2016年12月01日

フィル・ヘイル 最終回(4/4) 肖像画家からの脱却、抽象化、繰り返される題材

リアルとアンリアルが共存する、独特の世界観の絵を描くアーティストとして知られる、アメリカ生まれ、ロンドン在住のアーティスト、フィル・ヘイル(Phil Hale)。

翻訳版インタビュー第4回
第一回の記事はこちら「フィル・ヘイル Part 1 幼少期からフラゼッタとの出会い
第二回の記事はこちら「フィル・ヘイル Part 2 リック・ベリー、マーベル、スティーヴン・キング
第三回の記事はこちら「フィル・ヘイル Part 3 フォトコラージュ、ブレアの肖像画、サージェントの影響


アマンダ: 肖像画から抜け出そうと、抽象化したスカル、闇に浮かぶ顔なしの頭部といった題材を描き始めましたね。わずかに変えて、繰り返し繰り返し、同じ題材を描いています。日常的に描くのは、強制的に自分自身を向上させる手段で、特定のことを繰り返し行うと言っていました。瞑想のようなものなのでしょうか。たとえば、仏教徒がお経を唱え、絵に描き、書き取るようなことでしょうか? あなたは、その形を変えながらの繰り返しを続けることで、変化や気づきのようなものを探しているのだと思いますか?

フィル: 確かに、瞑想的な側面はある。それに、あるプロジェクトに取り掛かると、それが終わるまで毎日同じCDを聞き続けることがあるんだ。仕事をしている間の大きい楽しみだ。最初の曲が始まると、頭の歯車が回転し始めるんだ。素晴らしいよ。それに、繰り返しには実際的な側面もある。僕は、1つの側面を細部にわたって突き詰めることがある。そんなときには、その1つ以外のすべての要素を固定するんだ。そうすれば、起きていることが明確になる。原始的なエンジニアリング手法だけど、うまくいくよ。
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それに……いつも(少なくとも)矛盾した目標が2つあるんだ。手をかけすぎないこと(正確性は犠牲になる)、限りなく忠実でありたいという願い(僕がリファレンスを使うことからも明確だろう)。つまり、繰り返すことで、現実(すなわち真実)を美化することなく、何かが残るんだ。そして、別のものを引き出す試みも可能になる。そこには、僕とは関係のない何かがある。それ知りたいんだ。それから、僕の視覚と画像とが、どんな風に絡み合うかも知りたい(僕の場合には、形状から構造を抜き出す能力だ)。

アマンダ: 今描いているシリーズは「Mockingbirds(物まね鳥)」というタイトルですね。野生のモッキングバードは、クラクション、牛の鳴き声、カエルの声、虫の音など、新しい音に興味を引かれるまで、同じ音を絶え間なくさえずっています。同じように、あなたは数少ない題材に集中し、わずかに変えながら、何度も何度も取り組んでいます。あなたにとって、「Mockingbirds」のコンセプトの意味は? 1つの画像を徹底的に突き詰めることで、何らかの満足を得ているのでしょうか? 特定の画像にそこまで取りつかれる理由は自分でお分かりですか?

フィル: この質問にはあながたほとんど答えてしまったね。一切の意識なしに、知性という枠にもはめずに、ある画像に引き付けられることがある。愚かで未熟な衝動ではなく(いくらかはそうだけれど)、積み重ねた経験と発展の可能性から来るものだと思いたい。作品を変え、再定義し、予想していない何かが出てきてくれること以外には、特にこれといった期待はない。作品の中で何が起きているか、それがなぜ訴えかけてくるのかは、常に明確に把握できる。でも、それが悩みの種でもあるんだ。そんな風には混在させられないと思うときに、まとまって出てくるんだ。たとえば、ばかばかしいほど直接的な比喩にしかならないものもあって、そんなときには、本来そうあるべきだとは思えない。
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僕は、1点ごとの作品が、不安定であってほしいし、そうあるべきだと思っている。集合としての意味を持つのは、展覧会場だけだ。絵は1枚では手に負えないほど不安定だ。もちろん、画家と鑑賞者では、作品に求めるものがまったく異なる。でも結局は、作品を生かしてくれるのは鑑賞者だ。大変なことだけれどね。バイクのレース関係者から、こんなことを聞いた。「理想のレース用バイクは、勝てるマシンであり、ゴールラインを超えたらバラバラに壊れるマシンだ。期待される機能を果たすギリギリにデザインされている。それ以上のものは、本来の要求を妨げるものでしかない」

