2013年04月21日

外には出てみるものだ

 先日、ねとぽよというところから「朝まで生ソシャゲ!FINAL」というイベントの参加の依頼があったのでネトゲ研究日誌という立場で参加した。今まで公の場に出ようとしなかったのは業務に影響があるとか理屈を並べていたものの、もう半分近く素性は割れており、業務にも支障がない事が分かりつつあるので、今年は少し表に出てみようと思う。

 昨年も行なわれたらしく、1部は昨年との振り返り、2部は現状の問題と今後の課題のようなテーマだった。自分が参加を求められたのは出演者が制作者、ライター、ソーシャルゲーム評論家的なポジションに対し、オンラインゲームの担当が居ないという理由だった。しかし、記事にはしているものの、かれこれ4年近くPCでプレイしていない自分がそんな役柄が務まるのか、と不安なまま参加したが、有識者的なポジションだったので、そう構えるほどのものではなかった。

 ざっと1部の振り返りをすると、2大巨頭として躍進したGREE、DeNAがパズドラに市場を食われたというのが昨年からの1年と要約できる。2大巨頭の以前にmixiというSNSがあったが、議題に出たのは最初だけだった。

 パズドラの成功で2大巨頭の意味、言わばプラットフォームという価値が揺らぎつつあるのではないか。昨今ではSNS以外にも自前でソーシャルゲームを立ち上げる会社が乱立しており、2大巨頭も家庭用のゲーム機のように、このハードは○○が遊べ、このハードは△△が遊べるという価値の提示もなく、どちらでも遊べるようなものが増えた結果、どちらも同じであり、しかも作る側はその場を使わなくても成功できるという実例が出来てしまった。 

 ここに対し、LINEなどは初動1000万DLという、場の価値をアピールするものの、LINEゲームという制約は2大巨頭でゲームを売り出す以上に大きな壁が潜んでおり、現時点もラインナップが独特のものになっている。このままその路線を維持できるのであれば、あれはLINEというゲームジャンルが遊べる、LINEユーザーのゲーム場という定義が出来るのだが、まだ現時点ではどの方向に進むのか、予想できない。

 一方、ブシモは好意的に見る意見が多かった。それは2部も含んだ話になるが、ブシモのラインナップに秘密があり、ブシモならではのタイトルで構成され、かつ、いわゆるソーシャルではなく、過去の家庭用的なゲームエッセンスが備わっていた部分がある。つまり、このままブシモが成長していけば、ブシモにしかないブシモのゲームが遊べるポータルとして確立できるのではないかという期待だ。

 これは2部の話でも出てきたが、あまりにもゲームが氾濫しており、どこで何を見て、何を遊べばいいのか分からない、ランキングにあるのは単に人が集まっているだけでしかないという声ともリンクする。

 2大巨頭も含め、それぞれが自前のカラーを出してポータル化すれば、俺はRPGが好きだからこのポータル、俺はアクションが好きだからこのポータルと選択が1段階早くなり、かつ、ソーシャルなのだから同じ嗜好、価値感を持つユーザーがつながりやすい。

 だが、ブシモ以外はそういう気配があまりない。LINEはLINEという場に相応しいタイトルを選んでいる。GREE、DeNAは売れ線なら何でもいい的な場に思える。言い換えれば、これは売れるが、自分らの場には相応しくないから売らないという線引きを設けるに近く、その場を運営するポリシーが問われる。元々2大巨頭にポリシーなどないのだから、難しい要望なのかもしれない。

 そして、場がなくても自前でSNS、ポータルを凌ぐ成功を成し遂げたパズドラだが、同規模、または追随するようなタイトルはまだない。しかしながら、今まで作る側としては人を集めるにはSNSやどこかの場に出さねばと思っていた部分が薄れ、良いものと販促が出来れば、自前だけでも運営が可能では、という期待が生まれた。

