第2回釣行記録





日付 2017.08.29

時刻 03:30~6:30
天候 曇り/晴れ
潮回 大潮
干満 上げ-満潮
潮位 30
水温 27℃
風向 南東1m
波高 0-50㎝
月齢 7.4
8

前5日間合計累積日照時間 
    28.8hr
前10日間合計降水量
    122.0mm
前5日間平均気温
    23.6℃

アオリイカ 25杯(8杯/hr)
キジハタ 1匹(35㎝)




朝4時30分に開始できるように3時に目覚ましをセットし、子供たちと20時に就寝。


気持ちが高ぶってしまい、なかなか眠れない。
それでも何とか眠る努力をして・・・ふと目が覚めるとまだ22時。
まだまだ寝なければ・・・今度は妻が動く物音で目が覚め、23時30分。
イライラしながら眠ったのか眠らなかったのか分からないが時間は0時30分。


そこから1時間眠れない。


しょうがないから、ごそごそと起きだして海へ。
途中ガソリンを入れつつ、なんだかんだで3時に海に到着。

いつもの場所へと思ったが、少し車を走らせて、いわゆる"鉄板"ポイントへ。

立ち位置を探りつつ周囲を見ると、あたり一面墨跡だらけ。

期待値は大だったが、まだ周囲は暗い。


一投目。

赤テープの餌木を選択し、カウント10からの柔らかいダートに。

グッ。

竿先が重くなり、上がってきたのは小さなアオリイカ。
幸先がいいなと思いながら、そのあと2投続けて新仔を釣る。
その後、潮が動かなくなるのに伴って、全く反応がなくなってしまう。


移動。


いつかメバルで打ちたいと思っていたポイントに入る。
まだ暗い時間にもかかわらず、コンスタントにアオリイカからの反応がある。




徐々に周囲が明るくなってくる。

入ってくる潮流が凝集する場所に出来る潮のヨレに向かって、餌木をフルキャスト。
テンションを掛けながら、ボトムへと餌木を落とし込んでいく。

カウント20を超えたところで、餌木が潮流を受けて重くなる。

小さいジャークを加えた後の違和感に竿を立てる。


ググッ。


今シーズン一番の重量を感じながらアオリイカを寄せる。
水面まで50㎝ほどだが、アオリイカを持ち上げるのにPEspecialだとつらい。

bb

先週は釣れなかった、比較的良型の個体。
潮の中、ボトム付近に定位した、活性の高い個体群。

このアプローチで5匹程同程度のサイズの個体を追加し、沈黙。

餌木をエメラルダスダートⅡに交換。
昨シーズン購入した、僕の中での鉄板餌木の一つ。
任意の動作に対して美しくダートする性能に優れていると感じる。
この餌木を選択するときは、サウンドジャーク等の強いアクションは不要。

三回ゆっくりとダートさせ、フリーフォールカウント10。
その後ゆっくりとあたりを聞きに行くと、アオリイカが乗っている。

反応が無くなれば、カラーをローテート。

そんなこんなで一杯ずつアオリイカを釣り上げていく。




そんななか。
よりタイトにストラクチャー周囲を攻めていると。


トン。


『恐らくこのあたりの出方はRock fish、エギング最中に釣れるのはキジハタだ』そう考えながら反射的に竿を立てるが、勢いよくドラグがうねる。とっさにスプールに手を添えて、ドラグを締め、テンションを緩めないように竿をスウィープ。竿でキジハタの向きを何とかコントロールしながら、ふと顔を横向けると、周囲には目がオレンジに光るベイトフィッシュで満ちている。

そうか、アオリイカも、キジハタも。
重要なことはメバルと同じなのかもしれない

そう思いながらも、断続的なキジハタの突っ込みに耐えつつ最後はハンドランディング。

cc


僕にとってキーパーサイズのキジハタ。
とても嬉しいと同時に、40㎝、そして50㎝のキジハタってどんだけ大きいのだろうと思う。


その後もあの手この手でアオリイカを積み上げ、6時半に竿を納める。






aa



一つ気になることがある。

暗闇に光るオレンジの目。

あのベイトフィッシュは一体何だったのか。















話はかわって。




『激渋さん、新仔いじめじゃないですか?』



釣友のごっちゃんにご指摘を受けました。

激渋家の家族は、柔らかく・食べやすく・美味しいアオリイカを食べることを楽しみにしています。でも、アオリイカは胴長15㎝を超えると甘味は増しますが、食べづらくなります。魚の居場所を追い求めそして釣る事だけではなく、釣った魚を美味しく食べる事も趣味にしている僕にとっては、新仔を釣ることをいじめと捉えられると何とも悲しい気持ちになります。



