February 27, 2011
( ゚∀゚)人はその男を『決闘』と呼ぶようです 第一章
('A`)「船長!3時の方角に目標を確認!」
「よおし!船を近づけろ!火薬の準備は万端か!?」
( ><)「もうすぐです!標的はロアンクルーニ号!貴族の遊覧船です!」
「いいねぇ!今夜は宴だ!ハデに決めろ!」
/ ゚、。 /「砲撃準備完了!いつでもいけます!」
「なら今だ!帆を張れ!全速前進!!」
―ブーン系音楽短編フェス参加作品―
( ;´W`)「皆さま!大変でございます!海賊が現れました!」
(;=゚д゚)「か、海賊が?」
ハソ; ゚-゚リ 「嘘でしょ?」
( ;´W`)「乗客の皆様は直ちに避難をして下さい!繰り返します、乗客の皆さまは…」
( # ゚¥゚)「おい!」
( ;´W`)「は…はい?」
( ; ゚¥゚)「この海域は海賊は出ないはずじゃなかったのか!?」
( ;´W`)「た、大変申し訳ありません…!我々にも不測の事態でして…」
( ; ゚¥゚)「どこの海賊だ!!こんな…こんな!!」
( ;´W`)「………うです…」
( ゚¥゚)「は?」
―主題曲Ⅰ『Battle Metal』/TURISAS―
( ;´W`)「…………『決闘』です」
( ゚¥゚)
( ; ゚¥゚)「け………『決闘』だ……と?」
( ;´W`)「え、ええ…」
( ; ゚¥゚)「見間違えたんじゃないのか!?」
( ;´W`)「確かに『決闘』です!あの真っ赤な二角帽子に真っ赤なコート、間違いなく奴です!」
(;=゚д゚)「『決闘』だって!?」
ハソ :゚-゚リ「危険じゃない!急いで避難を…」
(´・_ゝ・`)「皆さん慌てずに。どうしたんです?」
( ;´W`)「デミタス男爵!じ、実は……」
(´・_ゝ・`)「ほう海賊…なるほど『決闘』が」
( ;´W`)「デミタス男爵もお早めに避難を!」
(´・_ゝ・`)「落ち着きなさい船長。まだ襲われると決まったわけじゃありません」
( ;´W`)「は?」
(´・_ゝ・`)「『決闘』の異名の由来を知っていますか?」
(´・_ゝ・`)「奴はなにかと決闘を好み、戦闘の度申し込んでいると聞きます」
( ;´W`)「え、ええですからそれだけ腕に自信が…」
(´・_ゝ・`)「それにあの海賊一味は少数規模」
(´・_ゝ・`)「話によるとたった4人だけと聞いています」
8 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:10:10 ID:kK9V/Zl60
―主題曲Ⅱ『Sahti Waari 』/TURISAS―
( ;´W`)「よ、4人?」
(´・_ゝ・`)「しかも、そのうち戦力になるのはキャプテンの『決闘』だけだとか」
(´・_ゝ・`)「ここは話し合いで決着をつけましょう」
( ;´W`)「そんな!無茶です!相手は海賊ですよ!!」
(´・_ゝ・`)「ええ。ですからその時は…」
(´・_ゝ・`)「私が相手をしましょう」
(=゚д゚)「おお!デミタス男爵が『決闘』に挑むようだ!」
ハソ ゚-゚リ 「頼もしいわ!デミタス様の剣捌きが見られるなんて」
( ゚¥゚)「あの人はとても腕っ節が効くと聞いている。もしかすると何とかなるかもしれないぞ!」
(´・_ゝ・`)「皆さん!エールをありがとうございます。どうかご安心ください」
(´・_ゝ・`)「そして海賊を拿捕するその瞬間を…お見逃しなく」
( ;´W`)「き、来ました!『決闘』です!」
10 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:11:51 ID:kK9V/Zl60
(;=゚д゚)「……………………」
( ;´W`)「……………………」
_
( ゚∀゚)「…なんだ?このギャラリーの数は…」
(´・_ゝ・`)「そんなことは関係ないだろう?『決闘』」
_
( ゚∀゚)「んん?お前は?」
(´・_ゝ・`)「デミタス。爵位は男爵だ」
_
( ゚∀゚)「ああそう。俺はジョルジュ・キッド。よろしく」
(´・_ゝ・`)「よろしくキャプテン・ジョルジュ」
(´・_ゝ・`)「単刀直入に聞こう。君は何が望みなのかな?」
_
( ゚∀゚)「金。そして金品となるもの全てだ」
(´・_ゝ・`)「そうか。こちらとしては直ちにこの船から離れてもらいたい」
_
( ゚∀゚)「……男爵様は俺の声とあの旗が見えてないのか?」
11 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:12:31 ID:kK9V/Zl60
(´・_ゝ・`)「この要求が飲めないと言うならば…それなりの措置を取らせてもらうことになるな」
_
( ゚∀゚)「措置?かわりにミルクでも飲ませてくれるのかい?」
(´・_ゝ・`)「君を殺すということだよ」
_
( ゚∀゚)「へえ…誰が?」
(´・_ゝ・`)「私がだ」
_
( ゚∀゚)「………面白い」
_
( ゚∀゚)「いいぜ、受けて立つよ」
_
( ゚∀゚)「決闘だ」
】人はその男を『決闘』と呼ぶようです【
第一章:海賊は十字架の前で涙を流す
船を港に停め錨を降ろす。
夕暮れ時のこの島の港はとても暗く、足場が分かり辛い。
梯子を架け、一つ一つ足を掛け降りていく。
この港に足を着けるのは何時ぶりだろうか。
カルベ海の中心にひっそりと浮かぶ島、『ドゥルトゥーガ島』。
古くから海賊の隠れ家として使われ、今では海賊が栄えるまでになってしまった。
裏町には様々な海賊が集まり、暴力、淫辱、交流、交易などが行われてきた。
表町は本島の政府の管轄となっているので、海賊はあまり近寄ろうとしない。
しかし、政府もこの島の治安には大層頭を抱えているようで、
裏町に関しては何も手をつけていないのが現状だ。
('∀`)「いやー、懐かしいっすねー半年ぶりかー」
ドクオが脇からひょっこりと顔を出した。
考えることはこいつも同じか。
_
( ゚∀゚)「俺には5年以上のように感じられたけどな」
/ ゚、。 /「ヤシ酒はもう勘弁……」
( ><)「もうあのお酒は飲みたくないです…」
('A`)「俺的には旨かったっすけどねー」
_
( ゚∀゚)「お前は舌か脳をとっかえたほうがいいかもしれない」
俺達は半年前にサピエンという国へ向かうため、船を出した。
サピエンに『生命の王冠』という秘宝があると耳にし、すぐさま出航した。
何でも、その王冠を被ると不老不死になるんだとか。
実にどうでもいい話だ。
サピエンには古代遺跡や魅力ある文化、そして見渡す限りの砂、砂、砂。
風が吹けば必ず口の中に粒が入り込んできた。
これが砂金だったらいくらでも吸い込んでやるのに。
結局、王冠の話は嘘で俺達は半年もの間、砂漠を右往左往していた。
強いて言えば、一流の船大工をサピエンで見つけたのでスカウトし、仲間にすることに成功したが、
うちのクルーは誰一人としてサピエン語を理解していないので、船大工のスカルチノフはいつも静かに黙り込んでいるオッサンキャラが定着した。
/ ,' 3「…………」
その遠征から帰ってきたのが今日。
久しぶりのドゥルトゥーガ島は半年前と何も変わらず賑やかで華やかな雰囲気を漂わせていた。
_
( ゚∀゚)「とにかく…酒場に行くぞ!」
( ><)「帰還祝いで派手にパーッとやるです!」
サピエンの現地人がえらく薦めてきたヤシの実から作ったヤシ酒は甘ったるくて俺達の口には合わなかった。
おそらく文化の違いだろうが、あんなものは酒じゃない。
ただでさえ好きじゃない酒を何度も戻すまで飲まされた。
海上ではライム、陸地ではヤシの実。
俺の舌はガキの恋愛見たいに甘酸っぱくなってしまった。
/ ゚、。 /「船長…随分とご機嫌ですね…下戸なのに酒場に行きたがるなんて…」
('A`)「ああ……お前は知らないのか」
/ ゚、。 /「何がです?」
('A`)「キャプテンが酒場に行く理由」
/ ゚、。 /「?」
('A`)「実はな…………」
_
( ゚∀゚)「おい」
18 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:17:34 ID:kK9V/Zl60
俺はドクオに向かって声を掛ける。
('A`)「はいすいません。僕何にも言ってません」
_
( ゚∀゚)「ありゃ…強盗じゃねえか?」
('A`)「え…?」
( ,,^Д^) ζ(゚ー゚*;ζ (^Д^ )
俺が指をさす先には3人の男女がいた。
女性はうずくまり、2人の男がそれを囲んでいる。
誰がどう見たってありゃ襲われてるだろ。
('A`)「あいつら……『銀貨』兄弟っすね」
_
( ゚∀゚)「『銀貨』兄弟?誰だそりゃ」
('A`)「裏町に縄張りを張ってる2人組の海賊っす。」
/ ゚、。 /「この島付近の小さな漁船などを狙ってる連中ですね」
( ><)「あまり大金を狙わないことから『銀貨』兄弟って名前がついたらしいです!」
_
( ゚∀゚)「…可哀相に有名なんだな」
興味が無いのでこれ以上情報を求めようとは思わなかった。
しかし、貴婦人が襲われているのをただ指をくわえて眺めているわけにはいかないな。
_
( ゚∀゚)「どれ…ちょっくら見てみるか」
俺はコートのポケットに手を入れながら、銀貨なんたらの元へと近付く。
1対2か。せいぜい楽しませてくれよ。
_
( ゚∀゚)「おい。こんなお外で見せ付けるのは良くないぜ」
( ,,^Д^)「………何だお前」
_
( ゚∀゚)「名乗る時は自分なら言うもんだぜ」
( ^Д^)「てめぇには関係ねーだろ!消えな!」
あらあら、そんなにかっかしちゃってまあ。
睡眠不足……いや、ただの欲求不満か。
それにしても兄弟なだけあって良く似てる。
_
( ゚∀゚)「まあ落ち着けよ、俺はお前らに頼み事があるんだ」
( ,,^Д^)「ああ…?」
俺は右手の革の黒い手袋を外し、地面に落とした。
_
( ゚∀゚)「決闘だ」
( ,,^Д^)「何だお前…海賊か?」
( ^Д^)「俺達を知ってるのか?泣く子も斬り殺す『銀貨』兄弟だぞ?」
_
( ゚∀゚)「ああ、ついさっき聞いたよ。よろしくな」
( ,,^Д^)「悪酔いしてるんだったら今日のところは見逃してやるよ。さっさとうせな」
_
( ゚∀゚)「ああ飲むのはこの後なんだよ」
_
( ゚∀゚)「雑草を刈ってからの酒は格別だと聞く」
( ,,^Д^)「………よっぽど血を見るのが好きらしいな」
2人は立ち上がり、俺の手袋を拾い上げる。
その後、女からさっと離れ剣を抜いた。
( ^Д^)「いいか?死ぬ前に教えてやるよ…。決闘ってのは白い手袋を投げるもんなんだぜ」
_
( ゚∀゚)「へぇ…そうなのかい?知らなかったよ」
( ^Д^)「ふん…決闘は受けてやるよ…だがお前も海賊なら覚悟しろよ」
_
( ゚∀゚)「ああ…俺は構わない。お前らさえ良いのならばな」
覚悟というのは「生死問わず」を意味する物ではなく、海賊の決闘として闘うという事だ。
騎士道に則った神聖な戦いではない。
どんなに非道な行為をしても最後に立っていた者が勝者となる、
ルールも糞ったれも無い野蛮な斬り合いだ。
( ,,^Д^)「へへっ…どうした?お前から申し込んだくせに今さら怖じけづいたのか?」
_
( ゚∀゚)「先手はやるよ。どっちからでもかかってきな」
( ,,^Д^)「ハハハwそうかそうか!そいつは礼を言うぜ。なぜなら……」
( ,,^Д^)「その一撃でお前は死ぬからよ!」
一人の男がそういうと、もう一人の男の口が膨らみ、俺に向かって何かを吐き出した。
_
( ゚∀゚)「!!」
その物体は真っ直ぐに俺の顔面に向かってきた。
最初は避けるつもりだったが、直ぐに諦め顔で受け止めることにした。
細長い金属のようなものだ。受け止めるのは可能。
俺はその金属を受け止めたと同時に顔を伏せた。
( ^Д^)9m「プギャー!!」
( ,,^Д^)「先手が剣だと思ったか海賊!」
( ^Д^)「長釘だよマヌケ!!」
どうやらあいつらから見れば、見事に顔面に釘が刺さっているらしい。
気楽な連中だ。
俺は下げた顔を上げ、奴らに近付く。
(;,,^Д^)「なっ……!」
( ;^Д^)「歯で…………!」
_
( ゚∀゚)「お前らいつもこんなん食ってんのか?情けねえな」
先手は終わった。
次は俺から攻めよう。
俺は左腰に差した長剣を右手で抜く。
脇から大きく振りかぶり、一気に駆け出し二人に詰め寄る。
( ;,,^Д^)「ぐっ…!」
相手はとっさに剣を構える。
だが全然まだまだだ。
1テンポ遅れたな。
俺は剣を横に振り、相手の腹をかっ捌く。
(;,, Д )「がっ……!」
_
( ゚∀゚)「油断するなボケ」
男はそねまま地面にべったりと倒れ込んだ。
まずは一人目。
( ;^Д^)「あ、兄貴!…糞!お前!!」
背後からもう一人の男が剣を大きく振りかぶって来た。
あーあーそんなに高く剣をあげてどうすんのよ。
俺は剣を脇に挟み、そのままの姿勢で後ろ向きに跳躍した。
剣先はそのまま背後の男の脇腹に深く刺さった。
( ; Д )「がっ……!ああ」
ん…まだ生きているか。
俺は剣を刺したまま手を離し、腰から右手で拳銃を抜き、肩に乗せる。
そのまま引き金を引き相手の腹に撃ち込んだ。
( ; Д )「!!!…………」
男は握った剣を落とし、仰向けの状態で倒れた。
剣を掴みずるっと体から抜く。
刃先についた血を振り払い、鞘に収める。
俺の腹時計では先手からだいたい30秒程だろうか。
_
( ゚∀゚)「釘はいい発想だったな。敢闘賞をやるよ」
俺は相手の腰に挟まった黒い手袋を拾い上げた。
('A`)「呆気なかったっすね」
_
( ゚∀゚)「まあそんなもんだろ」
