2007年01月30日

認知症と戦う日記 〜1月30日〜

「なんか、紙に書くと考えがまとまるって知ってる?」
「・・・なにそれ?」
「いや、だからさ。悩んでたり、考えがまとまらない時には紙に書くと考えがまとまって、悩みにまとまりが出来るんだよ。」
「それってさ、普通のことじゃないの?ここで言うからには脳トレと関係あるんだよね?」
「実はあるんだよ・・・」
「なんか無理やり言ってるんじゃないの?」

「いやいや、ちゃんとした脳トレなんだよ。左脳を鍛えることになるんだ。ほら、読み書き計算で頭が良くなる、って言うでしょ?」
「ああ、なんか聞いたことあるな」
「あれも脳トレの効果があったってことだよ」
「ちょっと無理矢理に聞こえるなぁ・・・」

「確かに、逆に暗算をするというのも左脳を鍛えることになるんだよね」
「おいおい、なんか無茶苦茶じゃないか!ネタに困ってでたらめ言ってるんじゃないのか!?」
「まさか、暗算は上級者向けで、紙に書くのは初級者向けだってことだよ」
「・・・なるほど?」
「情報を整理して、まとめたり分けたりするのは左脳の働きなんだ。紙に書くと、まとめたり分けたりすることがしやすくなるから、左脳は仕事がしやすくなる。一方で暗算をする場合には、難易度が高いから上級者向け。でも、どちらも左脳を使ってる点にはかわり無いんだ

「なんとなーく、わかったよ」
「さて、今日の日記を書きましょうかねー」



ここ2日は祖母の読書に付き合うことが出来なかった。
なんとかして祖母に毎日読書をさせたい。が、そう簡単にはうまく行かないらしく、調子が出始めた頃から残業が増え始めた。
祖母はとにかく夜が早く、残業をして帰ったら寝ているのが基本だ。

今日も、残業が1〜2時間程度必要になりそうな気配・・・
このままでは、ダメだ。
そう思った私は昼休みに電話をした。
祖母が描いた学習マップから、問題を出して話の概要を思い出させようとしたのだ。

「もしもし、ばあちゃん、元気?」
「あらあら、今日はどうしたの?」
「今は会社で、今は休み時間だよ。」

こんな感じで5分程度話をして

「ばあちゃん、いつものノートは持ってこられるか?」
「ああ、ちょっと探すから待ってな」
といって祖母は電話から離れる。母は買い物で居ないらしい。
・・・3分後

「ごめんなぁ、ノートがどこに行ったのかわからんのよ。見つからなくて、胸がドキドキするわぁ
「そうか、わかったよ。ばあちゃんお大事にね」

一応ノートはすぐ見えるように、専用のラックを買っておいたのだがこれだけではダメなようだ
(帰ってきて、ラックを見たらノートと関係の無いものばかり入っていた)

なるほど、認知症の人に探し物をさせるのは危ない。
それこそ寿命が縮む想いをさせてしまうかもしれない。
電話でノートを探させたのは、少し危険が含まれる余地がある・・・。
が、これはなんとかクリアしなければならない今後の課題だ。

帰宅後・・・

なんとか短い残業で仕事を終えて帰宅すると、祖母はまだ起きていて、編み物をしていた。
が、そこには驚くべき光景が広がっていた。

まともに編み物をしているのである。
いままで、編み物をするという名目でこんがらがった毛糸の束をひたすら解いていた。
それも、かれこれ3週間程度進んでいなかったのだ。
が、今日はまともに編み物をしているのだ。

少々面食らっているところに祖母は追い討ちをかけた。

「部屋にな、感想文書いておいといたで。見てくれなぁ」

!?

奇跡が起こったのかと思った。
祖母が、一人で読書をして感想文を書いたというのだ。
前に、一章を読み終えるたびに感想文を書いてくれ、とお願いをしたことがあった。
が、かれこれ3週間、一度もやったことはなかった。

しかし、今日ついにやってくれたというのである。
急いで部屋に戻り、感想文を探す。

確かに有った。メモ帳の切れ端4枚に渡り感想文が書いてあった。
どうやら、実際に4回読んだらしい。

具体的にどういう進み方をしたのかイマイチわからなかったが、確かに読んで感想を書いている。
目を通してみると、時系列がハッキリしない書き方をしている。
「時計」を「計計」と書き間違っていたり、他にも読めない字が沢山あった。

それよりも、こちらの熱意が伝わったということが重要だと思った。
この一週間、なるべく早く帰宅して、帰宅早々ご飯も食べずにひたすら読書、マッサージ、ストレッチと祖母と付きっ切りだった。
その成果が実ったと言えるだろう。

それをみて安心し、今日の読書はしないで学習マップによる復習のみを行った。
特に、今日は調子が良さそうだったので描かれた学習マップにそれぞれの関連付けを行った。
ストーリー上の出来事と、登場人物の関係などを矢印で簡単に示させた。

その後、恒例になりつつある「パーミング」をやらせたところ、またまた奇妙なことを言い始めた

「なあ、こうやって目を塞いでいると、何が見えると思う?」

こんな質問をされたのでギョっとした。
一応、念のために言っておくと、目を手で覆うので何も見えないのが普通だ。
何か見えるということは、何かイメージをしているということになる。
すなわち、記憶の想起をしているということだ。

「何が見えるの?」
「さっき書いた感想文が見えるわぁ。といっても、字までは読めないけどな。横書きでなぁ」

確かに感想文は横書きだった。
それでなくとも、大正生まれの祖母である。何かを書く場合には基本的に縦書きだ。
つまり、横書きを強調したということは、かなり特殊なものだったのだ。
パーミングで目に様々な影響がでるというのは知っていたが、ここまで具体的に出てきたのは初めてなのでかなり嬉しい。

やはり、今後も電話にて祖母と連絡を密に取るべきだなと思った。


トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by 不倫   2011年06月27日 10:57
あなたの不倫度をチェックしてみませんか?深層心理が赤裸々に暴かれる!?あなたは果たして純粋に一人だけに愛を捧げることができるのか!

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Archives
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: