('A`)がバイブの訪問販売員になったようですミセ*゚ー゚)リ樹海を征く者のようです 第一章 第一話

February 02, 2011

ミセ*゚ー゚)リ樹海を征く者のようです 序章

1 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 19:55:38 ID:pL5LaCb.O
『樹海の進攻』

急速に拡大する森と、そこに住まう生物群の猛攻。
数千年の昔に発生したその大災害は、栄華を極めたヒトの前文明を徹底的に破壊した。

九割の人々が樹海に飲まれて命を落とし、九分の人々は飢えて死んだ。

旧世界の枠組みは滅び、混沌の時代に叩き込まれ、それでもヒトは滅びない。
底知れぬ苦難の中で、それでもヒトは生きる希望を無くさない。
人々は、勇気と知恵、そして『新たな力』を武器に樹海に挑む。

勝利は『生』を表し、敗北は『死』を表す。
全てのヒトの存亡を賭けた樹海との死闘が幕を開けた。

結末を知る者は、いない。


ミセ*゚ー゚)リ樹海を征く者のようです




2 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 19:59:38 ID:pL5LaCb.O
第一章 新緑の木立 序

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( ゚∀゚)o「あー、嬢ちゃん。ちょっと良いかな?」

ミセ*゚ー゚)リ「はい?」


人類がこの地上を切り開き世界に覇を唱えたのは今や昔。
『樹海の進攻』により、陸地の95%以上が森へと姿を変えた。

旧世界の文明都市はあっさりと樹々に飲まれ、砂漠や高山は草花に覆われ、今や緑の見えない所は海しか無い。

森には巨大な獣や虫、更には竜種に至るまで、あらゆる凶暴な生物が徘徊する。
それらの脅威に対し人は密集して新たな都市を建造し、辛うじてその生活圏を守り続けてきた。

そうした人々の、樹海に対する反撃の一手。それが『冒険者』。
森との戦いに特化した彼らは樹海を旅して獣を狩り、結果人々の生活を守ってきた。

  _
( ゚∀゚)o「中枢府への行き方を教えて貰えないかな?」

3 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:01:02 ID:pL5LaCb.O
ミセ*゚ー゚)リ「良いですよ、ご案内します。
     ……私もちょうどそこに行くところですから」
  _
( ゚∀゚)o「ん、それじゃあ、嬢ちゃんも冒険者に?」

ミセ*゚ー゚)リ「はい。これから登録します」


……ヨツマ市。

旧世界の言葉で「極めて重要な者」を表す、辺境の都市国家。
大陸から海を隔てた東端、樹海に囲まれた都市。

この地の更に東の樹海は新世界で最も深く、謎に満ちた『樹海の進攻』の秘密が眠ると言われる。

根拠など無い、ただの迷信。それでも、人々は希望を託す。

東へ、東へ、東へ。
ただそれのみが、彼らの目標となった。
……そうして、数多くの腕自慢の冒険者達がこのヨツマを訪れ、多くが険しい樹海に散っていった。


4 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:02:51 ID:pL5LaCb.O
ヨツマの王家は樹海を探る冒険者を積極的に支援し、集まる冒険者により都市は肥大する。
樹々の芽吹きを防ぐ石畳の街並みは同心円状に拡がり、獣の進入を防ぐ城壁は繰り返し建造された。
その為に複雑に走る路地と何重もの城壁の名残が街を特徴付け、ある種の美を形成している。


ミセ*゚ー゚)リ「……着きました。ここです」
  _
( ゚∀゚)o「ああ、ありがとう。ええと……」

ミセ*゚ー゚)リ「ミセリです」
  _
( ゚∀゚)o「ミセリちゃん、か。良い名前だね。
     俺はジョルジュ長岡。縁があれば、また会おう」

ミセ*゚ー゚)リ「はい」


ヨツマから冒険者への支援は多岐に渡る。
樹海での食料や武器の支給、負傷時の治療、或いは……殉死者の供養。
また、樹海に駐留し続ける『キャラバン』と呼ばれるベースキャンプの利用。

これらは皆、樹海を旅する冒険者にとって必要不可欠なシステムである。

彼らを管理するために市は冒険者に登録を義務付け、不完全ながら幾つかの制約を与えた。

こうして、ヨツマは「支援」の言葉の元に冒険者を自らに縛り付け、その勢力を東域最大にまで押し上げたのだ。

冒険者が新たに登録を受ける機会は一年に一度。
この日、全ての志願者がヨツマ議会中枢府に集まる。


5 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:04:36 ID:pL5LaCb.O
ミセ*゚-゚)リ「うわ、凄い人……」