柔らかく、食べやすく、美味しいのだけれど・・・
やはり、情操的に新仔を釣る事には後ろめたさを覚えます。


でも、そういった感情的な点からではなく、新仔アオリイカを釣っても良い/悪い理由を可能な限り論理的に考えてみたいと思いました。そのために、『新仔アオリイカを釣ってはいけない理由』にたいして、肯定的意見否定的意見を僕なりに考えて評価したいと思います。



★新仔アオリイカを釣る/釣らない/キープする/キープしないには、釣り人それぞれ多用な意見があります。以下は、あくまで僕の意見であり、新仔を釣らない、釣ってもリリースするという考えを持っている人のポリシーを否定するつもりは全くありません。








何故、新仔アオリイカを釣ってはいけないのでしょうか。

少し調べていると、おおむね以下の3点が理由として挙げられています。

①水産資源としてのアオリイカが減少してしまう。
②小さいうちに釣ると、アオリイカがいなくなる。
③小さいアオリイカはリリースしてください。


では、上記①~③に対して、Pro肯定的)&Con否定的)な見解をそれぞれ考えてみました。


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①水産資源としてのアオリイカが減少してしまう。

Pro肯定的意見
「淡路島 アオリイカ 規制 画像」の画像検索結果
淡路島では、アオリイカを増やすために漁業者が産卵床を設置するなど、アオリイカ資源増大に取り組んでおり、淡路島内沿岸でアオリイカ釣りをする人に次に該当する場合はアオリイカをリリ-スするようにお願いしている。(1)7月1日~9月30日の期間(淡路市・洲本市管内は7月1日~9月30日の期間。南あわじ市管内は7月1日~9月20日の期間)
(2)胴長15センチ未満のアオリイカ

淡路島では、漁協が水産資源としてのアオリイカを増やす努力をしております。こういった努力を行う背景には、
・アオリイカを増やそう
・豊かな漁場を育てはぐくみたい
・こういった努力を無駄にしないために釣り人の協力を仰ぎたい
という思いがある事がその背景として考えられます。

漁業関係者は、アオリイカの減少を肌で感じているのかもしれません。新仔アオリイカは釣らない、もしくはリリースすることで、アオリイカの減少を防ぐことが出来、将来に向けて豊かな漁場を形成することこそ、今後も長くアオリイカ釣りを楽しめる事になるかもしれません。



Con否定的
以下に、アオリイカの漁獲量と米収穫量のグラフを示します。
gyokaku 1
gyokaku 2
少しデータが古いのですが、アオリイカの漁獲量と米の収穫量に相関関係があります。元論文によれば、アオリイカの漁獲量と米の収穫量に相関がある事は、夏、特にアオリイカの産卵後孵化する6-7月の気温/水温と密接な関係があると考察されていました。

つまり、水産資源としてのアオリイカの減少があるとすれば、それは釣り人が新仔アオリイカを獲る/獲らないなどの些末な問題ではなく、気象等の自然現象だとするほうが理に適っていると考えられます。

上記より。
水産資源としてのアオリイカの増減は、気温水温等の自然現象に相関します。また、新仔アオリイカを獲る事による水産資源量としてのアオリイカの減少は因果関係が証明されていません。以上の根拠から、新仔アオリイカを獲る事は、水産資源としてのアオリイカの増減に関係はありません。



②小さいうちに釣ると、アオリイカがいなくなる。
(=釣りたい時に釣れるアオリイカがいなくなる。)


『新仔を沢山釣られると、大型化した釣れる個体がいなくなる』


重要な問題提起だと考えています。
メディア、雑誌、SNS、ブログなど同じような意見を多数拝見します。

まあ本心を言えば、僕は小物釣り師です。
新仔を釣りたいから釣って何が悪いのでしょうか(笑)。
まあ、そんな風に言っては元も子もありませんね。



では、小さいうちに釣るとアオリイカは本当にいなくなるのでしょうか。

まず、僕が釣っているアオリイカはどこから来るのかという事を考えました。


1.上越糸魚川で産卵後成長した個体群
a
上越糸魚川での親アオリが釣れる事はないわけではないが、特殊な状況なためまとまった産卵は無いと予測される。つまり、上越糸魚川で産卵後成長した個体群は多くない。釣り人に釣られて、あっという間に少なくなるか、上位捕食者に捕食される。

