ブログ版 週刊「ボチボチいこか」

不確かだけれど、生きる喜びと確実に結びついた、パーソナルな営みとしての、学びを求めて

数学は、体で覚えよう

 なる先生の「なるほど教育学」 第49話

2017年4月27日(木)

 

『数学は、体で覚えよう』 

 

もう何十年も前から、数学における暗記重視の弊害が声高に言われ、ひらめきや独創性を育てることが常識のようになっています。確かに、もっともっといろんな方法が、子どもの数学教育の分野で発達していけばいいと思います。

しかし、現在の、受験のための解法暗記式の勉強も、それなりに、かなり意味のあるものだと、私は考えるようになりました。それは、「型を学ぶ」ということに、つながると思うからです。

 

毎回の練習のときに、一生懸命に師匠や手本のマネをして、細部まで気を配りながら、反復稽古をする。それを飽きるほど繰り返していると、ある日突然、その『型』を無意識のうちに体が表現できるようになる

・・・ピアノのレッスンでも、野球やテニスの素振りでも、お茶やお花の型でも、同じでしょう。大工や料理人などの仕事でも、まずは『型』から入る。その段階では、個性や独創性よりも、ひたすら手本をまねる姿勢が大事。「型」を本気でまねようと努力していると、その過程で自然に、その「型」にこめられた深い知恵や高い精神が、見えてくる。 マネしきれない部分が、個性となる。

 

そういう、「型」を体で習得する、手本を徹底的にマネる、という作業を、数学の指導の中で重視していきたいと思っています。単に受験勉強を効率的にするのではなく、学ぶことの基本はむしろこちらにあるという、強い確信を持って。

 

 

数学の問題を解くというのは、最初から自分のオリジナルな発想で考えていくのではなく、

まず、解答につながるパイプを型として学び、その問題に合ったパイプを選んで、そこに問題の要素を滑らかに流し込んでやると、自然に、数字や図形自体が運動・変化して、おのずから解答にたどり着く、というイメージが、私の中にはあります。

 

だから、そのパイプをどれだけたくさん持っているかが、勝負になる。センター試験などは、特にそうですね。60分という短時間でテキパキと問題をこなすには、その『型』を無意識のうちに体が表現できるようになる、みたいな作業が、不可欠となります。

 

それは、数学的発想力とは、かなり異なるものになるでしょう。でも、大学入試で問われているのは、「ひらめきがある」かどうかよりも、基本の型をきちんと学んでいるかどうかです。型ができた人間だけが、それを基盤にして、自由なひらめきへ飛翔できるのです。これも、音楽やスポーツとまったく同じですね。

 

