図書館のねずみ

南アルプスの伏流水を使った香り高い珈琲を啜りながら、じっくりお気に入りの本が選べる本好きのためのささやかなサロン、ブックギャラリー&カフェ風信。現在は店舗移転の為、日々奮闘しております。書店では扱っていないような古書、絶版文庫を集めています。

動物

サルは森に返したい

しばらく本のことを書いていない。
図書館ネズミとしては、怠慢だ。
以前は関連書があると必ず書影もアップして紹介していたが、それも少なくなった。
店の閉店以後かなり時間が立っているが、まだ段ボール箱が積み上げられ、本があるのはわかっていても取り出せない現状が続いている。
少しずつ整理しているが、冊数も半端ではないこともあるのだが…色々あって…。
最近は、猿やタケノコ、クワのみ、雑草たちがそれを邪魔する。
梅雨時は湿度が高いので、段ボールを気軽に開けられない。
梅雨の晴れ間を見て一気にしようと思っても、積乱雲が出てくるともう要注意、真っ白な雲が少し暗くなり、ラジオに雑音が入り始めたら、もう、すぐ本を片付け始めないと大変なことになる。
部屋は、中途半端に広げられた本の山で動きが取れなくなる。
梅雨のない北海道でも、15〜17日連続の雨という記録を作ったように、今年の梅雨は長引きそうだ。

来月初め、昨年同様、娘がパリから幼児二人を連れて帰国する。
そのことが決まってからずっと、妻に、「小さい子たちが安全に過ごせるように片付けてください」と言われている。
妻は忙しくて最近は白州にほとんど来ていないが、この有様を見たら…怒るだろうな。
妻にはにらまれるが、孫たちにはせいぜい楽しい思いをさせてやりたい。

この二人がやって来る


4・5日前の朝、屋根をたたく音で目が覚めた。
トタン屋根に雨が降っているような、懐かしい音だ。
しかし、今朝は良い天気らしいが…風邪でバラバラとクワの実が落ちてくる音だろうか?
このところ黒く完熟したクワの実が美智也庭にどっさり落ちて、その甘酸っぱい香りに誘われては虫は寄って来るのに往生している。
それにしても大雨でもないのに屋根をばらばらと打つ音が波のように大きくなったり、小さく遠ざかったりするようだ。
「あ!ハクビシンでもやねうらにはいったのか!」と飛び起きて、良く調べると屋根裏ではなくて屋根の上の音だ。
また、その音が大きく騒ぎ出す。
外に出てそっと屋根を確認すると、猿が何匹も暴れ回っていた。
屋根上にいたのは、ごく若い猿ばかりだ。
先週クワの実を求めてやってきた同じグループの一群だろう。
また、遊び盛りの若い猿たちがクワの木伝いに「、屋根上に上がり追いかけっこをしている。
すぐ、人に気づいて大声をあげながら、皆、山へ逃げ戻って行った。
去年はクワのみに烏がたくさんやって来て、屋根の上でも大騒ぎしていったが、今年はさる年か?
猿もシカ同前、天敵はほとんどいないから、食料のある限り増え続けるのか。
シカやイノシシのように肉を利用できないし、猿の駆除は狩猟家が嫌がる。
のうちに人の目が行き届かない昨今、野生動物の問題は管理清国となる。
山に続く農地では、ブドウやモモなど、果樹農家の悩みは大きい。


野生動物の通る獣道には、以前これも書いたことのあるマダニ問題もある。
肌を出した格好でうかつに藪に入ることは許されない。
耕作放棄地が広がり、周辺の雑木林の手入れがされない山村は消滅してしまうのだろうか。
新緑の落ち着いた時期は、常緑樹の新芽の季節。
普段は地味で暗いカシ、シイの森も明るい新芽に彩られている。
モミや椿の新芽もやわらかく美しい。
モミツバキ



