
千葉県知事選挙2025@NHKより
さて千葉県知事選挙が終わりました。結果は現職熊谷知事が85%もの得票率、2位小倉候補が所謂供託金ラインの10%得票すらできないレベルの圧勝となりました。
熊谷知事~圧勝で見逃されるもの~

熊谷知事の政策
さて圧勝した熊谷知事、政策を見ると一見各分野網羅的に抑えられているように見えます。
大網白里の住宅街で水噴出 未明に高さ10メートル、地中の水道管破損か 窓ガラス壊れる@千葉日報2025/2/11
物価高に更新費の増加も 水道料金20%値上げ方針 老朽化で漏水事故相次ぐ 【2025千葉県知事選 県民の暮らし ちばの現場から】(1)@千葉日報2025/3/12
しかし意外だったのは水道を中心とした老朽インフラ対策、例えば1月に三郷市での陥没事故がありましたが千葉県でも大網白里市で水道管破損事故がある中、知事が公約として項目を上げなかったのは意外と言えば意外でした。
半島性を克服する交通インフラの充実@熊谷俊人公式WEBより
JR線の複線化や利便性向上に向けて期成同盟などを通じ、要望活動
京葉線の快速廃止に対して沿線市町村・経済界と連携し、JR東に対して強く抗議、一部復活を実現
北総鉄道の大幅値下げが実現
2023年の豪雨災害で被害を受けた小湊鐡道・いすみ鉄道の復旧支援
バス路線の維持に向けた市町村への補助
ドライバー確保に向けた事業者支援の創設など、地域の足の確保に全力で取り組む
JR久留里線(久留里・上総亀山間)沿線地域交通検討会議 検討結果報告書@千葉県より
主に通勤通学や観光客など、平日の朝夕や休日の日中をピークとした一定のまとまった移動需要は、バスを中心とした定時定路線型の交通手段で対応し、買物や通院など時間帯やエリアが散発的な移動需要は、デマンド型の交通手段で対応することが考えられる。
もう1つ引っかかったのは知事の公約の上の部分、当blogでも取り上げた北総鉄道の運賃値下げ、京葉線快速列車廃止に対する反応、災害で被害を受けた小湊鉄道・いすみ鉄道の復旧支援など頑張ってはいるのですが、新しい交通モードへの転換が決まった久留里線末端区間に関して触れられていないのは気になりました。正直な所久留里線末端区間に関してはネットワークが弱い所謂盲腸線であり、関係する自治体が君津市、千葉県しかなく、大きな貨物輸送も期待できず、対象区間に需要減となりうる学校がなく、豊富な観光資源があるとはいえ、県内屈指とまでは言えないなど、輸送密度の数字以前に廃止を避けるのは難しいので多分芸備線をはじめとする有名路線以上に存続は難しく思っていたので決定自体は悲しいが、仕方ないものは感じていたのですが、ただ建前かもしれませんが決定に関しては「鉄道の廃止は悲しいが地域にとってより良い選択となった」と言うのを示す必要はあると思います。その視点からすると久留里線に関して政策にあげられないというのはそこに自信がないのかと思わざるを得ません。
公共交通 人口減や運転手不足深刻 「地域の足」確保へ方策は 【2025千葉県知事選 県政の課題】@千葉日報2025/3/5
令和の大きな宿題その15 バス転換と言う贅沢が許されない時代に~赤字鉄道路線廃止問題に思う
北総鉄道の祝うべき出来事
確かに熊谷知事の圧勝は妥当性はあるとは思いますが、こういった検証が行われなかったとすれば千葉県民にとって不幸だなと思わざるを得ません。
小倉正行候補~対抗候補として頑張ったが…~

小倉正行HPより
さて現職熊谷知事に主要政党が相乗りしてしまったため対抗馬的なポジションに立った小倉候補、熊谷知事と同じ8分野の政策を掲げつつ水道料金を前面に出すことで対立軸と知事の政策にない水道の話を論点にあげる工夫は頑張ったと思います。

