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5層錐体細胞の遺伝子発現

新着のJNSから論文の紹介。

Global Transcriptome Analysis of Genetically Identified Neurons in the
Adult Cortex

summary
マウス5層錐体細胞のサブクラスだけでGFPを発現するようなトランスジェニックを作って、そこからLaser microdissectionでそのGFPを発現している細胞をサンプリング。そして、運動野と体制感覚野の5層錐体細胞の遺伝子発現をmicroarrayで比較している。

その結果、運動野にはリボソーム関連遺伝子とATP合成関連遺伝子がより多かったそうだ。

解釈としては、運動野の錐体細胞は長距離投射を保たないといけないから、そういう代謝関連遺伝子の発現量が多いのはリーズナブルだ、ということだそうだ。

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方法論のウリ
この論文で面白いと思ったのは、この遺伝子発現の違いというより、他の方法論との違い。イントロで散々他の方法論の問題点を指摘している。

この論文のウリは特定のサブクラスの細胞を高解像度でサンプリングできていること。それに比べ、特定の領域をごっそり取ってそこからmRNAを抽出する方法では、このような差は検出できないリスクがある。実際、この著者たちはそういう解像度の低い方法で比較したら、違いは見つけられなかったそうだ。

AとBの脳領域をごっそり取ってきて、それから遺伝子発現の違いを探してネガティブな結果が得られたする。しかし、この方法では、そのAとBの脳領域を構成している多様な細胞種の遺伝子発現の微妙な差を見落としてしまっているおそれがあるということになる。

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それから、他の選択肢としてセル・ソーティングで特定の細胞種を集めてくるという方法も最近よくやられている。この論文の著者たちの主張としては、そのような方法は、操作中にin vivoとは遺伝子発現が変化してしまうリスクがあるとしている。

個人的には、確かにそうかもしれないが、これまでの論文ではしっかりin situで確認しているので、その批判は的を得ていないと思う。というより、この論文の問題はトドメとなるin situの実験をやっていないこと。流し読みしただけだから、自分の勘違いかもしれないが、少なくとも図としては示していない。もしそうだとすると、これは大きな問題だと思った。

discussionもJNSの割には短めなので、例えば、Nelsonラボの論文などを見て、あせって投稿したのかもしれない。

それにしても、この分野、競争が激化している。。。

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