( ><)「見た目通りのレベルだったんです」
_
( ゚∀゚)「そうかあ?俺はもっと上に感じたが」
/ ゚、。 /「船医として言わせてもらいますけど、あの釘はちゃんと避けてください。歯で止めるなんて…」
_
( ゚∀゚)「しょうがないだろう。それしか方法が無かったんだから」
28 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:23:19 ID:kK9V/Zl60
仲間と反省会を開いている途中、ふと、なんたらかんたらに襲われていた女性と目が合った。
ζ(゚ー゚*;ζ「………………」
いとも簡単に砕けそうな程の細身の体に、薄汚れたドレスを纏っていた。
しかしその顔立ちは美しく、どこか気品の感じられる風貌をしていた。
俺はそっと女性の目の前に右手を添える。
_
( ゚∀゚)「怪我は無かったか?」
ζ(゚ー゚*;ζ「!!あ、ありがとうございます……」
女性は俺の手を借りる事無く立ち上がり、小さく会釈をすると駆け足で走り去ってしまった。
('A`)「何だよ…キャプテンが助けたってのに…」
_
( ゚∀゚)「いいんだよ。あの子にもいろいろ事情があるんだろう」
俺はドクオの肩に手を当て、強く引き寄せた。
_
( ゚∀゚)「さっ、行くぞ」
29 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:23:42 ID:kK9V/Zl60
港からしばらく歩き、裏町に向かう。
海賊や強盗等のゴミが溜まりに溜まった為、掃除しきれなくなったエリア、それが裏町だ。
裏町の大通りの一角にその店はある。
路地からでもわかる騒がしさ。
今夜も店は繁盛しているようだ。
_
( ゚∀゚)「邪魔するぜ」
俺が店に入ると、店内にいる全ての人間が俺を見た。
そして次の瞬間、酒場は大きな笑い声に包まれた。
<ヽ`∀´>「ジョルジュ!!サピエンは楽しかったニダかw」
( `ー´)「まさか嘘情報で船出すとかネーヨw」
( `ハ´)「またノコノコと帰ってきたアルかw」
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「しゅうぅぅ……すごおぉぉ……」
拍手喝采、中傷攻撃。
どうやら俺が騙されたことは既に街中の噂になっていたようだ。
この酒場には同業者しか集まらない。
むしろ海賊しか集まらないから一般客が来ないだけか。
俺達とは全く無縁の海賊から、一戦の末に親しい間柄になった連中までいる。
_
( ゚∀゚)「黙りな!今回は手ぶらで帰ってきた訳じゃねーぞ!」
( `ー´)「何だよwミイラの頭でも持ってきたのか?」
_
( ゚∀゚)「馬鹿言うな!もっと実用的なもんだ!…てめえらにもな」
( `ー´)「ああ?」
_
( ゚∀゚)「ビロード」
( ><)「了解なんです!」
そういうとビロードは店の中に巨大な樽を運んで来た。
爆笑に包まれた店内も、この樽を見ると一気にざわめいた雰囲気へと変わった。
<ヽ`∀´>「……?酒ニダか?」
_
( ゚∀゚)「ああ…そのまさかだ」
ビロードが樽の蓋を開けると中から芳醇なアルコールの香りが漂ってきた。
おお、と湧きおこる、店内。
( `ハ´)「とても良い匂いアル!!」
/ ゚、。 /><)(匂いだけな………)
_
( ゚∀゚)「そいつはサピエンでしか生えない幻のヤシの木、カコスヤシの実から作られた酒だ!」
_
( ゚∀゚)「あまりの美味さに俺達は死ぬ寸前まで飲んじまったくらいだ!」
_
( ゚∀゚)「それは土産だ!存分に味わえ!」
<ヽ`∀´>「マジニダか!!もちろん飲むニダ!!」
( `ハ´)「ジョルジュもやるときはやるアルな!!」
('A`)「待て待て!俺も飲むんだ!」
そう言うと店にいたならず者達は続々と樽の周りに集まった。
俺はその隙にカウンターまで向かう。
_
( ゚∀゚)「よう親父!!」
ミ,,゚Д゚彡「おお!ジョルジュ!帰って来たのか!」
カウンターにいたのはもっさりとした毛の持ち主がいた。
彼の名はフサギコ。酒場の亭主であり、俺の古くからの知人でもある。
ガキの頃から身寄りのない俺はここでしばらく生活していたこともあり、気が付けば彼のことを親父と呼んでいた。
ミ,,゚Д゚彡「珍しいな一度騙されたくらいで帰ってくるなんて」
_
( ゚∀゚)「そうか?たまにはホームシックもいいだろうに」
ミ,,゚Д゚彡「いつもならそのまま次の目的地に行ってるじゃないか」
_
( ゚∀゚)「いや…それがよ」
ミ,,゚Д゚彡「?」
俺は親父の顔に近付き、辺りを確認しながらそっと呟く。
_
( ゚∀゚)「どうやら…この付近に財宝があるらしいんだ」
ミ,,゚Д゚彡「へぇ~。そうなのかい」
_
( ゚∀゚)「なんでもここら辺を仕切ってるフィなんとかって奴が見つけたらしい」
俺がそう言うと、親父は驚いたように顔色を変えた。
ミ,,゚Д゚彡「それって…フィレンクト卿のことか?」
_
( ゚∀゚)「お?知ってるのか?」
ミ;,,゚Д゚彡「ジョルジュが出て行って2ヶ月後くらいにこの島を管理することになった公爵だ」
_
( ゚∀゚)「ほー。こんな糞みてえな島を統括する人間が出てきたのか」
親父は拭いていたグラスを置き、神妙な顔で俺を見た。
ミ;,,゚Д゚彡「悪いことは言わねえ。あの人を狙うのは止めろ」
_
( ゚∀゚)「……?それはどういう…」
「ジョルジュ!!」
その時、後ろから大きな声を掛けられた。
その声に俺は聞き覚えがあり、そして決して忘れることのない声だ。
ξ゚⊿゚)ξ「あんたうちのお客さんに何をあげたの?みんな外で吐いてるわよ!」
_
( ゚∀゚)「おお、ツンか。久しぶり」
ξ゚⊿゚)ξ「勘弁してよ…うちのお酒で吐いたと思われるじゃない!!」
コイツはツン。この酒場の看板娘だ。
それと同時に俺を古くから知る人間であり、親友でもある。
…今はまだな。
('A`)「ほら、ダイオード。あれだよ」
/ ゚、。 /「?あの女性は…?」
('A`)「ここの亭主の娘さん。キャプテンの幼馴染。そして…」
('∀`)「…キャプテンの片思いの相手だ」
/ ゚、。 /「え?あ、ああ……なるほど…」
('A`)「キャプテンがどうして宝探ししてるか知ってるか?」
/ ゚、。 /「え?金銭目的じゃないんですか?」
('A`)「実はな…キャプテンはあのツンって人にプロポーズするつもりなんだが」
('A`)「プロポーズする際にとびっきりの宝をプレゼントするつもりらしい」
/;゚、。 /「まさか……」
('A`)「そう!キャプテンはツンさんに贈る宝を探して世界を回ってるんだ」
/;゚、。 /「酒が飲めない癖に酒場に行きたがる理由がよくわかりました」
('A`)「まあ残念なのはツンさんがキャプテンの気持ちをまったく気付いていないってことだな」