下手で、馬鹿げていて、何の用もなさない絵をしばらく描き続ける必要がある。

アマンダ: 最近の作品で繰り返し描かれる要素に、暴力的な抽象化があるように思います。リアルな人間が、何かの平面でスパッと切り取られたり、一部が消えてしまったり。まるで、現実での存在が条件付きで、一瞬にしてシュッと消え去ってしまったような。以前、崩壊の縁にいようとする意思を持つように心がけていると言っていましたね。このような抽象化された要素は、普通に描いただけでは表現できない、未知の可能性を感じさせ、何らかの形でそれを始動させようというのでしょうか。恐れや危険を含む絵の方が、あなたにとっては興味深いのですか? 
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フィル: その通り。僕が付け加えることはほとんどないね。絵に生気を与え、揺さぶり、対立や困難に直面させる何か、あるいは鑑賞者が乗り越えるべき何かを入れるんだ。あるいは、安心確実な要素との対比にすることもある。ずいぶん理想論的になってしまったね。何も危険にさらされていなければ、その作品が必要だと信じるのは難しくなる。ともかく、作品の必要性はそこにある。ばかげた考え方だろうし、言い過ぎかもしれない。とにかく動かし、生気を与えたいと考えている。

アマンダ: 絶え間なく形を変えていく作品を見ると、自己嫌悪、自分の直観への不信のようなものを感じるんです。稚拙さ、臆病さ、本来の作品はこの先の未来にあるという信念から来るのかも知れません。あなたが打ち破ろうと闘っている、先入観や習慣といったもので覆い隠された未来に。どうでしょう? 当たっていますか?

フィル: 素晴らしい質問だね……。自分自身に反して行動することは必要だ。それなしには何も起こらない。少なくとも、自分を正当化したいという意識の外側に、自分の身を置くようにしている。当らずとも遠からず、といったところかな。自己嫌悪(ちょっと強すぎるかもしれない)は、自分の行動が臆病だと本当に知っている唯一の人間が自分だからだ。失敗や弱さから決断を下すなんて、許されない、絶対に。
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形状の変化については、もっと具体的に話した方がいいだろう。黒い頭部は、気軽な気持ちで描いた作品と同時に描いていたんだ。あの連作は、寒い冬に閉じこもって描いたわけじゃない。あらかじめわかっている場所に導かれるように絵の具を置くのではなく、物理的な反応を大切にして描いてみたんだ。練習であると同時に、一定の期待や反応を定着させる方法でもあった。肖像画は特に、制約が過剰になる傾向があって、それでは作品が台無しになってしまう。非生産的な側面ばかりが補強され、まるで反射神経を磨いているようなものだ。悪い習慣を捨て去るために、いろいろ試しているんだ。
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本記事は、2012年 5月 23日に行われたインタビューであり、ブログ「Erratic Phenomena」の翻訳です。執筆者およびアーティストの許可を得て掲載しています。

インタビュアーについて
アマンダ・アーランソン(Amanda Erlanson)は、ライターであり、収集家であり、アートブログ「Erratic Phenomena」の執筆者です。ロサンゼルス在住。そこでは、エンターテインメント業界とアートの世界を行き来している。最近の著作には、「Heroes & Villains」(共著)「Chris Berens: Mapping Infinity」「Andrew Hem: Dreams Towards Reality」「Mark Ryden: The Gay ‘90s」などがある。



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2016年11月28日

Katana-ルックデベロップメントとライティングシーン管理ツール

The Foundry社が開発した強力なルックデベロップメントとライティング、シーン管理ツールのKatanaを紹介します。
Katanaの特徴
+アーティストの生産性向上
+効率的なライティング
+柔軟なルックデベロップメント
+強力なシーン管理
+効率的なパイプラインとカラーマネジメント

Katanaは大規模なシーンも高速でロードすることができ、ノードグラフベースでカメラの角度や距離によって異なるライティングをマニュアル化できショットの管理もしやすくなります。
また、パイプラインとプロセスに合わせてC、 Python APIを使用して自動化カスタマイズすることなど機能拡張でき作業効率を大きくアップすることができます。

Katanaを導入したプロダクションパイプライン

3Dモデル作成(3dsMax/Maya/Houdini/Modo...)

UVテクスチャ作成(Mari...)

Katanaでライティングの設定/シェイディング設定(3Delight/RENDERMAN/V-ray/SOLIDANGLE...)

レンダリングファームソリューション(DEADLINE...)

コンポジット(NUKE...)