ヒメシャラの小さなツバキのような花は、落花を見て初めて開花を識ことになる。
ヒメシャラ


「町の小さなリアル書店(古書展も)はいきのびられるだろうか」について書こうと思っていたが、次回に。

猿・鹿の話

雨が降りやまない。
先週木曜日の梅雨入り宣言から一気に梅雨本番の雨続き。
3日間降り続いた雨で、庭仕事はほとんどできない。
傾斜地に生えるヤブカラシやヤエムグラのツルが這い上がってくる。
もう、この辺で引き抜かないと、斜面全体を覆いかねない。
竹林のタケノコも伸び放題。
先週きれいに採ったはずのタケノコが、大きいものはもう3メートル以上伸びている。
1日平均50cmくらい伸びている計算だ。
正に、雨後のタケノコ、これも放置してしまうと藪状態になってしまう。
道路にかぶさっているクワからは、完熟した黒い実が道一面に落ちている。

クワの実

今やクワの実は子供でも採らない。
興味を持つのは、野鳥や昆虫と小生くらいだと思っていたが、もう一ついた。

一時的に雨の上がった日曜日の朝、何となく騒がしいので外に出ると猿の群れがいた。
木をゆすって大騒ぎしている。
家の前で見たのは初めてだ。
1か月くらい前、近くの祠を除いて若い猿と鉢合わせして以来だ。
(5日前、中央高速のガードレールに座っている猿は見たが…)
エサの少ない冬にはたまに出会うこともあるがこんな季節にどうしたのだろうと動かずにじっと見ていると、若いオス猿はクワの木の高いところで両手を使って、クワの実を次々と食べるのに夢中だ。
このところ野生動物の動きが少し変だ。

この近くで見ることのなかった鹿も、まだ雨が降っていた土曜に家の前で遭遇した。
距離20mくらい。
すぐ森に引き返して行ったが、この鹿は1週間前にすぐ前のブドウ畑にいた鹿に違いない。
その時は、距離50mくらいで、互いにかなり長く見つめ合って別れたが、孤猿のようなグループから離れた鹿がいるのだろうか。

野生の日本鹿が最近増えすぎて困っている話をよく聞く。
丹沢でも奥日光でも、尾瀬でも冬期に樹林の皮をはいで食べてしまって、森を枯らしている。
高山植物も相当の被害を受けている。
一方、鹿肉はジビエ料理として(大鹿村が有名)、血抜きをすれば大切な食材になる。
鹿問題はこれ以上は触れない。

こんな村はずれにも出没してきたのは、よほどのことだ。
ここの里山は南アルプスの山麓と繋がるが、尾白川と釜無川を越えてまでは来きにくい。
八ヶ岳方面はかなり開発されているから、深い森ではない。
釜無川伝いに駒ヶ岳方向からやってきたのだろうか。

鹿も猿も写真に撮れなかったので、今、雨の中で咲いている白い花を紹介したい。
雑木林のエゴの木の白い花は、雨に打たれてバラバラと落ちているが、ヤマボウシ(山法師)の花は雨に良く似合って元気だ。

ヤマボウシ

道端に多いスイカズラ(忍冬)の白花も、この季節らしい花だ。

スイカズラ

白く咲いて黄色に変化するので、金銀花とも呼ばれている。

馬との交流(2)  小さな馬を飼う?

「ワラにまみれてョー、育てた栗毛、今日は買われてョー、町へ行く。オーラ、オーラ、オーラ達者でなー、風邪ひくな…はなす手綱が震えるぜー
 俺が泣くときゃョー、お前も泣いて、ともに走ったョー丘の道。オーラ、オーラ、オーラ達者でなー、可愛いたてがみ撫でて、撫でて、撫でてやろー」
三橋美智也の「達者でな」を聴くたびに、家族同様の馬への愛情が伝わり、グッとくる。
馬を飼ったこともない人にもこうだから、家に馬がいた記憶を持つ農家の人たちにはたまらない泣ける歌だ。
この歌の作詞が横井弘。
春日八郎の名曲「やまのつりはし」もこの人の作詞、山村の暮しを書かせたら名人だ。
(やまのつりはしは「吊り橋ファン」にはたまらなく面白い)