/;゚、。 /「いつもはあんなに威勢がいい人なのに…」
('A`)「幻滅したか?」
/ ゚、。 /「正直…驚きました」
('A`)「まあ、それでもキャプテンに付き合ってくれよ。一応俺らはあの人に拾われた身だしよ」
/ ゚、。 /「ええ。それはまあ」
('A`)「あの人は…ロマンチストなんだよなあ」
/ ゚、。 /「ですね……」
/ ,' 3「…………」
ξ゚⊿゚)ξ「まったく…早く捨ててきなさいよ」
_
( ゚∀゚)「ああ、それは大丈夫だ。あとでドクオが何とかする」
ξ-⊿-)ξ「はぁ…もういい歳して何遊んでんのよ…」
_
( ゚∀゚)「…あのなあ、俺は真面目に海賊をやってんだよ。お前にどうこう言われる筋合いはねえよ」
ξ゚⊿゚)ξ「もう……私、市場に行くから。帰ってくるまでにあのへんなお酒片付けといて!」
_
( ゚∀゚)「え?あ、……おう」
そう言うとツンはスタスタと奥に引っ込んで行ってしまった。
ツンは毎日この時間になると、少し歩いた先にある市場に行って魚を買いに行く。
まずい。また嫌われたか?
もっと近寄らなければ……。
_
( ゚∀゚)「あ、それで何だって?」
ミ,,゚Д゚彡「あ?」
_
( ゚∀゚)「公爵の話だよ」
ミ,,゚Д゚彡「ああ、そうだったな…」
親父はもう一度顔を近づけ、俺に小さな声で話した。
髭が近い。やや迷惑だ。
ミ,,゚Д゚彡「フィレンクト卿はこの島に独裁体制を築こうとしている。その為なら反対勢力の犠牲も問わん」
親父の話によると、フィレンクトはこの街の清浄化を図り決定権をすべて掌握しようとしている。
そして海賊撲滅を目指し、裏町を近々規制するそうだ。
まだ、計画中の段階だがそれが実行に回るともう手に負えないそうだ。
_
( ゚∀゚)「んん?俺達海賊も反対勢力なのか?」
ミ,,゚Д゚彡「まあな。だがおそらく反対するものは誰一人としていないだろう」
_
( ゚∀゚)「そりゃないだろう。この島にどんだけの猛者が集っていると思ってるんだよ」
ミ,,゚Д゚彡「いや駄目だ。それでも奴らには敵わない」
_
( ゚∀゚)「奴ら…?」
思わず眉間に皺が寄る。
俺は「奴ら」と「敵わない」と言う言葉がとても気になった。
一体俺が留守にしていた間、この島には何があったというのか。
43 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:31:28 ID:kK9V/Zl60
ミ,,゚Д゚彡「フィレンクト卿の配下に2人の部下がいる」
ミ,,゚Д゚彡「『巨人』と『駆除』だ」
_
( ゚∀゚)「巨人…?駆除…?なんだそりゃ」
てっきり人名かと思ったら単語だ。
ホントに人間なのか?
俺の眉間にさらに皺が寄る。
ミ,,゚Д゚彡「巨人ってのは名前の通り巨人だ背丈が4mを超える化け物さ」
_
( ゚∀゚)「そんな生き物がいんのか」
いまいち想像がつかない。
確かにそんなにでかけりゃ『巨人』という異名もいただける。
_
( ゚∀゚)「でも、その程度だったらまとめてかかりゃ殺せるんじゃねえか?」
ミ,,゚Д゚彡「いや駄目だ。詳しくは分からんが、既に6つの海賊団が『巨人』の手によって壊滅している」
おっかねえな。
そんな化け物を引き連れてるってのかフィレチキンは。
_
( ゚∀゚)「それで…『駆除』ってのはなんだ?」
こっちもどうやら人間のようだが、どうだろうか。
脳内に高枝切りばさみを持ってる男が浮かんできた。
ミ,,゚Д゚彡「ああ、こっちはよくわからねえんだが…誰も見たことが無いらしい」
_
( ゚∀゚)「見たことが無い?どういうことだ」
ミ,,゚Д゚彡「俺も又聞きした話だからこれ以上は分からないんだが…」
「『駆除』は街中に罠を張っているんです」
その時、右の席から声がした。
確かに俺達が会話していた内容を投げられたので思わず反応する。
_
( ゚∀゚)「誰だお前?」
( ・∀・)「すいませんね。気になる話をしていたもので」
そこには洒落た正装を身にまとった男がいた。
顔立ち、風貌からして間違いなく貴族だ。
( ・∀・)「はじめまして…僕はモララー。子爵です」
ミ;,,゚Д゚彡「や、やあモララーさん、来てたのか」
( ・∀・)「ええ、今日は久しぶりに予定が開いたもので」
_
( ゚∀゚)「親父、知り合いなのか?」
ミ;,,゚Д゚彡「え?あ、ああまあ…な」
ふーん…そうなのか。
親父の慌てようが少し気になるが、こいつが出て行ってから聞くとしよう。
( ・∀・)「こちらの方は?」
ミ;,,゚Д゚彡「あ、ああコイツは…」
_
( ゚∀゚)「ジョルジュ・キッド。海賊をやってる」
( ・∀・)「ああ、あなたが噂の『決闘』…」
_
( ゚∀゚)「噂になってるかどうかは知らねえがまあそんな感じだ」
( ・∀・)「ご活躍は聞いてますよ。なんでもミイラの頭蓋骨を取りに行く為にサピエンに向かったんだとか」
アイツら…後でぶっ殺す。
_
( ゚∀゚)「あんた『駆除』について何か知ってんのか?」
( ・∀・)「『駆除』はフィレンクト卿の部下で、罠使いの達人です」
_
( ゚∀゚)「罠?」
( ・∀・)「町のあらゆるところに罠を仕掛け、海賊や反対勢力の人間を文字通り『駆除』していると聞きます」
なるほど。そういう由来があったのか。
『巨人』と『駆除』…。面白い。
_
( ゚∀゚)「いいのか?あんたこんなに喋って」
( ・∀・)「ええ、そもそもこれ以上のことは分かりません。『駆除』が男なのか女なのか、単数なのか組織なのか」
( ・∀・)「それに私はフィレンクト卿の考えにはある程度賛成しています」
_
( ゚∀゚)「なるほど。そりゃあんたは狙われないわな」
( ・∀・)「むしろ危険視すべきなのは他にあります」
_
( ゚∀゚)「?」
( ・∀・)「フィレンクト卿が世界5大秘宝の一つ『メデューサの瞳』を発見したのはご存知でしょうか」
俺はギクリとした。
まさに俺が狙っている秘宝の名前が上げられたからだ。
_
( ゚∀゚)「ああ…らしいな」
( ・∀・)「その秘宝を我こそは強奪しようと企んでいる海賊が現在この島に集結したようです」
_
( ゚∀゚)「へえー…そんなにいるのかい?」
( ・∀・)「ええ。有名な所でもかなり」
( ・∀・)「海賊専門強盗『海底』、戦略家『酒樽』、強姦殺人魔『暗闇』……他にも『金欠』、『楽譜』、『蜂蜜』」
( ・∀・)「そして……『決闘』」
_
( ゚∀゚)「………」
なんだ。もうバレていたのか。
なら、そこまで気にする必要もねえな。
( ・∀・)「勘違いしないで下さい。私はあなたがた海賊に敵意はないので」
_
( ゚∀゚)「へぇそうかい。そりゃあ随分と平和主義なんだな」
しかし、いくらこいつに敵意が無くとも相手にはあるだろう。
よくこんな場所まで足を運ぶもんだ。
それとも、コイツはそれほどの実力があるのか?
