ウルトラ顕微鏡〜温故知新

組織学・解剖学で標本観察する時は、組織切片を作って顕微鏡下で観察する。中学校くらいに習った生物学の基本的な「実験技術」。

詳細こそ違えど、今でも多くの研究で行われている。

やっかいなのは、切片化された組織・細胞を再構築して、全体像を知りたい場合。

ニューロンは形がこみ入っているので、その再構築までたどり着くには多くのステップが必要な大変な作業になる。

数百万円もするようなシステムを買わないといけなかったりする。

その「切片作り→再構築」という面倒なステップを少し解消してくれるかもしれない方法が、ウルトラ顕微鏡になりそうだ。

Nat Methods. 2007 Mar 25; [Epub ahead of print] 
Ultramicroscopy: three-dimensional visualization of neuronal networks in the whole mouse brain.
Dodt HU, Leischner U, Schierloh A, Jahrling N, Mauch CP, Deininger K, Deussing JM, Eder M, Zieglgansberger W, Becker K.

この「ウルトラ顕微鏡」というコンセプトは、実は100年程前に発表されていたそうだ。それが、現在の技術と科学上の必要性・文脈によって生まれ変わったことになる。

ウルトラ顕微鏡の観察法は簡単に言うと次の通り。

組織を固定して、脱水処理など、組織学で昔からやる処理+αを施して、「透明度」をとことん上げる。そして、顕微鏡の対物レンズの下に置く。

まさに組織学。

そして、青色レーザー光を組織の左右から当てる。そのレーザー光が当たってる面を顕微鏡で観察する。

それだけといえば、それだけ。(自分の理解した範囲では)

例えば、GFP、自家蛍光、抗体染色の組織像まで見れる。
レーザー光の面を上下させれば、組織をCTやMRIのようにスキャンできる。

ミクロンレベルの解像度で。

今回の研究では、最大2ミリ大までの組織は「スキャン」できたそうだ。
マウスの脳やハエなどをサンプルとして使っている。

問題は、組織の透明度を如何に上げるか?らしい。
ヘキサノールに1時間漬けこんだりと、透明度を上げるのが大変らしい。

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何を学ぶ?
組織学・解剖学への応用はできそうだ。

ただ、生きた脳を相手にすることはできるのだろうか?(in vitro whole brain imagingはできたりして)
少なくとも生きた動物を相手にするのは無理のような気がする。。。

けど、特定のネットワークがGFPで光ってるようなサンプルを調べるのはできるわけだから、まずtwo-photonなどでin vivoイメージングして、それから、ウルトラ顕微鏡を使って、ネットワークの形態解析をする、というストラテジーはアリのような気がする。

Denkがやってるストラテジーの簡易版となるかも?

ただ、このウルトラ顕微鏡を脳の観察へ応用する大きな壁はミエリン化

それはともかく、この論文のsupplementary informationにアクセスできる方は、ムービーをぜひどうぞ。お宝映像盛りだくさんです。