メジロ コゲラの巣作り ヒヨ


メジロが目にとまりました


何かを狙っている様子
しばらくここで思案して 何処かに飛んでいきました


ふと気づけば丸い穴が木に開いていました
入ったり出たり
中に入ったかと思えば、木くずが時折 たくさん外に出されます


大きな声 追いかけっこ
ヒヨドリの声がこだまします


天気の良い日曜日 八重桜もそろそろ花の終わり

マスターができるまで 久々871

小学5年生にもなれば,女子はいざ知らず、男子の大半は加入している子供会のキャンプだとか、ボーイスカウトなどを通じて、大抵は、一度や二度の外泊の経験を持っているのが常識であった。
それは、サトシであれ、カツマであれ、シゲイチであれ、そうであった。
ところが、祖父が健在であった頃は家中の柱を削って回るほどの異様な過保護の元で大きくなり、さらに、祖父が亡くなったあとは、協調性の欠如から子供会などの集いを極端に嫌っていた俺には、親戚などとの旅行を除いての、いわゆる、外泊という経験が皆無だったのである。
その事が俺をもの凄い不安に陥れた。
他の男子のように屈託のない振る舞いができなかった。
ヒロキはサトシやカツマと顔を見交わして
『楽しみじゃなぁ』
などと暢気に言っていたが、俺は、そんな彼らに相づちをうつ元気もなく、ただ、その屈託のなさが羨ましかった。
大熊先生は、そんな俺の様子に気がついたのか、それは判然としないが、
『楽しいで』
と気を楽にするような言葉をしきりと強調した。
その日、下校しようとしたら、シゲイチが
『古谷君』
と言って来た。
俺が
『何?』
というと
『みっちょらぁと一緒に帰ってもええ』
と質問した。
見ると、廊下の外れに、ミツヒロ達がたっていた。
俺は
『なんでそがん事、聞くん?』
と言いたかったが,シゲイチがすまなそうな顔をしているので
『ええよ』
とだけ言った。
シゲイチは
『ごめんな、
明日の朝は行くケン』
と言い、ミツヒロ達の後を追ってかけて行った。
廊下の方から
『へんしーん』
などと言っているシゲイチのふざけた声が聞こえて来た。
楽しそうな声だった。
ついぞ、俺の前では漏らした事のない声だった。
ヒロキは,サトシやカツマ達と騒ぎつつ
『ポールシカポール』
と音程の外れた歌を歌い帰って行った。
俺が
『あ、それ、仲雅美の歌じゃな』
と言おうとした時には、すでに彼らの姿はなかった。
カワタカの姿もなかった。
エミやヒロコと帰って行ったのかもしれない。
教室に男子の姿は俺を除いて見当たらなくなった。
その時、ジュンコが
『帰らんの?』
と言ってやって来た。
俺が
『そうじゃなぁ』
と言って立ち上がろうとすると
『今日、本の事、話しかけてくれてありがとう』
と言った。
俺が
『ああ、あんな事』
と言うと
『私ね』
とジュンコが小さな声を出した。
そして
『私、こんな感じじゃから、いつも、心を開いて話してくれる人がおらんのよ』
と言った。
俺はジュンコの言っている事が咄嗟に理解できず
『こんな感じでどんな感じ?』
と言った。
するとジュンコは
『クスっ』
と笑い、
『古谷君らしい、問い返しじゃね』
と言った。
俺はその質問のどこが俺らしいのかわからなかったので
『そうかなぁ』
と言った。
するとジュンコは
『私、お高く止っとるように見えるらしくって』
と言った。
俺は
『そんな事ねえよ』
と言った。
ジュンコは消してお高く止っているわけではなかった。
ただ、学校始っていらいの天才と言われているジュンコをクラスの者がどことなく煙たく思っている傾向がある事は確かだった。
しかし、まさか、そんな傾向があるとは言えず
『そんな事ねかろう』
と俺はお茶を濁すような事を言った。
しかしジュンコは俺の言葉には耳を貸さず、
『教室じゃぁ皆ジュンコさん、ジュンコさんて言うて仲ようしてはくれるんじゃけんど、いざ、下校する時とか、今度の海事研修なんかの班別の時なんかは、どことなく敬遠されるんよ』
と言った。
俺が
『気のせいじゃろう』
というとジュンコは
『そうかなぁ』
と、受け流し、
『自分じゃぁ普通にしとるつもりなんじゃけど、
じゃから今日、古谷君が本の事で話しかけてくれたの、もの凄う嬉しかったわぁ』
と、花王石けんのマークに似た横顔を見せて笑い、
『さよなら』
と手をふって去って行った。
俺も
『さよなら』
と言ったが、すぐさま、「はっ」となった。
それは、俺もジュンコとどこか似ていたからだ。
それは天才とか、勉強ができると言ったことでは、勿論なかった。
俺にも,ジュンコどうよう、教室では
『ボロさん』
と言ってくれる友人はいても、来易く下校などを誘ってくれる所謂バカな事ができる友人がいないという所がであった。
そう思った俺は無性に去って行ったシゲイチの後を追って行きたくなった。

山桜から八重桜 アケビの花


我が家の東に咲く自生の山桜
花びらが細く 特徴のある姿を毎年見せてくれます

今年は花つきがよく 豪華な様子


我が家の庭に自生した山桜
すでに幹の直径は20センチ程度になったでしょうか

毎年楽しませてくれます 昨日から今日にかけてが満開といったところでしょうか
夕方には散り始めました


我が家の西にある八重桜も今年の花つきは今までで一番
とてもたくさんの花を咲かせました

葉が伸びて、今日は花より葉に目が行くようになりました


上と下、二枚の画像は 我が家の北 路地に見ることの出来るアケビの花です

5メートル程度しか離れていないのですが、
種類が違うのでしょう 花の姿が違います


今年はアケビの花が目に付きました

畫の本<技之巻> が出来ました

■ 2009年に倉敷市立美術館でお引き受けした日本画講座。これも何かの御縁と、私がそれまで描きながら探してきたこの国の絵画についての基本的なことをまとめる機会としました。そして作ったのがこのサイトで公開している日本画入門<「無い」から始める日本画講座>でした。

「無い」から始める日本画講座
http://plus.harenet.ne.jp/~tomoki/newcon/mokuji.html

それまでに私が感じていたこと、当時の自分自身を整理することにもなりました。その辺りは、<序文・はじめに>の文章に現れているように思います。

 
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さて、タイトルの 畫の本<技之巻>、多くの方のご支援、お助けによってこの度、書籍としてまとめることが出来ました。ここ岡山でのご縁「日本画研究会」、日本画教室、講演、ワークショップ、尾形光琳の国宝 紅白梅図屏風の描法再現に関わらせていただいたことなどなど。

ご指導・また関わってくださった大勢の方々に感謝しています。

このホームページ「無いから始める日本画講座」の内容に加え、普段ワークショップや、講演などでお話している内容、資料的な事柄も一部加えています。技法書のようでいて技法書ではない、それぞれの項目に加えられたコラムがある意味、内容のポイントだったりする本です。カバー裏には描き方を紹介している八重椿の原寸下絵が印刷されていたりします。

THE BOOK OF JAPAN 機=舛遼棔禝伺郡>

と本の背にある通り、古典的絵画制作に使われてきた技術を通してこの国の文化に触れてみようという本です。素材、筆などの道具も重要な要素であることは間違いありません。

機,箸△襪らには 供,予定されています。

THE BOOK OF JAPAN 供=舛遼棔稈稜郡>

描くおり、どのように考えてきたか、準備してきたか。頭の中での作業をテーマに、そして記録のページもと思っています。遠くない時期に完成をとは思っていますが、さて何時になることやら。

私的な本として作りました。限られた冊数だけです。ありがたいことに「欲しい」とすでに大勢から声をかけていただいています。印刷代実費でお分けする予定です。 ご報告まで

 
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※ 文字校正、気をつけていたつもりでしたが、すでに誤りが見つかっています。申し訳ない。WEBでの訂正公開を行います。

1)P020 誤)単行法 双行法  正)単鉤法 双鉤法

やっぱり、テレビっ子

ええと、テレビの話をだらだらと。

 

昨夜、帰宅するとテレビから吹き替え特有のわざとらしい女性の声がする。案の定だった。家内が見ているので仕方なく一緒に見ていたら、はまった。「シンデレラ」。こういう超有名な話をやらせたら、やっぱりハリウッドは凄い。馬車がかぼちゃに、御者がトカゲに変わるシーンも大掛かりなCDで楽しませる。これも映画だ。頭でっかちで、ただおもしろいだけの映画を疎んじる自分が、なさけない。

 

NHK朝ドラ「ひよっこ」。有森架純の奥茨城の高校生が、いい。ノーメークっぽい顔で十分に美しいのに、驚いた。演技もナチュラルだ。脚本は岡田恵和。「ちゅらさん」以来、あまり印象にないが、どうなるだろう? 父親の蒸発を引っ張りすぎている気はするが。 「Mother」の坂元裕二は、「カルテット」でも相変わらず、視聴率はイマイチながらおもしろい。

 

新しいドラマが多すぎて、チェックしきれない。NHKBSのドキュメンタリーで、恐ろしく美人のキャスターだなと思ったら、沢尻エリカだった。「母になる」は当然見ているが、なんだか「八日目の蝉」っぽくなって、どうか? 岡山の奇跡・桜井日奈子ちゃんは、賛否両論あるが、私はすごく綺麗だと思う。ある角度から見ると沢尻に似ている。

 

朝ドラでブレイクした波瑠ちゃんは、もはや一流の仲間入りした感がある。「あなたのことはそれほど」でも、美しさ全開だ。ドラマは東出くんがオカルトっぽくならずに、ラブコメ路線で行ってほしい。

 