中枢府の大講堂は、大きなすり鉢を二つに割った形をしている。
中心から放射状に並べられた数十列の座席は、ほとんどが武具を装備した志願者で埋まっていた。

若さと自信に満ちた者や、老獪な眼差しを持つ者。
豪快に笑う筋肉質な人、静かに本を読む細身の人、油断無く周囲を伺う神経質な人、机に突っ伏し眠る長髪の人。

講堂全体が、むさ苦しいまでの熱気が覆われていた。

ミセ;゚ー゚)リ「……暑苦しい」

愛嬌のある目鼻立ちと癖の強い栗毛。
腰に古びた長剣を提げた、小柄な少女。
彼女、ミセリ・エメリアは講堂の熱気に完全に気圧されていた。

狭い通路を歩く別の冒険者候補の迷惑そうな視線を受け、彼女は慌てて道を譲る。


ミセ;-ー-)リ「……根性!」

ともかく、いつまでも突っ立っている訳にはいかない。
大きく息を吸い込むと、少女はすり鉢の中へ踏み出した。


7 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:06:14 ID:pL5LaCb.O
ミセ*゚ー゚)リ「あの、ここ座っても良いですか?」

lw´‐ _‐ノv「ああ、構わないよ」

講堂の階段を中ほどまで降り、ようやく空席を見つけた。
三人掛けの椅子のちょうど一つ隣に座っていた温厚そうな女性に断りを入れ、
ミセリはその空席に腰を下ろす。

木製の椅子に腰掛け改めて中央を見下ろすが、演説台には未だ誰も居なかった。
何事かが始まる気配はない。


lw´‐ _‐ノv「君は」


ミセリが退屈を感じ始めた頃に、隣の女性が声を掛けてきた。
見た目通りの穏やかな声音に、女性が下げたオニキスのペンダントが揺れる。


9 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:09:07 ID:pL5LaCb.O
lw´‐ _‐ノv「君はずいぶん若いね。この国の出身かい?」

ミセ*゚ー゚)リ「はい、そうです。今年で成人しました。ええと、あなたは……?」


年齢制限は、ヨツマが冒険者に求める唯一の資格だ。
十六歳に満たない者は未成年として扱われ、当然冒険者になる事も許されない。


lw´‐ _‐ノv「私は素直シュール。シューで良いよ。丁寧語も要らない」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、はい。ええと……よろしく、シューさん!」

lw´‐ _‐ノv「よろしく。……それで君の名前は教えてくれないのかな」

ミセ*゚ー゚)リ「ごめん、私はミセリです」

lw´‐ _‐ノv「ん。じゃミセリ、しばらく話し相手になってくれないかな。退屈していたんだよ」


長机の上に頬杖をついた姿勢で、シューはミセリにそう申し出てきた。

どうやら、退屈を持て余していたのは自分だけではなかったらしい。
ミセリはふっと息を吐いた。

彼女のおかげで、緊張がかなり和らいだ。


10 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:11:31 ID:pL5LaCb.O
ミセ*゚ー゚)リ「いいよ。私もすごく退屈だったんだ」

lw´‐ _‐ノv「実はそうだと思って声をかけたんだよ。どうやら大成功かな」

ミセ*゚ー゚)リ「そうだね。ちょっと驚いたけど、嬉しかったよ」

lw´‐ _‐ノv「それは良かった。君は『親和』はあるのかい?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、緑と白がちょっとだけ」


この世界には『精霊』、或いは『エレメント』と称される、五種の超自然的な不可視の力がある。
その圧倒的な力こそが、『樹海の進攻』から人々を救い上げた奇跡そのものだ。

限られた一握りの人々のみがその精霊の力を理解し、利用し、支配できる。
彼らは時に火を起こし、傷を癒し、大気を操り、果ては生命をも意のままとする。

親和とは精霊を支配し得る容量であり、その有無は天性の才能によるものだ。
そして、精霊の種類は五つの色によって表される。則ち、『白』『緑』『赤』『青』『黒』によって。


11 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:13:36 ID:pL5LaCb.O
lw´‐ _‐ノv「二色か、いいバランスだね。……ミセリちゃんの得物はその剣かな」

ミセ*゚ー゚)リ「そうだよ。まだ上手く使えないんだけどね……」


ミセリの長剣を指してシューが問う。
エレメントの増幅器である柄のペリドットが、鈍く黄緑の光りを反射した。

lw´‐ _‐ノv「なんで長剣にしたのかな? ナイフや銃の方が良いと思うんだけど」


シューの疑問ももっともなことだ。
お世辞にも、ミセリは剣を振り回せるほど体力に優れているようには見えない。
……というか、鍛練を積みはしたものの、彼女にそんな体力は無いと言える。

ただ、ミセリはこの剣には多少の思い入れがあった。


12 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:16:59 ID:pL5LaCb.O
ミセ*゚ -゚)リ「なんでって、ええと……これ、父さんが使ってた剣らしいんだ」

lw´‐ _‐ノv「お父さん?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、父さん。冒険者なんだけど、もう5年以上樹海から帰ってきてなくて……」


冒険者が樹海に入ってから5年も戻ってこない。これは、一般的には死亡したものと見て間違いない。
だから、ミセリがこう語ったときにシューが表情を曇らせたのは、ごく自然なことだ。

