●本格とSF。このミスマッチをどう料理するのか?

ガーディアン (カッパ・ノベルス)

「です・ます調」レビュー100本ノック。13本目。

そういえば最近、本格ミステリ読んでないなあ。と図書館で物色。著者は現代本格の旗手、石持 浅海さん。「月の扉」は名作でしたね。

背表紙のあらすじに目が止まりました。設定がおいっきりSFです。本格とSF。このミスマッチをどう料理するのか?

●守り神は亡き父親
「ガーディアン」。それは勅使河原 冴(てしがわら さえ)を護衛するバリアのような超常現象。幼い頃に他界した父が守護神となり、彼女を傍で見届けているのでしょうか? しだいにエスカレートする能力に困惑する冴。そんな中、信頼していた仕事仲間が彼女の背後を……。

●本格ミステリ作家が描くSF
SFというガジェットを大前提に、あくまで論理で謎を解き明かす。最近ではドラマ「SPEC」が果敢にチャレンジしていました。アイザック・アシモフの「鋼鉄都市」や J・P・ホーガンの「星を継ぐもの」など。海外の名作SFはミステリとしても秀逸なものが多いですね。

本格ミステリ作家が描くSF。西澤 保彦さんの「七回死んだ男」のような感じかな? と期待したのですが。どちらかというとSFサスペンス。宮部みゆきさんの「クロスファイア」っぽい。海外で言うとスティーブン・キング。超意外です。

●サスペンスには不向き?
本著は2部構成になっています。まず前編。仲間内のディベートで懇々と推論を展開するロジックスタイル。そんなシブさがウリの石持作品。今回はそれが裏目に出ましたね。理屈っぽい主要人物たち。サスペンスには向きません。キャラが魅力薄なのでしんどかったです。そこが前述の宮部作品と決定的に異なる所。

後編の主役は……。内緒にしておいた方がいいかな? 前編とずいぶん趣が異なります。こちらの方が展開としては動的。ですが残念ながらもうひとつでした。キャラの薄さと展開の意外性のなさが致命的ですね。

少々肩透かしを食らってしまいました。また楽しませてくださいね石持さん。今度はいつもの冴えたロジックで。

☆☆