ブルゾンちえみとゆりやんレトリーバーが、かぶって見えて仕方ない。森三中から、はりせんぼんの近藤、おかずクラブ、そしてニッチェと、太めの女芸人の隆盛が目立つ。アナウンサーまで水卜さんがトップにいる。なぜだろう? 安心感かな。私も、森三中以外は好きだ。「人は見た目が100%」でも、桐谷美玲や水川あさみのブス芝居は、ブルゾンの存在感の前に浮いてしまっている。

 

NHKの「火花」は、9話くらいまで来たが、私は3話でギブアップ。林遣都も波岡くんも、漫才師のイケメンたちも門脇麦も、いい芝居しているんだが、くどい。なんでだろう? 私はこういう下積み青春物語が好きなんだが。原作が図書館で出ていたので、一応借りた。あまり期待していない。

 

「闇金ウシジマくん」の山田くんが「カンヌを目指す」というメイキング・ドラマを始めた。1話を見たら、彼は「電車男」のオタクもやるし、「クローズZERO」では冷徹なヤンキー、河原のカッパ男までこなす芸達者だと、改めてわかった。そして、苦みばしった超二枚目ではないか。「カンヌ」では、芦田愛菜に殺人鬼をやらせるらしい。ぜひ、彼を主役にしたシブい恋愛映画を、誰か撮ってほしい。ヒロインは、沢尻ちゃんあたりで。

 

今朝、3時に早起きしてクラシコを観た。感動! やっぱりメッシのプレイは見とかないといかんね。リーガ・エスパニョーラのためだけにWOWOW契約しようかしら。

客殿襖絵公開 倉敷不洗観音寺

 
客殿襖絵公開 倉敷不洗観音寺 10年ぶり

客殿襖絵公開 倉敷不洗観音寺 10年ぶり
 倉敷市中帯江にある不洗観音寺で

5月1日(月)、2日(火)

10:00〜15:00 2日間のみ 客殿の襖絵が公開になります。

 250年前に作られた客殿の再生に合わせて襖絵を新たに描く機会をいただきました。5室8面32枚、約5年に渡る製作期間を経て2007年4月に完成、その年の5月に公開されました。

 これまで非公開のためなかなかご覧いただく機会が無かったのですが、今年10年ぶりに2日のみですが公開されることになりました。
 またこの間に描かせていただいた、松、弘法大師図(軸装)も同時に公開予定と聞いています。絹、和紙、板戸、ガラス・アクリル無しで日本画の素材を観て頂ける機会となります。


 私は、両日とも客殿で皆様をお迎えする予定です。絵の説明、材料・技法・描法についてなどに関する質問にもお答えできる機会となると思います。またこの頃には、現在製作中の古典的技法を私なりにまとめた技法書(技之巻)も用意できているはずです。

 ご来訪、ご高覧いただけましたら幸いです。 ご案内まで

  LINK倉敷不洗観音寺(あらわずかんのんじ)