彼女の父が一般的な常識のまるで通用しない人物でなければ、ミセリの表情も同様に沈んでいただろう。


lw´‐ _‐ノv「あー、それは、御愁傷様で……」

ミセ;-ー-)リ「いや、多分生きてるよ。知らんけど」

lw´‐ _‐ノv「え、ええ……?」

ミセ*゚ー゚)リ「おっと……」


13 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:18:25 ID:pL5LaCb.O


                 / ,' 3


講堂の中心に、丈の長い儀礼服を着た初老の男性が現れた。

彼の名は荒巻スカルチノフ。
ヨツマ市議会の議長で、皇族に次ぐ権力者。
温和な人柄と対称的に、彼は冒険者として多くの武勇伝をも備えている。

穏やかな笑みを浮かべて静かに講堂を見渡し、荒巻はゆっくりと演説を始めた。



14 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:20:20 ID:pL5LaCb.O


偉い人の話なんて、大概は退屈なだけだ。
一時間にも及ぶ長い演説が終わるや否や、シューは不満も露にミセリに愚痴を洩らした。

lw´‐ _‐ノv「長い。そして面白くない。誰だったんだよあの爺さんは」

ミセ*゚ -゚)リ「荒巻スカルチノフって言って、……すごく偉い人のはず」


偉大な為政者、最強の武辺者など彼に関わるいくつかの評判を語ると、シューは素直に感心してみせる。
ヨツマ市内で荒巻の豪名を知らぬ者は、まず居ない。彼女が他国の出身だろうと、ミセリは予想した。


lw´‐ _‐ノv「よく解らんけど、すごい人だって事は分かった」

ミセ*゚ー゚)リ「まぁ、そんな感じで十分だよ。シューは他国の人?」

lw´‐ _‐ノv「ああ、私はラウンジの出身だよ。ヨツマは昨日着いた」

ミセ*゚ー゚)リ「ラウンジ……」


15 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:21:43 ID:pL5LaCb.O
ラウンジはヨツマの北方に位置する都市国家で、ヨツマとは敵対関係にある。
他の都市同様に樹海産業で発達した都市だが、多くの冒険者を擁するヨツマに大きく引けをとり、
遂には巨大都市と化したヨツマの影に埋もれてしまった。

現在は大きく遅れながら冒険者の支援機構を整えつつあるようだが、
それでもシューのように樹海に挑むためにヨツマに移る者は少なくない。

……また、近年は樹海を巡る対立が激化しており、近々戦争が起こる事は避けられないとの噂もある。


lw´‐ _‐ノv「さて、あとは登録証を頂くだけだね。私はそろそろ仲間の所に戻るよ」


「置き去りにして来たからきっと困っているだろう」、シューはそう言って笑った。


16 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:23:42 ID:pL5LaCb.O
ミセ*゚ー゚)リ「うん、ありがと」

lw´‐ _‐ノv「礼には及ばんよ。……いずれまた会おう、それまで死ぬなよ少女?」

ミセ*゚ー゚)リ「姐さんこそ、死ぬなよ!」

lw´‐ _‐ノv「うむ」

ヒラヒラと手を振り、黒髪の女性は立ち去る。
ミセリは彼女との再会を心から願い、また心のどこかでは確信していた。


ミセ*゚ー゚)リ、「仲間か……ちょっと羨ましいな」


シューの背中を見送り、ミセリは軽くため息をつく。


17 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:24:35 ID:pL5LaCb.O
樹海に挑む冒険者は、普通数人の仲間と『ギルド』と称されるパーティーを組む。

前線で剣を振るう者や、後方からの支援に徹する者。
あるいは、負傷した仲間の手当てを専門に行う者。

冒険者同士の協力は、生き残る為に不可欠とも言える。

しかし、ミセリには仲間の当てがない。
実力がある者は正に引く手数多となるが、新米は樹海での経験が全く無い点が大きく劣る。


ミセ*-ー-)リ「ま、無いものは仕方ないよね」


当分は市公認の依頼を受けながら力を付ける事になるだろう。
その間に気の合う同士が見付かれば良いのだが。


ミセ*゚ー゚)リ「なんとかなる……はず」

ミセリは、沸き上がる不安を掻き消した。

ようやく自分の夢が叶ったのだ。全て、これから始まる。
今の自分にできる事があるなら、何も恐れる必要は無い。

踏み出した一歩が、勇気を返してくれた。


18 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:27:26 ID:pL5LaCb.O


物心付いた頃から、少女は冒険者に囲まれて過ごしていた。
母の経営する冒険者宿『纏亭』にはいつも数組もの冒険者が居て、多くは少女をとても可愛がった。
母の仕事を手伝う傍ら、少女は彼らから様々な事を学んだ。

彼らから漂う樹海の香りを嗅ぐ度、彼らが語る誇張に満ちた武勇伝を聞く度、少女は樹海に憧れた。
顔も知らぬ父親の英雄譚を聞く度、少女は樹海に惹き付けられた。

「冒険者になりたい」
十歳を数えた少女がはじめて母に打ち明けた時、母は激しく少女を怒鳴り付ける。
「あんたみたいな洟垂れのチビが冒険者になりたいだって!? ふざけるのも大概にしなさい、この馬鹿ガキが!」
怒声は纏亭全体に轟き渡り、滞在していた冒険者達が必死で母を宥める姿を今も覚えている。
彼女がああまで激怒する姿を、そして涙を流す姿も、少女は他に見たことがなかった。
……もっとも、その時以上に怒り狂う彼女の姿は、ちょうど翌年の夏に見る事が出来たが。