馬が農作業に使われなくなった今、自宅で、カフェの看板馬として、馬を飼うことは可能だろうか?
サラブレッドは無理としても、木曽馬・野間馬・宮古馬などの小さな在来馬、ポニーではどうか。
エサ代が月に5000円、2〜3カ月に1度蹄を削るのに4000円から1万円、年に2〜3回のワクチン注射に1万5000円。
競走馬の管理代月に5〜60万円と比べれば想像以上に安い。
大型犬並みだが…3.6m四方の小屋と放牧場(10坪くらいでもO.K)と、日ごろの蹄の手入れ、そして獣医師が近くにいることが必要。
これらは馬術競技場を持つ馬の町・小淵沢がある近くにある白州では可能だが、馬の寿命2〜30年の世話ができるか。
小屋と放牧場の掃除、ブラッシング、散歩、健康チェック…「小さなウマ飼いになる」(成文堂新光社・2010年刊)は、そんな新しいウマ飼いのための実用の書。

小さな馬飼いになる


スウェーデンの馬事情はどうか?
スェーデンの田舎町では、ごく普通にペットとしてポニーを飼っている。
都市近郊でも厩舎付き住宅は珍しくない。
さすがウマ大国・スウェーデン。
民芸品のきれいに彩色された木の馬の数々、スウェーデン土産のNO.1だ。

スウェーデンの馬


今のところは、馬どころ盛岡の「チャグチャグ馬っ子」の玩具や、有名な民芸品「三春駒」「八幡馬」でガマンしよう。

三春駒八幡馬赤




           三春駒  


                       八幡馬
スウェーデン・ダーラルナの木の馬と並べても、遜色のない立派なものだ。
少し大きめの存在感のあるものが良い。
南部駒の産地・花巻にはいくつも馬の民芸品があったようだが、ほとんど消えてしまったのは残念だ。
八ヶ岳山麓に馬の郷土玩具がないのも寂しい。

馬と人との交流

先週は最初の大雪の後、高速道路の開通を待ってやっと帰ってきたが、二度目の週末の大雪はさらに圧倒的で、今週の山梨行きは中止となった。
甲府で観測史上初の114僂梁臉磴噺世Δら、白州ではそれ以上だろう。
現在まで暖かい日はほとんどなかったから、道路わきには雪の壁がそのまま残っているに違いない。
車を停めるところの雪かきから始めなくてはならない。
週末の二度の大雪に見舞われた酒蔵開きも、ほとんど人が来られず、今日・明日の土・日に再び行われるという通知が来た。
あまりの積雪でブドウ農家は深刻な被害を受けた。
かなり太いブドウの主幹が根から折れているのをテレビの映像を見て、息が詰まる思いになった。
これを書いたら10日ぶりに白州に行くつもりだ。
今度の大雪は山梨県を直撃したが、大雪警報は最後まで出なかった。
関東の各県はかなり前から注意報と警報を発令していたが、山梨県が入っていなかったのはなぜか?
腑に落ちない。

さて、今年の絵とは午(うま)だから、馬について書こうと思っていたが、長くなり収まりそうもない。
八ヶ岳山麓の農家と馬との交流だけで、次回へ回すことにする。

昔、富士山麓、御殿場周辺の古い農家を訪ねたことがある。
大きな藁屋根のくぐり戸を開けると、いきなり牛の顔が並んでいてびっくりした。
トイレも犬小屋も外にある。
これを馬にしたのが八ヶ岳山麓の農家の暮しだ。
昔からここは馬には縁が深い土地柄だ。
聖徳太子の愛馬だったという「甲斐の黒駒」の伝説は白州周辺と伝えられ、「甲斐駒ケ岳」の名前もこれに由来するようだ。

