2008年09月

2008年09月26日

ドン・ホセ
















ドン・ホセは自分が被っていた衛兵帽を頭から剥ぎ取りギュ

ッと握り締める。その帽子をカルメンはドン・ホセの手から奪

い取りヒステリックに地面に叩きつける。ドン・ホセは紙屑の

ようにくしゃくしゃになった帽子を拾い上げ自分の胸に強く

押し付ける・・・。

 

これは先日行われた「オペラ:カルメン」のワンシーン。

 

カルメンに心を奪われながらも、『私を愛しているなら一緒

に悪の道に入って。』という彼女の要求に苦しむまじめな衛

兵ドン・ホセ。そしてカルメンの激しい駆け引き。

 

なんて効果的に使われているのだろう、帽子が!!

原語で歌われる台詞がわからなくとも、演者の声色や表情

そして動きで今何が起きているのかは想像つく。とは言え、

帽子という小道具がこれほどまでに登場人物の心を表現す

るとは!

“ボウシスト”を自認する私も改めて帽子の力を思い知る。

 

さてこの「オペラ」、東京にレストランを持つ方のご自宅を会

場にして行われた公演である。場所は北鎌倉、高台の一角

にあるご自宅。ワンルームマンションの一部屋くらいある玄

関を通ると、グランドピアノの置かれた客間、そしてサンル

ームへと続く。そこに60名ほどの観客が入り、オペラを鑑

賞し幕間に食事を堪能するというセレブ感いっぱいの催し。

 

帽子のお客様からお誘いを受けご一緒させていただくこと

になったものの、一般庶民である私はいったい何を着てい

けばいいのやら迷いに迷う。結局当日の朝まで迷った末、

服はシンプルに、髪をアップして黒のベルベットに青い羽の

付いたいつものカクテルハットを頭にのせることにした。

 

会場であるそのお宅は、実は私の住む家から地図上では

歩くことも可能な場所なのだけれど、スニーカー履いてひと

山越えることになる。この格好でハイキングもないだろうし、

バスでも電車でもかえって遠回りになってしまう場所なこと

もあって、通りに出て手を上げてタクシーを拾う。

 

・・・なんだか盛り上がってきた!

先日薦められてみたDVD 「sex and the city」のワンシーン

のようだ。ブランド物の洋服を身にまといおしゃれに決めた

サラが、セレブなパーティーに駆けつけるためにNYのスト

リートでタクシーを停める・・・そんな感じ。

私の場合はブランド物の洋服ではないけれど、カクテルハ

ットを付けているというだけで、気分が盛り上がってくるので

ある。

 

カルメン
















ドン・ホセの衛兵帽が彼の仕事や社会への忠誠心の印で

あったように、マントを頬かむりしていたジプシーのカルメン

が、闘牛士のエスカミーリョの恋人となってからは赤いティ

アラと大輪のバラの髪飾りをつけ、それこそが彼女が華や

かな世界に身を置いた証であった。

 

さて、この公演の観客はどんな格好をしていらしたのか?と

いうと、千差万別。スニーカーにリュックの方もいれば、ドレ

スアップして演者と見間違えるほどの華やかな方も、そして

着物の方もちらほら。

 

でも、会場内で帽子を被っていたのは、ドン・ホセと私だけ。

ヘッドアクセサリーということでいえばカルメンも入れてあげ

よう。そう、たったの3人だけ。いや、観客でいえば私だけ。

 

ああもったいない!

カクテルハットを被る楽しさを知ったら、もう、やめられませ

んよ〜(^^)

ねえ、みんなで被ろうよ!

 

 

(注)“ボウシスト”とは帽子を愛し操る人を指す。鎌倉のカ

フェ「エチカ」のマスターの造語を拝借。

 

(写真:ピント合ってなくてごめんなさい)

      ドン・ホセ役の大川信之さん

      カルメン役の田辺いづみさん




boushist at 23:59コメント(0) 

2008年09月22日

ぎぼうし






日中は汗ばむような陽気でも、風に、雲に、日差し

に、そして雨水に、物想いにふけりたくなるような

秋の匂いが確実に含まれているのを感じる。

それを敏感に感じているのは、やっぱり植物。

 

私の好きな「ぎぼうし」は、春から夏にかけて鮮や

かな緑の葉を楽しませてくれるけれど、秋が近づ

くと途端に丸く広がった葉の先端のちょっと尖った

辺りが黄色くそして茶色に変色し始め、あっという

間に葉数も少なくなり、そしてなんにもなくなってし

まう。でも、実は何にもなくなったようにみえるその

地下で、次の春の準備が着々と始まっている。

 

ずいぶん前のこと、そのことを知らなかった私は、

ちょっと家を空けている間に、すっかり姿形が見え

なくなってしまったお気に入りの「ぎぼうし」にひど

く落胆したのを覚えている。しかし当の「ぎぼうし」

は夏が終わって早々に店じまいをした「海の家」

同様、夏が終わったから葉を落としただけのこと。

よっぽどのことがない限り、来年も確実にその美

しい葉を見せてくれるのだ。なのに、愚かな私は

その「ぎぼうし」の鉢を見捨ててしまった・・・。

知らないということは罪なのです。ごめんなさい。

 

なんとなくセンチメンタルになりがちな秋は、ちょっ

ぴりおしゃれして外出したくなるような帽子、かぶっ

ている姿を誰かに見てほしい気持ちになるような

帽子を創りたい。そして被ってくれた方の、とびっ

きりの笑顔に出会いたい。


里美さん













そんな気持ちにぴったりのベレーが出来上がりま

した!依頼主はお茶目な版画家さん。そしてミュ

ージシャンでもある彼女は、どんな衣装も着こなし

てしまうセンスと才能と雰囲気を持ち合わせた魅

力的な人。英国好きの私が表紙を見るなり胸を躍

らせ購入した『英国フード記AtoZ』の表紙&挿絵

彼女の銅版画なのです。

 

2週間後には作品展も控えていらして、只今ラスト

スパート中とのこと。楽しみ楽しみ!

そして作品展中にはこのベレー被ってギャラリー

に登場してくれる日があるらしい。

うれしいな〜(*^^*)

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表参道画廊

画廊選抜版画二人展

「松本里美 + 前大道信二」

2008/10/6(月)〜10/11(土)

http://www.omotesando-garo.com/

 

松本里美さんのブログも楽しいですよ(^^)

http://eggdays.exblog.jp/


英国フード記



boushist at 10:10コメント(0) 
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