スパースな興奮性活動による大抑制

Nat Neurosci. 2007 Jun;10(6):743-753. Epub 2007 May 21.
Supralinear increase of recurrent inhibition during sparse activity in the somatosensory cortex.
Kapfer C, Glickfeld LL, Atallah BV, Scanziani M.

問題意識
大脳新皮質で情報処理が行われる時、興奮性細胞と抑制性細胞が活動する。

その回路内のニューロンが受け取る興奮性と抑制性の入力のバランスは、その細胞がどんな反応特性を示すかを決める一つの要因になる。

けど、その詳しいメカニズムはわかってなくて、特にどんなフィードバック、回帰性抑制回路が駆動されるのかわかっていない。その回帰性抑制回路を調べようというのが一つ目の問題意識。

さらに論争として、その抑制入力と興奮入力との関係は、線形か非線形か?という話がある。興奮成分が大きくなると、同じように抑制成分が大きくなるのか?それとも、抑制性分は非線形的に変化するのかという問題。そのどっち?というのが、この論文でアプローチしているもう一つの問題。

研究するに当たって、モデルシステムとして使ったのがバレル皮質の2/3層
こちらのエントリーでも紹介したように、ここは強い入力が来ても、スパースな反応しかしない。

ということは、何か強力な抑制性回路が駆動されてるはずで、それを調べましょう、というのがモチベーション。

以下、個々のデータの説明。(論文を手元に用意してもらうと良いかも?です)

一個の錐体細胞によって駆動される抑制
論文中Figure 1の説明。
何をしたかというと、ラット・バレル皮質のスライスを使って、2個以上の2/3層錐体細胞からパッチ記録をしている。一方の細胞へ電流を注入して発火させ、他方の膜電位応答を調べている。

結果のポイントは、一方の錐体細胞が高頻度で活動すると、他方の錐体細胞で抑制性入力が(少し遅れて)見れるということ。薬理実験から、この抑制性入力は、錐体細胞→抑制細胞→錐体細胞という経路を経ていそうということがわかった。

このように錐体細胞から出た信号が、抑制信号として錐体細胞へ戻ってくるので、回帰性抑制(recurrent inhibition)と呼ぶ。

ちなみに、このような活動は、50ミクロン以内の近接した錐体細胞ペアの40%弱で見れたらしい。一方、その錐体細胞同士が興奮性結合していたペアは10%程度だったそうだ。

つまり、近接した錐体細胞と言えでも、興奮性より抑制性の情報が伝わりやすいことが伺える。

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回帰性抑制の非線形性
論文中Figure 2の説明。
次は、3つの錐体細胞A,B,Cから同時にパッチ記録して、AかBの1個が活動した時、AとB2個同時に活動した時とで、Cの抑制性応答がどう違うか調べている。

ポイントは、1個より2個同時に活動すると、1個ずつ活動させたデータから予想されるよりも高い確率で抑制入力が見れ、その抑制入力もさらに大きいということ。非線形的な抑制効果がCで見れた、ということになる。

つまり、確率、抑制入力の大きさという点で、AorB<A&Bという関係が成り立つということ。

さらに、抑制性入力が見れる時間も早くなることがわかった。

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2/3層錐体細胞と相互作用する抑制ニューロン
論文中Figure 3の説明。
当然湧く疑問は、たくさんいる抑制ニューロンのうち、どの抑制ニューロンが上の実験で見えた回帰性抑制を説明しそうか?ということ。

つまり、メカニズムの問題。

実験では、錐体細胞と抑制細胞とのペア記録をしている。

この実験からわかったポイントは、2/3層錐体細胞と双方向結合している抑制細胞が4タイプいて、増強シナプスを持ち、ソマトスタチン陽性のregular-spiking細胞が最も臭そう、ということ。


サンプルした抑制細胞をまず2種類に区別している。基準は、錐体細胞からの入力がどのように蓄積されていくか?ということ。シナプス応答の違いと言っても良い。

1つは、繰り返し興奮入力を受けると、その大きさが鈍っていく「抑圧タイプ」。
もう一つは、逆の「増強タイプ」。

前者の「抑圧タイプ」をさらに2つに区別している。基準は、抑制細胞に直接電流を注入した時の活動特性。

一つは、いわゆるfast-spiking細胞(FS細胞)。鈍ることなくひたすら高頻度で発火し続けるタイプ。
もう一つは、いわゆるregular spiking細胞(RS細胞)。regularと言っても、文字通りではない。活動の頻度が徐々に鈍っていく。シナプスは抑圧タイプだから、dRS細胞と呼んでいる。