  問い合わせ時間 9:00〜16:30 tel.086-425-2334

マスターができるまで 久々870

ヒロキが
『ウミジ研修』
と言うとそれにあわせたようにサトシやカツマが
『ウミゴト研修』
とか
『カイゴト研修』
と言い出した。
大熊先生は苦笑していたが、やがて、黒板の方を向くと
『ええか、これはの「カイジ研修」て読むんじゃ』
と大書された字を押さえるようにして言った。
最初に間違えたヒロキが赤面して下を向いた。
カワタカほどではなかったが、最近の身長の伸びで、メキメキ女子の人気を勝ち得ているヒロキだったので、女子の前での間違いは取り返しのつかない失点のように感じられたのだろう。
サトシやカツマは
『惜しい』
とか
『あと一歩じゃったのに』
と言った。
何を言ってもさわぐ事のネタにする男子どもだった。
それとは異なり女子はあくまで現実的で
『カイジ研修って何ですか?』
とヒロコが聞いた。
大熊先生は
『詳しい事は今配布したプリントに書いとるけんどの、』
と言い、
『まぁ、ようするにかいつまんで言うと、渋川海岸の奥に水族館があろうが。
大きなアシカがおるあそこじゃ。
この中のモンで行ったことのねえもんはおらんはずぞ。
それで、あそこのもう一つ奥に「少年少女海の家」いうのがあるんじゃ。
そこに一泊して、地引き網をしたり,カッター漕ぎをしたり、夜は夜で船の話しを船乗りさんから聞いたりして過ごすんじゃ。
楽しいぞ』
と説明してくれた。
渋川海岸の水族館は祖父が生きていた頃には愛車のキャロルに乗せられよく連れて行ってもらった所だったので、すぐに絵柄が浮かんで来た。
海岸に添って松並木が林立しており、幼い頃は、お重にお弁当をつめ、家族全員で遊びに行った事もあった。
勿論、アシカも覚えていた。
大きなアシカだった。
何故か一匹しかおらずいつも淋しそうだった事まで思い出した。
祖父に
『こいつ(アシカの事)、淋しゅうねんかなぁ』
と聞くと
『なんでそがな事を思う』
と祖父が聞くので
『じゃっていっつも一人じゃがな』
と答えると、にわかに祖父の目が怪しく輝き出し
『賢い
この子は五つになるやならずで、もう、アシカの心を読んどる。
天才じゃ』
と言い出した。
俺はそんな事より、一皿10円だかいくらかでできた餌付けの方に関心があった。
『したい』
というと祖父は急に不機嫌になり
『そがな皿は不潔じゃ。
触ったら病気になるけん触ったらおえん』
と言った。
子ども心にも
『病気にやこうならんわぁ
おおげさな爺さんじゃ』
と思ったものだ。
その懐かしい水族館の奥に「少年少女海の家」なる物が建っていた事など記憶になかった。
サトシが
『お、5月の10日、11日て書いとるぞ』
と言い
『それて何曜?』
とミツヒロが言った。
見るとプリントには
『5月10日から11日、宿泊』
と書かれていた。
俺は『宿泊』という文字を見た瞬間、にわかに胸が波打ち始めた。
『木曜じゃ』
とヒロキが言った。
『ありゃ、へえなら『ありがとう』が見れんが』
サトシがふざけた声を上げた。
『のう、ボロさん、
ボロさん、『ありがとう』好きじゃけん、おえまぁがぁ』
サトシが同意を求めてきた。
しかし、俺は、会話に加わる気になれなかった。
「宿泊」という文字が目の前を不吉な翳りを帯びてチラついた。
俺はこの年になるまで、ただの一度とて、親元を離れ他人だけの中で寝泊まりをした経験が皆無だったのだ。

マスターができるまで  ナツコの恋 112

母が目敏く俺を見とがめ
『あっちへ行っとりね』
と言った。
ハルキのヨコの刑事がその時、俺の方を見、母の言う通り
『あっちへ行っとけ!』
と言った顔をした。
俺は瞬間的にムカっとした。
その刑事さえいなかったら、母の言う通りにしていたかもしれなかった。
しかし、なんだかそいつの態度がいけ好かなかったので
『ええが
ここにおっても
なんでおえんの』
とぐずった。
刑事は俺を睨んで小さく舌打ちをした。
その舌打ちが決定的に俺を反抗的にした。
俺はその刑事を睨み
『なんでおえんの
なんでおえんの』
と言募った。
俺は放火犯でも、ましてや犯罪者でもなかったので、刑事などど怖くも何ともなかった。
母は再度
『コレ!
やぁやぁ言いなさんな!』
と言った。
父も困ったようになり
『そうじゃのう』
と退席を促すような物言いになった。
するとハルキがその時、
『ええですよ、姉さん
ヨシヒロちゃんじゃっていわばこの事件の当事者みたいなモンなんじゃけん
一時は放火犯と疑われたんじゃから、、
ま、邪魔さえせなんだら黙ってそこに座ってなさい』
と言い
『いいね
古中くん』
と隣の刑事に同意を求めた。
古中と呼ばれた刑事は
『矢部さん
ええんですか
子供やこ同席させて』
と小声で言ったがハルキが
『かまわん
かまわん』
と言うと最後には
『なら、、』
と折れた。
俺は我が意を得たりとなり
『そうじゃろ
ワイじゃって聞く権利があるわぁ』
と大いばりで言った。
母が
『コレ
へのらんの(調子にのらんんの)』
とたしなめ
『ええん
なんか悪いわ』
と古中刑事の顔色を伺った。
そして
『ハルキちゃん、気持ちはうれしいけんど、おえん、おえん』
と言い
『さ、
あっちへ行って』
と退席をうながし
『勉強せんでもええけん、台所からハムでもケーキでも取って来て好きなだけ食べよりなせぃ
へいでマンガでも書いて時間潰ししとったらええけん』
と母とも思えない提案を持ち出した。
それは魅力的は提案だった。
ハムの食べ放題にマンガの読み放題。
この事件のことさえなかったら、それは一気に飛びついて行く提案だった。
しかし俺はそんな甘い誘惑には乗らず
『いいや
ここにおる
ハルキちゃんがええ言うたもん』
と言い張った。
父がくだらん事で時間を無駄にする事が最も愚かじゃ、と言い、古中刑事に
『ま、コイツはおらんもんと思って、お話をうかがいましょう』
と言った。
古中刑事は
『なら』
と前置きして
『今日、ここへ来させてもらったのはコレをお返しするタメじゃったんです』
と言い、床に置いている黒い鞄の中からハンカチでつつまれた小さいモノを取り出した。
父が身を乗り出して
『ほう、、
何ですりゃあ』
と言った。
するするとほどかれたハンカチの中からはいくつかの欠片のようなものが出て来た。
父と俺が
『あっ
コレ!』
と同時に言った。
古中刑事が
『静かにせんか』
と言わんばかりに俺を睨んだ。
それはナツコがシノハラ先生からもらい大切にしていた湯のみの欠片だった。
欠片になっていても鮮やかな緋色は健在だった。
その緋色が欠片のなる以前の自己の存在を如実に訴えていた。