_
( ゚∀゚)「だがあんたはこんなとこにいて大丈夫なのか?ここには貴族を嫌う奴なんざごろごろいるぜ」
( ・∀・)「大丈夫ですよ。いざとなれば自分の身は自分で守ります。それに…」
_
( ゚∀゚)「………?」
( ・∀・)「命を掛けてまでここに来る価値がありますから」
51 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:36:12 ID:kK9V/Zl60
ξ゚⊿゚)ξ「モララー様!!」
その時、厨房からツンが顔を出した。
そしてものすごい速さで俺の元へと来た。
しかし、目的は俺じゃなかったみたいだが。
ξ*゚⊿゚)ξ「まあ来てらしたんですの?」
( ・∀・)「ああ、君の顔が見たくなってね」
_
( ゚∀゚)
ξ*゚ー゚)ξ「まあ、そんな…ウフフ」
( ・∀・)「君のその笑顔を見る為なら毎日だって来たいくらいさ」
_
( ゚∀゚)
_
( ゚∀゚)
53 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:37:27 ID:kK9V/Zl60
_
( ゚∀゚)「え?……あ………あれ?」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっとジョルジュ!あんたまだお酒片付けてなかったの?」
_
( ゚∀゚)「え?え?な、何、え?」
ミ;,,゚Д゚彡(あーあ………)
ξ;゚⊿゚)ξ「あっ…ジョルジュには紹介してなかったね」
ξ゚⊿゚)ξ「この人…私の恋人の…」
( ・∀・)「いいですよもう婚約者と言っても」
ξ゚⊿゚)ξ「え?でも私達まだ…」
( ・∀・)「その未来は確定しています。なぜなら運命がそう言っているから…」
ξ*゚ー゚)ξ「モララー様…」
_
( ∀ )
( ・∀・)「ツンとジョルジュさんはどういう関係なんですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「ああ、ただの知り合い。子供の頃によく遊んだ」
_
( ∀ )
( ・∀・)「そうですか。…じゃあこれからもお世話になりそうですね」
( ・∀・)「よろしく、ジョルジュさん」
_
( ∀ )「……………………ヶ」
( ・∀・)「…け?」
_
( #゚∀゚)「決闘だあああああああ!!」
俺は右の手袋を思いっきり地面に叩きつけた。
( ;・∀・)「え?ど、どうしたんですか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょ、ちょっとなんでそうなるのよ!!」
_
( #゚∀゚)「うるさい!ツンは黙ってろ!!」
( ;・∀・)「何か気に障ることでも…」
_
( #゚∀゚)「ありありだ!」
俺は椅子を倒し立ち上がる。
こんな話あってたまるか。
俺が全てぶっ潰してやる。
( ;・∀・)「…………」
( ;・∀・)「…なるほど。事情は概ね理解できました」
モララーはしばらく考え込むと深く頷いた。
どうやら俺とツンの関係を感じ取ったようだ。
_
( ゚∀゚)「さあ表に出ろ」
俺は首を大きく振り、外に行くよう促す。
あーもう駄目だ。俺はこいつを殺しかねない。
ξ;゚⊿゚)ξ「も、モララ-様!こんな奴の誘いなんかに無理に乗らなくても…」
( ・∀・)「いや………受けよう」
ξ;゚⊿゚)ξ「モララー様!?」
モララーは片手でツンを抑えると床に落ちた手袋を拾い上げた。
( ・∀・)「ここは裏町だ。貴族の方々はいないからね。気兼ねなく戦える」
_
( ゚∀゚)「わかってるねぇ…子爵君」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっとジョルジュ!なんなのいきなり」
( ・∀・)「しょうがないよ。彼の顔もあるし私のプライドにも関わる」
ξ;゚⊿゚)ξ「…?」
こいつ意外と話の分かる奴だな。
俺はモララーの肩を叩きながら共に外に出た。
_
( ゚∀゚)「階級が違うからな。今回は正々堂々剣だけで勝負してやるよ」
( ・∀・)「さすが海賊ですね。剣だけってことは普段は七つ道具とか使ったりしているんですか?」
_
( ゚∀゚)「ああ、持ってるぜ。とても便利だ」
俺達は大通りに出て、右手で剣を抜いた。
店にいた連中は皆ギャラリーとなって店から出てきた。
もちろん俺の仲間も、親父も、ツンも。
立会人を呼ぶ必要すらないだろう。
_
( ゚∀゚)「それじゃあ始めるとするか」
( ・∀・)「ええ。そうしましょう」
俺とモララーは剣を構えた。
互いの剣に殺気が宿る。
あれほど騒ぎが好きなギャラリーもしん、と静かになった。
夕暮れ時の裏町。
相手の姿も朧げで、わずかな店の蝋燭の灯だけが頼りだ。
ツンは…ツンは俺の物なんだよ。
俺とモララーは同時に駆け出した。
(#,,゚Д゚)「ゴルァアアアアアアアアアア!!!」
その時、大通りの奥から大きな奇声が響き渡った。
俺とモララーはハッと声の元へ振り向く。
_
( ゚∀゚)「なんだ?」
そこには傷だらけの男が暴れていた。
元は白かったであろう枯れ草のように汚れたシャツを着た男。
知っている顔かと思ったが、そうではなさそうだ。
( ;・∀・)「あれは……『金欠』!」
_
( ゚∀゚)「『金欠』?ああ、さっき言ってた…」
さっきは気にしていなかったがなんつー名前だよ。
海賊のくせに金品の一つも奪えない奴なのか?