「増強タイプ」は活動が鈍るタイプだったようで、fRS細胞と呼んでいる。
このタイプは5層にもいたようだ。

ということで、
FS細胞
dRS細胞
fRS細胞
5層fRS細胞
がいた、ということになる。

この4タイプすべてが2/3層錐体細胞と双方向的な相互作用をしていたそうだ。(つまり、すべてが回帰性抑制の容疑者となる)

ちなみに、もっとも「臭い」fRS細胞がどんなタンパク質を発現しているか調べたら、10個中10個でソマトスタチン(SOMと略)を発現していたそうで、他のFSやdRSでは発現していなかったそうだ。

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犯人はSOM陽性fRS細胞か?
論文中Figure 4の説明。
ここまで実験を考えると、徐々に興奮性入力を蓄えていくfRS細胞が今回の現象の鍵を握っていそうなことがプンプンしてくる。

犯人を決める状況証拠として必要なことは
錐体細胞からの入力に反応する抑制ニューロンが出すスパイクのタイミングが、Figure 1や2で見れる抑制入力の時間的な特徴と一致しないといけない、ということ。

ということで、著者らが取った戦略は以下の通り。
1.まず錐体細胞を活動させたら、fRS細胞でどんな活動パターンが見れるか調べる。
2.その抑制細胞の活動パターンを元に、逆の抑制細胞から錐体細胞への抑制入力を算出する。
3.上の実験データとどれくらい一致するか調べる。

その結果、やはりfRS細胞が犯人という状況証拠が得られた。

つまり、FS細胞とdRS細胞のデータでは回帰性抑制入力成分は説明できず、fRS細胞のデータだけが説明できそう、ということがわかった。(もちろん、複数の相互作用の結果、という可能性は完全には否定はできない)

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ちなみに、FS細胞と錐体細胞は高い確率で結合している。
とすると、疑問として、なぜ早いタイミングで抑制入力が見れないのか?というのが浮かぶ。

その説明としては、スパースな錐体細胞の活動だけでは、FS細胞を活動させるには至らない、ことを挙げている。

その根拠としてFig. 4fにあるように、早いタイミングで見れる抑制入力は、複数の錐体細胞を同時に活動させた時だけ見れる、というデータを用いている。

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錐体細胞の活動がどれくらいのSOM細胞を活動させるか?
(非線形的な回帰性抑制の説明)
論文中Figure 5の説明。

残っている問題は、Fig. 2で見られた非線形的な回帰性抑制のメカニズム

以下、自分が理解した範囲で細かいところも説明している。
ポイントをまとめると、2個の錐体細胞が同時に活動すると、より多くのSOM細胞が活動しそうで、その非線形的な回帰性抑制を説明できそう、ということ。(こうしてまとめると味も素っ気もないけど。。。)

(以下、興味のない方は読み飛ばしても問題ありません。)

まず、この図、著者らの仮定に基づけば間違ってはいない。(たぶん)
けど、著者らが実際やったことを理解するには、かなりわかり辛いし、誤解を与えるような気がする。

それは自分が誤解しているだけかもしれないけど。

それはともかく、「非線形的回帰性抑制現象」を説明するために、一見シンプルな確率計算をしている。

知りたいことは、錐体細胞が活動すると、どれくらいのSOM細胞(fRS細胞)が活動しそうか?ということ。

まず、今回の実験からどんなデータが手元にあるかというと、
1.錐体細胞1個活動したら、12.5%の確率で回帰性抑制が見れる。Pinh1=0.125
2.錐体細胞2個活動したら、47.7%の確率で回帰性抑制が見れる。Pinh2=0.477
3.SOM細胞から錐体細胞へシナプス結合している確率は49%。Pip=0.49
4.錐体細胞からSOM細胞へシナプス結合している確率は29%。Ppi=0.29

このデータに基づいて
Q1.錐体細胞が1個だけ活動したら、何個のSOM細胞を活動するか?
Q2.錐体細胞が2個活動したら、何個のSOM細胞を活動するか?
Q3.二個の錐体細胞から入力を受けているSOM細胞だけに注目した時のQ1とQ2の答えは?

