2014年09月
2014年09月19日 21:36
今回の企画展では、大変珍しいモノクロ銅版図を展示しています。
『フローラの神殿』初版の彩色図版と同じサイズの、大型フォリオ判です。
ヘンダーソン画で、制作年は各図版で異なりますが、1800年頃。
我々が『フローラの神殿』と呼んでいる図譜は、総合名称を
New Illustration of the Sexual System of Linnaeus(リンネの雌雄蕊分類法新図解)といいます。
三部構成で、第一部は植物各器官、第二部は分類学、
そして第三部が図版集、すなはち『フローラの神殿』。
原書は、手彩色点刻銅版による、有名な植物学者25人の肖像画と
ヘンダーソンの描画による90図の植物彫刻版画を含んでいるとされます。
今回展示のモノクロ銅版画は、その一部なのです。
第三部の豪華な図版集『フローラの神殿』ばかりが脚光を浴び、
このモノクロ図は、今までその存在がほとんど知られていませんでした。
すばらしい銅版画ではありませんか。
これらの、新発見ともいえる銅版画をご紹介できたことは、今回の展示の、
大きな、そして意味のある成果ではないかと
思っています。
ぜひ、間近で、200年前の、スティップルやエングレーヴィングの
第一級の銅版技術をご覧になってください。
2014年09月18日 07:14
2014年09月17日 00:55
「ぼたにか」10周年記念
西洋ボタニカルアートに親しむ〜『フローラの神殿』とルドゥーテ、19世紀植物図譜〜
2014.9.13(土)〜10.13(月・祝)
主催・会場 ギャラリーぼたにか(土佐和紙工芸村)
水曜定休
9月13日の3連休から、スタートしています。
今回のメインは、植物図鑑の最高峰とされるソーントン『フローラの神殿』と
ルドゥーテの繊細、優美な作品。
会場正面には『フローラの神殿』初版の大型彩色図版。
フォリオ判は、さすがに大きく、圧倒されます。
背景を描き込んだ独特の雰囲気は、詩的で芸術性が高く
メゾチント、アクアチントなど、最高の版画技術が駆使され
アートとしても鑑賞できます。
二版(縮小版)から3点。別名くじ版とも呼ばれます。
ソーントンは、若くして遺産を相続すると、敬慕するリンネの思想を形にあらわそうと
当時最高とされる絵師、彫り師、刷り師を雇い
リンネの分類法に基づく豪華な植物図鑑の刊行を計画します。
1798年から分冊形式で予約販売しますが、1812年に資金難となり
打開のため、国の許可を得て宝くじを発行しました。
その景品になったのが、この2版です。「くじ版」の別名の由来はここにあります。
ソーントンが私財を投じ、こだわり抜いて制作刊行した『フローラの神殿』、
彼はそのために破産し、晩年は極貧のうちに世を去りました。
ソーントンの夢の跡でもある、迫力の大型図版を見ていると、歴史に残るものを作る
個人のエネルギーのすごさに改めて感動します。
二版(くじ版1812刊)200年前のオリジナル1冊。 高知初公開です。
1951年刊の完全復刻版も展示しています。
扉絵。 空を飛ぶ美しいフローラの女神。
ルドゥーテは『バラ図譜』と『美花選』を
ご覧いただいています。
お祝いの花。
植物画の本も並んでいます。
牧野富太郎先生のような、優れた植物画をご紹介したい、という思いで
2004年の10月に開設した「ギャラリーぼたにか」
何とか、10年、頑張ってこられました。
お支えいただいた沢山の方々のお顔が浮かんできます。
初秋のいい季節。
植物画の歴史に名をとどめる、最大最美の二大作品に触れながら
ゆっくりお過ごしいただければ幸いです。
2014年09月04日 22:59
次回の催しは、「ぼたにか」10周年の特別展です。
初心に返って、
『フローラの神殿』を中心に、ルドゥーテなど
ボタニカルアートの名品をご覧いただきます。
ぜひ、足をお運びください。
ぼたにか10周年記念・西洋ボタニカルアートの名作に親しむ
〜『フローラの神殿』とルドゥーテ、19世紀の植物図譜〜
2014.9.13(土)〜10.13(月・祝)
10:00〜17:00 水曜定休