大規模なシーンの作業をする場合、Katanaでシーンのアセットのルックデベロップメントとライティングを行うと、3Dソフトでのレンダリングし直し作業などの反復作業の軽減が可能になり、製品ごとのシェイディングの違いに悩まなくなります。



The Foundry Katana製品ページ
https://www.thefoundry.co.uk/products/katana/

価格は4882£〜(約67万円〜)

ご興味があればぜひボーンデジタルまでお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。




hatakeyama_chihaya at| 19:05|Permalink
2016年11月26日

フィル・ヘイル Part 3 フォトコラージュ、ブレアの肖像画、サージェントの影響

リアルとアンリアルが共存する、独特の世界観の絵を描くアーティストとして知られる、アメリカ生まれ、ロンドン在住のアーティスト、フィル・ヘイル(Phil Hale)。

翻訳版インタビュー第3回
第一回の記事はこちら「フィル・ヘイル Part 1 幼少期からフラゼッタとの出会い
第二回の記事はこちら「フィル・ヘイル Part 2 リック・ベリー、マーベル、スティーヴン・キング
第三回の記事はこちら「フィル・ヘイル Part 3 フォトコラージュ、ブレアの肖像画、サージェントの影響
最終回の記事はこちら「フィル・ヘイル 最終回(4/4) 肖像画家からの脱却、抽象化、繰り返される題材

アマンダ: リック・ベリーはあなたに、人物を想像から描くように教え、記憶が最も重要で、写真をリファレンスにするのはごまかしに等しいと言っていたんですよね。彼の影響から逃れてロンドンに移ったのは、その教えを破ることも1つの目的だったのではないですか? 記憶に頼って描いたキャラクターは、特有の何かが欠けてしまうように感じていたのですよね。写真を描画の過程に取り入れ、アクションをしている人の写真をリファレンスに使うことで、人体の緊張や、不安定さといった、今までの絵画では描けなかった新しい表現を見つけていったわけですね。それを始めた時、何を自分が探しているか、わかっていたのですか? または、写真自体が発見のプロセスなのでしょうか?
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フィル: 人間の体だけではない。僕は、絵が画面外の何かとつながっているような感じを描きたいんだ。ドキュメンタリー写真がいい例だ。現実には行くことができない、完全な世界。その存在を疑うことはない。それに、僕は、作品に生の情報を込めたいと強く思っている。手を加えたり、形を変えたりするだけじゃなく、それを僕がどう思っているかもね。写真を使うのは、作品を構想するときの重要な部分でもある。言葉で説明するのは難しい。作り物ではなく、現実の中から何かを見つけたいんだ。原因と結果のような、単純な形でそれを理解したいんだよ。

それと、リックは写真をごまかしだとは考えていなかったことは言っておくべきだ。自分の中からイメージを作り出すのが、リックのやり方だったんだ。僕に同じ能力があったかどうかはわからない。なかったんだと思う。

アマンダ: ここ数年は、フォトコラージュを作っていますね。フォトコラージュ作品、奇妙な黒い金属製の機器のアマルガメーション、絵画作品のリファレンスとしてのコラージュ。絵画作品にも、フォトコラージュの不自然さをあえて残しているそうですね。コラージュの継ぎ目を隠すのではなく、面白く、不格好で、中途半端な感じを作品に取り込んでいると。フォトコラージュをリファレンスに使っているアーティストはたくさんいますが、ライティングを合わせて、要素を一体化させる人たちがほとんどです。この作為的な不自然さをどうやって見つけ、目の離せない不気味さをたたえた作品に仕立てていることについて、少し話してください。

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フィル: フォトコラージュを始めたのは、90年代の初期。理由の1つは、Photoshopが使えるようになったことだ。画像を操作するには、この上なく強力なツールだよね。でも、少しすると、その強力なコントロールが、画像に力を与えてくれるわけではないと分かった。画像を組み立てるために人為的に加えられた痕跡を示し、なおかつ画像として成り立たせる方法を探る方がずっと面白いように思えた。きっちりと処理をするよりもその方が効果的にも思えたんだ。つまり、継ぎ目の処理は鑑賞者に任せるわけだ。そうやって画像とのかかわりを持つことで、作品がその人のものになる。少なくとも、その解決にはかかわることになる。当初からそれを目指していたわけではないけれど、すぐにその効果が分かった。そこに気づいたときには嬉しかった。視覚的なことだけでなく、想像力とか、そこにあるストーリー(ナラティブ)がどう働くかを考えるようになったんだ。