という3つの問いにアプローチしてる。

これらの問いを解く上での問題は、
1.SOM細胞の母集団がわからない。
2.SOM細胞の中で錐体細胞と双方向結合している割合がわからない。(PipとPpiを求める過程でわかる気もするが・・・)
3.錐体細胞が活動したら、2のSOM細胞がどれくらいの確率で活動するかわからない。
といったことか。

まとめると、錐体細胞へ抑制を返すSOM細胞の数がわからない、ということになる。

そこで、著者たちの解法は、
錐体細胞が活動したら、錐体細胞へ抑制出力を送っていないSOM細胞がどれくらい活動するか?
を答えることで、Q1とQ2の答えを間接的に得ている。

なかなかややこしいロジックだし、これで良いのか?とも思ってしまう。(自分が誤解してるだけかも?)

さて、
Q1の答えをN1とする。
「錐体細胞へ抑制出力を送っていないSOM細胞」は1-Pip
このSOM細胞は回帰性抑制を返さないから、1-Pinh1という確率になる。

つまり、matlab的に方程式を立てると、
1-Pinh1=(1-Pip)^N1
となる。

上の実験データを当てはめて
N1=0.2
という答えが得られる。

答えの解釈は、1個の錐体細胞が活動すると、0.2個のSOM細胞(直接錐体細胞へ連絡していないSOM細胞)が活動しそう、ということ。

Q2の答えN2は同様に、
N2=0.96

今、
N2/N1=0.96/0.2=4.8
だから、2個同時に錐体細胞が活動すると、約5倍のSOM細胞が活動しそう、ということになる。

仮にこの傾向が、錐体細胞へシナプス結合しているSOM細胞でも同様の傾向が成り立つと仮定する。2個錐体細胞が活動すると、SOM細胞も5倍多く活動して、回帰性抑制が見れる確率が高くなる、ということになる。

Fig. 1aの個々の試行の活動を見ても、毎回抑制の大きさ、タイミングが違いそうだから、この0.2や0.96という値、的を得ている印象を受ける。

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ではQ3。
ここでは、Q1とQ2で得られたN1とN2は、すべてのSOM細胞集団で成立するとしている。つまり、錐体細胞によって活動を引き起こされたSOM細胞が回帰性抑制を返しているかどうかは無視することとする。

それから、SOM細胞と錐体細胞の関係は均一、つまり統計的に独立だとする。

その上で、Q3の答え、2個錐体細胞が活動したら、1個だけの時に比べてどれくらい高い確率でSOM細胞が活動するか、を考えている。

二つの方程式を立てる。
N1=F1*Ppi*N;
N2=( 2*F1*(Ppi-(Ppi)^2)) + F12*(Ppi^2) )*N;


ここで、
N 全SOM細胞の数
N1 1個の錐体細胞が活動した時に活動するSOM細胞の数
N2 2個同時に錐体細胞が活動した時に活動するSOM細胞の数
Ppi 錐体細胞→SOM細胞への投射確率
F1 錐体細胞から投射を受けているSOM細胞のうち、錐体細胞が活動したら活動するSOM細胞の割合
F1&2 2個の錐体細胞から投射を受けているSOM細胞のうち、2個錐体細胞が活動したら活動するSOM細胞の割合

わかりづらい。。。
けど、考えはいたってシンプル。

N1, N2, Ppiの値はわかっている。
つまり、3つの変数は未知で、方程式は2つ。
ということで、直接F1とF1&2を求めるのは無理だけど、
F1&2/F1=11.8
という値は簡単に計算できる。

ということは、
2個錐体細胞が同時に活動すると、約12倍のSOM細胞が活動する!
と解釈したくなる。

しかし、そう単純ではない。(と理解した。)

なぜなら、F1&2の定義を確認して欲しい。2個の錐体細胞から投射を受けているSOM細胞は(Ppi^2)*Nだから、実はPpi*Nより少ない。なので、求められた比、結局どう解釈したらいいのかよくわからん。。。

こういうややこしい議論を見ると、結局、この計算、意味があるのか?という気もする。。。

解説にスペースを割いたのに、虚しさを感じる。。。

ちなみに、著者らは、錐体細胞の協調的な活動によって誘導されるSOMの割合も見積もっていて、独立に活動した時より約10倍多いという比を得ている。(この議論がさらにややこしい)

いずれにせよ、この図で著者たちが言いたかったのは、
2個の錐体細胞が同時に活動すると、5倍ほど多くのSOM細胞が活動するために非線形的な回帰性抑制が見れたのだろうということ。その5倍多く活動するのは、2個の錐体細胞が特定のSOM細胞へ集中砲火を浴びせたことによるのだろう、ということ。(直感的に自明、と言われても、これがサイエンスである。)