2.富山以西の日本海沿岸で孵化成長した個体群が沿岸部を北上
b
富山で産卵後成長した個体群の一部が北上し、上越糸魚川へ。
同様に、上越糸魚川で産卵後成長し、生残した個体群の一部は北上。

c
同じことが日本海沿岸で西から順に生じながら、各沿岸で釣られたり、リリースされたり、捕食されたり、留まったり北上したりしながら回遊行動を持続。結果的に、上位捕食者や餌木、釣り人の危険性を学習し、釣れにくくなっている個体(=スレた個体≒釣れない個体)が生残


3.対馬列島以南の通年分布水域で孵化成育した個体群が北上
d
上記1.2とは全く異なるのが対馬列島近辺以南の通年分布水域で孵化成育した個体群。アオリイカの最大の産卵孵化場である対馬列島近辺以南で孵化産卵した個体群が、沿岸に近寄ることなく対馬海流に乗って北上後、水温15℃を境に南下(避寒回遊/死滅回遊)。

gyokau 3
回遊時に、月齢に従いShallowへ捕食のために断続的に流入。これら個体群は沿岸部で人のプレッシャーに晒されていないので、比較的容易に釣る事が出来る。

4.実際には、上記1.~3.が傾斜配分を持ちながらも同時に生じている。


1-4を踏まえて。

Aアオリイカ群
僕が今釣っている新仔は、おそらく日本海沿岸で産卵孵化成育した個体群。今後、Shallowで釣られたり、上位捕食者(カマスやイナダなど)に捕食されたりしながら成長し、生残していった個体は警戒心が異常に高く釣れない。結果的に、釣れにくい限られたアオリイカを多くの釣り人が狙うという状況が生じる(=敗者のゲーム/ゼロサムゲーム;次回記事に記載予定)
0sam game


Bアオリイカ群
一方、対馬列島近辺の最大産卵孵化個体が、成長しながら北上しつつ月齢と潮に合わせ捕食のために断続的に日本海沿岸域のShallowに入ってくる。これら個体群は捕食するためにShallowへ入ってきており、かつプレッシャーに晒されていないので釣りやすい。
puras sam game


★A群/B群どちらのアオリイカが優れているとか、どちらの釣りが優れているなどという気は全くありません。活性の高い個体群を捉える釣りも、警戒心の高い一杯を、あの手この手で絞り出すのも、いずれも価値の高い釣りだと思います。ただ、技術と経験のない僕にとってはB群アオリイカを釣るほうが効率的かなと考えております。



以上より。

『新仔を沢山釣られると、大型化した成長した個体がいなくなる』

Pro肯定的意見
アオリイカを新仔のうちから釣ると、エリアにプールされるアオリイカの絶対数が減る。更に、リリースや釣りをする事自体がアオリイカの警戒心を増大させ、アオリイカの成長を阻害する事となる。このような理由から、今は釣りたい気持ちをグッと抑え、アオリイカがある程度大きくなってから釣るほうが理にかなっている。


Con否定的意見
アオリイカは、数を減らしつつも成長すれば最上位の捕食者となりますが、新仔のうちはフィッシュイーターのベイトです。例え釣り人が釣らなくても、カマスやイナダなどによってどんどん数は減るだろうし、警戒心も増すと考えられます。今いる新仔を釣らない事と、成長したアオリイカが増える事とは因果関係は薄いと予想します。






小さいアオリイカはリリースしてください。

Pro肯定的意見
養殖魚においては、リリース後の生残性に関しての研究がなされています。
以下に一つのデータを提示します。

cr1

この表一つで様々な事が考察できますが、対象群と比較しいずれの群も5-55%程度の生残性が確認できます。特に「餌釣り」-「食道に針」-「針を残す」-「濡れた手」で対応した個体群と、「フライ」-「口に針」-「針を除去」-「濡れた手」で対応した群は21日生存率が5%と優れていました。つまり、適切なC&Rを行えばリリース後も魚は生残する可能性が高まります。更に、リリース後の死亡率はレイクトラウトは0-29%、大西洋サケは9.5%、ニジマスは0-1.9%と検証されております。