アマンダ: あなたの経歴は、「変化」という言葉で形容するのがぴったりのようです。数年ごとにギアを変え、現状にとどまろうとしない。一時期は、イギリスのナショナル・ポートレート・ギャラリーに作品が収蔵され、肖像画家として知られるようになりました。トニー・ブレア首相の肖像画を描いた2008年が、そのピークでしたね。伝統を覆すように、ゆったりとしたポーズではなく、襟のボタンをはずし、けだるそうにどこかよそを見ている。彼の心にのしかかっている過去の失敗を見ているのかしら。ブレアの中に、何を見たのですか? 肖像画の伝統をふまえた椅子に座ったポーズではありますが、そこに緊張を持ち込もうとしたのですか?
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フィル: 肖像画は10代の頃から描いてた。僕の家族の歴史がそうさせたんだ。真剣に肖像画を突き詰めたことはない。それに、肖像画を描くのは手間のかかる大事だ。長時間、ものすごい注意力を傾けなくてはならないし、そうやって初めて、問題がどこにあるかが分かる。問題が分かったら、自分なりの方法を見つけて試さなくてはならない。マニエリストの様式をとらない限り、基準や期待は明確だ。ミスは許されないし、自分の弱点もあっという間にさらけ出される。僕はどうも気が進まない。

幸運だったのは、ロンドンでジェームズ・ロイド(James Lloyd)、ブレンダン・ケリー(Brendan Kelley)、ステュアート・ピアソン・ライト(Stuart Pearson Wright)といった、肖像画家たちと仲間になれたこと。素晴らしい画家たちばかりだ。ジャスティン・モーティマー(Justin Mortimer)もすばらしい肖像画家だけど、彼とは別の機会に知り合った。彼らの作品と並べると、僕の肖像画は、力強さが足りないし、何というか、正統ではないように思う。たぶん僕は、彼らと仲良くしていたかったんだ。彼らはまったく素晴らしくて、互いに支えあっている。行き過ぎだと思うほどだ。僕は10年間やってみて、僕には向いていないと悟ったんだ。僕の能力にも、好みにもぴったり来ない。だけど、今でも描くし、その時には楽しんでいるよ。

びっくりするだろうけど、僕は他人に対して感情的あるいは心理的な洞察をしたことはない。モデルはありのままの姿でいて、僕は手を加えずに、それを忠実に描くだけ。ブレア首相の肖像も同じこと。事実、あの肖像画は彼の外見を正確に写し取っただけで、政治的、個人的な意図は一切含んでいない。構図に味わいを与える、不安定にする、何かに誘導するといったことよりも、正確さを第一に描いた結果だった。

アマンダ: あなたはジョン・シンガー・サージェントJohn Singer Sargent)を尊敬しているように見受けられます。作品から、サージェントの影響、彼の肖像画に込められているものと同じような雰囲気を感じます。サージェントの視点で、あなたが最も引き付けられるのはどこですか?

フィル: 彼は文句なしに素晴らしい画家だ。1マイルを3分で走るランナーのようなものだ*。筆さばきは人間離れしている。彼の作品が最も心を揺さぶるというわけではないけれど、技術面では学ぶことがたくさんある。彼の域に到達しようとしても、難しいことだ。(*訳注:一流のランナーで1マイルあたり4分。つまり、誰もできないことのたとえ)

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本記事は、2012年 5月 23日に行われたインタビューであり、ブログ「Erratic Phenomena」の翻訳です。執筆者およびアーティストの許可を得て掲載しています。

インタビュアーについて
アマンダ・アーランソン(Amanda Erlanson)は、ライターであり、収集家であり、アートブログ「Erratic Phenomena」の執筆者です。ロサンゼルス在住。そこでは、エンターテインメント業界とアートの世界を行き来している。最近の著作には、「Heroes & Villains」(共著)「Chris Berens: Mapping Infinity」「Andrew Hem: Dreams Towards Reality」「Mark Ryden: The Gay ‘90s」などがある。



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2016年11月24日

Introducing the Data Channel Modifier(THE 3DS MAX DATA CHANNEL MODIFIER SERIES) from AREA

borndigital at| 12:29|Permalink
2016年11月24日

オープンソースのAutodesk Maya用リギング・フレームワーク 【mGear 2.0】リリース

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今週末にセミナーを開催いたします【mGear 2.0】がリリースされたとのことです!
今週末がますます楽しみです!

https://gumroad.com/l/mgear

オフィシャルドキュメント

https://miquelcampos.github.io/mgear/

ビデオ


Install mGear 2.0 from Miquel Campos on Vimeo.




mGear 2.0 Intro from Miquel Campos on Vimeo.




mGear 2.0: Shifter introduction from Miquel Campos on Vimeo.




mGear 2.0: Shifter guides from Miquel Campos on Vimeo.




mGear 2.0: New Joint Structure from Miquel Campos on Vimeo.




mGear 2.0: Gimmick Joints from Miquel Campos on Vimeo.




mGear 2.0: Building biped guide from scratch. from Miquel Campos on Vimeo.