その翌朝、母は少女に一本の細長い包みを手渡した。
ずっしりと重量のあるその包みを解くと、それは奇麗に手入れされた古い長剣だった。
柄にあしらわれたペリドットの増幅器が、ヒカリゴケの光を反射して黄緑に輝く。
「父さんが昔使ってた剣よ。あんたにあげるわ」
驚いて顔をあげた少女から顔を背け、母は「あんたの生きたいように生きなさい」と一言言う。
それから少女は『纏亭』の冒険者から剣の握り方や振り方を覚え、繰り返し練習する。

少女が夢を叶えるまで、あと六年。




19 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:28:48 ID:pL5LaCb.O
@ ゜д ゜)っ◇「ふーん、これが冒険者登録証……」

ミセ*゚ー゚)リ「そうだよ……って、父さんが持ってるの見たことないの?」


綺麗な細工の施された菱形のカードを弄びながら、ミセリの母、アラヤダは言った。

それを受け取った時のミセリと同じく予想以上の頼り無さに驚いたのだろう。
豪放な彼女は、露骨な残念感を少しも隠そうとしなかった。


@ ゜д ゜)「ないわ。興味なかったし……これってそんなに大事なの?」

ミセ;-ー-)リ「もし無くしたら私はあと一年間無職になるよ……」


これは決して過言ではない。
翌年になって市に再発行されるまでの間、市からの仕事が一切回って来なくなる。


20 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:30:09 ID:pL5LaCb.O
@ ゜д゜)「それにしても、このチビっこが冒険者とはねぇ……」

ミセ;-ー-)リ「身長の事は言わないで欲しいな」

@ ゜д゜)「まぁ、これが背丈の問題じゃないのはわかってるわ」

ミセ*^ー^)リ「ですよねwww」

@ ゜д゜)「問題は、仲間は愚か友達の1人も居ない事よね」

ミセ;-ー-)リ「ですよね………」


アラヤダは冒険者向けの料亭兼長期宿『纏亭』を取り纏めている。
加えて夫が冒険者である事から、冒険者に関して一定の理解は持っている。

ミセリはアラヤダを深く信頼していた。


21 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:30:56 ID:pL5LaCb.O
@ ゜д゜)「最悪、うちの御得意様に押し付けるって手もあるにはあるけどさ」

ミセ*゚ー゚)リ「それは出来ればしたくないッス、はい」

@ ゜д゜)「あたしだって嫌よ。あんたが何人か連れてくる方がよっぽど儲かるもの」

ミセ;゚ー゚)リ「うわぁ、何処まで守銭奴なのさ……」

@ ゜д゜)「旦那が樹海に消えた妻は嫌でもこうなるのよ。あんたも気を付けなさい」

ミセ*゚ー゚)リ「ふふん、私は父さんと同じ冒険者側だよ?」

@ ゜д゜)「あらやだ、いつの間にそんな大口叩くようになったのかしら?」

ミセ*゚ー゚)リ「その菱形のを貰った時からですー!」

@ ゜д゜)「全くこの小娘は、口が減らないわねー!」

ミセ*゚ー゚)リ「そこは母さん譲りじゃないかな」

@ ^д^)、「……それなら仕方ないわね」


彼女の娘に生まれて本当に良かった、心からそう思う。


22 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:31:48 ID:pL5LaCb.O


翌朝。
まだ薄暗い内から、ミセリは市街を横切り城門へと歩いていた。

ヨツマを取り囲む城壁は東向に巨大な半円を描き、ヨツマ市街と農耕地をまとめて守っている。

城門は三つ。
ラウンジ方面へ抜ける海岸沿いの北門、直接樹海に入る東門と南門。
どの門を通る場合も、通行証または冒険者登録証が必要である。


樹海に向かう二つの門のうち、ミセリは東門を選んだ。
三つの門の中で最も大きな東門は、樹海に向かう冒険者の多くが好んで利用する。
城門には常に数人の衛士が詰めていて、ヨツマを害獣などから守っている。


(‘_L’)「こんにちは、お嬢ちゃん。どうしたんだい?」

ミセ*゚ー゚)リ「樹海に入りたいんだけど」


ミセリがこう言うと、若い衛士は軽く笑って返した。
まさか目の前の小さな少女が冒険者だとは思わなかったのだろう。


23 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:32:34 ID:pL5LaCb.O
(‘_L’)「ははは。元気なのは良いけど、ここは冒険者じゃないと通す事はできないよ」