 2部はパズドラの成功理由とパズドラをソーシャルゲームと見るべきかの定義から始まる。これが派生して何をソーシャルゲームと呼ぶのかという部分から、オンラインゲームとソーシャルゲームの違いという部分に流れ、意見を求められたものの、うまく答えられたのか、自信はあまりない。

 個人的には差はないと思っている。オンラインゲームから様々な操作や煩雑な部分を捨てて、課金という部分への誘導を強くしたのがソーシャルゲームだと思っている。ただし、体験価値という部分では大きな差があると思う。

 次にアイテム課金がRMT対策になったか?という問いだったが、オンラインゲームにおいてはそもそもトレード規制が入った事もあり、抑止力にはなったが、ソーシャルゲームにおいては効力がなかったのは現実を見ても分かると思う。

 オンラインゲームでの対策は欲しいと思うもののに対し、トレード出来なくする事でRMTを防いだ。ソーシャルゲームは経験値や装備に当たるカードまで販売(ガチャ)するが、それらのトレードを規制していない限り、ガチャをやるよりも確実に手に入るのなら、そこに金を払う人が生まれるので抑止力にはなり得ない。

 その後に死に舞さんからソーシャルゲームはこのままでいいのかという問題提議が行なわれた。主に日本市場におけるソーシャルゲームの内容があまりにも歪であり、海外にはこんなに色々なゲームがあるのにこの国は腐っているという話だった。

 面白いゲームがあっても、その存在を知らない。それはランキングはDL数と売上しか見ないので、他国のどんなゲームが面白いか知らないという話だ。だが、ネットがあればその辺は探せば幾らでも見つかり、自分の嗜好に合ったものが見つかる。この話はもっと一般人が面白いと思うものを遊んで、もっと面白いものがランキングに並ぶようにしたいという要望に思えた。

しかし、ここに一般人は「面白い」など求めていないのでは?という意見が刺さる。自分も常々感じていた。彼らは売れ線を触って、適当に過ごせれば良いのではないか。彼らが一生懸命、自分の遊びたいものを探さないのはここであり、彼らはゲームが楽しいと分かるまでのコストをゲームに投資しないのではないか。残念ながら、ゲームはもうそういう位置づけになってしまったように思える。

 一方でパズドラクローンがまったく振るわない。ここの分析はもう運、金任せのようなゲーム内容ではなく、多少なりとプレイヤースキルを求められるものが今後は増えていくのではないかという話もあった。

 このゲームが面白いと感じるまで遊ぶ気がしない人達がそのまま続けていくのか、それとも、その行為すらもツマンネと離れていくのか、それとももう1歩進み、ゲームとしての遊び方を求めるようになるか、多分、その1歩を進ませる工夫が盛り込まれたものをどう作るかが今後の課題に思える。

 時間がなく、個人的に議題として聞きたかったのは体験価値だ。家庭用やオンラインゲームは体験が心に刻み込まれる。ゲームという体験をして心が震え、感動したり、そこで生きている実感すら覚え、記憶として残る。

 だが、ソーシャルゲームは記憶に残るのか。去年200万近く使ったが、自分には何も残っていない。何故にあんなに金を使ったのかも思い出せない。痴呆にでもなったかのようだ。しかし、10年前に遊んだRPGやTWで毎晩語り合った内容や友は覚えている。決して痴呆ではない。

 その差は何か。コンテンツとしての厚みではないかと思われる。話にも出ていたが、「今ここでこの金を叩き込む俺スゲー」確かにそれは自分というドラマではあるのだが、何故か全然心に残っていない。あの一瞬だけなのだ。

 自分は仮に10万使おうが100万使おうが、後で心に残りさえすれば、ソーシャルゲームに対してここまで悪意を覚えないのではないかと思い始めて来た。カード+ガチャが出る前にTCGというゲームが存在するが、これも猛者は100万や200万をつぎ込んでいる。ソーシャルゲームで100万や200万つぎ込むのは愚かでTCGにその金をつぎ込むのが容認されているのは何故か。