読んでひとこと 第894号

表紙: 「分け入っても分け入っても青い山」ですね。どうだろう。ちょっと気が早いかな。今週の日曜日、桜吹雪の中で小宴会。翌日の嵐で一気に散ってしまった。すると、それを待っていたかのように、一気に青葉が噴き出してきた。そういえば、若葉のあの生臭い匂いを、久しく嗅いでいない。
 それにしても、心の和む絵ですね。自然の緑に負けないくらい。


醍醐桜  岡山県真庭市: ほお、3回も観察に行って画いた大作なのですね。テレビで毎年映されるのを見ると、実際の花は、この絵よりも少し貧弱な気がします。なんせもう齢700年のババアだもんね。来月の1日か2日に、不洗観音様の後に、新見まで追いかけていこうと思います。ついでに、実物の方も、もう葉桜だろうけど、観に行こうかな。


今週の世の中: 浅田真央引退。ハライチの澤部でない方(実はこいつが台本を書いている)が、やや否定的なコメントをして炎上したが、共感する人もいたようだ。実際、私も、一面トップで伝えるような内容か? と訝しんだ。フィギュア界への功績で言えば、初めて世界に届いた高橋大輔くんの方が偉大かも。オーラも負けていない。でも、何か日本人好みのひたむきさとペーソスがあるんだね。トリノ五輪の直前で世界一になったが、年齢制限で出場できず、その後は同い年のキムヨナの台頭によって、後塵を拝することが多くなった。それでも、ソチではSPでは17位ながらフリーで完璧な演技を披露して会場の人気をさらった。そして、そこで引退せずに休養の後に再起を目指したが、日本の五輪枠が2に減ったこともあって、引退。引き際が美しいとは、確かに言えない。それでも、なんか人間らしくて、この人しくていいかな、と思う。間違いなく、日本の女子フィギュア史上、もっとも華のある選手だった。ユヅには及ばないが。


岡山の法則: 児島のデニムは本当に有名になったね。こないだの東京の集まりでも、たまたまダメージジーンズを履いていたら、「さすが児島人」と感心された。「でも児島でデニムは買わない」は、私の場合は半分正解。確かに、せんい祭よりもヤフオクの方が安かったりする。が、東京のも、近所の職人の忠さんがタダで直してくれた、世界で1本の超お気に入りのものだ。それから、岡山県の中心は倉敷市だと思っている人は、かなりいるが、私は、倉敷の文化の深さを相当理解しているつもりだが、岡山県人であると言うことに吝かでない。


たけの争奪「旬」事情: そう言えば、土筆も今年は若干茎が細い気がします。ところで、ヒロハウスさんのブログかコピペができなくなりました。なんかガードかけた?

コメントどうも。
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