ミセ*゚ー゚)リっ◇

(;‘_L’)「あ……これは失礼しましたっ!!」


衛士は深く頭を下げた。
冒険者により動いているヨツマにおいて、衛士と冒険者の間には明確な上下関係がある。
上級者ともなれば物理的にも政治的にも圧倒的な力を持つ冒険者を敵に回すのは、極めて愚かしい事だ。

ただしミセリのようなルーキーにとっては、そんな事情など心苦しさにしか変わらない。
そもそも、冒険者の資格だけならタダでも手に入るのだから。


ミセ*゚ー゚)リ「いいよ、私まだ一年目だし」

(‘_L’)「そうでしたか……それで、本日はどのようなご理由で?」

ミセ*゚ー゚)リ「今日は、とりあえずただの散歩だよ」

(‘_L’)「はぁ……。それで、お仲間は……?」

ミセ*゚ー゚)リ「いないッス」


冒険者になって一年目の新米が一人で樹海に挑むなど、命知らずもいいところだ。
あっさりと答えたミセリを、衛士は慌てて引きとめた。


24 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:35:25 ID:pL5LaCb.O
(;‘_L’)「それは危険ですよ! お考え直しになった方が……」

ミセ*゚ー゚)リ「私、新米だからね。まずは実力を付けなきゃならないし」

(;‘_L’)「それなら、せめて同じ一年目の方と組んではいかがですか?
      もし当てが無いなら、ここで探しても構いませんよ?」

ミセ*゚ー゚)リ「ありがとう。でも、大丈夫だよ。今回はすぐに帰って来るつもりだから」


彼がこうも食い下がるのは、おそらく職務意識からではなく彼の性格からだろう。
彼の生真面目さ、いや、優しさに対して、ミセリは心の内で礼を言った。

ミセリが大丈夫だと繰り返すと、彼はしぶしぶ門を開きにかかる。


(‘_L’)「は、それではお気を付けて。危なくなったらすぐに逃げて下さいね」

ミセ*゚ー゚)リ「わかってるよ。ありがとう」


重い樫の木の門が、大きく軋みながら開いた。


25 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:36:05 ID:pL5LaCb.O
ミセ*゚ー゚)リ「うわぁ、凄い……!」

開かれた城門の向こう側は、ヨツマ市街とは全く別の世界だった。

大地は新緑の若草と若い樹々に覆われ、視界を緑に埋め尽くす。
見上げれば、枝葉の合間から春の木漏れ日が柔らかく降り注ぎ、辺りを光で満たしている。

およそ人には為し得ない、神々しささえ伴う『美』がそこにあった。


ミセ*゚ー゚)リ「さて、それでは記念すべき第一歩と参りましょーかっ!」


ミセリは軽やかにその足を樹海に踏み入れた。

薄手の防具や腰の長剣の重さも、全く気にならない。
ただ新たな世界への期待と喜びだけが、ミセリの心にあった。


26 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:39:56 ID:pL5LaCb.O


ヨツマを出発した冒険者は、まずベースキャンプ『キャラバン』を目指す。
『キャラバン』とはヨツマ公認の支援部隊のことで、常に樹海に駐留している。

場所は、ヨツマから東に一月ほど歩いた辺り、南北に広がる『天国山脈』の西側の山裾近く。
深い樹海とそこに住まう生き物が脅威として連なるが、基本的には方位磁針さえ読み違えなければ、東に直進するだけで良い。

大半の冒険者は、この段階で冒険者としての生命を終える。
命が残っている者は街で一定の職を得、命が残らなかった者は英霊の名誉を得る。


27 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:40:12 ID:pL5LaCb.O
尚も冒険者たろうとする者は更に山脈を越えて東へ進むのだが、これが特に大きな壁となる。

天国山脈へ挑む者は、4人に1人しか生還できない。山脈を越えた向こう側に到達し得る者は更に少ない。
事実、過去数十年で彼の天嶮を越えて生還した冒険者は、たった一組しか出なかった。


天国山脈を攻略して帰還したその僅かな例は、その先に寂寥とした荒野を見たと報告している。
古の記録によると、その先には旧世界的の広大な遺跡があるとされている。

金のため、名誉のため、好奇心のため。
向上心によって、使命感によって、そして、自分にも何と知れない樹海の不思議な引力によって、冒険者たちはそれを目指してきた。

……そして今、樹海の魔力はミセリを取り込もうとしている。


ミセ*゚ー゚)リ「さて、だいぶ満喫できた事だし、そろそろ街に戻ろうかな」


気が済むまで樹海を散策してから、ミセリはようやく足を止める。

気付けば、随分と長い時間が経っていたらしい。
日差しは既に傾こうとしていた。


28 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:42:13 ID:pL5LaCb.O
∬´_ゝ`) 「あら、ミセリちゃん。早速来たのね」