 100万や200万をつぎ込むTCGの価値はほぼ不変と思われる。ショップで全カードを売れば、元手まではいかないものの、ある程度の金にはなるだろう。そして、その投資したカードの価値を知るユーザーが現役で何万もいるのだ。

 価値が不変である事はソーシャルゲームには厳しい。オンラインゲームは10年近く運営するものがあるが、ソーシャルゲームで3年以上という運営実績を持つタイトルは殆ど皆無に等しく、殆どは半年の賞味期限と言われている。

 コンテンツに厚みをつけるべきか。厚みをつけるという事はユーザーにそれだけコンテンツを理解してもらわねばならない。すぐに遊べ、すぐに止められる、それでいて持続し、アイテムを買わせねばならないゲームデザインの中にそれが可能だろうか。下手な厚みはプレイスタイルの阻害になるだろう。

 自分の中ではこの答えが出ていない。あのジャンルは面白くないと思っても、日々適当に遊ぶ人が遊べばいいだけのゲームジャンルと割り切ってしまうのが他のゲームの振興にも良いのではないかと思うほど、ソーシャルゲームというビジネスモデルは確立してしまったと思うのだが、まだ思慮が浅いのだろうか。

この記事へのコメント

1. Posted by T   2013年04月21日 22:03
>あのジャンルは面白くないと思っても、日々適当に遊ぶ人が遊べばいいだけのゲームジャンルと割り切ってしまう

高級料理店のフルコースか、駅前のファストフードかという感覚かと思っています。
日常の中で手早く手軽に空腹を満たすという価値観に近く、そこでは美味しさという軸は最重要ではないと知人にはよく言います。
2. Posted by MIG-29   2013年04月21日 22:58
まとめ記事ができたらぜひとも見てみたいですな…

>高級料理店のフルコースか、駅前のファストフードかという感覚かと思っています。
それか、食べ放題のバイキングとかも。
3. Posted by 後藤   2013年04月21日 23:07
>日常の中で手早く手軽に空腹を満たすという価値観に近く、そこでは美味しさという軸は最重要ではないと知人にはよく言います。

自分も割り切りが認知されていればそういう区分に落ち着くと思うのですが、未だにマックの味についてネットでは議論がなされており、ソーシャルゲームがマックと違うのは、マックは安かろうマズかろうで売るのに対し、ソーシャルゲームは払う人には青天井のような商売も盛り込んでいるので、遊ばない人にとっては「無料っていうのに何で100万とか使うの?」みたいに詐欺か何かにしか思わないものになっているのではないかと思います。
4. Posted by たぬ吉   2013年04月22日 11:07
>コンテンツに厚みをつけるべきか。厚みをつけるという事はユーザーにそれだけコンテンツを理解してもらわねばならない。


パズドラは厚みといえるほど厚みがあるのかどうかわからないっすけど、段階的になってりゃいいんじゃないすかね。

パズドラだと最初は色数少なめでいっぱい消しておもしれー
慣れてきたら動かすルート考えて上手くいくのがおもしれー
その次はスキルとか考えて構成するのがおもしれーになるんでしょうけど自分はそこで諦めましたw

パズドラクローンが成功しないのも厚みが特にない物をパクっても意味がないからじゃないんすかねー

やっぱり同じゲームよりは違うゲームやりたいっすよ。
(現在地:ドラコイ)
5. Posted by 後藤   2013年04月22日 11:24
>パズドラは厚みといえるほど厚みがあるのかどうかわからないっすけど、段階的になってりゃいいんじゃないすかね。

自分にはパズドラは昨年に半年近く、毎日遊んでいたのですが、何も残っていません。そもそもパズルに厚みをつけろというのは無理な気がします。思い出に残るゲームもあれば、残らないゲームもあるのでしょう。

>パズドラクローンが成功しないのも厚みが特にない物をパクっても意味がないからじゃないんすかねー

これは単にネームバリューでしょう。一般人にとって亜流とか無名のパズドラもどきを遊ぶ意味なんてないのです。皆がパズドラやってるからパズドラを遊ぶだけで、パズドラが1万人や2万人しか遊んでないのなら、誰も遊ばないでしょう。

