「夏の庭」・・・湯本香樹実 (ベネッセ)
内容紹介
町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。
生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。
夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高 まるけれど、
不思議と老人は元気になっていくようだ――。
いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが……。
喪われゆく ものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。
(「2005年の読書日記」より)
始まりは、山下がおばあさんの葬式に行ったことだった。
「死んだ人って重たそうだった」
山下の言葉に、河辺が身を乗り出した。
「オレたちも死んだ人が見たい!」
ぼくたちは、近所の1人暮らしのおじいさんが死なないか
毎日見はることになってしまった。
でも実際におじいさんと知りあい、その家を訪ねるようになると
ぼくたちの思いは少しずつ変わっていった・・・。
3人の12歳の少年と一人生きる老人の関わりを
抒情豊かにユーモラスに描きだす。
『西日の町』も面白かったけど
本書の方が更に面白かったです。
ラストは号泣でした。