borndigital at| 12:07|Permalink
2016年11月23日

フィル・ヘイル Part 2 リック・ベリー、マーベル、スティーヴン・キング

リアルとアンリアルが共存する、独特の世界観の絵を描くアーティストとして知られる、
アメリカ生まれ、ロンドン在住のアーティスト、フィル・ヘイル(Phil Hale)。

翻訳版インタビュー第2回

第一回の記事はこちら「フィル・ヘイル Part 1 幼少期からフラゼッタとの出会い
第二回の記事はこちら「フィル・ヘイル Part 2 リック・ベリー、マーベル、スティーヴン・キング
第三回の記事はこちら「フィル・ヘイル Part 3 フォトコラージュ、ブレアの肖像画、サージェントの影響
最終回の記事はこちら「フィル・ヘイル 最終回(4/4) 肖像画家からの脱却、抽象化、繰り返される題材

フィル・ヘイルへのインタビュー:2012年 5月
インタビュアー:アマンダ・アーランソン(Amanda Erlanson)

アマンダ: 80年代の初期、まだ16歳のあなたはイラスト界の巨匠、リック・ベリー(Rick Berry)に弟子入りしました。現代では珍しいことではないですか? まだ方向性が定まっていないあなたにとって、ベリーの影響はさぞかし大きかったでしょうね。どうやって実現したのですか? ベリーはあなたに何を見たのでしょう?

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フィル: そう、彼の影響はとても大きくて、押しつぶされそうだった。ベリーの2番煎じになってしまうんじゃないかってね。だから、そこから逃れるために、アメリカを出ることにしたんだ。当時は自分が何を考えていたのかもわからなかった。僕の作品には、僕の内面からの衝動と、ベリーの教えがせめぎあっているものがある。今でも、だ。彼はとても親切で、コラボレーションや教育といったものを高く評価していた。彼は僕の可能性を見ていてくれたんだと思う。そして、実際的な指導や支援をしてくれた。はじめはそんなに長い期間のつもりではなかったんだ。お互いに心地よく、いい関係を続けている間にそうなっただけのこと。

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アマンダ: 18歳のとき、ベリーとの師弟関係が終わり、あなた方2人に加えて、2人のアーティストとスタジオを共有することになりましたね。その中であなたはいろいろなことを吸収していった。3年間ベリーと一緒に創作し、大きすぎる影響から脱け出すために離れる決意をしたんですね。きっかけは? 彼の影に隠れたままでは、これ以上成長を遂げられないと思うようなことがあったのですか?

フィル: 特別なことがあったわけじゃない。あれくらいの年頃は(それに僕はいろんな意味で世間知らずだったから)、何をどんな理由で決めるかなんて、自分でもわからないだろう? ともかく僕は大人になって、昔のままの関係を続けるのは難くなったということ。そのまま彼と一緒に成長することだって、不可能ではなかったと思う。イギリスに引っ越した後は、僕の作品はテーマにしてもアプローチにしても、彼に会う前に少しばかり戻ったんだ。写真から出発したり、絵と写真を融合させる方法を見つけようと試行錯誤している。リックはそんな方法はとらない。僕は、自分の中でイメージを作るのが苦手なんだ。一部を現実世界から取り入れて、そこから作品を形作っていく。どうやったらうまくいくか、それが分かるまで、長い、とてつもなく長い時間がかかった。

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アマンダ: 1985年、まだ22歳の若さで、Marvelの「ギャラクタス(Galactus)」シリーズ(最後は“Epic”に掲載)で、「Johnny Badhair」のストーリーとイラストを描きましたね。あなたの「Johnny Badhair」は鮮烈で、その後数十年、あなたのキャリアについて回ることになりました。それに、時々彼を描くことでも知られています。直接性、描き込まれたアナトミー、破壊など、あのキャラクターに必要なことを学び取ることに夢中になったということですが、どういういきさつで依頼がきたのですか? あのキャラクターを描くにあたって、どの程度の自由が与えられていますか? 自分のイラストのルーツから抜け出そうとするあなたが、なぜ、幾度も彼に魅かれるのでしょうか。

フィル: 「Johnny Badhair」は、フラゼッタへのラブレターなんだ。少なくとも最初のうちは。そして、シリーズが進むうちに多くを学んだし、予想していなかった方向に進むことにもなった。自分が面白いと思うことに集中できたんだ。毎回苦心して新しいものを作り上げる必要に迫られることもなく、吹っ切れたような気持にになった。まだ試していないアイデア、しかも特定のアイデアを練るための、まともな理由を手に入れたんだ。仕事を重荷として背負うのではなく、自分が面白いと思うことを追求できるんだって、だんだん分かってきた。一種の逃げ場のようなものだよ。面白くないことから逃れるためのね。