自分で書いておいて何ですが、ソーシャルゲームのプレイスタイル、ビジネスモデルからすると思い出に残るようなコンテンツとの相性はかなり悪い、、、という事になるんでしょうかね。
6. Posted by F   2013年04月22日 16:30
コンテンツが薄いから印象に残らない?
テトリスなんて、ただ早くなるだけしかなかったのに
十分印象に残ってるけどなぁ
7. Posted by 後藤   2013年04月22日 16:53
>Fさん

うーん、テトリスというゲーム内容は刻まれますね。そしてマリオという頭突きで土管叩くものも。

何だろう、心に刻むとは記憶として残るのではなく、心に残るかどうかを指します。多分、個人差があり、死ぬほどテトリスを遊んだ人には何面で何がどう落ちてくるとかアツく語れる人がいるのかもしれません。

という事はパズドラにハマっている人が10年後にパズドラってゲームがあって、あのステージでは○○がとか語る事があるのでしょうか。パズドラみたいなゲームを作ろうとゲーム業界に入ってきてくれるのでしょうか(あの売上げなら別の目的で作りたいと思うかもしれませんが)
8. Posted by xXx   2013年04月23日 09:53
後藤さん
>そしてマリオという頭突きで土管叩くものも。
横道ですが、マリオは頭突きではなく拳で叩きますし土管ではなくブロックを叩きます(笑)

テトリスは素晴らしいゲームですが、心に残る本質は、落ち物パズルとしての原初体験だと思っています。僕はゲームウォッチ世代ですが、ヘルメットと言う最初に買った極めて単純なゲームウォッチを今でも覚えています。

落ち物パズルにキャラクターを組み合わせて、ぷよぷよ、ぱずるだま、マジカルドロップなどが生まれましたが、印象と言う点ではぷよぷよの一人勝ちだと考えています。
これが原初体験なのか、ゲームの勝利なのか、キャラクターの勝利なのかは判りませんが。

キャラクターが人それぞれの分、パズドラはぷよぷよよりキャラクター面で印象に劣ると考えられますが、ポケモンと言う先例もありますし、ぷよぷよを超える印象を人に持たせる事ができるのか、その点を注目しています。
今やパズドラが原初体験の人も多いでしょうから、判断不能かも知れないですが。
9. Posted by 後藤   2013年04月23日 09:58
>xXxさん

(笑)実は自分、任天堂の姿勢や経営理念はすきなのですが、あの会社のゲームは大嫌いです。

心に刻まれる、とは書いたものの、自分も原初体験だけです。その後にプレイした10や20のタイトルでどんな事をしたのか、うろ覚えです。特にMMOは原初体験を超えるのは相当難しいですね。

パズルは…キャラクターというより印象はシステムでしょうか。
10. Posted by MIG-29   2013年04月24日 19:57
ここに来て、「ゲーム機と言うプラットフォーム」の「終末」ぶりが益々鮮明になって来てる様な。

任天堂、13年3月期の営業赤字364億円 ゲーム不振鮮明に
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130424/biz13042416480028-n2.htm

ソニー、ゲーム敗戦の舞台裏…新PS4発表でも株価下落、携帯型ゲーム機は販売計画の半分
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130418-00010002-bjournal-bus_all

しかも、後者の記事で

>今日、据え置き型ゲーム機は絶滅機種。携帯型ゲーム機はスマホに死亡を宣告された。家庭用ゲーム機の販売の終了説が、公然と語られるようになっている。

と放言されるまでになってますし…
しかも、非ゲーム系のニュースサイトで。
11. Posted by 後藤   2013年04月25日 10:16
>MIG-29さん

いいんじゃないですか、任天堂は。10年赤字でもポリシーを維持できる篭城が可能な会社らしいので。1社くらいポリシーと心中する会社があってもいいと思います。

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