千葉県知事選挙2025 出口調査結果 水道料金・宿泊税の賛否 現職への評価は 千葉市長選挙も@NHK2025/3/16より
しかし結果は厳しいものがありました。得票率が低いだけでなく、支持母体と言える共産党の支持者の得票すら得られなかったのです。共産党と言うと公明党と共に固い固定票が印象的でしたがそれが崩れてきているのかもしれません。
立花孝志~支持拡大に奔走した結果民主主義を守る努力をしている男~

立花孝志選挙公報
さて続いては立花孝志氏、千葉県知事選挙なのに活動の大半が兵庫県と言う事で話題になったり、批判されたりしました。個人的には立花氏が考えていたのは今年行われる参院選に向けて支持の維持・拡大で、それを考えると変則的ながら昨年活躍した兵庫県を重視するのは分からなくはないです。そして批判する人には不思議な感覚になります。確かに彼のやっている事は褒められる事ではないですが、ただ褒められる事をしない人が支持を集められるわけなく、実際彼の政治勢力は国会議員2人と地方議員がいるだけで決して大きいものではないです。それを考えると目くじら立てる所ではないのではと感じてしまうのです。立ち話を問題と思う人がやるべきなのは立花氏の批判ではなく立花氏以外の候補の話題を増やす事なのではなかろうかと思います。

立花氏が5%以上の得票を得た自治体(千葉県知事選挙2025@NHKより)
個人的に興味深かったのは立花氏がどこから得票しているかです。上はNHKのサイトから立花氏が5%以上の得票をしている市町村を調べたものなのですが東京都に隣接する市川・松戸・浦安と言った地域がある反面、都心から距離がある木更津、東金などの自治体も見られます。さすがに銚子や南房総の名前はないですが都市部の浮動票頼みと言うよりも都心への通勤者の少ない地域にも一定レベルで浸透しているのが見て取れます。
NHKから国民を守る党 立花党首 財務省前で襲われけが 男は逮捕@NHK2025/3/14より
14日夕方、東京・霞が関の財務省の前で行われていたデモのそばで、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏がいきなり刃物で襲われ、けがをしました。その場で逮捕された30歳の男の容疑者は「立花氏を殺そうと思った」などと供述していて、警視庁は殺人未遂の疑いで捜査しています。
もう1つ興味深かったのは上の事件、事件自体はやはり言論に対し暴力で対抗するのは許されない事ではあります。ただこの財務省デモに対してある意味で現場で観察する政治家と井野がぱっと浮かばなかったのでそこが興味深いと感じました。
「ザイム真理教」などと言う愚にもつかない陰謀論を煽り続けた結果が、この理不尽かつ不合理な「財務省解体デモ」です。我が党を含め、この理不尽に加担している政治家には猛省を求めたいと思います。アメリカで起こっている様な国家機能の崩壊を日本で起こしてはいけません。 https://t.co/PHJ8G4LNrA
— 米山 隆一 (@RyuichiYoneyama) February 16, 2025
個のデモに関しては立憲民主党の米山議員をはじめ様々な人たちが懸念を表明しています。ただこの財務省デモに限らずデモの参加者に共通しているのは
・現状の政治家に不満を持っている
・そしてわざわざ時間と交通費をかけてデモに参加する行動力がある
そう考えると政治家としてやるべきことは懸念を表明するよりもこの不満と行動力を持つ人たちを取り込む努力をする事なのではないでしょうか?実際この不満と行動力のある人たちを放置し暴走させるのは危険で、立花氏は刃物で襲われています。故に暴走する前に取り込み自らの勢力拡大するというのは政治家としての役割ではなかろうかと思います。そして参院選へ向けて少しでも支持拡大したいと必死になっている立花氏が「既存政治家たちが取りこぼした連中を取り込もう」と行動したのは政治家としての当然あるべきミッションであり健全な民主主義の為の努力なのだろうかと思います。
まとめ
如何だったでしょうか?確かに結果だけを見ると現職知事の横綱相撲、信任投票に見えますが、少なくとも対案を出し論争を起こそうとした小倉候補、参院選に向け支持拡大に奔走する中で既存政党が取りこぼした不満と行動力のあるデモ参加者に近づいた立花氏も民主主義を支える一因となっているのだなと感じました。果たして皆様はどうでしょうか?