中心のテーマは「失望と反抗」。それに、報われないと分かっている努力に取り組む姿だ。ファインアートとして描くのに完璧な題材だよ。でも、職人のようにイメージを作り上げるのとはまた違う。そうなると、退屈だし、先が読めてしまう(そうして描いていたこともあったけど)。

アマンダ: 1987年、スティーブン・キングの「The Dark Tower II: The Drawing Of The Three」(ダーク・タワー〈2〉運命の三人)のために、オリジナルのイラストを10点描きましたね。その後5年間働く必要がないほどの額をもらったとか。その仕事を得たいきさつ、鮮烈な絵を描くにあたって、どこからインスピレーションを得たか、教えてください。それから、スティーブン・キングはあなたのキャリアにどう影響しましたか?

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フィル: キングの仕事をもらえたのは、運が良かった。その数年前に、キングの本のあるイラストに推薦されていたん。他のアーティストが辞めてしまってね。そして、キングが僕の作品を気に入ってくれたんだ。その次は、僕に1冊丸ごと任せてくれた。信じられない好条件だったよ。でも、自分の作品には全然納得できていない。色をたくさん使おうとしたんだ。当時は、色を試すことが面白くて…。でも、まとまりがつかなかった。色を調和させる経験もスキルもなかったんだ。不自然で、説得力もない。10年経った1997年に、オリジナルイラストでペーパーバック版を出そうということになった。ぞっとしたよ、だって無償で全部描き直すことになったんだからね。でも契約上ずいぶんたくさんの報酬をもらえることになっていたし、スタジオにこもって好きに描くいい機会だと思ったんだ。楽しかったよ。音楽をたくさん録音したし、バイクをデザインして組み立てたり、写真を撮ったり、思い切りルーズに描いてみたり。そして、そんな日々が終わってみると、僕は就職向きの人間ではなくなっていたんだ。

キングとの関係で一番良かったのは、(キングもこれを良いことだと思ってくれていると嬉しいんだけど)、金銭的なことから一時的に離れて、それまでの内省的なスタイルを捨てられたことだ。当時は分からなかったけれど、今考えると、過ぎた贅沢だ。

本記事は、2012年 5月 23日に行われたインタビューであり、ブログ「Erratic Phenomena」の翻訳です。執筆者およびアーティストの許可を得て掲載しています。

インタビュアーについて
アマンダ・アーランソン(Amanda Erlanson)は、ライターであり、収集家であり、アートブログ「Erratic Phenomena」の執筆者です。ロサンゼルス在住。そこでは、エンターテインメント業界とアートの世界を行き来している。最近の著作には、「Heroes & Villains」(共著)「Chris Berens: Mapping Infinity」「Andrew Hem: Dreams Towards Reality」「Mark Ryden: The Gay ‘90s」などがある。



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2016年11月19日

フィル・ヘイル Part 1 幼少期からフラゼッタとの出会い

リアルとアンリアルが共存する、独特の世界観の絵を描くアーティストとして知られる、
アメリカ生まれ、ロンドン在住のアーティスト、フィル・ヘイル(Phil Hale)

面白いインタビューを見つけましたので、数回に分けて翻訳版でご紹介いたします!

第一回の記事はこちら「フィル・ヘイル Part 1 幼少期からフラゼッタとの出会い
第二回の記事はこちら「フィル・ヘイル Part 2 リック・ベリー、マーベル、スティーヴン・キング
第三回の記事はこちら「フィル・ヘイル Part 3 フォトコラージュ、ブレアの肖像画、サージェントの影響
最終回の記事はこちら「フィル・ヘイル 最終回(4/4) 肖像画家からの脱却、抽象化、繰り返される題材

フィル・ヘイルへのインタビュー:2012年 5月
インタビュアー:アマンダ・アーランソン(Amanda Erlanson)

Study for Path Vacates


アマンダ: 1963年、ボストン生まれ。ご両親は幼いあなたを連れて突然ケニヤに引っ越し、7歳までそこで育ったそうですね。当時のことを教えてください。

フィル: 家族でナイロビに引っ越したのは、4歳ごろ。父がナイロビの教育システムの改革にかかわることになったんだ。一番大きかったのは、アフリカで僕は「よそ者」だったこと。当たり前だけどね。人格形成期に、社会的影響を受けることなく、一人でいたんだ。当然、アメリカに戻った時にも「よそ者」になった。アメリカではマサチューセッツに住むことになったんだけれど、町も学校も、ありえないほど「均質」な地域で、ほんの少しの違いが目立ってしまう。

アフリカで経験したことは素晴らしかったけど、それが分かる年齢じゃなかった。僕の母親は野生動物のスケッチでジャーナルを埋めていた。ゾウ、イボイノシシ、ヒヒ……。両親はアフリカで、観察場所を作っていたんだ。僕は母のスケッチを模写したり、母と競ってもいた。少なくとも、認められたいという気持ちがあった。僕の両親は変わったところがあって、極端なこと、常識はずれなことを進んで選ぶタイプなんだ。それが苦境を招くこともあった。そんな行動は、一部、血筋からきているんだと思う。

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アマンダ: 子供のころは、どんな本を読んでいましたか?