ふー・・・。

*以上の解説、大きな誤解をしている気がするので、間違っていたら、ぜひ指摘をお願いします。(読まれている方の多くをすでに失った気もする・・・)

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現象の一般化
論文中Figure 6の説明。

ここまでは最大2個の錐体細胞が同時に活動したケースだけ考えてきた。
では、それを一般化したらどうなるか?
というのがここでの疑問。

わかったことは、活動する錐体細胞の数が増えると、それによって活動を引き起こすSOM細胞の数は非線形的に増えていく、ということ。

実験的に調べるのは無理だから、ここまでのデータに基づいた解析を行っている。

使ったデータは
1.錐体細胞→SOM細胞という結合確率Ppi。
2.錐体細胞を連続的に活動させ、その10発目の活動に対して得られるSOM細胞上でのEPSP。
3.SOM細胞が発火する閾値。

1,2は今回の実験から算出。
3はMarkramたちの論文から11.3mVという値を拝借している。

1は良いとして、2について説明しているのがFig. 6aになる。
実験データの確率分布を、αファンクションとして近似している。

Fig. 6bが今回の論文の最も注目すべき結果のような気がする。

ポイントは、たった9個の錐体細胞が100Hzで0.1秒活動し続ければ、半数のSOM細胞を活動させられそう、という見積もり。

まず、上の3つのパラメーターから、1個もしくは2個錐体細胞が活動した時、SOM細胞集団でどんな反応(EPSP)が見れるかをまとめている。(Fig. 6bの左)

閾値が11.3だから、この値を超えているSOM細胞たちが活動電位を出す、ということになる。

この計算を、1個、2個、3個、、、、と増やしていって、何個錐体細胞が活動したら、SOM細胞の何割が発火するか計算している。(もちろん、ここでは回帰性抑制など、複雑な相互作用は無視している。)

その単純な見積もりから導き出された結果が、上で述べた、9個だけで50%活動させる、という結論。

Fig. 6b左のグラフの分布は、統計的に言うと、いわゆるskewnessが大きい分布。そこで、この分布形状と、多くのSOM細胞を活動させるのに必要な錐体細胞の数との関係(sensitivityと呼んでいる)を調べている。

具体的には、skewnessの高い分布を正規分布と仮定して、誘導されるSOM細胞たちはどれくらい違うかを見積もっている。それがFig.6c。

2点。
第一に、skewnessが0の正規分布の場合、より多くの錐体細胞が活動しないと、多くのSOM細胞を誘導できない傾向がある。(ただし、ここでの正規分布は、オリジナルの分布の標準偏差と違う値を使っている。5割のSOM細胞が活動するのに、必要な錐体細胞数はむしろ少なくて済む、という解釈もデータからはできる。)

第二に、正規分布を仮定すると、その平均値が大きいほど多くのSOM細胞を誘導できる。(当たり前?)

この解析では、100Hzで10発連続発火、というあり得ない活動をもとに算出しているので、よりin vivoの状況に近いであろう、100Hz発火の3発目という状況を想定して計算し直している。(supplementary Fig 2)

もちろん、より多くの錐体細胞が必要になるけど、傾向は同じ。錐体細胞15個で50割のSOM細胞、という結果を得ている。

結果は以上。

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何を学ぶ?
学ぶ前に、長々と説明してきた結果をまとめる。

バレル皮質2/3層錐体細胞のスパースな活動によってSOM細胞(2/3層と5層にいる)による回帰性抑制回路が駆動される。

その回帰性抑制の大きさは、錐体細胞の活動と非線形的な関係がある。

ということ。

この論文の面白さは、大脳新皮質における興奮性、抑制性活動がどのようにバランスを取っているか、そのメカニズムをネットワークレベルでしっかり示したということか。

なぜ、そのバランスが重要かは、少なくともShadlenとNewsomeの論文から続くトピックで、引いては神経コードは何?という大問題ともタイトにリンクするネタ。

だから重要だと思われる。(たぶん

今後は、これがどれくらいユニバーサルな現象なのか、つまり、他の皮質でも見れたりするのか、再現性を調べる研究はまず行われないといけないだろう。

あと、やはり気になるのは、in vivoでこのネットワークが駆動するのか?in vivoで見れるなら、どんな状況下で見れるのか?という問題か。

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さて、この論文のdiscussionで議論しているポイントに、自分なりにバイアスをかけてピックアップすると、