( ;・∀・)「『金欠』のギコ…。彼は重度の賭博依存症なんです」
_
( ゚∀゚)「賭博?」
( ;・∀・)「彼は自分の所持金が無くなると、腹いせにその賭博屋を潰すと聞きます」
もちろん文字通り物理的に、とモララーは付け加えた。
(#,,゚Д゚)「ゴルァアアアアアアアアアアアアアア!!」
_
( ゚∀゚)「じゃあ何だ?あれは今、文無し真っ最中ってことか?」
( ・∀・)「そう…なりますね」
しかし、それにしては様子がおかしい。
通って来た道の家屋は破損している様子はないし、むしろ傷だらけなのは『金欠』のほうだ。
まるで、誰かから逃げているような…。
その時、大きな地鳴りが響いた。
( ;・∀・)「!!」
_
( ゚∀゚)「なんだなんだ!?」
何か近くに重いものが落下したような音が断続的に聞こえる。
その音は次第にボリュームが大きくなっていき、気付けば大砲クラスの大きさになっていた。
('A`;)「き、キャプテン!あ…………あれ…!」
ドクオが空に向かって指を指している。
その手はガクガクと震え、顔は真っ青になっていた。
俺もドクオの指す方を見た。
( ゚∋゚)「……………」
_
( ;゚∀゚)「な…なんだありゃあ……」
一軒家の屋根の隙間からそっと大きな顔を出す男がいた。
もしあれの足が地に着いていたとすれば、家1軒分の背丈の人間がいることになる。
( ;・∀・)「…『巨人』です……」
_
( ;゚∀゚)「………………」
_
( ;゚∀゚)「は?あれが!?」
確かに背丈は4m程…いや6mはあるだろう。
完全に盛った話だと思い、酒の肴程度に聞いていたのに…噂以上じゃねえか。
( ;・∀・)「どうやら…『金欠』は『巨人』と争っていたようですね」
なんという夢の共演だ。
むしろ夢であってほしい。
(#,,゚Д゚)「さっさと掛ってこいや!この化け物がぁ!!」
( ゚∋゚)「!!」
そう言うと、『巨人』は『金欠』に気付き、一目散に駆け出した。
一歩一歩が大きい為、一瞬というのも誇張していないほど素早く『金欠』の元に辿りついた。
あの図体でこれだけのスピードが出せるのか。
『巨人』の思わぬスピードのせいで、『金欠』の意味のない度胸に驚く機会が無くなってしまった。
(,,゚Д゚)「やりゃあできるじゃねえか!化け物!俺に怖気づいたのかと思ったぜ!」
そう言うと、奴は酒場の向かいにある家屋にしがみ付いた。
そこに全速力で突進する『巨人』。
メキメキと音を立てる向かいの家屋。
家屋は少しずつ地から離れている。
_
( ;゚∀゚)「おいおいおいおいおい…まさか持ち上げてんのか?あれは」
(,,゚Д゚)「うおおおおおおおおるぁあああああああああああ!!」
家屋が完全に宙に上がった瞬間、『金欠』は思いっきり腕を振り、家屋を『巨人』に向かって投げつけた。
( ゚∋゚)「……」
しかし、巨人は身の丈もある物体が飛んでくることに何のためらいも見せずに腕を構えた。
そして拳を素早く家屋に当て、木造のその家を粉砕した。
まるでサーカスを見ているような気分だ。
( ;・∀・)「2人を放っておくと酒場まで危険です!どうにかして止めなければ!!」
_
( ;゚∀゚)「止めるったってお前…あのゴリラ園にどうやって入り込むっつうんだよ…」
( ・∀・)「私が…『巨人』を何とかします」
_
( ゚∀゚)「ああ?お前みたいな坊ちゃんに何ができるって言うんだよ」
( ・∀・)「先程も言いましたが、『巨人』は海賊や反勢力を抑圧するために雇われた男です」
( ・∀・)「貴族である私は決して殺されないように言い渡されているようですので」
なるほど。
適材適所とはこのことか。
下手にあのデカブツと競り合うかははるかに効率が良い。
_
( ゚∀゚)「つまり…俺はあのギャンブラーを止めればいいわけだな」
( ・∀・)「お願いできますか?」
_
( ゚∀゚)「構わねえが…俺とお前の決闘はまだ決着が付いていないんだぜ?」
俺にとってはそっちの方が重要な問題だ。
『金欠』や『巨人』よりもよっぽど関心がある。
( ・∀・)「それでは…また次お会いしたときに戦いましょう。それまでは…」
そう言うと、モララーはポケットから俺の手袋を取り出した。
( ・∀・)「これは私が預かっています」
_
( ゚∀゚)「…俺の大切な手袋だ。…失くすなよ」
( ・∀・)「了解しました」
俺達は会話を終えると、お互いに背を向けそれぞれの敵に向かう。
この決闘はひとまずお預けだ。
次会う時に、必ず殺してやる。
(,,゚Д゚)「…なんだお前」
_
( ゚∀゚)「名乗る必要があんのか?」
俺が『金欠』の傍まで寄ると、奴はジロリと睨みながら声を発した。
さて…この筋肉脳をどうしようか。
(,,゚Д゚)「お前も殺すぞゴルァ!」
_
( #゚∀゚)「あー……すっからかんになってキレる気持ちはよくわかる。」
_
( #゚∀゚)「だが…空になった具合では…俺の方が上なんだよ!」
こいつには決闘を申し込むだけ無意味だ。
ここは何も語らず黙って奴を斬り殺す。
俺は剣を構え、『金欠』に向かって駆け出した。
それに反応し、奴も俺に向かって突進してきた。
_
( ゚∀゚)「おいおい…お前は斬られた事も無いお子ちゃまかよ」
剣を握った俺に丸腰のまま挑んで来る奴は初めてだ。
そうとう腕に自信があるか…あるいは単に馬鹿か。
その判断はこの一撃で決まるだろう。
俺は奴の腹に狙いを定め、身を屈めて鋭く一点を突いた。
_
( ゚∀゚)「…………あ?」
気付いたのはその1秒後だった。
たしかに手に握られた筈の剣が跡形もなく消えていた。
そして指先に強い痺れが襲い掛かってきた。
_
( ;゚∀゚)「なっ………!?」
剣は…剣は何処に消えた?
