February 20, 2007
感覚野の層と機能〜Hirsch JA, et al., 1998 JNS〜
前回のシリーズでは、Brechtたちのバレル皮質での研究を扱った。こちら、こちら、こちら。(注:このシリーズは自分の備忘録的意味合いが強いです。)
今回からはHirschたちの一連の研究を扱ってみようと思う。彼らはネコ一次視覚野からホールセル記録をして、単純細胞・複雑細胞をキーワードに、皮質内の情報処理を一貫して研究している。彼らは最近すぐれた総説を
Curr Opin Neurobiol. 2006 Aug;16(4):377-84. Epub 2006 Jul 13.
Laminar processing in the visual cortical column.
Hirsch JA, Martinez LM.
Trends Neurosci. 2006 Jan;29(1):30-9. Epub 2005 Nov 23.
Circuits that build visual cortical receptive fields.
Hirsch JA, Martinez LM.
といった具合で書いるので、手っ取り早く内容を知りたい場合は、こちらから読むのが良さそうだ。が、まずは、90年代中頃から後半にかけて発表された研究に遡ってみようと思う。
今回は、ウォームアップ的に、6層錐体細胞の受容野特性と形態を調べた
J Neurosci. 1998 Oct 1;18(19):8086-94.
Ascending projections of simple and complex cells in layer 6 of the cat striate cortex.
Hirsch JA, Gallagher CA, Alonso JM, Martinez LM.
という論文から。
何をやった?
ネコ一次視覚野6層からホールセル記録をしている。視覚刺激として、明るいか暗い四角の刺激(□と■)を視野のいろんなところに呈示して、受容野とその特性(単純細胞か複雑細胞か)を決めている。(今回の論文での定義は定性的)
さらに、活動を記録した神経細胞形態を組織学的に再構築して、出力繊維である軸策がどの層へ投射しているか調べている。
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何がわかった?
図1は単純細胞と複雑細胞の違いについて。
単純細胞は、明るい刺激で脱分極反応するon領域、暗い刺激で脱分極反応するoff領域が分かれている。複雑細胞は、その名の通り、そんな単純な区別ができない。
図2は単純細胞の形態。単純細胞の軸策は4層に密に存在していると言っている。
図3〜5は複雑細胞の形態。複雑細胞を3つに分類していて、図としても3つに分けている。
図3、2/3層の下層部に軸策が集中しているタイプ。
図4、2/3層の上層部に軸策が集中しているタイプ。
(6/8が図3か4のタイプに)
図5、4層以下に軸策が集中しているタイプ。(2/8がこのタイプ)
3つの分類は主観的な分類。
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何を学ぶ?
今回の論文で見えてきた傾向は、
6層単純細胞→4層
6層複雑細胞→2/3層、5層周辺
ということ。
新しくわかったことは、6層複雑細胞で2/3層へ投射しているタイプがいた、ということ。
それは良い。
が、実際の図を見てみるとわかるように、複雑細胞の3つの分類はかなり微妙。8つの複雑細胞からしかサンプリングしなかったからこういう分類が強引にできたのかもしれないが、もっとサンプル数が増えたら、手に負えないことになっていたかもしれない。
ちなみに、結論部分で、単純細胞と複雑細胞は割と分かれた回路を形成している、と主張している。単純細胞は4,6層を中心に回路を形成し、複雑細胞は2/3,5,6層を中心に回路を形成している、ということらしい。
Hirschのシリーズが終わったら、Callawayのシリーズもやらんといかんような気がしてきた。。。