受付に座るこの女性は、姉者。
ミセリの母・アラヤダとも交流がある、ミセリにとって実の姉のような存在。

その美貌とさっぱりした性格から男女問わず人気があり、彼女が議会窓口に居るだけで来客が三割増になるとさえ言われている。


ミセ*゚ー゚)リ「こんちわッス、姉者さん! お仕事貰いに参りましたっ!」

∬´_ゝ`) 「はいはい、……それでは登録証をご提示下さいますか?」

ミセ*゚ー゚)リ「ん」


一応の事務的なやり取りとして、登録証の提示を求める姉者。
ミセリは懐に入れた登録証を取りだし、姉者に見せた。


ミセ*゚ー゚)リっ◇

∬´_ゝ`) 「はい、ありがとうございます。ちょっと待っててね……」


姉者は机に向かい、積まれた書類の束から一つを引っ張り出した。
一見すると雑に積まれた書類の山だが、姉者はその全てを完璧に把握している。


29 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:46:18 ID:pL5LaCb.O
ミセリは市から任務の斡旋を受けるために市議会を訪れていた。

ヨツマ市議会は冒険者に市民や各施設からの依頼を仲介する役目も持っている。
内容は、商人の交易の道中の護衛や都市拡大のための開拓活動、
樹海における生態調査、市民を襲う外敵の排除、食料としての獣狩り等。
市はそれらを実力と経験に見合った冒険者に振り分け、成果に応じて報酬額を配分する役割を負っている。

ヨツマでは数十年前からギルド制を採用してきた。冒険者各々がギルドというパーティを組み、協力する制度だ。

構成員が功績を重ねていれば重ねているほど、ギルドの評価も高くなる。
故に、有能な冒険者が居ると各ギルドはこぞってスカウトに走る。
同時にミセリのような新米を味方に入れたがるギルドが少ないのも事実だ。

では、若手は個人として活動するのが良いのか。これも相当に難しい。

名のある冒険者ともなれば仕事依頼などは黙っていても入ってくるが、若手や新米はそうではない。
報酬額が少なかったり、単純作業を繰り返すだけだったり、そうした依頼を進んで受けるしかないのだ。

コツコツと下積みを経て冒険資金を稼ぎ、そうする内に肝心の冒険者としての旬が過ぎている。
このように、多くの冒険者の成り損ないが街でその生命を閉じた。



∬´_ゝ`) 「はい、お待たせ。ミセリちゃんはこれが初仕事ね」

ミセ*゚ー゚)リ「なになに……『治安維持の為の野犬狩り』?」

∬´_ゝ`) 「そう。市からの依頼だから、報酬は少ないけどね」

30 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:50:20 ID:pL5LaCb.O
ミセ*゚ー゚)リ「他のは無いッスか?」

∬´_ゝ`) 「樹海の熊とかと戦いたい?」

ミセ;-ー-)リ「いやぁ、それはちょっと勘弁かな……」


樹海の熊は、若手にとって恐怖の代名詞の一つとして数えられている。
その強力な腕と頑丈な毛皮から、ヨツマ市民が真っ先に脅威として挙げるのが、熊種の生物だ。

ミセリも一度だけ樹海熊の死体を見た事があるが、とても相手どりたいと思える生き物ではなかった。
腕の太さだけで自分の胴体を上回る化け物と戦うなど、絶対に御免被りたい。


31 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:51:23 ID:pL5LaCb.O
∬´_ゝ`) 「野犬って言っても、油断はダメよ。結構手強いから」

ミセ;゚ー゚)リ「うーん、大丈夫かなぁ……」

∬´_ゝ`) 「不安なら、他の冒険者と組んでも良いわ。同じ仕事を受けた子なら紹介してあげるわよ?」

ミセ*゚ー゚)リ「や、まぁ最初は一人で出来るだけやってみようかなって」





ミセ*゚ー゚)リ「あ、でも紹介してくれるのは嬉しいかも」

∬´_ゝ`)「この子は全く……とりあえず話しておくわ」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、ありがとう」




ミセ*゚ー゚)リ「さて、では再び参りますか」


32 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:52:37 ID:pL5LaCb.O


駆逐対象は、すぐに見つかった。

鋭い牙と爪を持ち、俊敏な動きを見せる四足の獣。
近隣を行く隊商を襲うその害獣は、度々ヨツマから駆除の命令が出る。
一匹一匹の強さはさほど優れているとは言えないが、集団での狩りの能力に長ける。

ただし、樹海のはずれに程近いヨツマ近郊に現れるのは、群れから追放されたはぐれ狼が多い。
これらの獣は若手の冒険者が腕を磨くための砥石として、ある種重宝されている。

未だヨツマの城壁が遠くに見えるほどの浅い森で、ミセリは一頭の野犬と相対していた。


ミセ#゚-゚)リ「せいッ!」

▼゚ェ゚▼「……ッ、ッー!」


樹海の野犬は、街中で飼われる犬に比べ大きく、強い。
ミセリが対峙する一頭も巨体に似合わない素早さがあり、なかなか攻撃が当たらなかった。

じりじりと押され始めている現状に、ミセリは歯噛みした。


33 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:53:44 ID:pL5LaCb.O
▼゚ェ゚▼「ッ、ッ! ……ッ!」