俺は何が起こったのかわからないまま辺りを探す。
_
( ;゚∀゚)「!!…うおっ!」
その瞬間、目の前に拳が飛んできた。
『金欠』だ。
俺は間一髪で頭を屈め避ける。
避けたと同時に今度は腹部に足が迫ってきた。
避ける方向は限られている。
俺は足裏に力を入れ、真横に跳んだ。
奴と距離を置き、体勢を整える。
_
( ゚∀゚)「…俺の剣を何処にやった」
消失マジックの種の正体はコイツだ。
一体、何をしたのか。
(,,゚Д゚)「ギコハハハ!どこに行ったのかも分からねえのか!」
_
( ゚∀゚)「てめぇの笑い声が癪だからやっぱり遠慮するわ」
(,,゚Д゚)「教えてやるよ!」
_
( ゚∀゚)「!!」
奴はしゃがみ込み、手を地に付けながら両足を大砲のように飛ばす。
俺はとっさに飛び跳ね、ドロップキックを避ける。
しかし飛び上がった瞬間にはもう既に奴は体勢を整え、落下する俺を迎える準備が出来ていた。
奴は俺の首を掴むと、地面に強く叩き付けた。
危ない。酒場の連中がゲロを吐いた場所ではないようだ。
_
( ;゚∀゚)「ぐっ…!!」
倒れた体の上から奴がのしかかり、俺の動きを封じた。
その図体は重く、簡単に振りほどく事ができなかった。
(,,゚Д゚)「見ろ!あれがお前の剣だ!!」
_
( ;゚∀゚)「ああ…?」
『金欠』は天に向かって指をさした。
俺は限られた運動の中で、必死に空を見上げる。
そこには縦に回転しながら落下して来る俺の剣があった。
その落下地点は見事に俺の首に向いていた。
_
( ;゚∀゚)「そういう事か…!!」
俺は懸命に奴の腿に挟まった左腕を取り出す。
そして、その自由になった手で傍に落ちていた小石を掴み、真上に投げる。
小石は剣に当たり、その衝撃により剣は右に大きく逸れた。
(,,゚Д゚)「それで難を去ったつもりか?」
ギコは俺の剣を捕まえると、剣を構え狙いを俺の首に向ける。
そして、そのまままっすぐに振り下ろした。
_
( ;゚∀゚)「ぐ……っ!ドクオ!!」
('A`;)「うわああああああ!!」
ドクオは『金欠』の後ろから俺の足を掴み、
目一杯の力で引いた。
剣を振り上げた為『金欠』は、上体が若干浮いてしまい、結果的に俺の体に自由を許してしまった。
俺の頭は剣先から避け、そのままドクオに引きずられた。
剣は地面に刺さり、俺は窮地を脱出した。
('A`;)「大丈夫ですか!?キャプテン!」
_
( ;゚∀゚)「ああ……助かったよ」
ゆっくりと立ち上がり、顔に付いた砂を払う。
(,,゚Д゚)「…仲間に助けを請いで、情けないと思わないのか?」
_
( ゚∀゚)「生憎だが…戦闘に関しては一切のプライドを持ち合わせていないもんで。勝てばいいんだ勝てば」
(#,,゚Д゚)「クズが…」
_
( ゚∀゚)「おいおい…腹いせ同士…仲良くやろうぜ」
_
( ゚∀゚)「それに……これは決闘じゃねえ」
_
( ゚∀゚)「狩りだ」
今の攻撃で、ようやく『金欠』の謎が解けた。
奴の動きには重さが大きく関わっている。
反応は遅いが、一度動けば止まるまで素早く動く事ができるようだ。
その目にも留まらぬ速度で俺の剣をはたき飛ばし、その隙を突いて攻撃を仕掛けてきた。
その間も剣は空を舞っていた。
剣が落下するポイントを定め、奴は俺を拘束した。
あとは待っているだけでギロチンが完成する。
こんな芸当…ただの金が無くなって発狂した野郎ができるもんじゃない。
異名が付いた理由がよくわかる。
_
( ゚∀゚)「とりあえず…その剣、返してくれるか?」
俺は『金欠』の足元に突き刺さった剣を指差す。
奴は有無言わず剣を抜き、俺に向かって放り投げた。
(,,゚Д゚)「お前みたいに腐った奴は…捻り潰さないと気がすまねえな」
_
( ゚∀゚)「それは褒め言葉か?それとも自虐か?」
俺は剣を受け取り、左手で握り直す。
ようは、奴の四肢に気をつければいい訳だ。
剣を脇に構え、奴の元へ駆け出した。
『金欠』も向かって来たので、俺は奴の腹に向けて剣を切り付けた。
だが奴は直前で跳び上がり、俺の攻撃を回避した。
(#,,゚Д゚)「ゴルアァ!!」
_
( ;゚∀゚)「んん?」
しかし、奴は避けただけでは終わらなかった。
空を舞っている間に足が空に、頭が地に向くように姿勢を変えそのまま腕を伸ばし、俺の顎を掴んだ。
その状態から弧を描くように『金欠』は倒れる。
すると必然的に俺の体は浮き、頭部だけが奴の手によって持ち上げられる。
まるで『金欠』と俺の頭はダンクシュートを決めるプレイヤーとバスケットボールの関係になってしまった。
_
( ;゚∀゚)「マジかよ……!」
シュートを決めるゴールはどこかって?
それはコイツに聞かないとわからないだろうが予想は大方ついている。
ヤシ酒の香り漂うゲロまみれになったこの地面だ。
間違いなく、頭蓋骨は粉砕し、一瞬で死に至るだろう。
_
( ;゚∀゚)「お前は酒を飲めない奴への配慮もないのか…!」
冗談じゃない。
こんな無様な格好をして死ねるか。
俺は体が地面と垂直になった瞬間に剣を構え、奴の腕に剣先を向ける。
(,,゚Д゚)「!!」
その剣が触れるか触れないか。
直前で奴は俺の刃に気付き、叩き付けることを止めて酒場の隣の民家に突き飛ばした。
( ;><)「船長!!」
民家の壁は砕け、その中に飛び込む俺。
なんて腕力だ。
とっさに払い除けた威力で木造建築を半壊させるとは…。
(,,゚Д゚)「ふん…ふざけた真似を…」
『金欠』は首をぐるりと回し、酒場の方を見た。
その一番手前には俺の子分達がいた。
(,,゚Д゚)「…」
('A`#;)「や、やるのか!?こ、こここ、この野郎!!じょ上等だ!かかってきやがれ!!」
( ><)「負けました!降参です!」
/ ゚、。 /「あとはこの人が戦います!!」
('A`;)「お前ら!!?」
(,,゚Д゚)「……次はお前か?」
('A`;)「え?あ、いや…やっぱなし…」
_
( ゚∀゚)「いつ俺との戦いが終わったなんて言ったよ『金欠』」
(,,゚Д゚)「…?」
('∀`;)「き、キャプテン!!」
_
( ゚∀゚)「まだ1ラウンドも決まってないだろ?うちのクルーに手を出すのは…ちょっと早すぎるんじゃないか?」
俺は頭から垂れる血を拭い、逆さまになった時に外れた帽子を拾う。
そして剣を鞘に納めた。
_
( ゚∀゚)「悪いな。筋肉脳って思ったことは訂正するよ。どうやら知能はあるようだ」
(#,,゚Д゚)「…………」
_
( ゚∀゚)「その代わりに…お前にはマナーってもんを教えてやるよ。馬鹿力」
俺は高く跳び上がり、奴が倒した家屋の上に乗った。
そして赤いコートのボタンを一つずつ外していく。
_
( ゚∀゚)「見せてやるよ。俺の戦い方を」
俺がボタンを外し終えると、向かい風がコートの隙間に侵入し、大きくコートを広げた。
(,,゚Д゚)「………?なんだその玩具は」
コートの内側には6つの道具が掛けられており、その全てが黒い紐で固定されている。
これが俺の隠し玉だ。
_
( ゚∀゚)「海賊の…七ツ道具だ」
78 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/19(土) 00:53:09 ID:kK9V/Zl60
俺はそのうちの一つを取り出し、左手に構える。
あまり人目に晒したくはない代物だ。
早々に決着をつけなければならないな。
(,,゚Д゚)「なんだ?その紐は!登山でもする気か!ギコハハハハハハ!」
『金欠』は高らかに腹を抱えて笑う。
その瞬間、俺は勝ちを感じ取った。
奴は完全に俺を…この道具を下に見ている。
_
( ゚∀゚)「登るか?ついて来いよ」
】海賊の七ツ道具その一:鉤爪ロープ【
お前に見せつけてやるよ。
(,,゚Д゚)「誰が行くか。どう見ても罠じゃねえか」
_
( ゚∀゚)「おいおい…お前はそれでいいのか?ストレスを解消したいんだろ?文無し」
(,,゚Д゚)「!」
(,, Д )「………………」
黙り込んでしまった。
おや?まさか禁句だったか?