そんな昔ではなくとも、高根の浄光寺の「午祭り」には牛馬を駆っている人たちの参詣で賑わったし、日の春では昭和初期には春秋二回の草競馬が開催されて、競馬ファンに愛されていた。

馬図

そんな馬とのかかわりを示しているのが馬頭観音像の数だ。
根岸競馬場にも立派な馬頭観音像があるように、馬の供養のために(決して馬券が当たる願掛けではない)多く建てられた。
北杜市には路傍にも、馬市場や種付け所にも多く建てられた。


ところで、明日は今年初のGI「フェラリーステークス」がある。
競馬もこのところ雪に悩まされ、連続2週、東京開催が出来なかった。
このダートの重賞レースは雪後の泥んこレースになることもよくある。
このレースで優勝した「サクセス・ブロッケン」が山梨に登場したので、お目に架けたい。

サクセス・ブロッケン

引退したこのダートの名馬の仔が二年後には登場することだろう。
泥んこレースに強い馬になることは、間違いない。

明けましておめでとうございます。

新しい年はウサギ年ということで、ウサギの話題から。
ネコ好きが慰めを求める猫カフェができて人気だというが、次はウサギカフェができたという。
ペットとしてのウサギ人気も近年かなり高まっているらしいから、不思議ではないが。
白毛、黒毛、ぶち、茶色、耳がたれた種類、耳が長くない種類など、いろいろ・・・。

このウサギブームをみてすぐ思い浮かぶのは、幕末〜明治のほんの一時期、幕府の瓦解により禄を失った旗本たちの間で高まったという、ウサギを飼って繁殖させる流行のこと。
このブームは大佛次郎の横浜開化物小説「幻燈」に描かれている。

幻燈


毛色の変わった珍しいウサギ1羽何十両といわれるブームが高まりウサギ番付まで作られていたが、取引する市が停められるや一気に醒めて行ったウサギブームが横浜を舞台に、英語塾、南京街、新聞社、陸蒸気、鉄道馬車、牛鍋、芝居小屋などと共に描かれている。
戦後すぐの新聞連載ということもあり、敗戦を味わった日本人の姿が投影されている。
大佛次郎の開化小説には木村荘八の挿絵が付き物だが、この小説にも名人荘八の挿絵を見る楽しさもある。

大佛の開化物は、戦前の「霧笛」「花火の街」「薔薇の騎士」から、戦後の「幻燈」に続くが、その後幕末小説「その人」(朝日新聞連載・1953〜54年)も横浜が重要な背景として登場する。
これも挿絵・荘八とのコンビだ。
この挿絵も単行本に少し入っているが、当時の新聞連載を集めた切り抜き帖を入手したので、お目にかけます。

その人・切抜き


当時は、このような新聞連載小説を毎日切り抜いて手作り帖にコレクションする人たちも少なからずいて、のんびりした時代があったという懐かしいものだ。
弁天通りや人力車、元町百段の風景やヘボン邸などが荘八タッチで描かれている。
この木村荘八、猫好きで、全集もあるほど自身の画集もエッセイ本も多く残した画家の本は、今でも岩波文庫「東京繁盛記」などは手軽に読むことができます。
挿絵もたくさん入っているので、お楽しみください。

東京繁盛記


当店でも挿絵本の代表作をいくつか置いてあります。
お手にとって眺めてください。
○極楽から来た(佐藤春夫・芹沢銈介画)
○癇癪老人日記(谷崎潤一郎・棟方志功画)
○鍵(谷崎潤一郎・棟方志功画)
○濹東綺譚(永井荷風・木村荘八画)
○幼少時代(谷崎潤一郎・鏑木清方画)
○王様の背中(内田百間・谷中安規画)
プロフィール
ウェブサイト
お店のウェブサイト
http://home.netyou.jp/33/fushin/
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