ミセ;゚-゚)リ「くっ」


努めて冷静に、ミセリは長剣を振るう。
しかし、素早く身をかわす野犬には僅かに届かない。

身を低くしてミセリを襲う隙を伺うその野犬は、経験の少ないミセリにとっては強敵だった。


ミセ*゚-゚)リ「仕方ないなぁ……」


精霊。冒険者の持つ切り札。

ミセリは、不可視の力を呼び起こした。
緑のエレメントに対応してミセリの瞳が緑に染まり、全身に新たな力が行き渡る。

素早く飛び掛かってくる野犬の動きが、今のミセリには鈍く感じる。


34 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:56:22 ID:pL5LaCb.O
ミセ#゚-゚)リ「ッ!」

▼゚/ /ェ゚▼「ッ、カッ……!」


決着は一瞬だった。

身を捻る小さな動作で獣の攻撃を避け、強引に長剣を叩き込む。
体を縦に裂かれた野犬は、断末魔の声をあげて動かなくなった。

ミセリの初陣は、苦戦の末の勝利に終わる。


35 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:58:56 ID:pL5LaCb.O
ミセ;゚д゚)リ「あ、危なかったぁ……」

精霊による強化を解いたミセリは、その場にへたりこんでしまった。
この野犬が集団で襲って来ていたら、間違いなく自分が先に死んだだろう。
こんな所で犬に喰われて殺されるなど、絶対に御免だ。

剣を握った腕を持ち上げると、鈍い痛みが走った。
どうやら酷使し過ぎたらしい。

……少しだけ休もう。
ミセリはすぐに街に戻るのは諦め、その場に腰をおろした。



精霊の色には、それぞれ特徴がある。

例えば、ミセリの用いた緑は、『生命』に関わる力を司る色だ。
その力は筋力や感覚能力を一時的に上げ、親和の熟達者ともなれば傷を癒すこともできる。

一般に、親和は精霊と身体の馴染み具合なので、精霊の行使により上限を上げる事ができるとされている。
その為、より多くの経験を積んだ冒険者はより高い親和を持ち、より高い能力を持つ。

……精霊には未だ多くの謎が残されていて、断定できる事は少ない。


ミセ*゚ー゚)リ「さて、街に戻ろう」


ミセリは用意していた頭陀袋に野犬の遺骸を詰め、担ぎ上げた。
背中に伝わる生暖かさに、少し胸が傷む。


36 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 20:59:30 ID:pL5LaCb.O


¥・∀・¥「お疲れ様です。こちらが報酬と受け取り証明です」

ミセ*゚-゚)リ「ん」

¥・∀・¥「毎度ありがとうございます、またお願いしますね」


ミセ*゚-゚)リ「……なんか嫌だな」


駆除した害獣の死骸は城門近くの交易所に引き渡す手はずになっている。

野犬の遺骸と引き換えに報酬を受け取ったミセリは、釈然としない気持ちを拭い去れなかった。
左手に下げた小さな布袋には、そこそこの価値のある硬貨が数枚。
命懸けで戦った相手が、こんなにも軽くなってしまう。




37 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 21:01:21 ID:pL5LaCb.O
∬´_ゝ`) 「ちょうど良いところに。こっちに来て」

ミセ*゚ー゚)リ「……ん、なーに?」


( ><)「こ、こんにちはなんです!」

(*‘ω‘ *)「はじめましてっぽ」


中枢府に依頼の報告に向かったミセリを待っていたのは、姉者と2人の若い冒険者だった。
緊張を顕に挨拶をかける糸目の少年と、しっかりした口調の少女。
元気よく挨拶をしてきた二人は、小柄なミセリよりもさらに小さい。

少女は背中に、先端にルビーの増幅器が付いた大きな木製の棍棒を背負っている。
バトルワンドと分類されるその武器は、圧倒的な重さによる破壊を目的に作られ、
容易に使いこなせるものではない。
親和能力を持たなかったなら、この少女にはとても振るえないだろう。

一方、もう一人の少年は一切武装していない。
武器をもたずに樹海の探索に踏み出す場合、その事情は限られる。
治療役や特殊攻撃役などの後衛・非戦闘員、拳闘士のような素手による戦士、そして自殺志願者。
糸目の少年に腕力があるようには見えないので、恐らく治療役か特殊攻撃役だとミセリは推測した。


∬´_ゝ`)「ルーキーの子よ。新しい仲間を探してたから、あなたを紹介しようと思って」

ミセ*゚ー゚)リ「そうなの? ……はじめまして。私はミセリ、ミセリ・エメリアです」


38 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 21:02:43 ID:pL5LaCb.O
軽く会釈したミセリに、糸目の少年は勢い良く頭を下げた。
対照的に、傍らの少女は優美な仕草で一礼する。