(,, Д )「て…………………」
(#,,゚Д゚)「てめぇゴルアァアアアアアアアアアアア!!」
『金欠』は手近にあった家を補強していた丸太木を掴むと、俺の元まで飛んできた。
俺は剣を鞘に仕舞い、さらに上へと登る。
狙いを定めたのは倒れた家と同じ作りをしている隣家。
鉤爪ロープを振り回し、先端を屋根の中心へと引っ掛ける。
俺はロープを手繰り寄せ、壁に足を付け一気に駆け上がる。
(#,,゚Д゚)「どこまで逃げるつもりだチキン野郎!」
_
( ゚∀゚)「お前は飛ぶニワトリを見たことがあるのかい?」
予想通り奴は俺を追って来た。
逆上は予定範囲外だが…まあ何とかなるだろう。
さらに次の屋根を探す。
『金欠』もどんどんと登って来ている。
また更に高い位置の屋根を見つけ、鉤爪を引っ掛けた。
(#,,゚Д゚)「ゴルァ!!」
その時、大きな丸太が俺の頭を目掛けて飛んできた。
_
( ゚∀゚)「!!…おっと」
俺は足に力を入れ、一気にロープを手繰り寄せる。
丸太は壁石に当たり、中心からバキバキと割れた。
俺はそのままロープを辿り、さらに高い屋根を目指す。
高く、より高く。
月夜の鬼ごっこはどこまでも続く。
_
( ゚∀゚)「…あらら?」
気付けば、この街唯一の教会意外に高い場所が無くなってしまった。
俺が教会の屋根に鉤爪を掛けようとしたその時、『金欠』が俺に追いついた。
(#,,゚Д゚)「…逃げ場を無くしてどうするつもりだゴルァ」
_
( ゚∀゚)「随分と早かったな…でもいいのか?こんな場所で」
(,,゚Д゚)「…何の話だ」
_
( ゚∀゚)「墓場にするなら教会の方がいいんじゃないのか?って事だよ」
(#,,゚Д゚)「調子に乗りやがって…」
_
( ゚∀゚)「俺はいつでも絶好調だ」
一つ気付いたことがある。
奴はカウンターを好むようだ。
相手が攻撃に集中している隙を突き、攻撃する。
それはこの攻撃を受け続けている間で良く理解できた。
むしろアイツが冷静さを欠き、俺に反撃させたがっている。
ならばその挑戦に乗ろう。
俺は剣を脇に構え迎え撃つ。
(#,,゚Д゚)「やっと戦う気になったか」
_
( ゚∀゚)「勘違いするな。満を持していただけだ」
足を前にだし、一気に間合いを詰める。
それに反応し、奴も向かってきた。
(#,,゚Д゚)「これで最後だゴルァ!!」
俺は一線を描くように、剣を地面と平行になるように振った。
(#,,゚Д゚)「無駄だ!」
『金欠』は斬られる寸前で上空に飛び上がる。
そのまま両手を俺の首へ伸ばした。
_
( ゚∀゚)「…足元が留守になってるぜ」
(,,゚Д゚)「…………あ?」
俺はその隙に鉤爪を『金欠』の足に巻きつけた。
足を軸にロープを当てるだけで、簡単に巻きつけることができた。
_
( ゚∀゚)「罠だとわかっていてここまで来たのは褒めてやるよ…だが」
_
( ゚∀゚)「その先まで考えないとなあ…」
(;,,゚Д゚)「お前…まさかっ…!!」
俺はロープを思いっきり引っ張り、建物の縁まで走る。
まだ浮いている『金欠』は旗のように引っぱられ、建物の縁まで空を飛んだ。
_
( ゚∀゚)「飛んで行きな!!」
俺が腕を大きく振ると、奴は屋根を飛び出し街の空へと放り出された。
(;,,゚Д゚)「なっ……なあああああああああああああ!?」
ロープがほどけ、完全に陸地から断絶された世界へ奴は行った。
俺は剣を仕舞い、腰に掛けた銃を取り出す。
_
( ゚∀゚)「…これが俺流の勝ち方だ」
奴の頭に銃口を目掛け、引き金を引く。
(;,, Д )「がっ……!!」
どこに当たったかまでは分からなかったが、奴は血を飛ばしながら落っこちて行った。
まあこの高さから落ちてしまえばどの道助かりはしないだろう。
(#,, Д )「くそがあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………」
おっと、まだ生きてたよ。
…まあいいか。
奴が見えなくなり、その場には俺だけが取り残された。
_
( ゚∀゚)「……やっと終わったよ……」
_
( ゚∀゚)「…………………」
_
( ;∀;)「………………ツン」
ふいにツンのことを思い出した。
なんだよ結婚って……聞いてねえよ…。
どうして俺じゃないんだよ…。
俺は人目も気にせずワンワンと泣きじゃくった。
よくよく考えたらここを見れる奴がいなかった。
こうして…俺の海賊生活は終焉を迎えようとしていた。
_
( ;∀;)「もういい。俺は…嫉妬海賊を目指す」
この時の俺は本当にどうかしていたと思う。
その後、俺は仲間を連れて他の酒場に行き、限界まで酒を飲み、吐き、酔い潰れた。
第一章:END
続き( ゚∀゚)人はその男を『決闘』と呼ぶようです 第二章
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この記事へのコメント
1. Posted by あ March 01, 2011 03:49
携帯からωおめが が表示されないでござる。
2. Posted by 名無し July 27, 2011 10:43
面白いと思う
言葉の誤用がちょっと多いけども
言葉の誤用がちょっと多いけども