2011年08月
2011年08月24日 11:18


水曜の定休日明けにギャラリーに出てみると
「ぼたにか」前の斜面のスダレギボウシの群落が
すっかり刈り取られていました。
もうすぐ薄いブルーの花が咲くところでしたが・・・。
散策のお客様も楽しみにされていたのに、残念でなりません。
植物に関心がない人々には、雑草と思われてしまうのですね。
草刈りを知らず、立ち合うことができなかったことを悔やみました。

花時のスダレギボウシ。
炎暑の夏、今後次の株が育ってくれるか、心配です。
スダレギボウシ(ユリ科 ギボウシ属)
高知県にはギボウシの種類が多いのですが、本種はヒュウガギボウシの変種。
四万十川、仁淀川水系に広く分布しています。
川沿いに生育しているため洪水にさらされることも多く
そのため水流に耐えるように葉が極端に細くなっているそうです。
細い葉になったために葉脈間の間隔が狭く
これが「スダレ」の名の由来となりました。
「ぼたにか」前から国道の水車小屋まで、ずっと斜面に自生しています。
これだけ広範囲な群落は大変貴重です!
大切に見守ってきた「ぼたにか」のスダレギボウシ
これから、このような目にあわないよう
貴重な植物ということをしっかり共通認識にしていかなければ。
2011年08月19日 07:23

「葉月の古書展」
これは図入り洋書の古書
ヘッケルの名著“Kunstformen der Natur”1904 より「イソギンチャク図」です。
もともとは1899-1904に刊行された10冊組。
1904年に100図を収めた一冊の完全版として出版されました。
近年日本でも河出書房新社から翻訳出版されています。
エルンスト・ヘッケル(1834-1919)はドイツの生物学者で
「個体発生は系統発生を繰り返す」という発生反復説で有名な人。
図も描けた彼は、自らこの本の原画や下絵を手がけています。
版画に起こしたのはAdolf Giltsh
本当にすばらしい図版がたっぷり楽しめます。
科学図というより、まさにアート!
生物のもつ自然のフォルムが、シンメトリーや秩序だった構図を示し
美しく一図版の中に収まっていて
アールヌーヴォーやシュールレアリズムに影響を与えたというのも
納得されます。
特に、クラゲや放散虫の図が有名ですが
イソギンチャク、ハチドリ、ハコフグ、ガなど描かれた生物は様々。
彩色図あり、バックが黒に白抜きの図あり、
この図版を一枚ごとにめくって、じっくり見てゆきながら
幸福な時間がゆっくり流れるのを感じました。
そのほか、『セルボーンの博物誌』(ギルバート・ホワイト著)

この書の研究と翻訳に生涯をかけたのは高知県佐川町の人、西谷退三。
牧野富太郎先生の生家の近くに住んでいました。
ほかにも、『フローラの神殿』の著者、ソーントンの図入り本など、
一見の価値のある古書が揃っています。
「葉月の古書展〜図入り洋書とアンティーク絵本の楽しみ」
8月21日(日)までです。
2011年08月15日 00:56

ヘレン・オクセンブリーのアリス。
2005年 ロンドン刊。
なんだか元気のいい女の子で親しみがあります。
右側のアリスは、「なでしこジャパン」の澤さんに似ていると、お客様の間で評判。
(分かりづらいですが、画像を拡大していただけるとわかります)

マーヴィン・ピーク(1911-1968)のアリス。
1946年 イギリス刊
マーヴィン・ピークは作家で詩人、イラストレーター。
繊細とユーモア、不思議な魅力を感じます。
熱狂的なコレクターがいるというのもうなずけるところ。

日本でも人気のチェコ絵本に登場する
スロバキアの人、ドゥシャン・カーライの描いたアリス。
1985年 フランス刊。
まるで現代に生きている私たちのそばにいるような女の子が
アーティステックに表現されています。
このほか、まだたくさんのアリスに出会っていただけます。
日本で翻訳されていないものばかりですので
とても新鮮、アリスマニアの方にも好評です。
会期もあと一週間となりました。
絵本の好きな皆様に、ぜひ見ていただきたいと思っています。
2011年08月12日 07:40

ご存じジョン・テニエルの挿絵で
彩色が施された版です。1930年COKER社 ロンドン刊。
彩色はフィッツ・クレデルが担当、「不思議の国」と「鏡の国」の二冊で一組。


やはり、初版以来のテニエルのアリスが、私たちの「永遠のアリス」かもしれませんね。
この本は美しい彩色も加わって、今回の展示で最も人気があります。

ひときわ異彩を放つベッシー・ペーズのイラスト。
1946年 ニューヨーク ランダムハウス社刊。
まるでアールヌーヴォーのような面白い装飾的な黒い線画の枠がページを取り巻き、
ところどころ、モノクロやカラーのイラストが混じっています。






今日はよさこい最終日
夜、踊りの見物をされる方が、昼間は観光で回られ
我が土佐和紙工芸村をも訪れてくださっています。
お盆休みも始まりました。
この機会に、葉月の古書展を多くの方にご覧いただけるよう
願っています・・・。
2011年08月10日 01:48
2011年08月09日 21:05

葉月の古書展〜図入り洋書とアンティーク絵本の楽しみ
2011.7.30〜8.21 10:00〜17:00
水曜休み
主催・会場 ギャラリーぼたにか
始まって約1週間
アリスファンの皆様にお楽しみいただいています。
多くのイラストレーターによってイメージされたアリスたち。
随時、ご紹介したいと思っています。

その他、『クマのプーさん』や
ケイト・グリ−ナウェイ 『マザーグース』の初版など
『ケイト・グリーナウェイ伝』 も。

ウォルター・クレイン画 『フラワーウエディング』などなど。
今まで幾人かの元で読まれてきたであろうこれらの絵本
落ち着いた色調や手づれ感。
年月を経たものだけが漂わせる魅力が何ともいえません。

遠く花火の音が聞こえてきます。