見せない。
枯葉色になったカマキリも死んだ。
最低気温が10℃に近くなると、カメムシも家の中に入ろうと窓近くに寄ってくる。
少しの隙間でもあればすぐ家に入って来る。
人も虫も同じだ。
ひと月前には避けていた日差しの強いベンチに、いつの間にか小生も吸い寄せられてしまう。
蚊も出なくなり、ようやく秋らしく紅葉が始まりかけた中で、もう初冬の兆しが忍び寄っている。
最終キノコのムラサキシメジはもう終わりかけている。
カラマツ林の黄葉もこれからというのに、お隣の野辺山は初氷と聞く。
もうすぐ、11月ともなれば当然のことだ。
むしろ十五夜、十三夜の9月から10月にかけての気温が高すぎるのが問題なのだろう。
美しい秋の紅葉も、標高の高い山地だけの話になってしまいそうで、不気味だ。
美しい秋の風景を求めて御嶽山に登り、犠牲になってしまった人たちのことが、再び頭をよぎる。
とても他人事とは思えない。
甲斐駒の初冠雪ももう近い。
次回は、甲斐駒のことを書きたい。

秋の展覧会・コンサート事情

ヨコハマのジャズプロムナード(10月11・12日)と青少年センターの文楽公演(10月12日)は、いつも日程が重なる。

文楽パンフレット

1回公演だけならばジャズの合間に紅葉坂に行くことができたが、近年は2回公演とも見ることが多いので、ジャズは土曜日だけとなる…が、秋吉敏子も板橋文夫も日曜日がメインだから、今回はやめた。
9月10月の休日はイベントやコンサート、展覧会も多いのでそうそう付き合ってばかりはいられない。
台風にたたられたオクトーバーフェストも、今回はパスだ。

それにしてもコンサートや展覧会の料金は、バブル以来ずっと高止まりしていて、横並びで納得がいかない。
例えば、今月1日に行ってきた近代美術館の「菱田春草展」は1400円だ。

菱田春草展

海外から作品を大量に持ってきた「ホイッスラーの大回顧展」(12月6日から横浜美術館で始まる)が1500円なのは致し方ないと思うが、ほとんど数か所のコレクションを中心にした春草展がこの料金では高すぎる。
私立のミュゼではない、国立の、国民の美術普及のために作った公共の美術館が、いかに独立採算制に移行したからと言って、バブルもはじけていないこの料金のままなのはいただけない。
図録も当たり前のように分厚い立派な体裁の物を作り、2400円だと言う。
この豪華な図録も、バブルのころから今に至るまでそのままなのは不可解だ。
美術書出版の難しい時代に画集や研究所代わりという面を担っていることはわかるが、質を落とさずページ数を減らす工夫をして欲しい。
1000円以下の充実した図録を作って、10倍の部数を売り上げる公共のミュゼがあってもよさそうだが、なかなか現れないのはどうしたことか。
利益は何倍にも上がるのに。
現況では、1400円の入場料とカタログ2400円、それに交通費を含めると、コーヒー1杯も飲まないで5000円になってしまう。
これでは「美術の普及」には程遠いはずだ。
図録は断固買わない。

北杜市白州では、もう少し手軽にコンサートや展覧会も楽しめる。
夏休みの草津や木曾の音楽祭、そして9月に入ってのサイトウキネンなどは都会料金なので遠慮して、八ヶ岳音楽祭の9月27日の「木管アンサンブル」コンサートを選ぶ。

木管アンサンブル

北杜市制10周年記念の文化事業なので、前売り1000円(当日2500円)で、東京フィルを中心にした演奏家のアンサンブルを楽しめる。
L・トゥイレ(オーストリアの作曲家)「ピアノと管楽の六重奏曲」という珍しい曲(1888年作)を初めて聴いた。
会場は地元のカラマツで作られた木の音楽ホール「八ヶ岳やまびこホール」(高根町)。
1時間くらい前に行って、隣の浅川兄弟資料館で「浅川伯教をよむ」(没後50年の特別展)にも行くことにした。
これが200円。