アオリイカの新仔はリリースして死んでしまうと考えるのではなく、適切にリリースすれば生存率を上昇出来ると考えませんか。そのために我々が行うべきは、適切にリリースする方法を知ることだと思います。更に、生残出来なかったとしても、食物連鎖下位の生物を育む重要な食料資源となります。つまり、十分意味のある行為だと思われます。




Con否定的
アオリイカの生残率を検討した報告はありません。
よって、新仔アオリイカがリリース後生残する/しないに科学的根拠がありません。

cr2

cr3

二つのデータを示します。
長さ15㎝以上/未満でのリリース後の生残率を示しています。
15㎝以上の個体群では5-55%の死亡率となっており、15㎝未満は、0-66.7%の死亡率です。特に、15㎝未満の群では針やフライが食道に掛からなければ21日死亡率はすべて0%となっていますが、食道に掛かった針を除去した場合、リリースした個体の1/3しか生存できません。つまり、小型個体を生残させるためには、やってはいけない事があるのだと考えられます。

では、新仔アオリイカを適切にリリースする方法はあるのでしょうか。
・素手で触ったり陸地に置いたりすることは✖
・カンナが目に刺さった場合✖
・食腕が伸びても✖
・衝撃を与えても✖
・体内の水分が喪失しても✖
・スミを吐かせることすらダメージが多くて✖
推測ではありますが、上記✖すべてがアオリイカの生残性を大きく損なうと考えられます。

新仔アオリイカは沢山います。その多くが食物連鎖の中で上位捕食者に捕食されるでしょう。であれば、食べやすくかつ美味しい新仔アオリイカを釣った分はキャッチして、感謝して家族で食べることを推奨します。



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新仔を獲る事に関する上記Pro&Conから、自分がどうあるべきかの筋道が見えてきました。

新仔イカを釣る事と絶対数が減ることに関しては因果関係が薄いだろうし、新仔を釣る事が成長個体が釣れなくなる事とはおそらく因果関係がないと思います。
ただし、因果関係が"今は"証明されていないだけかもしれません。リリースに関しては、その人のポリシーなので、何人も批判すべきではなく尊重するべきだと思います。

釣り人が持つポリシーや考え方は、釣り人の数だけバリエーションがあると思います。考えていく中で、変化していく場合もあるかもしれません(僕の場合よくあります)。僕は親アオリイカは獲るべきではないと考えている一方で、いつかは釣ってみたいとも思っています。また、産卵を控えたメバルやシーバス鰰パターン、乗っ込み真鯛なども釣ります。

結局、釣り人はそれぞれが釣りたい魚を釣るのだろうし、それが許されるのが釣りという趣味だと思います。フグを堤防で干乾びさせたり、釣ったニジマスが固いからと言って捨てるなどという本質的に命を粗末に扱うような事をしなければ、基本的には自由なんだろうなぁと思います。





長々と書きましたが、僕の結論。

1.アオリイカの食物連鎖のピラミッドを考えた場合、小型個体を100杯獲る事と大型個体を100杯獲る事では、大型個体100杯獲る事の方が影響は大きい。だとしても、人間
が釣ったところでアオリイカ全体における影響なんてほぼ無いに等しい。

2.(新仔)イカを今後も釣るし、釣る限りは家族・友人で感謝して食べる。

3."新仔獲り"に関しては様々な意見がある。僕は新仔を釣り、釣った以上は食べるという結論をしたが、"釣らない"という判断をしたAnglerを尊重する。また、リリースするというポリシーも尊重する。

4.この時期に増えるゴミ(エギの入った透明なケース)を見つけたら拾う。自分は絶対に捨てない。




【長期的な検討項目】
・親アオリイカを獲っていいのか。
・新仔100杯を釣る事を批判し、一方で成長個体を100杯釣ることを肯定する理由。
・豆鰺も新仔アオリイカみたいなもんだから、釣ったらだめですか。



う~ん、悩ましい。
でも、海の釣りが好きだし、今後も釣りを続けたいと思うから悩むんだろうね(笑)。




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