JVC初のリアル4Kプロジェクター、DLA-Z1の内覧会に行ってきました。
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JVCはこれまで「4K」と銘打ちながら、フルHD解像度のパネルを時分割で二回使う「e-Shift」のD-ILA素子しか持たず、したがって実力的にはFull HDの二倍程度の解像度で、本来Full HDの4倍であるはずの4K解像度は持っていませんでした。また、e-Shiftの映像の処理が4Kの信号を4Kの半分しか解像度のないパネルに映すことで、Full HDの信号はともかく、4K信号を映すには弊害が目立っていたのも事実です。この辺は以下のサイトに分かりやすくまとまっています。

http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dg/645023.html

UHD時代を迎え、リアル4K解像度のプロジェクターの実現はJVCにとって焦眉の急だったと言ってよいでしょう。今回のDLA-Z1はまさにその、待ちに待ったリアル4K解像度のD-ILA素子を開発し、さらに4Kメディアの高色域を実現するために光源をこれまでのメタルハライド(超高圧水銀)ランプからレーザーに刷新した、UHD時代幕開けを飾るにふさわしい製品です。レンズも大口径で凝った光学系の贅沢な設計で、各種4K信号はフル対応、HDRも4K放送で使用されるHLGにも対応と、新時代の旗艦モデルとして非常に気合の入ったモデル。興味津々で内覧会場に向かいました。

実際の機体を見ると、やはり印象的なのはレンズ口径の大きさ。私が現在使用しているソニーのVPL-VW1100ESも92mmの大口径レンズを使用していますが、DLA-Z1はとうとう100mmという大口径の前玉を使用し、16群18枚の複雑な光学系中、5枚に特殊低分散レンズを使う、カメラメーカーの俗にいう「大三元ズーム」に勝るとも劣らない内容で、メーカーの係員も「とってもお金がかかっています。国産です。」と念を押していました。一方で、前玉が大きすぎて電動シャッターがつけられなかったということで、設置環境には気を使ったほうがよさそうです。
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接続端子に関しては、常識的な構成ですが、ファームウェアのアップデート用にUSB端子がついているというのは今後4-5年は使いたいと考えると安心材料。3Dのエミッターとメガネは別売りなのはこの価格の製品としてはどうなのか。本体重量の37.5Kgは重量級ですが、このレベルのプロジェクターを使おうという方々には大した障害ではないと思いますし、遠慮せず物量をつぎ込んだ結果だとしたら文句をいうところではないでしょう。
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今日見た機体は、完成度7割の試作機とのことで、映像信号によるモードの自動切り替えがうまく動かなかったり、レンズメモリーの切り替えが異様に遅かったりという状況でした。視聴に使用したモードはUHD-BDがHDR(BT.2020)、BDがシネマ(BT.709)で、ガンマは2.4、色温度が7500K、ダイナミックコントラストやモーションドライブはオフ(というかまだ出来てない)という設定です。D-ILAデバイスのネイティブコントラストは報道通り20,000:1、セットコントラストはこれ以上にはなるがまだ確定できていないということで、ネイティブコントラストに関してはDLA-HD100と同等程度かという印象を受けました。一方でダイナミックコントラストはフレーム単位でコントロールができるLED光源を使っていることで無限大を実現しています。これはソニーのVW5000も同じで、JVCはFull HDではネイティブコントラストで常にソニーを上回ってきましたが、4Kに関してはそれほど差はなくなっています。

最初に見たのは宮古島のUHD-BD。ソニーのシネアルタを使用して撮影した4K@60pのBGVディスク。色は非常に鮮やかなのですが、ちょっと不自然なのと、ガンマが立ち気味で黒つぶれが散見され、追い込みがまだ足りない感じ。一方で解像度はキレッキレに高いうえにフォーカスのトランジェントも良く、自然で美しいボケを再現してくれます。砂浜のヤドカリや波の泡がとてもリアル。一方で撮影カメラのレンズの収差まではっきり見えてしまいます。次に見たUHD「Lucy」はモーガン・フリーマンの髭や髪に解像度の高さを感じましたが、やはり黒つぶれが早い印象。BDの「山猫」はトランジェントの良さからくる立体感と、赤い絨毯の「赤さ」が好印象な一方でフィルムグレインはちょっとうるさい感じ。アップコンは自信があるのでプレーヤーではなくプロジェクターでやってほしいということでしたが、これも最終的評価は保留です。

一方で3000ルーメンと明るく色域の広い光源をフルに生かしたHDRは圧巻の印象で、バットマンvs.スーパーマンのチャプター11は絶対的な明るさや明暗差は我が家のVW1100で観たSDR映像とは全く印象が異なり、劇的な効果を見せていました。今後制作側も含めてHDRのノウハウがたまっていくとより効果的な表現ができるようになっていく可能性を見た思いです。他方「Revenant」はピークの伸びた映像がほとんどないことから、解像感は感じましたが、VW1100の映像と大差ない印象でした。HDRはまだまだ発展途上ということなのでしょう。

カタログにない情報としては、ファンのノイズは25dB(LD低モード時)ということでまずまず、ピンクッション調整可能でカーブドスクリーンも対応可能とのことでした。

4K時代のフラッグシップモデルとしてJVCが力を振り絞った感のある本製品。発売を楽しみに待ちたいと思います。