( ><)「僕はビロードって言うんです!」

(*‘ω‘ *)「私はちんぽっぽだっぽ。良かったら私たちと組んで欲しいっぽ」

( ><)「僕たちはまだ新米だから、2人だけじゃ不安だったんです! 一緒に来て欲しいんです!」


ビロードと名乗った糸目の少年が、矢継ぎ早に言葉を継ぎ足す。
きっと良く練習したのだろうビロードの様子に、ミセリは思わず笑みを溢した。


ミセ*゚ー゚)リ「……うん。こちらこそ、よろしくね」

(* ><)「はいなんです! よろしくお願いします!」

ミセ*゚ー゚)リ「姉者さん、ありがと!」

∬*´_ゝ`)「……いえいえ、どういたしまして」


こうして、ミセリはビロード、ちんぽっぽと出会う。
彼女の数奇な運命の、大きな縁の歯車達と。


39 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 21:03:32 ID:pL5LaCb.O


ミセリは学校に行ったことがない。
幼少の頃から実家の『纏亭』を手伝いながら生きてきたし、冒険者になると決めてからは修業に打ち込むようにもなった。

文字や計算など生活に不自由しないだけの学識は、母や纏亭の従業員や滞留している冒険者達から受けとった。
お陰でヨツマ市での、纏亭での暮らしに不自由することは一切なかったが、時折ミセリは考える。

同い年位の友達が居るのは、どういう気持ちなんだろうと。




40 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 21:09:15 ID:pL5LaCb.O
ミセリとビロード達が出会った翌日。


ミセ*゚-゚)リ「うーん、また野犬狩りかぁ……」

( ><)「初めのうちは仕方ないんです……」


ミセリとビロード、ちんぽっぽの三人は市から新たに仕事を受け取った。
内容は相変わらずの野犬狩りだったが、三人の功績に応じ、仕事量と報酬が割増しにされている。

前日、三人はすぐに新たなギルドを登録した。
ギルド名は『(ギルドの名前を記入してください)』(仮)。
これはビロードとちんぽっぽの二人の間でかなり揉めた──というか、ビロードがの案が一方的に叩かれた──末に
意見が全くまとまらず、呆れた姉者が「だったら今は保留で良いわよ」と言い、そのままになっている。

先ほど受け取った野犬狩りが、ミセリ達『(ギルドの名前を記入して下さい)』(仮)の事実上の初仕事になる。


41 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 21:10:12 ID:pL5LaCb.O
( ><)「……そう言えば、ミセリちゃんは親和はあるんですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、緑と白がちょっとずつ。ビロード君とちんぽっぽちゃんは?」

( ><)「僕も親和持ちです!  赤と黒なんです!」
(*‘ω‘ *)「私は赤だっぽ。ミセリは剣士っぽね?」

ミセ*゚ー゚)リ「そうだよ。まだ駆け出し未満だけどね」

(*‘ω‘ *)「そりゃ助かるっぽ。ビロがひ弱だから、私に負担がかかって仕方なかったっぽ」

(; ><)「ひどいんです! 僕は能力が後衛向きなんです! 仕方ないんです!」

ちんぽっぽがビロードの頭を軽く小突く。
掛ける言葉は辛辣だったが、ミセリには2人の間の深い信頼が見て取れた。


ミセ*゚ー゚)リ「ビロード君とぽっぽちゃんは知り合ってから長いの?」

( ><)「はいなんです! ぽっぽちゃんとは幼なじみなんです!」

(*‘ω‘ *)「産まれた時から家族同然だったっぽ。こいつは昔から泣き虫ヘタレだったっぽ」

(; ><)「ちょっ、ぽっぽちゃん、ひどいんです!」


ビロードが悲鳴のような声を上げる。
二人の微笑ましい様子が、ミセリは少し羨ましかった。


42 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/11/22(月) 21:12:53 ID:pL5LaCb.O
ミセ*゚ー゚)リ「いいな、そういう仲が良い人がいるって」

( ><)「何言ってるんですか! ミセリちゃんはもう仲間でお友達なんです!」

ミセ*゚-゚)リ「!」

(*‘ω‘ *)「そうだっぽ! これからもっと仲良くなるっぽ!」

ミセ*゚ー゚)リ「……ありがとう、2人とも」

(* ><)「えへへ……」


ちんぽっぽがビロードの横っ面を張り、その勢いのままミセリに抱きつく。
突然の理不尽な暴力に抗議するビロードを容赦なく蹴り飛ばすちんぽっぽ。

彼らと同じ輪の中に、今はミセリも居る。
彼女の作りあげる伝説の、これが最初の1ページ。





続きミセ*゚ー゚)リ樹海を征く者のようです 第一話


boonkei_honpo at 01:02│Comments(3)TrackBack(0) ファンタジー | 樹海を征く者のようです

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この記事へのコメント

1. Posted by 名無しさん   February 02, 2011 02:48
これどっかで見たことあるなぁ…長編序章祭だっけ…?

なんにせよ今後に期待してます!
2. Posted by 名無し   February 03, 2011 23:52
1 こいつはくせぇー!
逃亡の臭いがプンプンするぜぇー!
環境が作者のやる気をなくす?違うね!
こいつは生まれついての駄作だ!
3. Posted by 、   February 10, 2011 15:20
終わるまではわからんぜ……

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('A`)がバイブの訪問販売員になったようですミセ*゚ー゚)リ樹海を征く者のようです 第一章 第一話