フィル: 本の虫だった。ありきたりだけど、アフリカにいた当時はイーニッド・ブライトンに夢中だった。イーニッドの本にはずいぶん大きく影響されたと思う。それから、母の本も何冊か読んだ。母の勧めでね。カーソン・マッカラーズの「The Ballad of the Sad Cafe」とか。この本を読んだ時にはじめて、「大人になるのはずいぶん複雑なことなんだ」と思ったよ。だから、答えは「イーニッド・ブライトン」と「カーソン・マッカラーズ」
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アマンダ: あなたの血縁には、エレン・デイ・ヘイル(Ellen Day Hale)、リリアン・ウェストコット・ヘイル(Lilian Westcott Hale)、フィリップ・レスリー・ヘイル(Philip Leslie Hale)、ロバート・ビバリー・ヘイル(Robert Beverly Hale)ら、著名な画家がいますね。家系図を遡れば、奴隷制度廃止に大きく貢献した「アンクル・トムの小屋」の著者ハリエット・ビーチャー・ストウ(Harriet Beecher Stowe)、アメリカ独立戦争の英雄ネイサン・ヘイル(Nathan Hale)(イギリス軍につかまり、絞首刑にされる前に「私が悔やむのは、この国に捧げる命が1つしかないことだけだ」という言葉を残したことで知られる)といった著名人もいますね。あなたのお祖母さまとお母さまが画家だったことを考えると、あなた自身がアーティストになったのは、自然な成り行きに思えます。それほどの名家なら、創造的で、一目置かれる大人になるだろうという、潜在的なプレッシャーはありませんでしたか?

フィル: 難しい質問だね。僕に影響しているのは主に母の方で、母はその血筋ではないんだ。でも、いつでも目的意識がはっきりした、強気な人だ。アーティストになるという選択は、僕にとっては、既知の領域にとどまることだった。目の前に道があって、切り開く苦労もなかった。美術館、図書館、音楽と同じように、日常の一部。

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アマンダ: お母さまとお祖母さまは、画家ですね。そして、お祖母さまはあなたのコミック風のモンスターよりも、お兄さまの印象派風の歴史画が好みだった。そのことについて少し教えてください。

フィル: 祖母は1歳年上の兄がお気に入りだったし、兄はいかにも長男タイプだ。早熟で、責任感があり、いっぱしの大人ぶっていた。僕はと言えば、自己中心的で、社会との関わり合いを持たず、素直さや他人に対する敬意を持ち合わせていなかった。それに、たった1歳しか違わなかったから、兄とは張り合ってばかりいたよ。兄は絵が上手で、感性あふれる絵を描いた。僕が描く絵は2種類。自分が好きな題材(どくろ、腹がでっぷりとした毛むくじゃらのモンスター、虫など)と、兄に対抗して描いた作品(花、海辺の景色、クモ)だ。画材も環境も整っていたから、自然に描くようになったんだ。祖母とも一緒に描いたけど、褒めてはもらえなかったな。

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アマンダ: あなたが最初に惹かれたアーティストは、フランク・フラゼッタだと聞いています。フラゼッタの作品は、衝撃的でしたね。私は、エドガー・ライス・バロウズの「火星の秘密兵器(A Fighting Man of Mars)」の表紙を覚えています。肉体がしっかり描かれ、ライティングによってその肉感が引き立てられている。それに、彼の描く女性は、セクシーで、品があり、ヒロインとしての風格があった。当時は、まったく新しい人物の描き方を見たような思いがしたものです。フラゼッタ作品の印象と、それがあなたのビジョンの形成にどう影響したかを教えてください。

フィル: 僕は大人の一歩手前、14歳のときにショッピングモールの書店で「The Fantastic Art of Frank Frazetta」を手に取った。信じられなかった。学ぶべきものがありすぎた。コミックの方は大幅に簡略化されていたけれど、それを胸に焼き付けようようとしたら、何時間あっても足りない。今思い出せば、僕が一番好きだったのはとんでもない(ありえない)バイタリティーと、それがフラゼッタらしさに通じているところだ。それが彼の表現なんだ。でも、14歳の僕は、そのとんでもないバイタリティーに、ただ驚嘆するばかりだった。今でもフラゼッタは素晴らしいと思っている。好き嫌いはあるだろうけど、彼の絵は真っすぐなメッセージとして、たくさんの情報を効果的に伝えている。今見てもほれぼれする。

