どんな人にとっても、人生はちょっと悲しい。

そういうことが小さな通奏低音のように全編を貫いていて、ところどころちょっとした部分で表面化する。そして同時に、それはちょっと滑稽であったり、ちょっと微笑ましかったりもする。ちょうどかき混ぜたコーヒーにミルクを入れたときのように、それらは表面を回転しながら混じりあい、溶け合って、最後には分離不可能なものになる。

そういう危ういバランスの上に、この映画は成り立っていると思う。人生はちょっと悲しく、ちょっと愉快で、ちょっと屈折していたり、でも本当はちょっと素直でかわいかったりする。現実の人間というものの本質も、果たしてここで描かれているようなものだとしたら、人間社会も愛すべきものであると僕は思う。

この映画はとてもいい。
特にラストの、何ともいえない感じ。手が届きそうで届かない、思い出せそうで思い出せない、幸せの尻尾が一瞬見えたような見えなかったような、そんな切実なもどかしさと同時に、ああそれでもこの人たちはきっといま幸せなんだ、と何故か感じさせてしまう。そういうところがすごいと思う。音楽もいい。

人生とは結局、答えが出るようで出ない、割り切れるようで割り切れない、そういった“途中下車”の状態で終わってしまうものなのかもしれない。A型の僕にとっては、ちょっとスッキリしないところがあるけど、スッキリしたらしたで、それも寂しいものなのかもしれないと思う。

『列車に乗った男』ウェブサイト