1.SOM細胞はマルチノッティ細胞でlow-threshold spiking neuronと呼ばれるタイプ。(議論というより結果) 海馬のoriens-lacunosum-molecolare介在ニューロン(O−LM細胞)と同じ特徴を持っていそう、という点。(これについては後述)

2.回帰性抑制には2フェーズあって、SOM細胞は後期に貢献、前期はFS細胞。(FS細胞の抑制ですべての錐体細胞が黙ってしまう状況では、SOM細胞は駆動されないことになる。)

3.SOM細胞を活動させるには、スパースな活動でOK。

4.SOM細胞の膜の時定数は26msと遅めなので、複数の錐体細胞がタイトに同期する必要はないだろうとしている。(ありそうな話)

5.脳状態によってSOM細胞を誘導するのに必要な条件は変化しそう。(根拠がもう一つよくわからず)

6.感覚刺激(ヒゲ刺激)でもこの現象が起きてても不思議ではない。(いわずもがな)

といったところか。他にもいろいろ議論はしている。

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ここからは、自分の妄想である。(なので、専門向けに書いてみます。)

まず、海馬でも同じことが起こっている気がする。

Klausbergerのjuxta記録の論文によると、O−LM細胞は、thetaの時は錐体細胞と同じフェーズ、リップルの時は、抑えられていた。

つまり、スパースな活動の時にO−LM細胞が誘導されるとすると、ピッタリだし、リップルのように一過的な過活動状態の時は、FS細胞が主に働く。

これは、脳状態によって、皮質のSOM細胞とFS細胞のモードが切り替わってる可能性大。

さらに言ってしまえば、大同期が起きてる時はFS細胞がバランスを取るように働いて、ポピュレーションレベルの発火頻度モードではSOM細胞がバランスを取るなんて、超speculationを考えている人が自分以外にもいるかもしれない。

追記7/19
Nature. 2004 Jun 17;429(6993):717-23. Epub 2004 May 30.
Routing of spike series by dynamic circuits in the hippocampus.Pouille F, Scanziani M.
という論文では、海馬に2種類の回帰性抑制回路があって、一つは、早い成分で細胞体周辺へ、もう一つは錐体細胞の発火頻度に合わせて上昇してapical dendriteのdistal側へ入力するらしい。

ピッタリ?

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次に、やはりMarkramたちの5層の話との関係を考えたくなる。(こちらのエントリーで紹介済み)

こちらでも、SOM陽性抑制細胞を介した回帰性抑制を紹介している。(が、同時期にpublishされたからか、お互い知らないふりをしている。)

Markram論文のFig. 3あたりを見ると、非線形性を垣間見れる。そもそも、時間的な変化はそっくり。

ということは、2/3層錐体細胞、5層房状錐体細胞が活動すると、SOM細胞駆動されて、皮質の主な出力細胞の活動のバランスを取ろうとしている様子が想像できる。

しかも、今回の論文では、5層のSOM細胞も関わっていたわけだから、5層錐体細胞の活動が、フィードバックかフィードバックフィードフォワードと呼ぶかは知らないが、2/3層錐体細胞を抑えている状況も容易に想像できる。

ということは、5層が普段から活動していると、2/3層はどうなるか?

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さらに、in vivoで神経細胞の活動を計測して、細胞間の相互作用を検出していたとしよう。

例えば、2/3層錐体細胞間のモノシナプス結合を検出していたとする。
もし、一方の2/3層錐体細胞が「バースト」(ここでは、連続的な発火の意味)すると、バーストの始めの数発目くらいで見えていたモノシナプス性の活動が隠れてしまう状況が起きうる。

ということは、ひょっとしたら、モノシナプス活動をとらえられないfalse negativeのリスクが高まるというネガティブなことも考えられると同時に、もし一過的な脳活動状態の違いによって、そのモノシナプス性の2/3層錐体細胞間の相互作用が出たり、出なかったりする可能性も考えられそうな気もする。

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ということで、何を学ぶ?(ようやく言いたいことへ

やはりこういうネットワークレベルの研究を調べないと、脳がどうやって活動しているか見えてこない。(自分には)

こういう局所回路レベルのモチーフ構造は少しずつわかってきているので、そのようなモチーフ構造の知見を取り入れて、シミュレーションなり、in vivo実験の仮説を考えても良い時期にきている気がする。