2008年04月14日

牧野先生の昭和9年高知採集会


昭和9年8月1日、72才の牧野富太郎先生は
ふるさと高知の植物採集講習会に招かれ
20年ぶりに帰省しました。

城東中学校(現追手前高校)講堂で
開会式に引き続き、牧野先生のお話がありました。

その中からちょっと・・・

私は天然を師と仰ぎ、天然という教場で学習しました。
現在も学習中で、未だ卒業もせずにいます。
今と昔はその難易度を異にし
私の10年は今の人の1年にも当たらないでしょう。
皆様の大いに勉強せられんことを望みます。
しかし、本は参考とし、天然の教場で勉強せられんことを
重ねて望みます。

植物を愛する者は一生涯幸福です。
間断なく慰安を受けるので、寂しさを感じるということがない。
たとえ深山幽谷の中に一人いるとしても、
師あり、友人あり、話相手があって退屈する事はありません。
植物学者にならなくても、その人は一生涯極めて幸福であり
気性も快活になり、優雅な人物になるのです。
元来日本人が優雅であるのも、植物より受けた感化が
頗る多いのです。

皆様が採集中不明な植物に接したら、そのまま捨てておかずに
土地の先輩に聞くなり、通信機関を利用して中央の学者の教えを
受けるなりしてその名称を覚えるようにしなければなりません。
趣味は名称を知ることに始まります。
電車に乗った時でも、知らない人ばかりであると
何とも思いませんが、その中に知っている人がいると
何となく愉快であるようなものです。

土佐は天産に富んでいます。
特に植物の種類の豊富なことは他府県に冠絶しています。
こういう点からも土佐は植物研究者の出るべき地です。
土佐へ来れば植物を知っている人が多いというように
ならなければならないのです。
幸い、この会を契機としてこの方面に大いに
研究せられんことを望みます。

この後、参加者130名が記念撮影
梅ヶ辻からバスで長浜方面へ。浜に出て松林の中を採集、
桂浜で坂本龍馬の銅像を仰ぎ、浦戸から巡航船で高知に帰りました。
第2日は横倉山方面、第3日は安芸・室戸方面。3日間で採集会は終了。
その後牧野先生は魚梁瀬、白髪山、佐川、五台山などを訪ね
8月28日、高知を離れました。
(「博物会報」第3号 高知博物学会 昭和10年刊)



botanica_kura at 23:05コメント(0)トラックバック(0)牧野富太郎先生のこと  

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