浅川伯教パンフレット

小さな展覧会だが、ふさわしい充実した図録(800円)も作っている。
広い駐車場は当然無料だから、総額2000円でコンサートも展覧会(図録も)楽しめた。

ついでに、ホール前からは南アルプスの眺望も楽しめる、格安感?
この八ヶ岳山麓の地は、「白磁の人」で描かれた浅川巧と、その兄で朝鮮陶器の研究家浅川伯教の兄弟が生まれ育った場所だ。
伯教の残した水墨の陶画を味わった。

絵はがき

あと、兄弟の見ていた南アルプスの山々や八ヶ岳を眺める至福のひと時。

あの気持ちの良い秋は、どこに行ったのだろうか

10月に入るとようやく秋らしい快晴もみられるようになったが、甲斐駒岳だけにはなかなか雲が取れない。

甲斐駒ヶ岳

60%を切れなかった部屋の部屋の湿度が50に近づいているが、澄み切った秋晴れまでにはもう少しだ。
しかし、この国の秋は短くなりすぎた。
10月に30度の真夏日があり、北海道ではもとより、長野や日光の高原では氷の張る冬日もある。
秋はどこへ行ったのだろうか。
信州の高原に住んだ室尾犀星の「信濃山中」(昭和21年刊)序文には、こんな言葉が記されている。

信濃山中

「たとえばここではわずかに春は四月と五月の二た月しか、山野に留っていない。夏も六月と七月きりで八月の半ばから秋になり、九月十月の短い二た月を終えると、十月の半ばから早くも初冬の山気が迫る。十一月から歳を越え、翌年の三月まで実に永い冬が半歳にわたって、山中の風までをとじこめてしまう。…」

これは標高千メートルを越える高原・山麓では今でも生きた言葉だが、標高が下り、都会に近づくほど夏は永く、永い夏が半歳になってしまう。
当地、山梨県北杜市の白州は標高500〜600メートルほどだから、この中間といった所だが、秋の短さは近年特に感じてならない。

蚊のいない秋の快晴の焚火日和と言えば11月だけになってしまった。
秋を楽しむには標高の高い山に行かねばならない。
ロープウエイで二千メートルを超えられる高山は、ぎっくり腰を抱える人(小生か?)や忙しい都会人にとっては魅力的だ。
河口に近づくことを制限されている浅間山や草津白根山などは、活火山として意識するのだが、御嶽山では活火山の意識を持たぬまま、ロープウエイに乗ってしまいがちだ。
紅葉と眺望という秋を求めた人たちの気持ちはよくわかる。
ちいさな地震の続く活火山の情報は台風や天候の情報と共に、登山者の一人一人に伝えてほしかったと思う。
この災害列島では台風も地震も噴火も、避けることはできない。
過去の災害を識り、最新の観測機械を使って予知能力を高め、できるだけ被害を小さくするのがせいぜいだ。
こんな状態で、原発の再稼働を進め、事故は起きない。起きたときは責任を取りますなど言う人たちは、自分にどんな能力があると思っているのか。



本当は秋の展覧会や「八ヶ岳音楽祭」のことを書きたかったのだが、TVで台風の洪水シーンや野毛成田山の崖崩れ被害を見ているうちに、気が変わってしまった。

お仕舞いに秋の山里シーンを取り上げて気分を変えたい。
ミズキが秋の花(?)を咲かせる。
実は果実が黒く熟すころに、その軸は赤紫色になって、遠くからもよく目立つ。

ミズキ

道の上には桑の木に絡んだアケビの実が「おむすびのなる木」のように見える。
サルも今年は山の実が豊作なのか、採りに来ない。

あけびあけび (2)


キツネのチャブクロ。
若いうちは仲がマシュマロのような白いフワフワ。
皮が硬いので、それほどおいしいキノコではない。

キツネの茶袋
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