図書館のねずみ

南アルプスの伏流水を使った香り高い珈琲を啜りながら、じっくりお気に入りの本が選べる本好きのためのささやかなサロン、ブックギャラリー&カフェ風信。現在は店舗移転の為、日々奮闘しております。書店では扱っていないような古書、絶版文庫を集めています。

2015年08月

大垣下車、水まんじゅうの旅

東海道線で、いつも乗り換えするばかりの大垣駅だが、今日はちょっと時間がある、降りてみよう。と思い立ったのは、猛暑真っ只中のある日だった。

大垣には、関ヶ原の戦いで西軍を率いた石田三成の本拠となった大垣城がある。

大垣城

湧き水も多い地だからおいしい水も飲めるだろう。
夏の風物詩・水まんじゅうも魅力だ。
観光ポスターを見ると、姿の良い江戸時代の燈台が水辺の風景によく生えている。
「松尾芭蕉・奥の細道むすびの地」とある。
そうか、ここ大垣にはもう一つの観光資源があったのだ。

江戸時代は恐ろしく水運の発達した時代だ。
芭蕉の奥の細道も深川の庵から日光街道・千住宿までは舟を使い、ここから旅が始まる。
旅立ちの句は有名な「行春や 鳥啼き魚の 目には泪」、そして5か月の旅を終える大垣、結びの句「蛤の ふたみにわかれ 行く秋ぞ」でしめると、この地船町川湊から川舟に乗り、桑名に向かったのだ。
芭蕉は伊勢神宮を経て故郷・伊賀上野に戻っていく。

この水門川(もともとは城の外濠)の川湊(港)の雰囲気をよく伝える「住吉燈台のある水辺の風景」がこの町の自慢。
ここ船町生まれの日本画家・守屋多々志の描いた住吉燈台の絵葉書を見ても、ここが町の自慢の特別の風景だということが伝わってくる。

住吉燈台水門川








大垣が水都を標榜するなら、昔の城下町にあったように城を囲む外濠を復活してほしい。
水の城らしく、内濠も復元して水に浮かぶ城の風景も作りたい。
市中にいくつかある湧水を利用して、小さな流れを街中に通してほしい。

麋城(びじょう)の井戸

樹木のグリーンベルトも必要だ。
湧水スポットには、木陰とベンチは必要だ。
夏の強い日差しから、観光客や住民を守ってほしいもの。

それにしてもほぼ完ぺきに保存されていた名古屋城を焼き払った(間違いだったと言っているようだが)第二次世界大戦の米軍による空襲は容赦のないものだった。
城も武家屋敷や四千石の城下町の名残りもすべて焼き払った。
周辺の寺やわずかな商家だけが焼け残っただけだ。
中山道と東海道を結んでいた美濃路・大垣宿には、名物柿羊羹の「つちや本店」が昔の儘の佇まいで残っているのは奇跡のようだ。

つちや本店


駅近く水まんじゅうの老舗・金蝶園には、店頭の水まんじゅうを求める人たち(ほとんど地元の人たちらしい)が絶えることがない。
10個20個と次々売れている。

水まんじゅう

店では水まんじゅうを冷やすのが間に合わなくなった。
真夏の人気のない街中で、ここだけが混んでいる。
これも奇跡のような幻の光景に見えた。

ヨサコイやアワ踊りの直前を通り過ぎた四国の旅

一年ぶりでやってきたちび・ギャング2人、昨年よりパワーアップしていて遊ぶのに手いっぱい。

IMG_9849

全精力を奪われて、2か月もブログを休んでしまった。
ギャングたちは、猛暑になった途端に涼しい自国へ飛び去った。
妻はおもちゃをしまったり寝具を整理したり、すぐに日常を取り戻していたが、こちらは数日間頭がすっかり遊びモードになってしまって、なかなか平穏な日々に戻らない。