本記事は、ブログ「Erratic Phenomena」の翻訳です。執筆者およびアーティストの許可を得て掲載しています。

インタビュアー:アマンダ・アーランソン(Amanda Erlanson)は、ライターであり、収集家であり、アートブログ「Erratic Phenomena」の執筆者です。ロサンゼルス在住。そこでは、エンターテインメント業界とアートの世界を行き来している。最近の著作には、「Heroes & Villains」(共著)「Chris Berens: Mapping Infinity」「Andrew Hem: Dreams Towards Reality」「Mark Ryden: The Gay ‘90s」などがある。



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2016年11月17日

Retopologising 3D Scans with Wrap 3 (TEN 24)

borndigital at| 15:03|Permalink
2016年11月16日

NVIDIA MENTAL RAY FOR MAYA情報




Freeプラグイン(11月30日 NVIDIAのサイトよりダウンロード開始予定)

Mayaのシーン作成やシングルフレームプロダクションレンダリングでは、mental ray for Mayaプラグインを無料で使用できるようになるそうです。

Mayaでシーケンスレンダリングを有効にし、ネットワーク上で、または任意のマシン上でバッチでプロダクションレンダリングするには有料のプラグインが必要です。

$295/year per machine
$995/year for 5 machines

詳細はNVIDIAサイトをご参照ください。
http://www.nvidia.com/object/nvidia-mental-ray-products.html


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2016年11月11日

CGWCC2016 ザ・リギング・マニアックス 2016 〜おーい、リガー達がデータ公開してくれるってよ!

クリエイティブカンファレンス2016のセッション「ザ・リギング・マニアックス 2016 集まれリガーピーポー!
〜おーい、リガー達が秘伝の技を教えるってよ スペシャル」!

all


講演者の皆様で記念撮影。

大変な大人気セッションでしたが、なんと講演者の皆様から講演データを公開していただけるという吉報が!なんと太っ腹!

早速公開させていただきます!

※Webブラウザのバージョンが古いとFTPにアクセスできない可能性があります。その場合、Webブラウザを最新に変更して再度ダウンロードをお試しください。

トップバッターは、株式会社ポリゴン・ピクチュアズ 福本 健太郎氏
リンク(Zipファイルダウンロード):https://cargo.borndigital.jp/data/public/2e6f01388782

株式会社スクウェア・エニックス 千田 量久 氏
リンク(mp4):https://cargo.borndigital.jp/data/public/32d34f7b65bb

こちらのセッションで紹介されたProject HIKARIへのリンクは下記になります。
http://www.jp.square-enix.com/tech/hikari/

株式会社オー・エル・エム・デジタル 久保 圭之 氏
リンク(ZIP):https://cargo.borndigital.jp/data/public/ea5495c4cd96

また、佐々木様から少しご説明いただいた内容を久保様が資料にまとめて公開していただきました。

リンク(PDF):https://cargo.borndigital.jp/data/public/389928b1cbb5

佐々木様が作成されたサンプルシーンはGithubに公開されています。
https://github.com/ryusas/maya_rotationDriver/blob/master/examples/withoutPlugin.ma

マーザ・アニメーションプラネット株式会社 赤木 達也 氏
リンク(mp4): https://cargo.borndigital.jp/data/public/d9144acfca79

ご紹介いただいたSHAPESのWebサイトは以下になります。
http://www.braverabbit.com/shapes/

株式会社スクウェア・エニックス 佐々木 隆典 氏
リンク(PDF):https://cargo.borndigital.jp/data/public/4b0bb3bc5e22

そしてセミナーにあわせて公開された佐々木さんプラグイン「exprespy 2.0」がリリースされました!
サンプルシーンも豊富に揃い、下記からダウンロードすることが可能です。素晴らしい!

https://github.com/ryusas/maya_exprespy

最後は上原 達也 氏
データ(Slideshare):http://www.slideshare.net/ue_ta/cgwcc2016-ue4

最後に、モデレーターを勤めて頂きました株式会社GUNCY'S  野澤様。
誠にありがとうございました!

講演者の皆様がとても熱くリグシーンを盛り上げていくということが素晴らしい試みですよね!
回を重ねるたびに参加人数も増えていっています!
これは来年第3回も?!!

講演者の皆様、このような貴重な資料を公開頂き誠にありがとうございました!





borndigital at| 18:10|Permalink