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視床から皮質、皮質内のネットワーク

PLos Biologyより
Interdigitated Paralemniscal and Lemniscal Pathways in the Mouse Barrel Cortex
Ingrid Bureau, Francisca von Saint Paul, Karel Svoboda
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Svoboda研から。超重要論文。

ネズミ(マウス)の脳には、ヒゲの情報を伝えるVPMとPOmと呼ばれる二つの視床がある。この論文では、その二つの視床からバレル皮質への機能的な結合をケージ・グルタミン酸とレーザー光刺激の系を使って解析している。さらに、皮質内のネットワークも解析している。

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その結果、
VPM→L4/5B/6A→L3
POm→L5A→L2
という二つの経路が形成されていることを明らかにしている。これはマカクザルで有名なMとPの経路を彷彿とさせる。

まとめの図は、図9である。

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実は、この二つの経路がバレル皮質内にありそうだということは、解剖のデータなどをもとに前から言われてはいたようだ。だが、機能的なネットワークとして、しっかり明らかにした点が新しい。

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この研究で最も驚きは、5B層の錐体細胞のほとんど(perhaps allと言い切っている)が、VPMからの入力を受けているという事実。

先日紹介したStuartのサブネットワークの話ではないが、教科書的には、視床→4層/6層→2/3層→5層という情報の流れをイメージしてしまう。が、実際、それは偏ったシンプルすぎる見方というわけだ。

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もう一つこの論文の重要なポイントは、2層を機能的に定義できていること。5A層からだけでなく、3層から2層への入力がバレルをまたいであるそうだ。2層は二つの経路、バレル同士の統合的な役割を果たしていることになる。

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また一方で、2層、3層の錐体細胞は5層へ情報を送っている。Stuart研の論文のようなサブネットワークがある。つまり、5B層の錐体細胞では、情報が「ごちゃ混ぜ状態」である。さらに、その5層錐体細胞同士でサブネットワークを作って、視床や2/3層へ情報を戻していたりする。

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いくつものサブネットワークが複雑に絡み合っている。が、もつれ合ったサブネットワークのブロックが少しずつわかってきた気もしないでもない。

が、一方で、GABA作動性介在ニューロンという、もっともっとやっかいな役者もいる。

ネズミのヒゲを一本軽く刺激したら、視床と皮質のネットワーク、脳全体でどんなことが起こっていくのか。。。まだ自分の頭では想像できない。。。

ブザキ先生の教科書で引用されているフレーズを、思わず拝借したくなった。
If the brain were simple enough for us to understand it,
we would be too simple to understand it.
(Ken Hill)