猛暑連続5日間という記録になった日に四国への旅に出た。
四国一周と行きたいところだが、日程上無理がある。
今回は東半分を駆け足で巡ることにした。

初日の丸亀では、滞在わずか1時間、街を見下ろす丸亀城だけが目的だ。

丸亀城 (2)丸亀城











この城の高く美しい石垣、石積みの見事な風景に満足して、琴平へ急ぐ。

2日目の琴平での目当ては3か所だ。
日本最古の現存芝居小屋「金丸座」。
春の金毘羅歌舞伎は無理としても、江戸の芝居小屋の雰囲気だけでも味わいたい。

琴平金丸座

そして、金毘羅さんの正式な入口、今では祭りの時だけに使われる屋根付きの「鞘橋」。
鞘橋

もう一つ、27メートルを越える最大の和灯台「高燈籠」。

高燈籠

二つとも見事な造形美で参詣者を迎えてくれる。
琴平郵便局の風景印も、この二つの遺産をデザインしている。
金毘羅宮の絵馬堂や高橋由一、円山応挙なども見たかったが、すべてパス、大門をくぐった五人百姓の飴屋で加美代飴を求めたら、お参りはこれまで。
金毘羅宮

時間があっても、この日差しの強さでは熱中症が必定だろう。

徳島に向かうことにする。
高松はうどんだけで済ませ、香川県はずれの港町引田(ひけた)の古い街並みを歩き、和三宝のばいこう堂とかめびし醤油(赤い壁がかっこいい)を覗いて徳島に着いた。
かめびし


徳島は吉野川沿いの藍の街、そして阿波人形浄瑠璃、郊外の村々には屋外公演のできる農村舞台が数多く残されている。
人形浄瑠璃人形浄瑠璃 (2)








それとポルトガル人モラエスやバロンサツマが晩年を過ごした徳島の街を歩いてみたい。
モラエス像

モラエスの旧宅も残されていないが眉山麓の湧水と、寺社の多い道を通り、中心街を散策した。
徳島土産は吉野川産の「すじ青のり」と阿波藍灰汁発酵建て染の「麻のハンカチ」、阿波和三盆糖だ。
阿波十郎兵衛屋敷への途中、雄大な吉野川河口に近い吉野川橋の美しい鉄橋をバスで渡れたのも、思わぬ旅の喜びだった。

次の日は四国最終目的地の高知へ向かう。
吉野川沿いに「卯建」(うだつ)の街並み、脇町と貞光に立ち寄り、大歩危・小歩危の渓谷美を眺めながら高地に着く。

脇町貞光




当初予定していた、「祖谷のかずら橋」も、「奥祖谷の二重かずら橋」、急斜面に張り付くように農村の原風景が広がる「落合集落」も次回に譲った。

高知の目的は「高知城」「日曜市」そして、「牧野植物園」だ。
高知城

高知日曜市

「四万十川」の沈下橋も「仁淀川」の清流や神楽も次回に回す。
もう、紙幅がない。
県立の施設「牧野植物園」について簡単に触れて終わりたい。

牧野文庫パンフレット牧野植物園パンフレット

在野の植物学者・牧野富太郎の蔵書や標本、遺品を収めた「牧野文庫」や、土佐の植物、庭園、温室、展示館などを五台山の自然の中で生かした国内有数の植物園。
特に内藤廣設計の建築が、細部の展示デザインまで神経が行き届いていて素晴らしい。
県産の杉や檜を使って、土佐の夏の強い日差しを深い庇や低い軒を意識的に多用していて、屋外でも屋内でもない空間を歩くのが楽しい。
こんな植物園の半分の規模でもよい、横浜に欲しいと思うことしきり。
この手法は高知駅前でも取り入れられて、これまでの日本の駅前にはない観光客にとってとても優しい環境が素敵だ。
これも多分内藤氏の設計だろう。
この植物園のお隣の、竹林寺の庭園も心地よい縁側の眺めが素晴らしい。

竹林寺庭園

「ヨサコイ踊り」の前夜祭の日、踊りのリハーサルの音を聞きながら帰途に就いた。
長距離高速バスで神戸へ向かう。
高知「ヨサコイ踊り」や徳島の「阿波踊り」が始まる直前を通り過ぎる忙しい旅だったが、のんびり街を走る土佐電の一台ごと異なった様々な路面電車に出会い、吉野川の広い河原や雄大な流れを見ただけでも、十分楽しめた旅となった。
市電とアンパンマン吉野川潜水橋
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